女ひとり、歳をとる。

お金なしの60代、犬2匹と同居中。

死者からの電話。

2022-07-19 22:53:53 | 映画

 

先日『ブラック・フォン』を観ました。

アメリカ・コロラド州の小さな町で、少年たちの連続失踪が発生して、

フィニーの周りでも、何人もの少年たちの行方不明のビラが貼られていました。

フィニーは予知夢を見る妹のグウェンと、乱暴で粗野な父親のショウの3人暮らし。

フィニーの母はグウェンと同じように予知能力がありましたが、

ショウにも周りにも理解されずに自ら命を絶ちました。

そのことが原因で、ショウは子供たちに辛く当たっていました。

 

ある日フィニーは日学校の帰り、

マジシャンだという男に「マジックを見るかい?」と言われて、

黒いバンに無理やりに押し込められてしまいます。

しばらくして気がつくと地下室でした。

そこには汚いベットと壁掛けの黒い電話があるだけ。

でも、電話は断線していました。

けれど、電話が鳴って、この地下室から脱出する方法を伝えてきます。

電話の相手は、今まで誘拐され殺された少年たちからでした。

 

そのころ、グウェンはフィニー失踪の不思議な予知夢を見ます。

雨の中、自転車で夢の中に出てきた家を探していると、

突然、目の前に失踪した少年たちが現れます。

グウェンはフィニーの残り時間が少ないことを感じました。

 

フィニーは黒電話からのメッセージに従って、

地下室からの脱出を試みますが、何度も失敗が続いて、

誘拐犯の気持ちがいよいよ緊迫してきて来ました。

グウェンはフィニーを探し出せるのでしょうか。

そして、フィニーは地下室から脱出できるのでしょうか。

 

サイコ・スリラーって大好きです。

ハラハラもドキドキもたくさんあって満足しました。

でも、それだけだけでなく、

ショウとフィニー、グウェンの家族愛の映画でもありました。

ちょっと、ネタバレですが、

グウェンの予知能力が事件解決のきっかけになったことで、

ショウの態度も変わり、フィニーとグウェンに謝ります。

皮肉にもフィニーが誘拐されたことで、この家族に愛が戻ってきたのでしょうね。

 

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甘いきらめき。

2022-07-12 22:37:50 | 映画

 

きょう『エルヴィス』を観ました。

カントリーミュージックが主流の1950年代のアメリカ、

そこへ稲妻のように現れたのがエルヴィス・プレスリー。

少し長い髪、ド派手なステージ衣装、甘い歌声、

そして激しいダンスに、若い女性たちは熱狂し、

あっという間にスーパースターになっていきます。

その裏にはマネジャーのトム・パーカーの手腕がありました。

 

しかし、当時のアメリカ社会では、ブルースやリズムアンドブルースなどの、

黒人音楽を取り入れたエルヴィスの歌を危険視していました。

たくさんの批判や中傷を切り抜けていくのですが、

その対策のひとつとして陸軍の兵役に就きました。

そして、その駐屯先の西ドイツでプリシラと恋に落ちて、帰国後結婚します。

 

やがて、エルヴィスは海外ツアーを望むようになりますが、

ことごとくトムが潰していきます。

そのたびにエルヴィスも対抗しますが、トムの心理作戦に打ち負かされます。

トムとの関係を断ち切りたいエルヴィス。

でも、トムが金づるのエルヴィスを手放すはずもなく、

エルヴィスはラスベガスのショーに縛り付けられて行くのです。

やがて、薬の闇に覆われていくのです。

 

とくに、エルヴィスのファンではありませんが、

エルヴィスとトムとの関係は知っていました。

でも、この映画の中の詐欺まがいのあくどいトムに怒りが湧きました。

収入の搾取というよりも、やりたかったことができなかったこと、

日本ツアーを熱望していたエルヴィス、終盤の彼の無念さに涙が出ました。

あの甘い歌声、やさしい色っぽい瞳、

初めは似ていないと思ったエルヴィス役のオースティン・バトラーでしたが、

あっという間にエルヴィス本人にしか見えなくなりました。

歌もほとんどオースティンが歌っているというのがすごいです。

めくるめく色鮮やかなパフォーマンス、Blu-ray買おうかな💗

 

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予告編が1番おもしろかった。

2022-07-01 22:51:49 | 映画

 

ちょっと重たい映画が続いたので、軽い映画を観に行きました。

YouTubeで『ザ・ロストシティ』の予告編を何度か観ていて、

とっても楽しそうだったのでぜひ観たいと思っていました。

 

小説家のロレッタは新作本の『ザ・ロストシティ』の宣伝のため、

全国ブックツアーに出かけようとしていましたが、

世界的な億万長者のフェアファックスに、南の孤島へ連れてこられました。

そこでは古代王国の遺跡発掘が始まっていましたが、

まだ見つかっていない王妃の墓の場所を探すために、

考古学に詳しいロレッタを誘拐したのです。

墓の中の王妃の冠には、たくさんの宝石が使われていると彼は思っていました。

 

誘拐を知った新作本の表紙モデルのアランは、広報のベスと対策を練ります。

そして、知り合いのジャックにロレッタ探しを依頼します。

多分、その道のプロであろうジャックは、すぐにロレッタの場所を見つけて、

何人もの誘拐犯をあっという間に撃破、救出。

でも、安全と思った場所で、ジャックはあっけなく狙撃され即死。

そこからは、アランとロレッタで追手たちから逃げていきますが、

救出に息巻いていたアランはまったく頼りにならず、

ジャングルの中をデコボコなふたりの逃走が始まります。

さて、さて、ふたりは無事に追手たちから逃げとおせるのでしょうか。

 

あまり期待せずに出かけましたが、サンドラ・ブロック(ロレッタ)、

チャニング・ニイタム(アラン)、ブラッド・ピット(ジャック)の、

存在感がすごくて観ていて気持ちよかったです。

ダニエル・ラドクリフ(フェアファックス)は・・・💦

 

ただ、予告編で流れていたジャングルで逃げるとき、

レンターカーが崖下へ落ちてしまうシーンで、

ロレッタとアランが「Oh!」の台詞をニュアンスを替えながら、

落ちていく車とカット交互に3回繰り返す所が、

とても面白かったので楽しみにしていましたが、

本編では編では普通に「Oh!」の1度だけ。

ちょっとがっくり・・・・。

 

それとラストシーンのアランが、それまでスポーツ刈りだったのに、

突然5分刈りになって登場したのはなぜだったのかしら?

だって、ちょっと前までは生死の瀬戸際で必死に逃げていたのに、

助かったからって、すぐに床屋さんには行かないでしょう?

あの5分刈りを観たら、映画の質って何???って感じてしまいました。

なんか意味があったのかもしれないけど💦💦💦

サンドラ・ブロックはとてもきれいだったし、

ブラピはとことんカッコよかったけど、

映画館じゃなくてテレビで観てもよかったと思った映画でした。

 

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どう生き、どう死ぬのか。

2022-06-22 21:47:59 | 映画

 

きのう『PLAN 75』を観ました。

いつも、洋画しか見ないのですが、前に観た『ツユクサ』があまり好みでなく、

やっぱり邦画は観るのはよそうと思っていました。

でも、『PLAN 75』の老人の生死問題は67歳のわたしにとって、

邦画といえど他人事でない気持ちが強くて足を運びました。

 

そう遠くない未来の日本は少子高齢化が一層進んで、

超高齢化社会になっていました。

老人にはいろいろなことの社会保障に税金が使われ、

それを不満に思っている若者たちが、

老人たちを殺害する事件が全国で頻発していました。

そんなとき、「プラン75」が国会で可決され、

満75歳になると個人で生死の選択できるというものでした。

 

ひとり暮らしの78歳の角谷ミチは、ホテルの客室清掃員として働いていました。

職場の同じ年代の女性たちとは、ときどき外でもカラオケなどで会っていました。

それはミチにとって、小さな励み、そしてささやかな楽しみ。

仕事のペアだった女性が作業中倒れ、そのことが原因で70代後半の4人が解雇されます。

その後連絡が取れなくなったペアだった女性は自宅で亡くなっていました。

収入がなくなったミチは仕事探しに奔走しますが、

高齢のミチを雇う会社はどこにもありませんでした。

今の住まいも立ち退かねばならず、アパートを探しますが、

ひとり暮らしの高齢者には住む家さえもどこにもなく、

深い絶望の中で、プラン75の申し込みをするミチ。

ミチのその日は一刻一刻と迫ってきます。

 

もっと辛く、暗く、悲しい映画だと思っていました。

でも、これは命の尊厳を考え、人間の情愛にあふれた映画だと感じました。

ミチを演じた倍賞千恵子さんの演技力は見ごたえがあり、

役所のプラン75の担当のヒロム役の磯村勇斗さん、

プラン75コールセンターのミチ担当の瑤子役の河合優実さん、

プラン75関連施設で遺品整理係マリア役のステファニー・アリアンさん、

俳優さんたちのしっとりした演技は心に深く入って来ました。

 

そして、なによりも、全てのシーンが急がずに、ゆったりとしていて、

制作側の意図を押し付けない感じがしました。

台詞も多くなくて、こちらが思い、感じ、考えることが必要でした。

それはきっと監督の早川千絵さんの手法なのでしょうね。

映画館でもう一度観たいと思いました。

そして、邦画、悪くないとも思いました。

 

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心の痛さが消えない。

2022-06-11 23:30:22 | 映画

 

きのう『息子の面影』を観ました。

メキシコの貧しい農村に住むマグダレーナ。

アメリカで仕事を見つけるために、息子と幼なじみは国境行のバスに乗りました。

しかし、息子たちからの連絡がなくなったので、

幼なじみの母親と共に行方不明者のための相談室に行きました。

すると、遺体写真の中に幼なじみがいたのです。

ただ、マグダレーナの息子の写真はありませんでした。

 

たくさんの若者が国境を越えようとして命を落としています。

でも、確実な息子の生死が知りたいマグダレーナは、

自分の息子を探すために村を出ました。

国境行のバス会社の事務所、その近くの難民センターなど、

いろいろな場所で、いろいろな人たちから、息子に関する情報を得ます。

そして、息子と一緒のバスに乗っていた老人を探し当てました。

 

その老人宅はある町のずっと奥の村にあります。

町に入る道にはカルテルが何台もの車で道を塞いで検問。

その町は市長をカルテルに殺されてから無法地帯になっていました。

アメリカからの国外退去で、故郷に戻ってきたミゲルはその状況に驚きます。

車を降りて家へ向かっている途中、マグダレーナに出会いますが、

夕方だったので家に泊まるようにすすめました。

でも、ミゲルが家に帰るといるはずの母はどこにもいません。

家畜小屋のヤギたちは腐り始めてハエがたくさんたかっていました。

 

その後、マグダレーナは息子と一緒にバスに乗っていた老人に会いました。

そのバスは強盗団に襲われて、老人以外は殺されたことを聞きました。

息子は死んだんだ・・・と納得します。

独りぼっちになったマグダレーナ、そしてミゲル。

マグダレーナとミゲルはマグダレーナの村で一緒に暮らすことにしました。

しかし、そこへカルテルの強盗団が現れてミゲルは殺され、

マグダレーナにも銃口が向けられました。

銃を向けたその男は、なんと、マグダレーナの息子だったのです。

どうして・・・。

 

この映画の怖かったところは、

国境近くの遺体収容所が、完全にシステム化され、

たくさんの身元不明の遺体が保管されていたこと。

白タクではないきちんとした会社の定期路線のバスが、

いとも簡単にカルテルに襲われ、乗客たちは金品を奪われて殺されたこと。

一般の人たちの日常がカルテルの影響下にあること。

その怖さは心に深く刺さって、今もなかなか消えようとしません。

 

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