有吉道夫九段が敗れて引退してしまいましたね。
有吉道夫九段が引退(日本将棋連盟)
プロ生活55年とは途轍もない数字で尊敬に値します。^-^
私達サラリーマンに置き換えた場合、中卒15歳で働いて定年60歳まで勤続しても
45年ですからね。^^;
20台前半の私には想像もつかない世界です。
本当にお疲れ様でした。^-^
さて、ゴキゲン中飛車関係の話題と言えば、王位戦挑決リーグの赤組で広瀬章人五段が優勝!
戸辺誠六段が白組のプレーオフに進出しました。^-^
どちらも私と同学年の棋士なのでうれしいばかりです。^^
戦形は共に先手中飛車で、高崎一生五段もゴキゲン中飛車vs▲3七銀急戦超速攻に勝っています。
6/1(火)はプレーオフが棋譜中継がされるようです。
最終戦の棋譜も観れるので、6/1(火)は以下の中継サイトを観て応援しましょう。^-^
王位戦中継
**********************************************************************
さて、前回に引き続き対丸山ワクチンです。
丸山ワクチンでは、テーマ図28が最も一般的な局面で、ここから後手は向かい飛車への転換や、
真部流と呼ばれる片銀冠を急ぐ指し方があります。
最近は、先手の研究も進み向かい飛車からの逆襲も上手く行かない事が増えています。
まずは、向かい飛車に対する先手の工夫を見て行きたいと思います。
テーマ図28からの指し手①
▲4八銀△7二玉▲4六歩△8二玉▲4七銀△7二銀▲6八玉△3三銀▲7九玉△2二飛
▲5八金右(第1図)
◇振り飛車の速攻策
まず、テーマ図28から5筋の交換を狙えたらいいのですが、▲6五角問題があるので
△7二玉と寄るまで5筋は突けません。
その間に▲4八銀~▲4六歩が間に合って、△5五歩には▲4七銀で受かってしまいます。
5五の地点には、将来△5五銀と出る含みを残したいので、△5五歩と突く事はオススメしません。
後手も△3三銀はすぐに上がる必要はなく、▲2四歩には△同歩▲同飛△3三角の反撃があるのです。
極端な話、先手が▲6六歩や▲7七桂で角筋を止めるまで上がらなくても良い訳です。
第1図までの進行は、今まで当然の様に指されて来たもので、今でも指されています。
最近先手にも新たな工夫がされているのですが、それは後ほど解説します。
向かい飛車に振った後の構想は、①逆棒銀と、②4四銀・3三桂型で△2五桂ポン
というパターンに分類されます。
まずは①逆棒銀を見て行きます。
第1図からの指し手①
△2四歩▲同歩△同銀▲7七角△3三角▲同角成△同桂▲3六歩△2五銀▲3五歩(第2図)
◇逆棒銀には▲3六歩~▲3五歩
逆棒銀が成功するのには条件があり、▲6六歩と突いている事です。
本譜のように▲7七角△3三角▲同角成が細かいポイントで、▲3六歩に△2五歩(A図)以外は
▲3五歩で桂頭を狙われて激しくなります。
しかし、これを打ってしまうと銀が重くなってしまうのが悩みの種で打ち辛いでしょう。
第2図からは、
①△2六銀は▲1五角!△2七銀不成▲3三角成△2六飛▲4八飛
△5二金左▲1五馬△2一飛▲2五歩(B図)
②△2六歩は▲3七桂△1六銀!▲同歩△2七歩成▲2九飛△2八と▲5九飛△1九と
▲3四歩△2八飛成▲3三歩成△5二金左▲4五桂(C図)
③△2七歩は▲同飛△2六銀▲2八飛△2七銀不成▲4八飛△3六銀成▲同銀△2九飛成
▲3四歩△2四桂▲4七角!△1九龍▲3三歩成△3六桂▲同角△5二金左▲5四角(D図)
が研究手順です。
どれも後手の反動がキツイと思います。
先手の研究が進んだ現在では、逆棒銀は条件が良くないと成立しにくい仕掛けだと思います。
次は②4四銀・3三桂型です。
第1図からの指し手②
△4四銀▲6六歩△3三桂▲7七銀△8四歩▲3六歩△7四歩▲5六角(途中図)△5二金左
▲3四角△2一飛▲7八角△6四角▲2六飛△7三桂▲1六歩△8三銀▲1五歩△7二金
▲1四歩△同歩▲1二歩△同香▲2四歩(第3図)
◇自陣角からの端攻めが脅威
この進行は、2010.2.18に行われた銀河戦▲豊島将之五段vs△北島忠雄六段のものです。
▲7七銀が好手で、自陣角から桂頭や端攻めを狙っているのです。
ここで慌ててすぐに△2五桂ポンは、▲4五歩△3三銀▲2五飛△2四歩▲2八飛△4二銀
▲3六銀(E図)で受かってしまいます。
細かいところですが、▲3六歩を保留してきたのがポイントで、▲4五歩に△5五角を消しています。
△2五桂ポンは2一飛・4二金型でないとまず不可能です。
ちなみに、△2五桂ポンの成否は変幻自在!! 窪田流3三角戦法が詳しく、
第1章のP10~62のほとんどがこの仕掛けについて述べられています。
本譜は、▲5六角の自陣角から3四歩を掠め取り、その一歩を利用して2筋を破っています。
実戦は、第3図から最後まで2筋は膠着状態のまま終局しましたが、先手が勝っています。
向かい飛車の攻防については、アマの知らない最新定跡が今のところ最も詳しい著書です。
興味のある方は参考にしてみて下さい。^-^
と言うわけで、後手の向かい飛車からの逆襲は難しくなっているのが現状です。
特に▲豊島将之五段vs△北島忠雄六段の進行は、我々アマチュアには後手を持って勝つのは
容易ではありません。
しかし、ゴキゲン側に万策が尽きている訳ではありません。
次に紹介する真部流は、シンプルでとても使いやすくバランスが良い。
私は真部流こそが丸山ワクチンに対する本筋だと考えています。
しかし、今回も書いていたら載せたい事が増えて長くなってしまいました。^^;
真部流の解説は次回に載せますので、ご期待下さい。^^
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私達サラリーマンに置き換えた場合、中卒15歳で働いて定年60歳まで勤続しても
45年ですからね。^^;
20台前半の私には想像もつかない世界です。
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さて、ゴキゲン中飛車関係の話題と言えば、王位戦挑決リーグの赤組で広瀬章人五段が優勝!
戸辺誠六段が白組のプレーオフに進出しました。^-^
どちらも私と同学年の棋士なのでうれしいばかりです。^^
戦形は共に先手中飛車で、高崎一生五段もゴキゲン中飛車vs▲3七銀急戦超速攻に勝っています。
6/1(火)はプレーオフが棋譜中継がされるようです。
最終戦の棋譜も観れるので、6/1(火)は以下の中継サイトを観て応援しましょう。^-^
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さて、前回に引き続き対丸山ワクチンです。
丸山ワクチンでは、テーマ図28が最も一般的な局面で、ここから後手は向かい飛車への転換や、
真部流と呼ばれる片銀冠を急ぐ指し方があります。
最近は、先手の研究も進み向かい飛車からの逆襲も上手く行かない事が増えています。
まずは、向かい飛車に対する先手の工夫を見て行きたいと思います。
テーマ図28からの指し手①
▲4八銀△7二玉▲4六歩△8二玉▲4七銀△7二銀▲6八玉△3三銀▲7九玉△2二飛
▲5八金右(第1図)
◇振り飛車の速攻策
まず、テーマ図28から5筋の交換を狙えたらいいのですが、▲6五角問題があるので
△7二玉と寄るまで5筋は突けません。
その間に▲4八銀~▲4六歩が間に合って、△5五歩には▲4七銀で受かってしまいます。
5五の地点には、将来△5五銀と出る含みを残したいので、△5五歩と突く事はオススメしません。
後手も△3三銀はすぐに上がる必要はなく、▲2四歩には△同歩▲同飛△3三角の反撃があるのです。
極端な話、先手が▲6六歩や▲7七桂で角筋を止めるまで上がらなくても良い訳です。
第1図までの進行は、今まで当然の様に指されて来たもので、今でも指されています。
最近先手にも新たな工夫がされているのですが、それは後ほど解説します。
向かい飛車に振った後の構想は、①逆棒銀と、②4四銀・3三桂型で△2五桂ポン
というパターンに分類されます。
まずは①逆棒銀を見て行きます。
第1図からの指し手①
△2四歩▲同歩△同銀▲7七角△3三角▲同角成△同桂▲3六歩△2五銀▲3五歩(第2図)
◇逆棒銀には▲3六歩~▲3五歩
逆棒銀が成功するのには条件があり、▲6六歩と突いている事です。
本譜のように▲7七角△3三角▲同角成が細かいポイントで、▲3六歩に△2五歩(A図)以外は
▲3五歩で桂頭を狙われて激しくなります。
しかし、これを打ってしまうと銀が重くなってしまうのが悩みの種で打ち辛いでしょう。
第2図からは、
①△2六銀は▲1五角!△2七銀不成▲3三角成△2六飛▲4八飛
△5二金左▲1五馬△2一飛▲2五歩(B図)
②△2六歩は▲3七桂△1六銀!▲同歩△2七歩成▲2九飛△2八と▲5九飛△1九と
▲3四歩△2八飛成▲3三歩成△5二金左▲4五桂(C図)
③△2七歩は▲同飛△2六銀▲2八飛△2七銀不成▲4八飛△3六銀成▲同銀△2九飛成
▲3四歩△2四桂▲4七角!△1九龍▲3三歩成△3六桂▲同角△5二金左▲5四角(D図)
が研究手順です。
どれも後手の反動がキツイと思います。
先手の研究が進んだ現在では、逆棒銀は条件が良くないと成立しにくい仕掛けだと思います。
次は②4四銀・3三桂型です。
第1図からの指し手②
△4四銀▲6六歩△3三桂▲7七銀△8四歩▲3六歩△7四歩▲5六角(途中図)△5二金左
▲3四角△2一飛▲7八角△6四角▲2六飛△7三桂▲1六歩△8三銀▲1五歩△7二金
▲1四歩△同歩▲1二歩△同香▲2四歩(第3図)
◇自陣角からの端攻めが脅威
この進行は、2010.2.18に行われた銀河戦▲豊島将之五段vs△北島忠雄六段のものです。
▲7七銀が好手で、自陣角から桂頭や端攻めを狙っているのです。
ここで慌ててすぐに△2五桂ポンは、▲4五歩△3三銀▲2五飛△2四歩▲2八飛△4二銀
▲3六銀(E図)で受かってしまいます。
細かいところですが、▲3六歩を保留してきたのがポイントで、▲4五歩に△5五角を消しています。
△2五桂ポンは2一飛・4二金型でないとまず不可能です。
ちなみに、△2五桂ポンの成否は変幻自在!! 窪田流3三角戦法が詳しく、
第1章のP10~62のほとんどがこの仕掛けについて述べられています。
本譜は、▲5六角の自陣角から3四歩を掠め取り、その一歩を利用して2筋を破っています。
実戦は、第3図から最後まで2筋は膠着状態のまま終局しましたが、先手が勝っています。
向かい飛車の攻防については、アマの知らない最新定跡が今のところ最も詳しい著書です。
興味のある方は参考にしてみて下さい。^-^
と言うわけで、後手の向かい飛車からの逆襲は難しくなっているのが現状です。
特に▲豊島将之五段vs△北島忠雄六段の進行は、我々アマチュアには後手を持って勝つのは
容易ではありません。
しかし、ゴキゲン側に万策が尽きている訳ではありません。
次に紹介する真部流は、シンプルでとても使いやすくバランスが良い。
私は真部流こそが丸山ワクチンに対する本筋だと考えています。
しかし、今回も書いていたら載せたい事が増えて長くなってしまいました。^^;
真部流の解説は次回に載せますので、ご期待下さい。^^
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本記事(丸山ワクチン【向かい飛車】)中の
第1図からの指し手①
△2四歩▲同歩△同銀▲7七角△3三角
というくだりですが▲7七角に対する応手は、実戦例だとすべて△5五角となっており
その先は居飛車がゴキゲンの棒銀の対応で指しにくいので
第1図までに▲5八金と形を決めるのは
居飛車の右銀の自由度を制限されて損かなぁ、とも思うのですが
△3三角と△5五角の優劣も含めいかがでしょうか。
的外れだったらすみません。
asaさん、はじめまして。^-^
コメントありがとうございます。^^
実戦例については手元の棋譜ではわからないのですが、
△5五角もありそうですね。
以下、▲5六銀△7七角成▲同桂△2五歩▲6五桂
△5二金右▲8六角△6四角▲7七角△3三銀
▲2七歩といった展開になりそうです。
本来▲5八金右では、▲5六銀が定跡だと思うのですが、
それだと△2四歩▲同歩△同銀▲7七角で△5五角は
打てないのですが、△3三角▲4五銀△7七角成
▲同桂△3三銀▲2三歩△5二飛で、別の将棋になります。
ここでは、第1図~第2図の桂頭を攻める対抗手段を
紹介する目的で▲5八金右としたのですが、
何気ない様で、結構な悪手でしたね。^^;
△5五角は有力だと思います。
ご指摘ありがとうございました。^-^
NHK講座4月号の中でも▲7七角で△3三桂を跳ねさせる筋があり、
△5五角でどうなるのかと思っていたのですが
▲5六銀の方面は考えたことなかったですね…
▲6五桂など非常に面白い進行で勉強になりました。
また棒銀に対し反発が難しく、丸山ワクチンは指しにくいと思っていましたが
御サイト中の先手から桂頭を突く筋や
第2図からの
①△2六銀は▲1五角!のくだりは強力で、ワクチンを指してみようと思わされました。
(対策の決定版を用意されてるようですが…w)
以下ご参考までに28手目△5五角の棋譜です。
高橋道雄vs杉本昌隆
ttp://wiki.optus.nu/shogi/index.php?cmd=kif&cmds=display&kid=62950
羽生善治vs森内俊之
ttp://wiki.optus.nu/shogi/index.php?cmd=kif&cmds=display&kid=63037
池田将之vs田中悠一(三段リーグ)
ttp://wiki.optus.nu/shogi/index.php?cmd=kif&cmds=display&kid=65522
屋敷伸之vs久保利明
ttp://wiki.optus.nu/shogi/index.php?cmd=kif&cmds=display&kid=64278
丸山ワクチンも、玉を固く囲いやすいという事で
大流行しましたが、後手も片銀冠が案外固い事がわかり、
今では指す人も減りましたね。
しかし、乱戦になり難い為、安定感は抜群だと思います。
棋譜ありがとうございました。
参考にさせて頂きます。^-^