光圀隠居期間の尾張藩主は光友(権大納言)、綱誠(権中納言)、吉通(権中納言)である。
光友(1625~1700、在職1650~1693)…徳川義直の長男
綱誠(1652~1699、在職1693~1699)
吉通(1689~1713、在職1699~1713)…継友、宗春の兄
尾張が中納言ということは、第2部の時代設定は尾張藩主が綱誠の時代で、1693年以降か。
すると時代設定はこうなる。
第3部 → 1690(元禄3)
第42部 → 1691(元禄4)?
第2部 → 1693(元禄6)以降…尾張中納言
第1部 → 1694(元禄7)…藤井紋太夫没
これより少し前の第2部第31話「家宝争奪作戦(柳河)」では九州筑後柳河藩に「大殿(おおとの)」がおり、存命中に藩主の座から退いた「さきの藩主」がいたことになる。調べると水戸光圀隠居時代、この柳河藩では1696年に藩主が交代しており、その前の柳河藩主は光圀隠居前に藩主になっており、後(あと)の柳河藩主は光圀没後まで藩主だった。
すると第2部の時代設定は1696年以降の可能性が高い。
生類憐みの令に関して、この第2部では、桂昌院が信頼していた僧・隆光の勧めによるものとなっているが、これはあくまで1970年当時の歴史観であろう。
「綱吉に後継ぎがなかったから」というのは『知ってるつもり?!』でも取り上げられた説である。
一方、『水戸黄門』第43部第3話「名馬が守った父娘の絆(平塚)」では、生類憐みの令が人命尊重と動物愛護の精神の法でありながら、末端の運用が間違っていたことになっている。第2部でも犬を車らしき物に乗せて人々に土下座させるのは柳沢の独断となっている。
第2部では柳沢の息子・「よしざと(柳沢吉里?)」が実は綱吉の子で、次期6代将軍について、桂昌院は孫(おそらく綱吉の息女・鶴姫)の夫である「紀伊殿(綱教)」を推していたようである。そして隆光の台詞によると、桂昌院、隆光、柳沢一派は「紀伊殿」に万一のことあれば、その柳沢の養子である「ご落胤」を擁立するよう考えていたようだ。一方、桂昌院によると光圀は甲府宰相(家宣)を推していたようで、これが桂昌院にとって目障りだったようだ。
結局、『水戸黄門』は綱吉の次が家宣か綱教(吉宗の兄)かという争いだったわけで、江戸幕府のコップならぬ茶碗の中の争いだったわけだ。
柳沢は「ご老公はご乱心」として「乱心者を副将軍などと遇していいものか」と綱吉に諫言していた。乱心者であろうとなかろうと「副将軍」など正式な役職でなかったのだから、将軍が水戸光圀を「副将軍」として遇すること自体が不合理であった。
第37部で水戸の若君が誘拐された事件が描かれており、これも結局は水戸藩主が「副将軍」という余計な肩書きを振りかざしていることに対して、紀伊家が反撥した結果であった。
こうなる水戸光圀は世直しをしたどころかトラブルメーカーだったと言えよう。
最終シリーズで大衆が「水戸黄門幻想」や「水戸黄門症候群」から脱却できれば、それはこの最終シリーズが残した大きな成果と言えよう。
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2011年9/18 9/20 9/23 9月
関連語句
生類憐
水戸黄門 犬の皮(twitter)
第2部(Y!Blog)
参照
『水戸黄門』における生類憐みの令
『水戸黄門』で知立の人が名古屋辯を話していた件について
Y!Blog>元禄時代の日本にヤッターマンとドロンボーが出現
Y!Blog>『水戸黄門』第2部第33話「お犬さま罷り通る(江戸)
Y!Blog>『水戸黄門』第43部第3話「名馬が守った父娘の絆(平塚)
Y!Blog>『水戸黄門』第43部第11話「命守った婆さんの知恵(知立)」
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