熱帯魚工作箱

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自作CO2発生器(化学反応式 Ⅱ)

2008-03-02 23:18:04 | 自作CO2発生器(化学反応式)

以前、自作したCO2発生器(化学反応式)の改良バージョンです。

前回、未完成なまま記事を書いたのですが、その後も二酸化炭素の発生が止まってしまう原因を探っていました。
もちろんボトルの圧力を上げ、水に沈めてジョイント部分からの漏れもチェックして逆流防止弁からの微量の漏れがないかもチェックしました。
あとはやっぱりクエン酸水溶液に二酸化炭素が思っている以上に溶けて圧力が下がっているとしか考えられません。入れるクエン酸溶液の量も少ないので、ある程度溶け込めば飽和状態になって溶け込むのが止まるだろうと想像していたのですが… とにかくどれぐらい溶けるのか試してみようとクエン酸100gと水を100ccをペットボトルに入れボトルをCO2で満たして蓋をしてシャカシャカとボトルを振ってみたところ…すぐにボトルがベコッとつぶれるように大きくへこんでしまいました。相当量のCO2がすぐに溶け込んでしまったようです。これでは微量の添加だとボトルの圧力が先に下がりすぐに止まってしまう訳です。

CO2が溶け込まない構造にするか下がった圧力を上げる方法を考えなくてはなりません。
クエン酸ボトルの圧力を上げる方法としてサブタンクに加工をしてみました。



サブタンクに重曹の飽和水溶液を30ccほど入れてチューブを底まで延長してクエン酸ボトルの圧力が下がってきたらサブタンクの重曹溶液がクエン酸ボトルに滴下され、CO2が発生して圧力が保たれる構造です。サブタンクの反応が早すぎるとメイン側の反応が起こる前にこっちの反応が先に始まってしまうので逆流防止弁で少し抵抗を加えたうえサブタンク内でチューブを長くしてあります。補助エンジンを取り付けたような状態ですね。



使ってみると、夜、CO2の添加をOFFにして、翌朝になってもボトルの圧力は保たれていますが一晩で数ccの重曹が消費されてしまうので1週間連続添加ぐらいは大丈夫ですが長期間は使えません。クエン酸溶液も薄まって量も増えてしまい、手間もかかりすぎます。
クエン酸溶液がそのうち二酸化炭素飽和状態になり、その時点で圧力が下がらなくなるだろうと考えていたのですがサブタンクの重曹水溶液はじわじわと減り続けます。構造が複雑になりすぎて圧力がかかっている状態で分解しようとすると外す順番を間違えば思わぬ状況になってしまいます。分解するのはちょっとしたパズルです。どこかでチューブが抜けたら反応が始まりえらいことになってしまいます。もうこの時点で実用的とは程遠い状況なのでこの方法では長期間メンテフリーなCO2添加装置を作るのは無理があるようです。

次はクエン酸と二酸化炭素が直接接触しない方法を考えてみました。
まずクエン酸水溶液に油を浮かべればCO2との直接の接触は無くなるかと思ったのですがそのうちそこらじゅうが油でべとべとになるのが目に見えているうえチューブが油で滑って抜けてしまうかもしれないのでこれはどう考えても試してみるまでもなく「没」です。
次に考えついた使えそうな方法はクエン酸ボトルを二重構造にして圧力のみが伝わるようにする方法です。





クエン酸が入る内側の容器は圧力が伝わるよう柔らかい素材が必要です。イメージとしてチューペット(アイス)の容器(袋?)が頭に浮かびました…がちょっと材質が硬そうです。ゴム風船だと中に入れるものが酸なので材質的に問題がありそうな気もします(試していませんが)。これ以上は使えそうなものが思い浮かばないので「無いものは作る!」ですね。
熱帯魚のパッキング用のビニール袋を半田ゴテで焼いてビニール袋をオリジナルな形で自作してクエン酸ボトルの中にに取り付けてみました。空のボトルの中にクエン酸水溶液が入ったビニール袋がぶらんとぶら下がっている状態ですね。



試してみると効果ははっきりと出ました。ADAのカウンターで2~3秒に1滴の微量添加でも確実にCO2の発生は続くので、ひとまずこの方法でもうちょっと煮詰めていこうかと思っています。
ただし ほんのちょっとのCO2漏れでも発生が止まってしまうので徹底的に漏れが無いかチェックする必要があります。

…で クエン酸ボトル(改)の作り方です。

材料
厚めのビニール袋
ホットクッキングシート(クッキーなどをオーブンで焼く時に使う耐熱紙です)
6mmのシリコンチューブ
4.5mm塩ビパイプ(パイプピタッと)

作り方
適当な大きさに切ったホットクッキングシートを2つ折りにします。
折り目に沿って袋の形を書いて型紙とします。シートの間にビニール袋を差し込み、半田ゴテで線の上をなぞってビニール袋を熱圧着します。一定圧力、一定速度で半田ゴテを進めるのがコツです。シートがすぐに焦げるようなら半田ゴテの温度が高すぎます。チューブの差し込み口部分を6mmのチューブが差し込めるように調整します。



6mmシリコンチューブを作った袋に差し込み輪ゴムなどで口をしっかりと留めます。



シリコンチューブはビニール袋の奥の方まで差し込みます。シリコンチューブには輪ゴムを巻く部分にプラパイプを差し込んで輪ゴムできつく縛ってもチューブがつぶれないようにしておき、ところどころに穴を開けておきます。



出来上がった袋をクエン酸ボトルの中で重曹ボトルへの滴下用チューブに接続します。
クエン酸ボトルにセットしてからでないとクエン酸溶液を入れることができないので下のようなボトルでチューブからクエン酸水溶液を注入します。中袋の中にに空気が入ったら抜いておきます。



各ボトルのチューブ類を接続して接続に間違いがないかチェックして完成です。
チューブ類パーツ類の接続は前の記事と同じです。

この中袋ですが、きつく輪ゴムで縛ったつもりでもビニールのシワの隙間から微妙に漏れることがあります。長時間の発生が続かない時はこの縛った部分に原因がある場合があります。内袋が「吸っているチューペット」のような状態なら大丈夫ですが、だらんとぶらさっがったような状態になっていたら漏れを疑います。

クエン酸ボトルにはクエン酸100gを水を200CCに溶かしておきます。重曹ボトルには重曹を300g程度入れて水を150cc入れてかるくふっておきます。こちらはほとんど溶けません。前回の記事では反応を早くするために重曹ボトルに水を入れませんでしたが水が入っていると穏やかな反応になりますが長期間安定して反応が続くようです。重曹は安定して反応するように多い目に入れますが上澄みを捨てるとそのまま次回のセット時に重曹を追加して使えます。
これで1日の添加時間と量にもよりますが1週間程度はもつのですが日が経つにつれて反応が弱くなるので重曹ボトルに溜まった上澄み液を捨てて水を100~150ccほど補充して再セットするとまた復活します。

クエン酸100gが無くなるまでメンテフリーでCO2添加ができるようになれば小型ボンベに近い性能になるのですが現状では発酵式ぐらいのメンテを必要とします。
発酵式と比べると工作が多少複雑ですが作ってしまえばあとの準備作業はは簡単です。ボトルが3本になるのでかさばってしまうのが難点ですが夜に添加を停止することが出来ます。発酵式のように冬場の保温の必要はありません。

・連続して添加が続くようにするにはちょとコツがあります。同じ添加量でもボトルの圧力を高くしてスピコンを絞るのと低い目の圧力でスピコンをゆるめに開ける方法がありますが、後者のほうが安定します。圧力とスピコンの絞り具合がうまくつりあった状態を見つけると安定した添加ができます。

・添加量は結構な範囲で調節できますが60cm水槽ぐらいが相性が良さそうです。水草の量や状態によって添加量を調節できるのが発酵式との大きな違いです。小型水槽にも対応できますが30cm水槽の後ろには隠しきれません。

☆今回のCO2添加器は穏やかな反応の発酵式と違い、アクシデントによっては急激な反応もありえるので特に安全対策を常に考えて工作をしてください。


製作される前に必ずこちらをお読み下さい。

続編(CO2発生器Ⅲ)

☆古い記事への書き込みも大歓迎です。


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2 コメント

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着実に (ossyan)
2008-03-12 01:20:40
進化していますね。
まさかオリジナルビニール袋まで作ってしまうとは。作っている姿を想像すると、ちょっと笑ってしまいそうです。すいません。マジメな装置ですよね。

今回もいろいろな手法を考えられていて、次回はどうなるのか気になってしまいます。
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ビニール袋 (mizuwarabi)
2008-03-12 18:15:38
ossyanさん
ビニール袋はやっぱり半田ゴテで作るのはちょっと無理があります。水漏れ不良品だらけです。ストックしてあった熱帯魚用のビニール袋を大量に消費してしまいました。
このCO2発生器は引き続きテスト中です。何か分かればまた報告させていただきます。
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