明けましておめでとうございます。
本年もゴキゲン中飛車研究ノートをよろしくお願い申し上げます。
さて、唐突だが当ブログの読者のみなさまは、超速に対してどの対策を用意して臨んでいるだろうか。
私はもちろん銀対抗を愛用している。
ゴキ研でも常々銀対抗を推してきたが、レパトリーに加えて頂いているだろうか。
今回はひとつ中飛車党に問題提起をしたい。
新年早々あまり景気の良い話ではないが、
これから書く内容に自分がどう当てはまるか注目して欲しい。
********************************************************************************
初手からの指し手
▲2六歩 △3四歩 ▲2五歩 △3三角 ▲7六歩(テーマ図1)
今回は初手から連続で飛車先を突くゴキゲン外しについて考えてみたい。
これをやられて嫌になる中飛車党の方も多いのではないだろうか。
私もそうで、つまらない事をと内心腹が立つのだが
最近はその考えを改めている。
さて、テーマ図1で振り飛車を選択する場合、
(1)△2二飛
(2)△3二銀
(3)△4二銀
この3つが有力手段である。
中飛車にこだわるなら(3)一択なのだが、その他手段をまずは調べて行きたい。
テーマ図1からの指し手(1)
△2二飛 ▲3三角成 △同 桂 ▲9六歩 △4二銀 ▲9五歩(第1図)
第1図は新人王戦第2局の進行。(2012/10/23▲藤森△永瀬)
途中、▲9六歩を△9四歩と受けると、▲6五角~▲8三角成と進んで9筋の端攻めが気になる。
実戦は以下、端の関係から穴熊へと組んだが、
進展性が無くなり参考図の様に進み振り飛車が作戦負けに陥った。
この作戦は端を詰められてしまうのであまり面白くない。
現在では△2二飛はあまり有力な対策とは認識されていない様に思う。
テーマ図1からの指し手(2)
△3二銀 ▲6八玉 △4二飛 ▲4八銀 △6二玉 ▲7八玉
△7二玉 ▲5六歩 △8二玉 ▲5八金右(第2図)
△3二銀は角道を開けたまま進めて穴熊をけん制する作戦。
しかし、第2図まで進めてみると、振り飛車が先に態度を決めねばならない。
新人王戦第3局(2012/10/31▲藤森△永瀬)では△9二香としたが、
このタイミングで▲3三角成と角を換えられて穴熊を目指された。
振り飛車も穴熊が未完成では早い動きが出来ず、結局相穴熊に進んでしまった。
しかし、第2図では△7二銀では安心して▲6六歩と止められてしまうし、
△4四歩から相穴熊にするのも最近では振り飛車の分が悪い。
そもそも、最初に角道を止めれば他の振り飛車を選択する余地もあった。
また、本来ならば▲6八玉のタイミングで△8八角成として穴熊を防ぎたいのだが、
角交換四間飛車と比較して一度△3三角と上がっている関係で更に一手損になる。
(この事実から、角交換四間を外している事もわかる。)
この作戦も振り飛車党が選ぶべきでは無いと考える。
テーマ図1からの指し手(3)
△4二銀(第3図)
私は△4二銀(第3図)を推奨したい。
相手の手に応じて居飛車と振り飛車両方を含みにした作戦だ。
まずは、ゴキゲン外しと呼ばれる所以である変化から調べて行きたい。
第3図からの指し手(1)
▲6八玉(第4図)
△5四歩 ▲3三角成△同 銀 ▲5三角 △4四角 ▲同角成
△同 歩 ▲7八玉 △2二飛(第5図)
第3図から後手がゴキゲン中飛車にこだわるなら、
▲6八玉に△5四歩を選択する事になる。
しかし、これには角交換から手損承知で▲5三角で阻止される。
以下、振り飛車は向かい飛車に組むが不自由な形であるのは否定できない。
一応、手得しているので△4二銀と引けば手の損得は無くなるが
穴熊に組まれるのは阻止できないのでやはり損か。
他には、△2二飛に替えて△3二金▲4八銀△5二飛(第6図)という指し方がある。
これは銀冠に組んでバランスよく待てるので価値はある。
ただ、もう少し積極的に良くする指し方を考えたいところだと思う。
第4図からの指し手
△8四歩▲3三角成△同銀(第7図)
ここは、早い▲6八玉を咎めるべく、△8四歩と突いてみたい。
以下、先手から角交換した第7図は、後手だけが飛車先保留した角換わりとなり得をしている。
また、角を交換せずに▲7八金と突っ張るなら△4四歩(A図)と角道を止めて、
△7二銀~△8三銀で銀冠+陽動振り飛車にするのが効果的だろう。
こうしてみると、中飛車党の問題であったはずが力戦振り飛車愛用者全体に
波及している問題であるのが認識できる。
そして、最大の問題となるのが次の変化である。
第3図からの指し手(2)
▲4八銀 △5四歩 ▲6八玉 △5五歩 ▲3六歩(第8図)
△5二飛 ▲3七銀 △5三銀 ▲4六銀 △4四銀(第9図)
これまで、第3図のゴキゲン外しは▲6八玉一択だと考えていた。
と言うのも、△5四歩に対して▲3三角成△同銀▲5三角では△5五角(B図)で
香取りが受からず失敗するからだ。
だが、そうではなかった。
第8図を見て何か気付く点は無いだろうか。
そう、△4二銀を決めているので菅井流や美濃+△3二金型に組めないのである。(!)
このところ、松尾歩七段がB級1組順位戦で、
久保利明九段、鈴木大介八段に対して連採して結果を残している。
では、▲4八銀には居飛車で対抗すればよいかと言うと、
居飛車が▲6八玉を決めていないのであまり意味が無い。
具体的には、△8四歩▲6六歩△8五歩▲7七角(C図)
つまり、ゴキゲン中飛車に対して銀対抗に限定させる作戦が登場した訳であり、
中飛車にこだわる者への銀対抗の戦術的重要性が高まっている。
【まとめ】
3手目▲2五歩のゴキゲン外しには、角道を止めるか
△4二銀から居飛車と振り飛車両方を含みにした作戦選択が有力。
△4二銀に居飛車は▲6八玉からゴキゲン中飛車を阻止するか
▲4八銀からゴキゲン中飛車に組ませて戦うか選べる。
▲6八玉に対して振り飛車にこだわると穴熊を阻止するのが困難なので
玉の早い移動を咎めるべく居飛車で戦うのが良い。
▲4八銀は玉が移動していないので居飛車にするのは得策ではない。
ゴキゲン中飛車を選択する場合は銀対抗が必修となる。
銀対抗にしたくなければ角道を止めるのが良いだろう。
今後は、振り飛車党もオールラウンドに指しこなす必要性を迫られたり、
角道を止めた振り飛車が見直される可能性もあのではないかと感じている。
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新年早々あまり景気の良い話ではないが、
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初手からの指し手
▲2六歩 △3四歩 ▲2五歩 △3三角 ▲7六歩(テーマ図1)
今回は初手から連続で飛車先を突くゴキゲン外しについて考えてみたい。
これをやられて嫌になる中飛車党の方も多いのではないだろうか。
私もそうで、つまらない事をと内心腹が立つのだが
最近はその考えを改めている。
さて、テーマ図1で振り飛車を選択する場合、
(1)△2二飛
(2)△3二銀
(3)△4二銀
この3つが有力手段である。
中飛車にこだわるなら(3)一択なのだが、その他手段をまずは調べて行きたい。
テーマ図1からの指し手(1)
△2二飛 ▲3三角成 △同 桂 ▲9六歩 △4二銀 ▲9五歩(第1図)
第1図は新人王戦第2局の進行。(2012/10/23▲藤森△永瀬)
途中、▲9六歩を△9四歩と受けると、▲6五角~▲8三角成と進んで9筋の端攻めが気になる。
実戦は以下、端の関係から穴熊へと組んだが、
進展性が無くなり参考図の様に進み振り飛車が作戦負けに陥った。
この作戦は端を詰められてしまうのであまり面白くない。
現在では△2二飛はあまり有力な対策とは認識されていない様に思う。
テーマ図1からの指し手(2)
△3二銀 ▲6八玉 △4二飛 ▲4八銀 △6二玉 ▲7八玉
△7二玉 ▲5六歩 △8二玉 ▲5八金右(第2図)
△3二銀は角道を開けたまま進めて穴熊をけん制する作戦。
しかし、第2図まで進めてみると、振り飛車が先に態度を決めねばならない。
新人王戦第3局(2012/10/31▲藤森△永瀬)では△9二香としたが、
このタイミングで▲3三角成と角を換えられて穴熊を目指された。
振り飛車も穴熊が未完成では早い動きが出来ず、結局相穴熊に進んでしまった。
しかし、第2図では△7二銀では安心して▲6六歩と止められてしまうし、
△4四歩から相穴熊にするのも最近では振り飛車の分が悪い。
そもそも、最初に角道を止めれば他の振り飛車を選択する余地もあった。
また、本来ならば▲6八玉のタイミングで△8八角成として穴熊を防ぎたいのだが、
角交換四間飛車と比較して一度△3三角と上がっている関係で更に一手損になる。
(この事実から、角交換四間を外している事もわかる。)
この作戦も振り飛車党が選ぶべきでは無いと考える。
テーマ図1からの指し手(3)
△4二銀(第3図)
私は△4二銀(第3図)を推奨したい。
相手の手に応じて居飛車と振り飛車両方を含みにした作戦だ。
まずは、ゴキゲン外しと呼ばれる所以である変化から調べて行きたい。
第3図からの指し手(1)
▲6八玉(第4図)
△5四歩 ▲3三角成△同 銀 ▲5三角 △4四角 ▲同角成
△同 歩 ▲7八玉 △2二飛(第5図)
第3図から後手がゴキゲン中飛車にこだわるなら、
▲6八玉に△5四歩を選択する事になる。
しかし、これには角交換から手損承知で▲5三角で阻止される。
以下、振り飛車は向かい飛車に組むが不自由な形であるのは否定できない。
一応、手得しているので△4二銀と引けば手の損得は無くなるが
穴熊に組まれるのは阻止できないのでやはり損か。
他には、△2二飛に替えて△3二金▲4八銀△5二飛(第6図)という指し方がある。
これは銀冠に組んでバランスよく待てるので価値はある。
ただ、もう少し積極的に良くする指し方を考えたいところだと思う。
第4図からの指し手
△8四歩▲3三角成△同銀(第7図)
ここは、早い▲6八玉を咎めるべく、△8四歩と突いてみたい。
以下、先手から角交換した第7図は、後手だけが飛車先保留した角換わりとなり得をしている。
また、角を交換せずに▲7八金と突っ張るなら△4四歩(A図)と角道を止めて、
△7二銀~△8三銀で銀冠+陽動振り飛車にするのが効果的だろう。
こうしてみると、中飛車党の問題であったはずが力戦振り飛車愛用者全体に
波及している問題であるのが認識できる。
そして、最大の問題となるのが次の変化である。
第3図からの指し手(2)
▲4八銀 △5四歩 ▲6八玉 △5五歩 ▲3六歩(第8図)
△5二飛 ▲3七銀 △5三銀 ▲4六銀 △4四銀(第9図)
これまで、第3図のゴキゲン外しは▲6八玉一択だと考えていた。
と言うのも、△5四歩に対して▲3三角成△同銀▲5三角では△5五角(B図)で
香取りが受からず失敗するからだ。
だが、そうではなかった。
第8図を見て何か気付く点は無いだろうか。
そう、△4二銀を決めているので菅井流や美濃+△3二金型に組めないのである。(!)
このところ、松尾歩七段がB級1組順位戦で、
久保利明九段、鈴木大介八段に対して連採して結果を残している。
では、▲4八銀には居飛車で対抗すればよいかと言うと、
居飛車が▲6八玉を決めていないのであまり意味が無い。
具体的には、△8四歩▲6六歩△8五歩▲7七角(C図)
つまり、ゴキゲン中飛車に対して銀対抗に限定させる作戦が登場した訳であり、
中飛車にこだわる者への銀対抗の戦術的重要性が高まっている。
【まとめ】
3手目▲2五歩のゴキゲン外しには、角道を止めるか
△4二銀から居飛車と振り飛車両方を含みにした作戦選択が有力。
△4二銀に居飛車は▲6八玉からゴキゲン中飛車を阻止するか
▲4八銀からゴキゲン中飛車に組ませて戦うか選べる。
▲6八玉に対して振り飛車にこだわると穴熊を阻止するのが困難なので
玉の早い移動を咎めるべく居飛車で戦うのが良い。
▲4八銀は玉が移動していないので居飛車にするのは得策ではない。
ゴキゲン中飛車を選択する場合は銀対抗が必修となる。
銀対抗にしたくなければ角道を止めるのが良いだろう。
今後は、振り飛車党もオールラウンドに指しこなす必要性を迫られたり、
角道を止めた振り飛車が見直される可能性もあのではないかと感じている。
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しかし、得意戦法を相手が事前に知っている事は稀かと思います。
先手の早い▲2五歩を利用するなら角換わりが良いでしょう。
角道を止める向かい飛車も悪くないと思います。
これは更に研究して後手もやれる風にして下さらないと困りますね(笑)
さもないとほこりをかぶっていたノーマル中飛車の本を引っ張り出す時が来るかもしれません
先日はお世話になりました。
そうですね。居飛車を苦にしないのであれば
△4二銀で角換わりにするのが通常形より
得をしているので第一選択だと思います。
私は△4二銀と指したいです。
ゴキゲン中飛車にこだわる必要はなく、居飛車と振り飛車の両みらみの△4二銀と指してみたいです。
こんなに早く▲2五歩を決めるのであれば、むしろ居飛車で主導権をとりたいです。
あと、昨日はお世話になりました。お陰様で棋譜を再現することができました。
しかし、振り飛車にする含みは無いのが振り飛車党としては不満に思う方も多いでしょう。
相手が▲6八玉と指したのを見て居飛車にする第7図とどちらが得かは難しいですね。
後手は△8四歩まで保留できていて通常よりも大分得な形です
△2二銀に▲6六歩から矢倉になっても4手角を3手で実現できる上に△8四歩保留を活かして歩の上に△8四角と出る含みまであるので右四間にすれば主導権がとれます