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水草の肥料 1

2008-03-16 23:42:25 | 肥料 用土

カリ肥料について思ったことや水槽の観察結果などを書いていたら思いっきり長文になってしまいました。何回かに分割しようかとも思ったのですが、内容が余計に分かりにくくなりそうなのでこのまま記事にすることにしました。

水草用として熱帯魚店で売られている肥料(栄養剤)はカリ(K)が主成分の製品が多いようです。(以後、肥料として登録していない水草用の栄養剤も言い回しが面倒なのと中身は肥料と言えるものなのでここでは肥料と表現します、ご理解ください)
園芸用の肥料では考えられない配合比ですが水草水槽では園芸用肥料を使うよりも水草専用だけにコケの発生も少なくちゃんと育つのも事実なのでこの極端な配合比にも意味がある事だと思うのですが、結構高価です。値段と濃度を考えると園芸用肥料を使いたくもなりますよね。
ホームセンターでN:P:K=0:0:50の粉末のカリ肥料(硫酸カリウム)が安価で売られているので水草用に転用できるのでは?とつい買ってしまったのは私だけではないと思います。これとほんのちょっとの園芸用の液肥を使って水草用肥料の成分比に似たような状態にして水槽で使っても思うような効果が出ないのです。おまけに硫酸カリウムは水に溶けにくいので使い勝手も良くありません。結局水槽の調子を崩してしまい、水を入れ替えてクリプトとイニシャルスティックを施肥すると、何か特別な成分が含まれているかのようになぜか復活してくるのです。
水草用によく使われている園芸用肥料のハイポネックス微粉(N:P:K=6.5:6:19)も他の肥料に比べてカリが多めですね。う~ん なんかやっぱり水草の場合、マグネシウム、鉄分などの微量要素がどうのこうのと考える前に まずカリ(K)がポイントのような気がします。

思いあたるカリ肥料として他に炭酸カリウムがあります。こちらは即効性があると言われています。園芸用ではあまり使われていないようですが水草用の肥料には使われているものもあるようです。
以前、クエン酸と重曹でネットショップを調べていて炭酸カリウムを扱っているショップを見つけていたのでどれほど違うものかと買ってみることにしました。500gで¥1000ほどでした。
ホームセンターで売られているものでカリ肥料として使えそうなものが他にもあるのですが(トップの画像の右側の黒っぽい粉ですね)現在検証中なので 後日別記事として書かせていただきます。

硫酸カリウムは水に溶けにくく沈殿物があり、この沈殿物が不要なものなのかカリ成分なのか判断できないので飽和水溶液を使うことにしました。適当な量の硫酸カリに水を加えてよく振り1日置いて透明な上澄み液を使います。
炭酸カリウムは液肥として使いやすそうな10倍液です。500CCのペットボトルの2/3ぐらいまで水を入れておき50gの炭酸カリウムを加えてから水を足して500CCにします。水と混ぜるときに発熱するので先に水を入れておきます。


…で、判断する方法ですが、水槽の条件を一定にするのは不可能なので 多めに水替えをしてハイグロ・ロザエの新芽の生長が鈍ってきたら肥料を投入します。投入量はちょっと多めの勘です(大雑把ですみません) 判断基準は葉から出る泡の量、水槽面や水草に付く苔の量、水面のアオコの量、ミクロソリウムの葉の先の透明な成長部分の様子、パールグラスの新芽の様子、ハイグロ・ロザエの葉の色と大きさ…などから総合的に判断します。パールグラスは状態が悪くなると新芽部分が委縮したりポロッととれてしまったりするので指標になります。

硫酸カリウムは今までに何度もいろんな濃度で試してみましたがすぐに反応が出ないのでどれぐらいが適当なのかよく分からず、その間に換水もするので施肥量が分からなくなりいつの間にか多めに入れてしまっていたりしてバランスが崩れてしまいます。投入量が見極めにくく水草水槽には使いにくいカリ肥料だと思います。

炭酸カリウムはまず1cc/10L(水100Lに対して10ccですね)の割合で投入してみました。
2日目:水草から泡が出ているのを確認して再度、前日と同量の1cc/10Lで追加投入。
3日目:アオコが水面を覆っていますがひるまずまたまた同量を投入。
4日目:さすがに躊躇して追加投入はせずこの状態で様子を見ることにしました。水槽面はコケでグリーンが目立ってきましたがまだ水草の葉面は茶ゴケも糸状のコケも元々コケていたこともありそれほど目立ってはいません。
5日目:1cc/10Lで追加投入。水槽面、水草の葉面にもコケは目立っていません。ハイグロは普通に成長しています。パールグラスもまだ?新芽は残っています。
6日目:それほど変化は見られないので1cc/10Lをまたまた投入。
7日目:一週間でこれだけ入れたのに変化が無さすぎます。クリプトを規定量入れる方が変化があります。
ここまで変化が無いとあとは他の成分の投入です。いつも使っている有機液肥(N::P:K:=5.5:7:7)を1cc/100Lで入れてみました。窒素分(N)を含む肥料は慎重に様子を見ながら入れます。翌日、水草から出る泡の量が少し増えているようなので効いているようですが同じ液肥を1cc/100Lで追加しました。カリ肥料は十分に足りているはずなので追加していません。窒素分を含む液肥を入れてからの3日目はハイグロの新芽の伸びる速さが速くなり、水草から出る泡の量が明らかに多くなっています。もう少し窒素分を含む肥料を追加できそうですがコケも出そうなのでこのままで様子を見ます。その翌日も水草からの泡は出ています。書き忘れていましたがアオコはずっと水面を覆ったままです。ハイグロの葉が下葉の大きさを上回る気配です。有機液肥のみで育てていた時より少ない量で効いているので炭酸カリウム効果だと思われます。

観察してみて分かったこと
・水草水槽に使うなら硫酸カリウムより効くのが早い炭酸カリウム。
・炭酸カリウムのみでは水草の成長は望めません。ベースになる肥料(窒素分を含んでいる肥料)に補助的に使うと効果的。
・炭酸カリウムを入れ続けても効果が見られない時はほかの養分(N,P)の不足が考えられます。

園芸用肥料(窒素分を含む)は水草水槽に使うと効く濃度だとコケも出るので、安心して使えるものが少なかったのですが、炭酸カリウムを併用することによって水草水槽でも使えそうです。窒素分を含む園芸用肥料は生体(特にエビ)に注意して使って下さい。園芸用肥料(液肥)は、大きい水槽の場合10倍希釈液、小さい水槽の場倍は50~100倍稀釈液にすると使いやすいでしょう。原液のままだと0.1ccの単位になるので正確に量れません。
ハイポネックス微粉の場合は100倍液で使います。これ以上濃くすると全量が溶けずに残留物が出ます。
カリ成分の比率を炭酸カリウムで自由に調節できるのでいろんな園芸用肥料が使えそうです。今まではカリが多く窒素が少なめの園芸用肥料を探していましたが液肥にはカリ分が多く含まれているものはほとんど無く、結局何とか使えるのはハイポネックス微粉のみでしたが炭酸カリウムとコンビで使うと微量要素が含まれているのがうたい文句の液肥なども選択肢に入ります(エビが死ななければ…の話ですが)まだいろんな液肥では試していませんが使えそうな気はします。
ちなみに今回使用した炭酸カリウムはこちらで購入しました。

カリ肥料第一弾は以上です。
引き続きカリ肥料は違うものを検証中ですので結果が分かればまた報告させていただきます。

続編はこちらです。


他にも 色々と肥料を試しています

肥料用土カテゴリからどうぞ。


いつも書いていることですが…試される場合には 必ずご自身の責任にてお願いいたします。


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5 コメント

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要因が複合的 (cheepappa)
2008-03-18 00:54:12
昨年秋から3ヶ月程使用していました。
0-0-50の園芸(じゃがいも)用肥料の硫酸カリ。
おっしゃる様に水に溶けにくくて1/50溶液にして使用していました。正直効果は、実感できませんでした。

今年からは窒素入りの底床肥料主体にしていますので、
液肥は水換えのときにハイポネックス微粉溶液を少々、
正直おまじないみたいな物です。

底床肥料主体にしてからはガラス面の苔があまり気にならなく・・・あッ、昨年末から石巻貝がはいりました。
要因が複合的で特定不可能です・・・
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硫と炭で大違い (mizuwarabi)
2008-03-18 08:53:41
cheepappaさん
だらだとした長文を読んで下さったんですね、ありがとうございます。
カリ肥料であればどれも同じと思っていました…炭酸カリウムを使うまでは。
窒素分が効いていれば炭酸カリウムを入れると効果はありますよ。炭酸カリウムは多めに入れてもコケは出にくいので限度がよく分かりませんが。
返信する
炭酸が効く? (ossyan)
2008-03-21 01:09:48
ネットで製品安全データシートを調べてみますと、炭酸カリウムは20℃100gの水に112g溶け、水溶液はアルカリ性を示す、一方硫酸カリウムは20℃100gの水に11g溶け、水溶液は中性とのことです。
こうしてみると、硫酸カリウムで液肥を作るのは不便かもしれませんね。

それにしても園芸肥料ではよく使われる硫酸カリウムが、なぜ効かないのか不思議ですね。アルカリ性の水溶液になる炭酸カリウムの方がpH的にはよくなさそう
なのに。

以下私の推測で理由を考えてみました。
炭酸カリウムは水をアルカリに傾けるので水草に悪そうですが、カリウム分を吸収されるとアルカリ性ではなくなりpHとしては悪さをしないのかもしれません。おまけに炭酸イオンもCO2添加と同じような効果が働いて水草に良かったりして。
一方硫酸カリウムの水溶液は中性ですが、カリウム分を吸収されると酸性に傾くようで、pHとして悪さをするのかもしれません。また硫酸イオン自体が水草に良
くないのかもしれません。
確かめたわけでもないのでいい加減なことを言ってるかも。

そういえば以前、ブライティK(炭酸カリウムが原料だといわれています)を添加したときでも、あまり効果が出なかったときがありました。今回の結果からすると、そのとき他の栄養素が足りなかったということですね。
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カリ (mizuwarabi)
2008-03-21 19:24:06
ossyanさん
いろいろと補足をありがとうございます。
肥料についてはまだまだ分からないことがいっぱいあるのですが今回の件でちょっとは前進したような気がします。
定期的に炭酸カリウムをちょこちょこっと入れてみようかな…という気にはなっています。
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注意 (sato)
2018-09-12 01:47:34
ご注意> 水溶液を作る際は、炭酸カリウムを容器に入れた後に、水を入れて下さい。 (※水が先に入っていると、溶解熱が一部に集中するため危険です。順序は必ずお守り下さい。)

だそうです。
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