ゴキゲン中飛車と超速の戦いが2009/12/25から始まり3年の歳月が過ぎた。
現在、振り飛車の有力手段として生き残っているのは以下の3通りと言える。
(1)美濃+△3二金型
(2)菅井流
(3)銀対抗
最近の動向を見ると関東と関西でどれが有力か見解が違うのかなと感じている。
(1)美濃+△3二金型
20120705中田久保
20120828高見遠山
20120901郷田久保
20121016中座西尾
20121101広瀬久保
20121126渡辺羽生
20121127屋敷広瀬
20130207郷田久保
20130209渡辺菅井
(2)菅井流
20120809島戸辺
20120910佐藤天彦佐藤康光
20120919森内佐藤康光
20121122羽生佐藤康光
20121214谷川佐藤康光
(3)銀対抗
20120603深浦戸辺(居飛車▲6六歩型)
20120607長沼広瀬(居飛車▲6六歩型)
20120619八代阪口(居飛車▲6六歩型)
20120619藤原横山(居飛車急戦対△7二銀)
20120717村中永瀬(居飛車急戦対金美濃)
20120730佐藤秀司佐藤和俊(居飛車急戦対金美濃)
20120807小林高崎(居飛車6筋位取り)
20120809中田広瀬(居飛車急戦対金美濃)
20120809木村鈴木(居飛車急戦対金美濃)
20120918田中横山(居飛車急戦対金美濃)
20120928長岡阪口(居飛車急戦対穴熊)
20121002富岡近藤(居飛車急戦対△7二銀)
20121002北島福崎(居飛車▲6六歩型)
20121007木村永瀬(居飛車急戦対金美濃)
20121012深浦羽生(居飛車阿部流端角)
20121018松尾久保(居飛車急戦対△7二銀)
20121101飯塚阿久津(居飛車角道オープン穴熊)
20121107田村戸辺(居飛車急戦対穴熊)
20121116屋敷佐々木(居飛車▲6六歩型)
20121204佐藤広瀬(居飛車阿部流端角)
20121217羽生広瀬(居飛車急戦対金美濃)
20121218永瀬阪口(居飛車▲6六歩型)
20121221佐藤秀司佐々木(居飛車急戦対金美濃)
20130115片上高崎(居飛車急戦対金美濃)
20130128谷川戸辺(居飛車急戦対金美濃)
(敬称略)
以上は手元の棋譜から2012年6月以降で抜粋した。
個人的に有力と感じていない(1)、(2)は
漏れがあるかもしれないがご了承頂きたい。
(1)美濃+△3二金型は久保利明九段の採用が目立つ。
菅井竜也五段も昨日の朝日杯決勝で採用した様に、
久保菅井の関西ラインで研究が進められているのかもしれない。
ただし、結果は連敗中で芳しくない。
(2)菅井流は佐藤康光王将の孤軍奮闘状態だ。
一時は銀対抗の採用が多かったのだが、
独自性を求めて菅井流を指しているのかもしれない。
しかし、昨年12月を最後に指されていない様だ。
(3)銀対抗は優秀性が認められて
採用が多くなっているのが一目瞭然。
関西でも阪口悟五段が持久戦において独自の
阪口流を用いて星を稼いでいるが、
関東の棋士が多く採用しているのがわかる。
この流れを見ると、久保、菅井両氏が別の振り飛車に活路を見出し、
公式戦ではほとんど銀対抗になる可能性もある様に感じている。
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さて、今回は以前にゴキゲン中飛車対超速【△4四銀型:現代の定跡へリンクする新構想】で紹介した
振り飛車の超急戦について考えて行きたい。
初手からの指し手
▲2六歩 △3四歩 ▲2五歩 △3三角 ▲7六歩 △4二銀
▲4八銀 △5四歩 ▲6八玉 △5五歩 ▲3六歩 △5二飛
▲3七銀 △5三銀 ▲4六銀 △4四銀 ▲7八玉 △6二玉
▲5八金右△7二銀(第1図)
前述の記事でも述べたが、銀対抗への居飛車作戦は以下の3つ。
(1)▲6八銀~▲7七銀の急戦。
(2)▲6六歩~▲6七金とする穴熊や左美濃を主体とする持久戦。
(3)▲7七角~▲6八金寄とする角道を通したままの穴熊。
第1図の△7二銀がゴキ研流。
(1)の急戦には右銀を繰り出して戦うのが有力と認識している。
(第1図から▲6八銀△6四歩▲7七銀△6三銀で参考1図)
この戦いのポイントは居飛車が▲3八飛で来るか▲3七桂で来るかを見極めるのが重要。
早めに△5四銀と出ると▲3八飛と寄られた時に困る。
右銀を保留しておけば、参考1図から▲6六銀△7二玉▲3八飛△5一金左▲3五歩△同歩▲同銀
△6五歩▲7七銀△3五銀▲同飛△5六歩(A図)で捌けるのだ。
途中の△6五歩は戸辺誠六段に教わった時に感想戦で指摘して頂いた手で大変参考になった。
また、▲3七桂なら△5四銀と繰り出して居飛車の仕掛けをシャットアウトできる。
(3)の角道を閉じない持久戦は、△7一玉~△9四歩~△9五歩で十分。
▲5八飛と回って仕掛けを封じる作戦が登場したが、
2012/11/01▲飯塚△阿久津戦が参考になる。
この作戦に対しては振り飛車がそう悪くない。
そして、(2)▲6六歩に対する超急戦がこの作戦の主眼。
この作戦が有力であれば銀対抗の可能性が広がる。
居飛車党の棋士に寄って集って研究されているゴキゲン中飛車にとって、
これが有力であれば最低限狭さから脱却できる。
上手く行けば▲6六歩からの持久戦を滅ぼす可能性もある。
果たして、この作戦は桶狭間の戦いにおいて今川勢の大群(居飛車党)を相手に
奇襲を掛けて今川義元(超速)を討ち果たした織田信長になれるか。
第1図からの指し手
▲6六歩 △5六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲5五歩 △同 銀(第2図)
▲6六歩の小休止には直ちに△5六歩と攻めかかる。
▲5五歩で退路は断たれるが構わず△5五同銀と攻めを継続する。
さて、ここで本題に入る前に例の如く脱線しようと思う。
第2図からの指し手(1)
▲4五銀 △6六飛 ▲3四銀 △7六飛 ▲6七玉 △6六飛
▲7八玉 △2二角 ▲2四歩 △7六飛 ▲7七歩 △3六飛
▲2三歩成△4四角(第3図)
▲4五銀の変化球も案外厄介。
飛車を取られる訳にはいかない△6六飛も
次に△7六飛~△7四飛で銀の立ち往生を狙っている。
ここで▲6六同角△同銀は銀と玉の位置関係が悪く
角で両取りが掛かるラインに入りやはり銀が立ち往生する。
従って、▲3四銀は必然。
ここで△7六飛に▲6七玉が強い受けで、△6六飛に再度▲7八玉と戻って
連続王手の千日手反則を狙っている。
▲6八玉と避ける手もあるが、先手を取れないので厳しさに欠ける。
△2二角▲2四歩△6六銀▲6七歩△5五角▲1八飛△5七歩▲5九金引
△7四飛▲6六角△同 角▲同 歩△3四飛(B図)で捌けている振り飛車が面白い。
また、▲7七歩も消極的で△3六飛▲3三銀成△3九飛成▲2六飛△3三桂(C図)で十分。
本譜△2二角は手を稼ぐ手筋で、▲2三銀成は△4四角で二の矢が無い。
しかし、▲2三銀不成は一考の余地があり、△4四角▲3四銀成△2二角
▲2四歩△7六飛▲7七歩△3六飛▲2三歩成(D図)と、
本譜とした手順と同様に進めると△4四角と出れない。
ここは、▲2三銀不成△4四角▲3四銀成△2七歩(*)▲同飛△7六飛▲7七歩
△3六飛▲4四成銀△3八飛成▲5三角△5一玉▲3七飛△2九龍▲4三成銀
△6六桂(E図)で怖いながらも振り飛車が良いだろう。
以下、▲6八玉△5八桂成▲同金△5七歩▲4二成銀△同金▲3一飛成△4一歩
▲4二角成△6二玉(F図)で逃れ。
あとは、▲5四桂△7一玉▲5三馬△8二玉▲5七金△5六歩(G図)の要領で良い。
蛇足だが、(*)のところで▲4四成銀は△2八歩成▲6六角△同銀
▲5三角△5一玉(H図)で攻めが息切れしている。
よって、本譜は▲2四歩としたが、途中の△7六飛に▲6七玉は
△3六飛で玉が露出して振り飛車にはありがたい。
▲2三歩成に△4四角と逃がして第3図。
第3図からの指し手
▲4三銀成△2七歩 ▲同 飛 △3八飛成▲2四飛 △3五角
▲2五飛 △6四銀 ▲3五飛 △同 龍 ▲4四角 △同 龍
▲同成銀 △7一玉(第4図)
さて、前譜▲2三歩成のところで△2七歩とした場合はどうなっただろうか。
▲同 飛△3八飛成▲2四飛△4四角として、▲4三銀成なら△3五角で本譜に合流するが、
ここは飛車で銀に紐が付いているので▲4三銀成とはしてくれないだろう。
第3図の局面は銀に当たっているので▲4三銀成が必然となっているのをご確認頂きたい。
ここで△2七歩と細かい利かしを入れて飛車を八段目に成る。
こうする事で▲2四飛△3五角とした時に△5七角成の狙いが残るのだ。
なお、単に▲2五飛なら角が出れない様だが△3四龍で龍と成銀に当たるので失敗する。
さて、▲2四飛△3五角▲2五飛の局面は、▲3五飛から王手龍が掛かるので注意が必要。
ここは△6四銀の活用で▲5三角を防いでおく。
以下、第4図の△7一玉がとても重要な一手。
これが入っているのといないのでは天地の差で、例えば△3九飛では▲2二飛(王手)
△5二金左▲5三歩△同銀▲同成銀△同玉▲2一飛成(I図)で玉を露出させながら
好調な攻めが続いてしまう。
第4図を見てもらえばわかる様に、王手でなければ▲2二飛は△3一金で飛車が憤死する。
よって、▲2二歩の様な攻めなら△3九飛▲2一歩成△2九飛成▲6七歩△5七歩▲6八金寄
△5六桂▲5七金△4八桂成▲5三桂△同銀▲同成銀△5六歩(J図)が一例で振り飛車勝ち。
J図は金が逃げると△6九龍から詰むのだ。
以上により、▲4五銀の変化球は振り飛車が指せると私は考える。
第2図からの指し手(2)
▲6七金 △6六飛 ▲同 金 △同 銀(第5図)
▲6七金で飛車は詰んだ。
しかし、△6六飛が強い手で▲5五銀なら△同 角▲4六銀△6七飛成▲同 玉△8八角成に、
(1)▲8八同銀△4九角(K図)
(2)▲8八同飛△4九角(L図)
いずれも居飛車が困っている。
K図は5八に合駒をしても△2七銀で飛車を召し取れるので不安定な居飛車陣は崩壊するし、
L図も角を合駒に使うと振り飛車陣が安泰になるので△2七角成くらいで十分となる。
本譜は第5図の局面が詰めろ。
飛車金交換ながら居飛車は歩切れで指し手を
(1)▲6八金(テーマ図1)
(2)▲6八銀(テーマ図2)
(3)▲6八飛(テーマ図3)
以上の3通りに限定しているので、ここを起点に研究がしやすい意味がある。
今回はテーマ図1について考えてみたい。
テーマ図1からの指し手(1)
△5六歩 ▲5四飛 △5七歩成▲同 銀 △5三歩(第6図)
ここで一度、△7二銀型について要点をまとめておきたい。
△7二銀型は従来の定跡で生じていた▲5三飛を消している反面、
新たに角のラインという弱点が生じている。
つまり、角交換になったら△7一玉と入らない限り
常に▲2六角を心配する必要がある点は心に留めておいて頂きたい。
さて、△5六歩の垂らしに飛車の縦利きで攻防に利かす▲5四飛を考える。
一見困った様だが、△5七歩成の成り捨てから△5三歩とバックさせる手筋で受ける。
これは前述の角のラインを未然に防ぎ一石二鳥の好手だ。
第6図からの指し手
▲5六飛 △5七銀成▲同 飛△8八角成▲同 銀 △3九角
▲5八飛引△4九銀(第7図)
第6図では▲3四飛も見えるが△5七銀成が当然ながら厳しい一手。
▲5七同金は△8八角成がどちらで取っても王手飛車。
しかし、▲3三飛成も一度王手で△6八成銀とボロッと金を一枚取られてしまう。
いずれの変化も鉄壁の振り飛車が優勢である。
よって、▲5六飛だが△5七銀成が次に王手になるので取る一手に限定している。
ここで▲5七同金には△8八角成▲同玉(銀では王手飛車)△4五銀▲6六飛△5五角
▲3七角△同角成▲同 桂△5五角▲2六角△3五歩▲7七桂△3六銀▲6五飛△3七銀不成
▲5五飛△2八銀成(M図)で振り飛車が指せる。
以下、▲5四歩△同歩▲3五飛には△4四金と先手を取れば▲3二角の様な強襲もない。
以上により、▲5四飛と打つ変化は振り飛車が良いと考える。
テーマ図1からの指し手(2)
△5六歩 ▲6五飛 △5七銀成▲同 銀 △8八角成▲同 銀
△3九角 ▲3八飛 △5七角成▲同 金 △同歩成 ▲7九銀
△5四金(第8図)
次に、△5六歩に▲6五飛と銀に当てつつ自陣の受けに利かせる手を考える。
ここは一度△5七銀成と成り捨て、角交換から△3九角~△5七角成と攻める。
途中、△3九角のタイミングで▲2六角を利かせるのは、
△3五歩▲3八飛△5七角成▲同 金△同歩成(N図)で
次に△2七金も見えて▲7九銀とやり辛い。
△5四金と飛車を追った第8図。
この手で▲2六角の脅威が軽減して自陣が一気に引き締まる。
金駒6枚を占有して優勢は間違いないのであと一息だ。
第8図からの指し手(1)
▲6九飛 △5八金 ▲3九飛寄△4七と ▲2六角 △4四歩
▲2八飛 △4八銀 ▲同 角 △同 金 ▲6九飛 △5八金
▲6七飛 △5六角 ▲6八銀打△5七と ▲7七角 △6八金
▲同 銀 △6七角成▲同 銀 △6九銀 (第9図)
▲6九飛には露骨に飛車を取りに行く手が厳しい。
重たい攻めとは反面確実でもある。
途中、気を付けるべきは▲2六角のラインで、△4七となら角のラインに入らない。
飛車を自陣に引き付けるのは居飛車にとって危険である事が分かった。
次は横に逃がす手を考える。
第8図からの指し手(2)
▲8五飛 △6七銀 ▲8八玉 △6八と ▲同 飛 △同銀不成
▲同 銀 △2八飛 ▲7七角 △6七金 ▲8六角打△7七金
▲同 角 △6六角 ▲7八金 △7七角成▲同 銀 △2九飛成(第10図)
▲8五飛には一度△6七銀で応手を伺う。
△6七銀に▲7七玉は、△8四金▲8六飛△9五金▲8八玉△8六金▲同 歩
△2七飛(O図)が次に△2九飛成と△4七飛成を見て厳しい。
よって、▲8八玉だが△6八とと追撃の手を緩めない。
▲6八同銀はもちろん△7八金なので▲6八同飛しかない為、と金と銀の犠牲で飛車を入手できる。
続く△2八飛から攻め立てて第10図は一方的な攻めが見込める振り飛車が優勢だ。
香車を入手すれば、△8四香▲7五飛△7四歩▲同飛△6四金の様な手も狙える。
今回の研究は以上とする。
△7二玉型では最も脅威となっていた▲6八金が、ゴキ研流△7二銀型では戦える事が分かった。
テーマ図2と3については次の機会に考えて行きたいと思う。
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現在、振り飛車の有力手段として生き残っているのは以下の3通りと言える。
(1)美濃+△3二金型
(2)菅井流
(3)銀対抗
最近の動向を見ると関東と関西でどれが有力か見解が違うのかなと感じている。
(1)美濃+△3二金型
20120705中田久保
20120828高見遠山
20120901郷田久保
20121016中座西尾
20121101広瀬久保
20121126渡辺羽生
20121127屋敷広瀬
20130207郷田久保
20130209渡辺菅井
(2)菅井流
20120809島戸辺
20120910佐藤天彦佐藤康光
20120919森内佐藤康光
20121122羽生佐藤康光
20121214谷川佐藤康光
(3)銀対抗
20120603深浦戸辺(居飛車▲6六歩型)
20120607長沼広瀬(居飛車▲6六歩型)
20120619八代阪口(居飛車▲6六歩型)
20120619藤原横山(居飛車急戦対△7二銀)
20120717村中永瀬(居飛車急戦対金美濃)
20120730佐藤秀司佐藤和俊(居飛車急戦対金美濃)
20120807小林高崎(居飛車6筋位取り)
20120809中田広瀬(居飛車急戦対金美濃)
20120809木村鈴木(居飛車急戦対金美濃)
20120918田中横山(居飛車急戦対金美濃)
20120928長岡阪口(居飛車急戦対穴熊)
20121002富岡近藤(居飛車急戦対△7二銀)
20121002北島福崎(居飛車▲6六歩型)
20121007木村永瀬(居飛車急戦対金美濃)
20121012深浦羽生(居飛車阿部流端角)
20121018松尾久保(居飛車急戦対△7二銀)
20121101飯塚阿久津(居飛車角道オープン穴熊)
20121107田村戸辺(居飛車急戦対穴熊)
20121116屋敷佐々木(居飛車▲6六歩型)
20121204佐藤広瀬(居飛車阿部流端角)
20121217羽生広瀬(居飛車急戦対金美濃)
20121218永瀬阪口(居飛車▲6六歩型)
20121221佐藤秀司佐々木(居飛車急戦対金美濃)
20130115片上高崎(居飛車急戦対金美濃)
20130128谷川戸辺(居飛車急戦対金美濃)
(敬称略)
以上は手元の棋譜から2012年6月以降で抜粋した。
個人的に有力と感じていない(1)、(2)は
漏れがあるかもしれないがご了承頂きたい。
(1)美濃+△3二金型は久保利明九段の採用が目立つ。
菅井竜也五段も昨日の朝日杯決勝で採用した様に、
久保菅井の関西ラインで研究が進められているのかもしれない。
ただし、結果は連敗中で芳しくない。
(2)菅井流は佐藤康光王将の孤軍奮闘状態だ。
一時は銀対抗の採用が多かったのだが、
独自性を求めて菅井流を指しているのかもしれない。
しかし、昨年12月を最後に指されていない様だ。
(3)銀対抗は優秀性が認められて
採用が多くなっているのが一目瞭然。
関西でも阪口悟五段が持久戦において独自の
阪口流を用いて星を稼いでいるが、
関東の棋士が多く採用しているのがわかる。
この流れを見ると、久保、菅井両氏が別の振り飛車に活路を見出し、
公式戦ではほとんど銀対抗になる可能性もある様に感じている。
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さて、今回は以前にゴキゲン中飛車対超速【△4四銀型:現代の定跡へリンクする新構想】で紹介した
振り飛車の超急戦について考えて行きたい。
初手からの指し手
▲2六歩 △3四歩 ▲2五歩 △3三角 ▲7六歩 △4二銀
▲4八銀 △5四歩 ▲6八玉 △5五歩 ▲3六歩 △5二飛
▲3七銀 △5三銀 ▲4六銀 △4四銀 ▲7八玉 △6二玉
▲5八金右△7二銀(第1図)
前述の記事でも述べたが、銀対抗への居飛車作戦は以下の3つ。
(1)▲6八銀~▲7七銀の急戦。
(2)▲6六歩~▲6七金とする穴熊や左美濃を主体とする持久戦。
(3)▲7七角~▲6八金寄とする角道を通したままの穴熊。
第1図の△7二銀がゴキ研流。
(1)の急戦には右銀を繰り出して戦うのが有力と認識している。
(第1図から▲6八銀△6四歩▲7七銀△6三銀で参考1図)
この戦いのポイントは居飛車が▲3八飛で来るか▲3七桂で来るかを見極めるのが重要。
早めに△5四銀と出ると▲3八飛と寄られた時に困る。
右銀を保留しておけば、参考1図から▲6六銀△7二玉▲3八飛△5一金左▲3五歩△同歩▲同銀
△6五歩▲7七銀△3五銀▲同飛△5六歩(A図)で捌けるのだ。
途中の△6五歩は戸辺誠六段に教わった時に感想戦で指摘して頂いた手で大変参考になった。
また、▲3七桂なら△5四銀と繰り出して居飛車の仕掛けをシャットアウトできる。
(3)の角道を閉じない持久戦は、△7一玉~△9四歩~△9五歩で十分。
▲5八飛と回って仕掛けを封じる作戦が登場したが、
2012/11/01▲飯塚△阿久津戦が参考になる。
この作戦に対しては振り飛車がそう悪くない。
そして、(2)▲6六歩に対する超急戦がこの作戦の主眼。
この作戦が有力であれば銀対抗の可能性が広がる。
居飛車党の棋士に寄って集って研究されているゴキゲン中飛車にとって、
これが有力であれば最低限狭さから脱却できる。
上手く行けば▲6六歩からの持久戦を滅ぼす可能性もある。
果たして、この作戦は桶狭間の戦いにおいて今川勢の大群(居飛車党)を相手に
奇襲を掛けて今川義元(超速)を討ち果たした織田信長になれるか。
第1図からの指し手
▲6六歩 △5六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲5五歩 △同 銀(第2図)
▲6六歩の小休止には直ちに△5六歩と攻めかかる。
▲5五歩で退路は断たれるが構わず△5五同銀と攻めを継続する。
さて、ここで本題に入る前に例の如く脱線しようと思う。
第2図からの指し手(1)
▲4五銀 △6六飛 ▲3四銀 △7六飛 ▲6七玉 △6六飛
▲7八玉 △2二角 ▲2四歩 △7六飛 ▲7七歩 △3六飛
▲2三歩成△4四角(第3図)
▲4五銀の変化球も案外厄介。
飛車を取られる訳にはいかない△6六飛も
次に△7六飛~△7四飛で銀の立ち往生を狙っている。
ここで▲6六同角△同銀は銀と玉の位置関係が悪く
角で両取りが掛かるラインに入りやはり銀が立ち往生する。
従って、▲3四銀は必然。
ここで△7六飛に▲6七玉が強い受けで、△6六飛に再度▲7八玉と戻って
連続王手の千日手反則を狙っている。
▲6八玉と避ける手もあるが、先手を取れないので厳しさに欠ける。
△2二角▲2四歩△6六銀▲6七歩△5五角▲1八飛△5七歩▲5九金引
△7四飛▲6六角△同 角▲同 歩△3四飛(B図)で捌けている振り飛車が面白い。
また、▲7七歩も消極的で△3六飛▲3三銀成△3九飛成▲2六飛△3三桂(C図)で十分。
本譜△2二角は手を稼ぐ手筋で、▲2三銀成は△4四角で二の矢が無い。
しかし、▲2三銀不成は一考の余地があり、△4四角▲3四銀成△2二角
▲2四歩△7六飛▲7七歩△3六飛▲2三歩成(D図)と、
本譜とした手順と同様に進めると△4四角と出れない。
ここは、▲2三銀不成△4四角▲3四銀成△2七歩(*)▲同飛△7六飛▲7七歩
△3六飛▲4四成銀△3八飛成▲5三角△5一玉▲3七飛△2九龍▲4三成銀
△6六桂(E図)で怖いながらも振り飛車が良いだろう。
以下、▲6八玉△5八桂成▲同金△5七歩▲4二成銀△同金▲3一飛成△4一歩
▲4二角成△6二玉(F図)で逃れ。
あとは、▲5四桂△7一玉▲5三馬△8二玉▲5七金△5六歩(G図)の要領で良い。
蛇足だが、(*)のところで▲4四成銀は△2八歩成▲6六角△同銀
▲5三角△5一玉(H図)で攻めが息切れしている。
よって、本譜は▲2四歩としたが、途中の△7六飛に▲6七玉は
△3六飛で玉が露出して振り飛車にはありがたい。
▲2三歩成に△4四角と逃がして第3図。
第3図からの指し手
▲4三銀成△2七歩 ▲同 飛 △3八飛成▲2四飛 △3五角
▲2五飛 △6四銀 ▲3五飛 △同 龍 ▲4四角 △同 龍
▲同成銀 △7一玉(第4図)
さて、前譜▲2三歩成のところで△2七歩とした場合はどうなっただろうか。
▲同 飛△3八飛成▲2四飛△4四角として、▲4三銀成なら△3五角で本譜に合流するが、
ここは飛車で銀に紐が付いているので▲4三銀成とはしてくれないだろう。
第3図の局面は銀に当たっているので▲4三銀成が必然となっているのをご確認頂きたい。
ここで△2七歩と細かい利かしを入れて飛車を八段目に成る。
こうする事で▲2四飛△3五角とした時に△5七角成の狙いが残るのだ。
なお、単に▲2五飛なら角が出れない様だが△3四龍で龍と成銀に当たるので失敗する。
さて、▲2四飛△3五角▲2五飛の局面は、▲3五飛から王手龍が掛かるので注意が必要。
ここは△6四銀の活用で▲5三角を防いでおく。
以下、第4図の△7一玉がとても重要な一手。
これが入っているのといないのでは天地の差で、例えば△3九飛では▲2二飛(王手)
△5二金左▲5三歩△同銀▲同成銀△同玉▲2一飛成(I図)で玉を露出させながら
好調な攻めが続いてしまう。
第4図を見てもらえばわかる様に、王手でなければ▲2二飛は△3一金で飛車が憤死する。
よって、▲2二歩の様な攻めなら△3九飛▲2一歩成△2九飛成▲6七歩△5七歩▲6八金寄
△5六桂▲5七金△4八桂成▲5三桂△同銀▲同成銀△5六歩(J図)が一例で振り飛車勝ち。
J図は金が逃げると△6九龍から詰むのだ。
以上により、▲4五銀の変化球は振り飛車が指せると私は考える。
第2図からの指し手(2)
▲6七金 △6六飛 ▲同 金 △同 銀(第5図)
▲6七金で飛車は詰んだ。
しかし、△6六飛が強い手で▲5五銀なら△同 角▲4六銀△6七飛成▲同 玉△8八角成に、
(1)▲8八同銀△4九角(K図)
(2)▲8八同飛△4九角(L図)
いずれも居飛車が困っている。
K図は5八に合駒をしても△2七銀で飛車を召し取れるので不安定な居飛車陣は崩壊するし、
L図も角を合駒に使うと振り飛車陣が安泰になるので△2七角成くらいで十分となる。
本譜は第5図の局面が詰めろ。
飛車金交換ながら居飛車は歩切れで指し手を
(1)▲6八金(テーマ図1)
(2)▲6八銀(テーマ図2)
(3)▲6八飛(テーマ図3)
以上の3通りに限定しているので、ここを起点に研究がしやすい意味がある。
今回はテーマ図1について考えてみたい。
テーマ図1からの指し手(1)
△5六歩 ▲5四飛 △5七歩成▲同 銀 △5三歩(第6図)
ここで一度、△7二銀型について要点をまとめておきたい。
△7二銀型は従来の定跡で生じていた▲5三飛を消している反面、
新たに角のラインという弱点が生じている。
つまり、角交換になったら△7一玉と入らない限り
常に▲2六角を心配する必要がある点は心に留めておいて頂きたい。
さて、△5六歩の垂らしに飛車の縦利きで攻防に利かす▲5四飛を考える。
一見困った様だが、△5七歩成の成り捨てから△5三歩とバックさせる手筋で受ける。
これは前述の角のラインを未然に防ぎ一石二鳥の好手だ。
第6図からの指し手
▲5六飛 △5七銀成▲同 飛△8八角成▲同 銀 △3九角
▲5八飛引△4九銀(第7図)
第6図では▲3四飛も見えるが△5七銀成が当然ながら厳しい一手。
▲5七同金は△8八角成がどちらで取っても王手飛車。
しかし、▲3三飛成も一度王手で△6八成銀とボロッと金を一枚取られてしまう。
いずれの変化も鉄壁の振り飛車が優勢である。
よって、▲5六飛だが△5七銀成が次に王手になるので取る一手に限定している。
ここで▲5七同金には△8八角成▲同玉(銀では王手飛車)△4五銀▲6六飛△5五角
▲3七角△同角成▲同 桂△5五角▲2六角△3五歩▲7七桂△3六銀▲6五飛△3七銀不成
▲5五飛△2八銀成(M図)で振り飛車が指せる。
以下、▲5四歩△同歩▲3五飛には△4四金と先手を取れば▲3二角の様な強襲もない。
以上により、▲5四飛と打つ変化は振り飛車が良いと考える。
テーマ図1からの指し手(2)
△5六歩 ▲6五飛 △5七銀成▲同 銀 △8八角成▲同 銀
△3九角 ▲3八飛 △5七角成▲同 金 △同歩成 ▲7九銀
△5四金(第8図)
次に、△5六歩に▲6五飛と銀に当てつつ自陣の受けに利かせる手を考える。
ここは一度△5七銀成と成り捨て、角交換から△3九角~△5七角成と攻める。
途中、△3九角のタイミングで▲2六角を利かせるのは、
△3五歩▲3八飛△5七角成▲同 金△同歩成(N図)で
次に△2七金も見えて▲7九銀とやり辛い。
△5四金と飛車を追った第8図。
この手で▲2六角の脅威が軽減して自陣が一気に引き締まる。
金駒6枚を占有して優勢は間違いないのであと一息だ。
第8図からの指し手(1)
▲6九飛 △5八金 ▲3九飛寄△4七と ▲2六角 △4四歩
▲2八飛 △4八銀 ▲同 角 △同 金 ▲6九飛 △5八金
▲6七飛 △5六角 ▲6八銀打△5七と ▲7七角 △6八金
▲同 銀 △6七角成▲同 銀 △6九銀 (第9図)
▲6九飛には露骨に飛車を取りに行く手が厳しい。
重たい攻めとは反面確実でもある。
途中、気を付けるべきは▲2六角のラインで、△4七となら角のラインに入らない。
飛車を自陣に引き付けるのは居飛車にとって危険である事が分かった。
次は横に逃がす手を考える。
第8図からの指し手(2)
▲8五飛 △6七銀 ▲8八玉 △6八と ▲同 飛 △同銀不成
▲同 銀 △2八飛 ▲7七角 △6七金 ▲8六角打△7七金
▲同 角 △6六角 ▲7八金 △7七角成▲同 銀 △2九飛成(第10図)
▲8五飛には一度△6七銀で応手を伺う。
△6七銀に▲7七玉は、△8四金▲8六飛△9五金▲8八玉△8六金▲同 歩
△2七飛(O図)が次に△2九飛成と△4七飛成を見て厳しい。
よって、▲8八玉だが△6八とと追撃の手を緩めない。
▲6八同銀はもちろん△7八金なので▲6八同飛しかない為、と金と銀の犠牲で飛車を入手できる。
続く△2八飛から攻め立てて第10図は一方的な攻めが見込める振り飛車が優勢だ。
香車を入手すれば、△8四香▲7五飛△7四歩▲同飛△6四金の様な手も狙える。
今回の研究は以上とする。
△7二玉型では最も脅威となっていた▲6八金が、ゴキ研流△7二銀型では戦える事が分かった。
テーマ図2と3については次の機会に考えて行きたいと思う。
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しかし、第7図以下について、
実戦でいまいちうまくいかないのです。
4九の銀がちょっと・・・・・・
ということで、それ以降の手順を教えてください
解説が雑で申し訳ございません。
第7図の△4九銀に居飛車は指すとすれば▲2二角くらいでしょう。
以下、△5八銀成▲同飛△4九飛▲3八銀△4八飛成▲同飛△同角成▲4九銀打△3九馬で次に△2八飛を狙ってどうでしょう。
そこでは▲67金68銀型で受け止めた後に穴熊に組み替えて先手作戦勝ちみたいに書かれていましたがゴキ研さんはどうお考えですか?
菅井ノートの変化は△5一飛が書籍用に用意した緩手でしょう。
△3二飛や△2二飛から早い動きで穴熊に組ませない構想を考えたいところです。
毎回楽しく読ませていただいてます。
ゴギゲン党というサイトでも質問したことですが、本家のmus-musculusさんにも質問したくてコメントさせていただきます。
テーマ1図から
△5六歩 ▲2四歩 △5七歩成 ▲同銀(同金もありそう) △同銀成 ▲同金
と進んだ場合、△3九角は ▲5八飛 △4九銀 ▲2六角 で後手不満なため、
△7一玉といったん自陣整備をするのが最善かと思います。
ここから①▲6八銀 ②▲4六銀 に分かれると思いますが、
①から △6九銀 ▲同玉 △5五角②から △5六歩 ▲同金 △4九角 ▲6七歩 △3八金 のような展開が予想されますが、
mus-musculusさんはテーマ1図から派生する▲2四歩の仕掛けにどのように対処すべきと考えているのか教えていただきたいです。
また、いずれ解説する内容かと思いますが、
第1図から ▲6六歩 △5六歩 ▲同歩 △同飛 ▲6七金
このように先手が妥協した場合にはどうなるのかについても知りたいです。
私の想定手順は、
△5二飛 ▲5七歩 △7一玉 ▲7七角 △8二玉 ▲8八玉 △2二飛 ▲7八銀 △3二金 です。
長文となってしまい申し訳ありません。
私はmus-musculusさんの新構想にかなり注目しています。
これからも楽しみにしてます。
テーマ図1から△5六歩に▲2四歩以下の変化ですが、多岐にわたるため
いずれ記事にまとめたいと思いますのでここでは簡単に述べます。
テーマ図1から
△5六歩▲2四歩△5七歩成▲同銀△同銀成▲同金△8八角成▲同銀のところで、
一度△3九角▲5八飛を利かせてから△7一玉でどうでしょう。
こうすることで、△5七角成~△6六銀の攻めが可能になります。
蛇足ですが、△3九角に▲2六角は△3五金の犠打があります。
第1図から▲6六歩△5六歩▲同歩△同飛▲6七金の妥協であれば、
△5一飛と引いてしまえば良いでしょう。
▲2四歩には△同歩▲2二歩△同角▲2四飛△3二金は
居飛車が1歩損なので成立しません。
次の記事も楽しみにしています。
また質問させていただくときはよろしくお願いします。