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ビーシュリンプ水槽のプラナリア(プラナリアの駆除方法)

2007-06-24 23:05:05 | 小技&小物

数年前ビーシュリンプ繁殖用の水槽で見つけたのですが その時は「あっ!プラナリア」と思っただけでそれほど気にはしなかったのですがいつの間にか何度水槽を洗っても駆除することができないほどに増え今ではあちこちの水槽でひんぱんに見かけるようになりどんどん勢力を拡大しつつあります。天敵になる魚もいないようなので自然消滅を願っても無理なようです。気軽に水草を他の水槽に移すこともできません。このままでは全ての水槽がプラナリア水槽になりかねないのでいつものようにネットで検索してみると苦労されている方もおられるようでプラナリアの駆除に関する記事がたくさんでてきました。ハイターや木酢液が効きそうですが水にどれぐらいの量を入れると効果があるかなどの具体的な数値で書かれているサイトが少なかったので自分なりに「プラナリアの駆除」について検証してみることにしました。



プラナリアと言えばずいぶん昔、学生時代に再生の実験をするために清流のある山の方まで捕獲しに行った覚えがあります。きれいな水でないと飼えないとか水温が高いとダメとかと教わって結構神経を使って実験室で飼っていた覚えがあります。それでも上手に飼うことができませんでした。それに比べて今、うちの水槽にいるプラナリアは別物?と疑いたくなるぐらい繁殖しています。
生体に全く害がなければ多少は発生していても構わないのですが、プラナリアがいるビーシュリンプの水槽では稚エビの歩留まりが悪くなるので何か影響をしているように思えてなりません(単に稚エビの歩留まりが悪くなる環境がプラナリアに適している環境なのかも知れません)少なくともスポンジフィルターの中で大量繁殖されるとスポンジを握り洗いしてもうまく洗えずフィルターとしての性能も落ちるような気がします。 

結論から言うと 生体、水草、砂利、フィルターなどの水槽の環境をそのままにしてプラナリアのみを駆除する確実な方法は無く、できるだけ捕獲して数を減らしてそのままプラナリアを見ないふりをして水槽を維持するか 完全に駆除したいなら水槽をリセットするかのどちらかになります。

プラナリアの捕獲
ネットで調べてみると餃子やうなぎのたれなどのタレビンやペットボトルを加工してプラナリアを捕獲する方法がいろいろと紹介されています。簡単に説明すると小さな容器にプラナリアが通れる程度の穴をたくさんあけておいて中に入れたエサでプラナリアをおびき寄せて捕獲するという仕組みです。それらを参考にして手元にあったフィルムケースを使ってプラナリアのトラップを作ってみました。


先のとがったものでフィルムケースのそこらじゅうに穴を開けるだけです。蓋に回収用の糸を取り付けて完成です。蓋の穴は中の空気が抜けやすいように大き目にしておきます。使いかたは中におもりになるようなものと人工餌をほんの少し入れて蓋をして水槽に沈めます。



餌はたくさん入れすぎると腐ります。回収時に腐った水が水槽にだらだらとこぼれてえらいことになります。給餌のすぐあとにトラップを仕掛けても効果薄です。プラナリアは夜行性なので夜電気が消えている時の方が効果的ですがいつまでもトラップの中でじっとおとなしくはしていないので2~3時間後に回収するのが理想的です。プラナリアは暗いところと狭いところを好むようなので私はトラップにおもりとして大磯を半分ぐらいまで入れて使っています。フィルムケースは容器の口が広いので簡単に掃除ができるという利点もあります。この方法で何回かプラナリアを捕獲すると気にならないぐらいの数にはなりますが完全に駆除することはできません。

水槽のリセット
プラナリアを駆除するのに ホルマリン、塩、ハイター、木酢液、銅イオンなどを使う方法があるようです。

ホルマリンはいかにも効きそうですが入手が面倒なのとあのニオイと保管に気を使うので誰でも気軽に行える方法では無さそうなので今回は試していません。(学生時代は平気で雑に扱っていたんですけど…)
塩で駆除できれば安全で良いのですがかなりの濃度でないと効果が出ないので大きな水槽だと大量の塩を投入する必要がありあまり経済的ではないうえこぼすと錆の原因になります。ちなみにプラナリアを駆除するには2%(水10Lに塩200g)ほどの食塩水が必要になります。小さな水槽なら使える方法かも知れません。濃度によって駆除に多少時間がかかりますが匂いもしないし安全ですね。

ハイターは少量かつ短時間で確実に駆除できますが濾材や低床にソイルを使っている場合にはハイターが残留する可能性があるので駆除=完全なリセットになります。
いろんな方法を試してみて案外いけるやないの!と思ったのがこの方法です。ベアタンクにスポンジフィルターの組み合わせの水槽なら比較的短時間で処理を完了することができるのでてっとり早く確実に駆除したい時に有効な方法です。 ハイターは刺激臭があるのと慎重に取り扱う必要がありますがかなり薄い濃度で効果があるので気分的にはちょっと楽です。
どのくらいの濃度で効果があるのかというと…
0.02%(2%ではありません!)のハイター液に30分間浸けるだけで駆除することができます。約5分で動かなくなり15分で体の輪郭がぼやけて粘液(体液?)に包まれた状態になり、その後水に戻しても復活はしませんでした(翌日には腐敗臭がしはじめたので観察は打ち切りましたが状況から見て復活することは無いと思われます)
具体的にいうと10Lの水に対してハイターが2ccです。もうちょっとイメージしやすく表現するとコントラコロラインと同じ使用方法ですね。この程度の濃度だと部屋の中でもニオイは気にならない範囲だと思いますが念のため窓は開けて作業しましょう。
作業に使った水換え用ポンプ、ネット、スポンジ、プラケースなどはついでに処理中の水槽に放り込んでハイター漬けにしておかないと再セットしたときに同じ道具を使うとどこかにくっついていたプラナリアが水槽に戻ってまた復活してしまうかも知れません。作業時には使い捨ての手袋の使用をお勧めします。
ちなみに0.01%のハイター液で30分だと完全に駆除することはできませんでした。
できれば水槽に入っていた水草も使いたいですよね(基本的には廃棄処分ですが) ついでなので水草もいっしょに処理してみました。ミクロソリウムは耐えましたがウィローモスは処理後水槽に戻しても溶けるように枯れてしまいました。ハイター処理に耐えられる水草もあるようですが水草には次に述べる木酢液の方がダメージが少ないようなのでそちらでの処理をおすすめします。

木酢液については最初に理解しておいていただきたいことがあります。いろんな木酢液が売られていますが濃度や成分が全て同じでは無いように思われるので購入された木酢液で私と同じ方法で処理をして同じ結果が出るとは限りません。ご自身で検証してから処理を行って下さい。
私は近所のホームセンターの園芸用品売り場で特価で売られていた下の写真の1.5L入りの木酢液を買ってきました。ペットボトル入りの麦茶よりちょっと高い程度の値段でした。



この木酢液の場合1Lに20ccの濃度で10分で動かなくなり30分後に取り出して経過を見ましたが復活はしませんでした。ただ60cm規格水槽だとボトル1本近い量が必要になります。 水草については上記のハイター溶液よりこちらの方がダメージは少なそうです。

次は銅イオンを使う方法ですがネットで検索すると10円玉を数枚水槽に沈める方法が紹介されています。 これは表面積が多い方が有利では?と思い、電気のコードの被覆を剥いて適当に束ねてプラナリアが発生している水槽に入れたのですが(もちろん魚も入っていました)数日後 水槽に入っていた魚(アフリカンランプアイ)が水面近くをひどい酸欠状態のような泳ぎ方をしているのに気が付きました。慌てて救出したのですがすでに手遅れ状態でした。 銅を水槽に入れるだけでこんなことになるとは…もっと慎重にするべきだったと後悔! プラナリアと水草のみになった水槽を引き続き観察していると1週間ほどでプラナリアは見当たらなくなりましたがスポンジフィルターの中に残っているかも?と思いそのまま(銅線を入れたままで)数週間そのままにしていました。その後きれいに洗って再セットして(もちろん銅線は取り出してあります)水草を入れレッドラムズホーンを入れてみたのですが全く動き出すことなく死んでしまいました。1週間後に再度再セットしたのですがレッドラムズホーンが動き出しません。 銅線から出た成分が水槽に残留しているようです。
銅イオンでのプラナリア駆除は水槽の大きさ、銅の量、どれくらいの間水槽に入れておけばいいのかなど状況によって大きく違ってくるのであまりおすすめではありません。

上記で述べてある数値は自分なりに試してみて確実に効果があると思われる最小の数値です。量や時間を多くするとより確実に駆除できますが多ければ良いという訳でも無いと思います(水槽や器具を傷めることになるので)。
水槽に砂利が敷いてある場合は水槽に水を少し入れてその水槽の水量に見合った量のハイターや木酢液を入れます。この時点では水が少なめなので濃い目ですね。この濃い目の溶液のうちに砂利を確実に処理してしまいます。少し時間が経ってから水を足して水槽全体を処理します。水槽はハイターで処理をして水草は木酢液で処理をするという方法もあります。

最後に…いつもお約束のように書いていますが処理をされる場合には必ずご自身の責任でお願いします。

 

追記  関連記事 → プラナリアZERO


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16 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
素晴しい。 (coryvirus)
2007-06-26 00:29:06
こんばんわ。

素晴しいレポートをありがとうございます。
これだけ条件を振ったら、論文が書けそうですね。
我が家ではまだプラナリアの侵入はないですが、
いざってときに参考にさせて頂きます。

mizuwarabiさんは、化学出身ですか?それとも生物学ですか?
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理科系 (mizuwarabi)
2007-06-26 12:51:47
coryvirusさん
長ったらしい記事にお付き合いいただきありがとうございます。
もし水草水槽で大量繁殖したらリセットは大仕事です(考えたくない)1匹見つけたらかなりの数がいます。数年前までは私も他人事だったのですが…。

結果と考察をしっかり書くレポートっぽい書き方でバレてますね。生物系(農学部)です。でも全く関係ない業種に就職したので何の役にも立っていません。動植物の名前なども今ではすっかり忘れてしまっています。
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写真だけを見る限り (ossyan)
2007-06-29 00:51:19
ちょっと可愛い感じがしない訳でもありませんが、発生した場合は大変なことになりそうですね。
幸い、うちでは発生したことはありませんが、発生した際は今回の記事がとても参考になることでしょう。mizuwarabiさんのブログ(coryvirusさんも言われるようにもはやレポートですね)にはいつも感心させられます。

さてプラナリア退治ですが、mizuwarabiさんのおっしゃる通り、水槽はハイターで処理をして水草は木酢液で処理をするというのが、実用的な方法だと私も思います。

水槽リセット覚悟の場合、50℃ぐらいまでの温度で退治できるのなら温水作戦もあり得そうですけど、ガラス水槽の場合ヒートショックが怖いかも。

一方、水槽リセット無し退治はとても難しそうですね。プラナリアホイホイ作戦は良さそうですけど、根絶までは至らないようですし、銅イオン作戦はちょっと危険のようですし。

私もmizuwarabiさんを見習って考えましたが、プラナリアを食する生き物をプラナリアだけ通れる産卵箱にでも入れて食べてもらうマングース作戦とかプラナリアだけ病気なってもらうプラナリアインフルエンザ作戦、卵?を産まなくさせる明るい家族計画作戦、なんてのしか思いつきませんでした。
いつもくだらないコメントで汚してスイマセン。

いずれにしても、魚・エビにダメージを与えずプラナリアだけピンポイント攻撃するのは相当難しいと思いますが、また新たな対処法が見つかりましたら、第2報をお願いします。

coryvirusさんへのコメントにありましたが、mizuwarabiさんはアグリカルチャー系なんですね。(と言っても家畜から農業に有用な昆虫とか発酵などの微生物まで幅広そうですけど)。
今のお仕事は違っているようですが、植物や生き物に関する探求心がブログの文面から見受けられるのも納得しました。
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あまりにも数が… (mizuwarabi)
2007-06-29 18:20:02
ossyanさん
魚の飼育に影響が無くてそんなに増えないのなら放っておいても構わなかったのですが、スポンジフィルターの中にたくさんいるとフィルターとしての性能が落ちます(プラナリアの粘液が影響しているような気がします)消灯後数時間してから水槽を見た時のプラナリアのあまりにの多さにびっくりして今回の記事となりました。以前「ヒドラ」にも悩まされたことがあるので「藍藻」「プラナリア」と一通りえらい目にあっています。水槽の数が多いので「安全宣言」はまだまだ先の話になりそうです。
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プラナリア退治 (スズメダイ)
2008-06-30 11:27:50
私の場合は食塩の代わりにリン酸を使って一気にPHを酸性に傾けて滅殺しています^^
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リン酸 (mizuwarabi)
2008-06-30 19:36:11
スズメダイさん
リン酸でも退治できるんですか、知りませんでした。手元にあるのですが今はプラナリアがいないので検証できません。
食酢でも効果があるそうですよ。
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Unknown (aqua-com)
2008-11-06 22:05:00
こんにちは^^
家の水槽にもプラナリアらしきものがはっせいしました^^;
塩の除去方法って、水草とか生物とかは、入れッパでいいのでしょうか??
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塩での駆除 (mizuwarabi)
2008-11-07 08:56:56
aqua-comさん
塩の場合もプラナリアを駆除できる濃度だと生体や水草にも致命的なダメージがあります。
水槽環境そのままでプラナリアのみを確実に駆除する方法はなさそうです。
こまめにトラップで捕獲して増えるのを防ぐか、完全に駆除したければリセット&ハイター処理になります。
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木酢液 (HIDETOYO)
2009-05-26 14:24:39
こんにちは
木酢液はを投入するときは
海老などいれっぱなしでもいいのでしょうか?
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木酢液の場合も (mizuwarabi)
2009-05-26 18:09:12
HIDETOYOさん

記事のはじめのほうに書いていますが
残念ながら生体を入れたままでプラナリアのみを完全に駆除する方法は無いようです。
紹介した方法は全て生体は取り出してから処理してください。
木酢液もこの濃度だとエビなどにも致命的な濃度です。

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