星月夜に逢えたら

[hoshizukiyo ni aetara] 古都散策や仏像、文楽、DEAN FUJIOKAさんのことなどを・・・。 

千穐楽でした!(追記版)

2013-02-27 | 観劇メモ(伝統芸能系)
「二月花形歌舞伎」が昨日で千穐楽でした。
やはり千穐楽スペシャルがいろいろとあったみたい!
平日なので私は行けなかったけれど。

特にGOEMONは観客に愛された舞台だったんだなあと思う。
自分の観劇はもちろん、ツイッターのTLで読ませていただく
皆さんのレポ、ツブヤキ、吐息、絶叫(笑)。
ときには舞台関係者のツイートや出演者のブログなどから、
現在進行形のまさに舞台裏を覗くことができ、観劇以外の日
もひじょうに楽しめた。

夜に出演していないはずの巳之助さんがGOEMON終演後の写真
におさまっている理由もね♪ 証拠写真 →コチラ
若い出演者が多かったこともあり、皆で愛しみながら成りゆ
きを見守っていたような気がする。

昼の新八犬伝もなんてカッコいいんだ!
八犬士が揃い踏み。自分に与えられた文字で、いわば名乗り
をあげるシーン。きゃー、みんなオットコマエ~可愛い~。

当然といえば当然ながら、その舞台をしっかり支えていた
大歌舞伎の役者さんたちの器の大きさを感じたな~。
フラメンコチームの存在も忘れられない。
愛之助さんが会見で言われていた<上方発信の歌舞伎>と
しては盛況で終わったことがうれしい。
(なんか親戚のオバサンモードだけど。)
これからも関西で歌舞伎の公演を続けていってくださーい!

●公式ブログでも紹介された朝日新聞2/23付夕刊↓
2月は大阪松竹座と梅田芸術劇場で五右衛門対決!




●神戸新聞2/22付夕刊↓
「堂々たる座頭ぶりに彼の運と努力が透けて見えた」と結ぶ
坂東亜矢子さんの記事



コメント (2)
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二月花形歌舞伎「GOEMON」(3)

2013-02-16 | 観劇メモ(伝統芸能系)
観劇日    2013年2月16日(土)夜の部 GOEMON
劇場     大阪松竹座
座席     1階4列

「本日の夜の部は全席売切れました」ですと!
おめでとうございます~。
今月初めての完売のその現場に私もいました。

忘れないうちに舞台写真のこと。
たぶん、おもな出演者は網羅されていたと思う。若い皆さん
も、若くない皆さんもね♪

さて。初めての1階席。
初めてじっくり出演者の表情をじっくり観賞しました。
いやー、素敵でした。

お芝居全体としてはシスティーナの時と違って公演期間が
長いので、どんどん濃く、熱くなってきている。
カーテンコールの挨拶で愛之助さんも言ってたけれど、
「二月花形歌舞伎と書いてありますが、フラメンコもあれ
ば、元OSKの皆さんのダンスもあります」
ほんとにその通り。
グレゴリオ聖歌も、和風の歌も、クラシックも、義太夫も、
フラメンコと大薩摩のコラボも。
目まぐるしく切り替わる場面と音楽。

ええやん、ええやん。
松竹座夜の部はGOEMONまつり。
歌舞伎だってなんだって、途中から劇場全体がGOEMON色に
染まってゆくのが楽しくて。そこに身を置くのが嬉しくて。
終わってから劇場を出てゆく人たちの会話を耳にし、顔を
見れば、GOEMONをトコトン楽しんだことがわかるよ。

(今日のツイートより)

大薩摩の盛り上がり、鳥肌でした。1階の魔力やね。
吹越満似の三味線の人が左眉を上げて集中してる表情が凄
いの。その目から合図を送られてカンテが始まる。両手を
前に上げて歌いあげるカンタオール。力がこもる三味線、
カンテ、三味線、カンテ。ふう~、息もできなかったわ。

大向こうもオー・レ!とか言ってたような。なんてゆうか
劇場全体でGOEMONを楽しんでる。歌舞伎とかジャンルとか
気にせずGOEMONにみんなが染まってる。そこが楽しい!
ぐぁははははは。がはははははー!



とりいそぎの役の感想など。
3階→2階→1階とすべて見たけれど、どの階で見ても、
愛之助さんの五右衛門はやっぱり、最後の楼門の上にいる
時が一番カッコいい。「石川五右衛門ここにあり」って立ち回
り中に2階から言うけれど、五右衛門の存在感の大きさは
あの台詞を言い終えてこそ。
自信ありげな佇まい、ふてぶてしいまでの笑み、それでい
てそこはかとなく立ちのぼる色気。
南禅寺の五右衛門いまここに、松竹座にあり、ですよ。
それにしても宙乗りの時のあの楽し気な高笑い&鷹笑い!
空中から劇場全体を見渡すように、この公演全体を俯瞰で
見つつ、メディア出演に駆け回り、座頭としてカンパニー
全体も見ながら舞台に立っている愛之助さん。八面六臂の
奮闘に、楽までガンバッテ~と、こんなところから。

壱太郎さん。
今日も祈るような気持ちで引き込まれるように見てしまっ
た。たぶん、観客みなの気持ちを吸い上げて、惹き付けて
踊っているんじゃないかと思う。やっぱり涙が出た。
すっかり阿国信者になってしまった。素晴しい!!

梅枝さん。
最初に見たときは、前回石田局をされた吉弥さんそのまま
のところがありびっくりした。特に義太夫に合わせて演じ
る子別れの場面。それができるだけでも凄いと思ったけれ
ど、回を追うごとに自分の気持ちで演じられているのが感
じられ、役への集中ぶりがうかがえる。
唯一の古典歌舞伎表現担当として見応えじゅうぶん。

松也さんと吉太朗くん。
まず、松也さんの顔は1階でオペラグラスなしで見ると、
すんなり見られた。(アップで見るとお髭やノーズシャド
ウが気になってたので。)イスパニア人の役はむずかしい
と思うけど、カルデロンの苦悩がきちんと伝わってくる。
吉太朗くんは義太夫の場面ともうひとつ、意識を失った後
の場面が一番泣かせる。
いつまでもお待ちしています。イスパニアはどちらの方で
ございますか?の健気な台詞。
二人でダンスをする回想の場面で、友市はやや悲し気な顔
で踊っていることがわかり、急にウルッとなった。

このつづきはまた後日。



●このブログ内の関連記事
二月花形歌舞伎「新八犬伝」
二月花形歌舞伎「GOEMON」(1)
二月花形歌舞伎「GOEMON」(2)

~第三回システィーナ歌舞伎「GOEMON 石川五右衛門」(1)
~第三回システィーナ歌舞伎「GOEMON 石川五右衛門」(2)
コメント (8)
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二月花形歌舞伎「GOEMON」(2)

2013-02-09 | 観劇メモ(伝統芸能系)
観劇日    2013年2月9日(土)夜の部 GOEMON
劇場     大阪松竹座
座席     2階7列

金曜日から演出が変わった部分があると聞き、急きょリピ追加!
それに前回の観劇は3階席だったため、何が起きているかわか
らない空白の数分間があった。
そこんとこの一部始終を見届けたかったから。
2階席の出来事は楽しかったー!! ここにはまだ書かないけど。
徹底的にエンターテインメントだね~。
見ることができて満足、満足!



<フラメンコな日>
もう一つ。今日はフラメンコにがぜん集中した日だった。
この演目に通っている1本の縦糸。フラメンコ。
父子の思い出のダンス。五右衛門が阿国に教えるダンス。
登場人物にとっての大事な局面で浮かび上がるフラメンコ。
このお芝居が面白いのは、ここをおざなりにせず、しっかり伝
えようとしている点にあるのではと思う。
トーマッサイ、トーマッサイ、トーマイ、トーマイ、トッ!
とカウントしながらステップを教える愛之助さんGOEMONもいい。
とりわけ壱太郎さんの踊りには鳥肌!涙が出た。
いったいどこまでいくんだろう。

ストーリーと直接関係ないけれど、プロのフラメンコダンサー
佐藤浩希さんのダンスにも注目。
第一部の踊りはとびきり明るいイメージ。帽子を使ってコミカ
ルな印象さえある。動きも速い。
ステップや手拍子は聞き覚えのあるフラメンコなんだけど、ひ
じょうに現代っぽい感じがした。
後半は足の動きに引き込まれる。超速ステップだ。すごっ!
これもフラメンコなのか~。カンテもすごくいいな。

第二部冒頭のフラメンコ。カンテの響きが哀愁を帯びている。
佐藤浩希さんも哀感こもった表情と動き。
背景がアンダルシアの酒場だからか、ギターとダンスと歌が
芝居の空気と共鳴して伝わってくるものがある。
来週1階席で見るのが楽しみだ。
最後にジャケットを脱いだダンサーが上手にフェイドアウトす
るが、歌はしばらく残っていた。いい声~。

いよいよ大詰めが近づいてからのフラメンコ。
新しい演出によるコラボが実現。
それは五右衛門の楼門シーンの直前。
大薩摩が入ってくる場面だ。
システィーナではたしか真っ暗な中で三味線の音と大薩摩の唄
が聴こえてきた。御簾がないアリーナ形式の舞台なのですべて
の演奏者が見えたり、感じたりすることができた。
一方、今月の松竹座。初日の観劇では黒御簾の向こうに奏者が
いることはわかっても舞台上は何も見えずつまらなかった。

いやー、実際見たらスゴイわ。
まず、上手と下手に一つずつ足台が置かれた。
(少し形が違う。下手側は小さな椅子という感じ。)
上手に三味線弾きと、大薩摩の語り手。
下手にフラメンコギタリストと、カンタオール。
はじめは三味線だけだったのが途中からギターがからみ始める。
これって聴くだけよりも、実際に見るとはるかに凄い。
だって、こんなことフツウありえない。
今まで見たことのない光景を初めて見る幸せ。興奮した。
大薩摩が語り終えると、こんどはカンテが始まった。
こんな楼門、見たことない。ステキだ。
奏者たちはどんな思いがするのか尋ねてみたい。

次回はついに1階席へ!


<おまけ>
ブログにコメントを寄せてくださる、くまたかさんとごんべさんに
偶然劇場でお会いできました。
終演後に3人でこれまたアルションへ。
楽しい時間をありがとうございました!
こんなステキなPOPがお店の前に置かれてました~♪





●このブログ内の関連記事
二月花形歌舞伎「新八犬伝」
二月花形歌舞伎「GOEMON」(1)

~第三回システィーナ歌舞伎「GOEMON 石川五右衛門」(1)
~第三回システィーナ歌舞伎「GOEMON 石川五右衛門」(2)
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二月花形歌舞伎「GOEMON」(1)

2013-02-02 | 観劇メモ(伝統芸能系)
観劇日    2013年2月2日(土)夜の部 GOEMON
劇場     大阪松竹座
座席     3階1列



(観劇当日のツイートより・・・)

松竹座GOEMON大興奮!オモシローイ!!楼門セット凄い。
五右衛門かっこいい!義太夫、フラメンコ、弦楽四重奏、全部ナマ
の贅沢。登場人物や場面設定に変更あり、パワーアップしてる。
またすぐ見たい。

昼夜とも宙乗りの特等席は3階だけど、向きを変えて回りながらアッ
プダウンしてどの席からも楽しめるようになっています。
つづらが似合う男や!GOEMON。

宙乗りは昼夜3回とも衣装も設定も違うのでホントに楽しいです。
ラストスマイルを見られるのは3階の特権かな~。

夜は創造性とエンターテイメント性、昼は歌舞伎らしいストーリー
と見せ場。好対照だと思います。
システィーナとは空間が違うのに工夫されててよかったね!

歌舞伎ビギナーにつきよくわかりませんが、GOEMONには古典のパロ
ディがたくさん入っているので歌舞伎に詳しい人もたっぷり楽しめ
ると思います。

イヤホンガイドより。フラメンコではいくら盛り上がっても、観客
は演奏の途中に拍手や手拍子をしてはいけないそうです。歌と手拍
子がついているから。

システィーナでもそうでしたが、壱太郎さんがイッちゃった目で
陶然と踊るとこゾクゾクします。
カルデロン神父、お髭アヤシすぎる(^O^) ダンスはステキでした


GOEMON 石川五右衛門(ごえもん)
片岡愛之助宙乗りにてつづら抜け相勤め申し候


<出演>
愛之助:石川五右衛門  
松也:カルデロン神父  
梅枝:石田局  
壱太郎:出雲の阿国  
種之助:加藤虎之助  
梅丸:石田三成/お菊  
吉太朗:友市  
吉弥:名古屋山三/北政所  
翫雀:豊臣秀吉  
佐藤浩希:フラメンコ  

<あらすじ>
時は天正時代、豊臣秀吉が天下を統一し、戦乱の世もおさまり、信
長の時代に布教が始まったキリスト教も各地に大聖堂を持つように
なった。そんな秀吉の世を憎んでいるのが、秀吉に滅ぼされた明智
光秀の家臣四王天但馬守の娘石田局。父の仇を討つ機会をうかがっ
ていたが、キリスト教の教えに触れ、秀吉への憎しみを忘れるよう
になった。それは、カルデロン神父の熱心な教えによるものであり、
いつしかカルデロン神父と石田局との間に恋が芽生え、友市が誕生
した。しかし、神父としての禁忌を破ったカルデロンは神父を退き、
親子三人で生きる道を選ぶ。
七年の歳月が流れ、親子三人幸せに暮らしていたところ、秀吉が切
支丹禁令を行う。カルデロンは国外追放となり、秀吉はかねてから
想いを寄せていた石田局を我がものにしようと、聚楽第に呼び出す。
石田局は覚悟を決め、秀吉を討とうと決意するが遂げることは出来
ず、命を失ってしまう。
さらに歳月は流れ、秀吉は奥方北政所の目を盗み、今度は都の人気
者出雲の阿国を寝所に侍らせようと呼び出す。そこへ、親の仇を討
つべく大泥棒・石川五右衛門と名のるようになった友市が現れ、
秀吉の家臣加藤虎之助や石田三成らの手を鮮やかな手口でかいくぐ
り、阿国を救い出し、秀吉の鼻をあかす。実は阿国の夫である名古
屋山三も明智光秀の家臣安田作兵衛の息子であることが判明、三人
は共通の敵秀吉に立ち向うべく手を組む。
一方、五右衛門は、お菊ら女猿楽の登場で、人気に翳りがみえ始め
て苦悩する阿国に、新しい踊りのヒントとして、父カルデロンの国
スペインの踊りを教え、阿国もそこから新たな発想を得て、再起を
はかる。そうしている間にも、五右衛門を捕える包囲網はだんだん
狭まっていき...



<自分メモ>
システィーナ歌舞伎からの変更箇所。

・登場人物が増えている。
秀吉の屋敷の場面で、北政所、石田三成、加藤虎之助(清正)が
増えている。ここ、笑わせどころだ。

・第二部冒頭のフラメンコの場所
システィーナでは場所は不明だったが、今回はアンダルシアの酒場
になっている。ここの演出が素敵~。
砂糖浩希さんのフラメンコは第一部と違うテイストで、私がイメー
ジしたものに近かった。力強く、体のキレ凄い。
ダンスが終わると、前のテーブルに突っ伏していた客が顔をあげる。
カルデロンだ。背景で静止していた人物達も動き始める。(人形か
と思っていた!)ここからカルデロンの回想シーンへと自然な流れ。

・阿国にライバルあらわる!
システィーナでは自分の踊りに行き詰まり、そこでフラメンコに出
会うのだが、今回はお菊一座がというライバルが出現。人気に陰り
を見せる。お菊は梅丸くんだよ♪
その後フラメンコで開眼した阿国は人気を不動のものにする。

・キンキラビカビカの楼門
ゴージャス!GOEMONらしく派手でビカビカなスチールパイプの
楼門。下からライトアップされ、さらに複数の大きなライトがピ
カーッと客席を照らし出す。
ぶっとんでるところがすごくいい。見ていて楽しい!

・イスパニアの父に代わって母上登場。
楼門の上で五右衛門のほうに飛んでくる鷹。前回はイスパニアの父
からの文をくわえていた。(いくらなんでも遠いがな~。)
今回は白鷹は亡くなった母の化身であるという設定に。
鷹が五右衛門の背からトンと下に降りたかと思うと、舞台奈落から
せり上がって幻影の母が現れ、真柴久吉の台詞をいう。楼門五三桐
のオリジナルにより近づいた形だ。
<追記>2月8日から大薩摩のシーンに変更が加わったようだ。

・堺に向かう乗り物
前回は船だったが、今回は母上。つまり鷹(笑)。


<おまけ>
昼の部と夜の部の間に、いつもコメントを寄せてくださるとみたさんと
puspitasariさんと3人でアルションへ。
ちょうど先日の「よ~いドン!」で愛之助さんのオススメ3にリストさ
れていたのがモンブラン。3人ともモンブラン娘になりました♪




●このブログ内の関連記事
二月花形歌舞伎「新八犬伝」
二月花形歌舞伎「GOEMON」(2)

~第三回システィーナ歌舞伎「GOEMON 石川五右衛門」(1)
~第三回システィーナ歌舞伎「GOEMON 石川五右衛門」(2)
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二月花形歌舞伎「新八犬伝」

2013-02-02 | 観劇メモ(伝統芸能系)
観劇日    2013年2月2日(土)昼の部
劇場     大阪松竹座
座席     3階1列



新八犬伝(しんはっけんでん)
片岡愛之助四役早替り宙乗り相勤め申し候


新作とはいえ古典の味わいたっぷりの舞台だった。
事前のインタビューで初演時の様子を聞き、とっちらかったイ
メージがあったので(笑)観劇してみて意外や意外。
ある場面では藤原時平だったり、鳴神上人を連想させたり、屋
根の上の大立ち回りあり、だんまりあり、宙乗りあり。
八犬伝らしい奇想天外なストーリーと、歌舞伎らしい見せ場で
しっかりと見せてくれる。

登場人物が多いので事前にあらすじを読んだほうがいいと思う。
私はイヤホンガイドを聞いたのでさらにわかりやすかった。
イヤホンガイドの幕間に愛之助さんのインタビューが流れる。
(2回目の幕間はインタビューの再放送)

<出演>
愛之助:崇徳院/扇谷定正/網干左母次郎/犬飼現八  
松也:犬塚信乃    梅枝:伏姫  
萬太郎:足利成氏/犬田小文吾  
巳之助:犬川荘介   壱太郎:犬坂毛野  
種之助:犬村角太郎  吉太朗:犬江親兵衛  
梅丸:濱路      薪車:犬山道節  
吉弥:仙女      秀太郎:亀篠 
義成:千壽

<あらすじ> 
この国を手中に治めようとたくらむ魔界の王崇徳院は妖術で管領
扇谷定正に乗り移り、将軍の忠臣の子伏姫と里見義成を犬畜生の
姿におとしめた。それを嘆いた伏姫が自害しようとすると、仙女
が現れ伏姫に己の宿命を告げる。そして伏姫の体から八つの光る
玉が飛び出し、この乱世を鎮めることを誓い、四方に飛び発って
いくのだった。
時は流れ、将軍家は凋落、乱世はますますひどくなっていた。
八犬士の一人犬塚信乃は天下の宝剣村雨丸の力で仕官を願ってい
たが、宝剣をねらう定正は浪人網干左母次郎に姿を変え、村雨丸
を偽物にすり替え、信乃の許婚でもある濱路を連れ去り、濱路の
母の亀篠を村雨丸で刺し殺す。深手を負った信乃の持つ水晶玉が、
自分の持つ玉と同じだと気づいた下男額蔵実は犬川荘介は、八行
の因縁のある玉をもつ同志であることに気づき、信乃と義兄弟の
契りを交わす。
偽物の宝剣を将軍足利成氏に献上したため追われる身となった
信乃を追う成氏の家臣犬飼現八は、信乃に切られた傷口から水晶
玉が出たことで、同志であることが分かり、義兄弟の契りを結ぶ。
左母次郎を倒すため、三人は残りの八犬士を探す旅に出る。
その頃、左母次郎は、隆盛を誇る太夫旦開野を口説こうとしてい
たが、実は旦開野は女に姿を変えた八犬士の犬坂毛野であり、父
の仇の定正を狙い近づいていたのだった。そこへ定正を追って、
犬山道節も現れる。毛野を返り討ちにし、止めようとした濱路を
も殺そうとした左母次郎。しかし、濱路の血潮を浴びた左母次郎
は妖術が使えなくなり、その場から去ってしまう。そして、本性
を現した定正実は崇徳院を追って、犬田小文吾、犬村角太郎、
犬江親兵衛も集結、八犬士が勢揃いする。



実はストーリーは滝沢馬琴の「南総里見八犬伝」とは違う。
共通しているのはおもな登場人物の名前、八犬士、8つの玉に描
かれた文字と法力、名刀村雨丸。
八犬士が戦う相手はここでは魔界の王、崇徳院。日本征服を企む
崇徳院の野望を倒すのが、伏姫から与えられた八犬士の運命だ。

里見八犬伝と大きく違うのは発端。
犬の八房は登場せず、人が畜生道に落ちて犬になる。

定正(崇徳院)は伏姫に迫るが。拒絶されたため伏姫の弟の義成
に妖術をかけ、伏姫は弟に汚されてしまう。
(いきなりショッキングなことが!)
伏姫が水に映った自分の姿が犬になっていることにおののく。
犬=畜生道に落ちたということなのだ。(コワイ~)
梅枝さんは出番が少ないが、伏姫の存在感は大きい。
妖術が解けて正気に戻った義成も水に映った犬が自分と同じ動き
をするのにびっくり。義成と犬、交互に同じ動作を見せる場面が
可笑しくて笑いが起きていた。(コワイ、けど犬がカワイイ♪)
義成役は千壽さん。(去年は犬の小春だったが今年も犬関係。)
呆け役から妖術によって豹変する場面はなかなかの見どころ。
平成若衆歌舞伎で伏姫を演じた当時千壽郎くんが、再演で重要な
役を演じていることが素晴しい。

舞台の中空に浮かぶ8つの緑の玉。文字が書かれている。
のちに玉を持った犬士たちが集まってくるのは八犬伝と同じ。

愛之助さんは三つの悪役を一人で演じている。
最初に現れるのが崇徳院。両脇に烏天狗を従えて立つ姿、顔は
異界の存在。(ちょっと藤原時平を思い出す。)
その崇徳院が扇谷定正に憑依し、さらに定正が姿を変え左母次郎
になる。ちょっと込みいっているけど、つまりは崇徳院。
今までにもいろんな悪役を見てきたけれど、今回は実に大きくて
堂々とした印象なので安心して見ていられる。
しかもエロい!
秀太郎さん演じる年増の亀篠の胸に手を入れる場面は、さながら
鳴神上人。(ひゃあ~。)まんざらでもない様子の亀篠をまんま
と悪事に引き入れる、定正の悪の魅力全開。
八犬士の一人・現八と定正(左母次郎)が同時に並ぶ時は、別の
役者さん(誰かは不明)が愛之助さんの代わりをつとめている。

宙乗りの場面では、雲の上を歩くように足を前後に動かし、ゆっ
たり上ってくる愛之助さんを3階席でお出迎え~♪
3階特設の鳥屋口に吸い込まれるまで、表情を変えることなく、
目と口に不敵な笑みを浮かべているそのクールな佇まい♪
新鮮だ。ぜひいつか仁木弾正もやってほしいぞ。

信乃役の松也さんと捕り手たちの場面も見どころ。
大屋根の上の捕物はいかにも歌舞伎らしくてワクワク。
角度のついた屋根の斜面での立ち回りは身体的にキツそうだけれ
ど、ドンタッポで見せる殺陣は華やかだし、なんといっても若衆
たちは体キレキレ。松也さん、カッコいい!

八犬士たち。
道節の薪車さんは特に最後のほうで存在感発揮。
毛野の壱太郎さん、太夫として謎めいた登場感で惹き付ける。
(弁天小僧でいちど見てみたいと思わせる役。)衣装が大きいの
は早変りのためだけれど。太夫の頭が大きすぎないか?
荘介の巳之助さん、意外にハマっている。世話物が見たくなった。
角太郎の種太郎さん、台詞がもっとあればいいのに~。

濱路が可愛いのでだれかと思ったら梅丸くんだった。ひゃあ、
可愛いうえにますますきれいになってる!
吉太朗くんもここ最近の活躍ぶりには目を見張る思い。動きがい
いので、八犬士の一人として全く遜色なし。
濱路の血潮にまつわる話は三笠山御殿とか摂州合邦辻を思わせる。

とりあえずのメモ。次は1階席で観劇予定。


●このブログ内の関連記事
二月花形歌舞伎「GOEMON」(1)
二月花形歌舞伎「GOEMON」(2)

~第三回システィーナ歌舞伎「GOEMON 石川五右衛門」(1)
~第三回システィーナ歌舞伎「GOEMON 石川五右衛門」(2)
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壽 初春大歌舞伎 夜の部@松竹座

2013-01-06 | 観劇メモ(伝統芸能系)
公演名    壽 初春大歌舞伎 夜の部
劇場     松竹座
観劇日    2012年1月5日(土)16:00~20:20

「操り三番叟」(あやつりさんばそう)
「小栗栖の長兵衛」(おぐるすのちょうべえ)
「二代目市川猿翁 四代目市川猿之助 九代目市川中車
 襲名披露口上」
(こうじょう)
「三代猿之助四十八撰の内 義経千本桜」川連法眼館の場
 市川猿之助宙乗り狐六法相勤め申し候



昨年からの澤瀉屋さんの襲名披露公演がようやく大阪に。
そういえば南座の勘九郎さんにつづき、関西での襲名披露が
連続する。上方の役者さんたちも温かい言葉とお芝居でさらに
おめでたい舞台をがっつリもりたてている。



あいにく猿翁さんは体調不良とのことで夜の部にはお出ましに
ならず。やっぱりお目にかかれないのはひじょうに寂しい。
猿之助さんの狐忠信は感情表現が豊かで、可愛らしく、切なく。
また身体能力の高さもあり、最後の宙乗りまでずうっと惹き付
けられっぱなしだった。
この日もカーテンコールがあり、花道まで出て来てくださった。
客席全体を見渡す眼差しの温かさにキュウン。花道で一礼の後、
定式幕の前で再び一礼して幕の中へ。
最後にとても満たされた気持ちになった。

※続きの感想は書けたら書きます。
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初春文楽公演@国立文楽劇場(1月前半昼の部)

2013-01-06 | 観劇メモ(伝統芸能系)
松の内に文楽劇場に行くのは去年に続いて2回目。
今回はなんといっても住大夫さんの復帰がうれしい。
お声を聴くのは素浄瑠璃の会以来だから半年ぶり以上。
演目のほうはお正月にふさわしい「寿式三番叟」ほか全3演目。
私にとっては文楽では初めてのものばかりだったり、途中で
撒き手ぬぐいがあったりと、とっても楽しく過ごせた。
残りの演目は日をあらためて、また観劇します。



公演名    初春文楽公演
劇場     国立文楽劇場
観劇日    2013年1月5日(土)

「寿式三番叟」
演目紹介のあとズラズラ~と並んだ床上の技芸員さんたち。
その中央に住大夫さんのお顔を見つけ、ニッコリ。
客席からの拍手が波のように押し寄せてくる感じだ。
皆さん、待っておられたのですよ。うれしい拍手なんですよ。
出だしこそ慎重に大事にお声を出されているように感じたが、途中
からあの素敵なお声に戻られた。

新年を祝う「寿式三番叟」。
和生さんの翁、勘彌さんの千歳で格調高いはじまり。
やがて二人の三番叟になる。
一輔さんの遣う人形はマジメ顔(検非違使)で、幸助さんの人形は
ヘタレ顔(又平)。案の定、ヘタレ顔のほうが途中で笑わせてくれる。
もう一人が真面目に舞っているのをヨソに、舞台端っこでハァハァと
肩で息をしてサボるわ、扇で自分の顔をパタパタ仰ぐわ。
舞っていたほうが様子を見に来て、入れ替わりにこっちが扇で仰ぐ。
そんなコミカルな人形の動きにつられ、劇場も笑いで高揚してゆく。
「たらりたらりら・・・」のような語りも、なんだか面白い。
住大夫さんの復帰もあって、上品なおめでたさが立ちのぼる舞台。
けっこうでございました。

<自分メモ>気づいたことと疑問。
「悦びありや~ 悦びありや~」とゆっくり語るところ。
ゴスペルイン文楽『イエス・キリストの生涯』で聞いた英大夫さんの
「オ ハレルヤ オ ハレルヤ」を思い出した。
詞章の中の「アドの太夫殿」ってどういう人なんだろう?いや、どう
でもいいことだけど・・・。いつか能でも見てみたい。

30分休憩の後、撒き手ぬぐい。
席が端っこすぎて全然届かなかったけれど、楽しい時間♪


「義経千本桜」すしやの段
私には初めての演目でひじょうに楽しみだった。
切はこの日、源大夫さんが病気休演のため英大夫さんが代演。

歌舞伎とはちょっと違うはじまり。
「娘が漬けた鮓ならばなれがよかろ」ってことで村の男の人たちが
次々お鮓を買いにくる場面がある。
さすが鮓屋の娘、弥助に馴れるのも早い、早くも女房顔、みたいな
語りも面白い。これが歌舞伎になると、弥助に夫指南をする演出に
なるわけか。
紋壽さんのお里ちゃん、初々しさがあり、かわゆくて大胆だった。
人なつっこいけれど、決して姉さん女房気取りではない。
動きはあまり目立たないが品のある振舞の弥助(維盛)は玉女さん。

そんなま~ったりした雰囲気が突然ガラリと変わった。
権太の登場だ。
勘十郎さんが遣う権太、肩をいからせ、所作、動作のすべてがいか
にも荒くれ者という感じ。
玄関の戸を足で開けた瞬間、客席から笑いとどよめきが~!

いやー、前半は笑ったけれど、後半は涙涙。
もどりの場面。権太が自分の妻子に縄をかけた時の気持ちを語る件
ではあちこちからすすり泣きが聴こえてくる。
弥左衛門の夫婦が嫁と孫のことを嘆く場面も涙~~。
権太の最期。歌舞伎では役者さんの顔が幕切れまで見えていること
があるが、途中から前に倒れて伏せたまま終わる。

津駒大夫さんの梶原影時がひじょうに味わいがあった。いろんな声
の演じ分けがある場面でもあり、聞きごたえじゅうぶん。
文字久大夫さんは少し嗄れたお声にも味があり、最後までたっぷり
聞かせていただいた。

<自分メモ>
権太がもどりになるきっかけを今までずっと勘違いしていた。
歌舞伎で何度か見てわかっているつもりだったのに~。
桶の中の首を見た瞬間だと思ってたけれど、実は登場シーンからす
でにいいヤツになっていたのか~。
父親の身を案じて、維盛卿のことを探るために家に帰ったのだと。
権太の金の無心と嘘涙の場面は、親と観客を同時に欺いて見事な筋書
だと今頃気づいた次第。ハズカシー。

「増補大江山」戻り橋の段
渡辺綱が都で鬼退治をするというお話。
これも初めて観る演目で、とても新鮮。幻想的だし、派手な見せ場も
あってなかなか楽しめた。

舞台は照明を落として薄暗い。三味線の音も何やらそれっぽい。
いかにも何かが出そう、怖いことが起きそうな雰囲気だよ。
文司さんが綱。右弦太が紋臣さん、左弦太が玉勢さん。

舞台にスモークがかかり奈落から現れたのは一人の女。若菜という名。
女を遣う、楚々とした感じの清十郎さんの風情がいいなー。
仮名手本忠臣蔵のおかるの声がまだ耳に残っている呂勢大夫さんが
若菜の声だ。渡辺綱は三輪大夫さん。

若葉が綱に正体を見破られてぶっかえるところ、清十郎さんも人形と
いっしょにぶっかえる。衣装は雲の模様。
清十郎さんといえば襲名披露公演での早変りが今も印象に残っている
が、今回は若い娘から鬼への変化。
綱に腕を切り落とされる鬼。綱は追いかけて屋根の上に。
鬼は雲に乗ってぐんぐん空の上へ上がってゆく。(清十郎さんも鬼と
いっしょに上がってゆく。)

<自分メモ>
戻り橋って、あの安倍晴明とも関係ある一条戻り橋のことだろうか。
と思いながら観たのでますます不気味さが増した。
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吉例顔見世興行 昼の部@南座

2012-12-15 | 観劇メモ(伝統芸能系)
ツイッターより 

顔見世昼の部。マイ楽でした。「高綱」の我當さん、悔しさが愚
痴っぽくなく、今回はきっぱりの旅立ちと感じた。新悟さんの娘・
若妻ぶりがよかった。これからが楽しみ。最後にもっかい暴れる
姉さんにびっくり!

「梶原平三誉石切」今日は、役者も役者が聞かれなかった。あの
間ではムリだと思う。肚がほんとに見えない團十郎さんの梶原。
彌十郎さんと七之助さんの父娘が最後に花道で見せる笑顔にほっ
こり。

芝居の前に大薩摩のある「対面」は初めて見た。襲名披露の華や
かさ、艶やかさ、仁左衛門さん以下、役者さんたちの気概が伝わ
る舞台。勘九郎さんには力強さと、制御不能紙一重の危険な五郎
を感じた。

「郭文章」休憩中に夕霧を1個買って食べた。藤十郎さんと扇雀
さん二人のじゃらじゃらのシーン。もう自在という感じがする。
あほらし、と思ってしまうほど。あったかい気持ちになって劇場
を出た。
(12月15日)
南座顔見世。皆さん、いろいろと無理をなさっているのでしょう
ね。團十郎さん、15日の梶原ではお元気そうに見えたのに・・・
どうかお早い復帰を。(12月18日)


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吉例顔見世興行 夜の部@南座

2012-12-01 | 観劇メモ(伝統芸能系)
ツイッターより 

南座顔見世。今日は冒頭から別の意味で固唾をのんで見守った口上
でしたが、左團次さん、團十郎さん、仁左衛門さんのウィットある
エピソードで和やかな雰囲気に。勘九郎さんの挨拶の声がお父様
そっくり。中村屋兄弟の黄色の裃が若々しく爽やかでした。
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ひそやかに文楽が近づいてくる(気がする)。

2012-11-24 | 観劇メモ(伝統芸能系)
今年6月の文楽鑑賞教室、ぐらいからだろうか。
それまで苦手だった「菅原伝授手習鑑」が初めてつかめた。
感覚的に。ダイレクトに~♪
たぶん、1月に同演目の半通しを観劇したからだと思う。
歌舞伎の寺子屋を何度見てもいっこうにわからなかったのに。
自然に涙があふれて自分でもびっくりした。
そしたら急に文楽が前よりも身近に感じられるようになった。

10月に「酒屋万来文楽」(白鷹禄水苑)に誘っていただき、
間近で見聞きする「俊寛」がひじょうに面白かった。
三味線の鶴澤藤蔵さんのトークも新鮮で楽しかった。
ほろ酔い談義の際に初めて技芸員さんたちとお話しできる機会
があり、今までに味わったことのないすてきな時間だった。



そして今月。
文楽では初めての「通し狂言 仮名手本忠臣蔵」
発表されて以来、楽しみで楽しみで。
11月17日に一気に通し観劇した。
尾てい骨は痛くなったけれど、何もかもが楽しかったーーーっ!
あれ?あんなところから三味線の音が?
と~ざい、って言わないの?
で始まった大序。
文楽ビギナーとしては、大夫さんと三味線の人たちが次はどんな
ふうに登場するんだろう?と毎回チェックするのが面白くなって
しまった。(そこかいっ!)

四段目の塩谷判官切腹の段まではいろんな約束事がはりめぐらさ
れており、歌舞伎と比べて見てしまうところが多かったが、それ
以降、特に夜の部はカンペキに物語に没入。気がつくと体が熱く、
涙をぬぐっていた。
通し終えた時、ああこれって、文楽って、素晴しい音楽劇なんだ
な~と初めて感じた。
静かな泡立ちのような始まりから、突然の悲劇、切腹と腹切りの
フーガ。愛、嫉妬、未練、憎悪、情緒的だったり、艶っぽくなめ
らかに流れる場面もあれば、たたみかけるような場面もある。
残酷、理不尽、後悔、諦観・・・。
他人事ではないような、私たちにひじょうに身近な感情が湧いて
はダイナミックに何度もうねり、やがて鼓舞、成就へと移ってゆ
くあの感じ。

通しで見られたおかげでまた少しだけ文楽の面白さに近づいた気
がする。本当は段ごとの細かい部分も書くべきだろうけど、今回
は感覚的に忠臣蔵の人間ドラマを楽しめたことが何よりもウレシイ
ので、それで自分的にはヨシとする。

<仮名手本忠臣蔵観劇後の自分のツイートより>
仮名手本忠臣蔵、通しました。やっぱり通しはいいねー。流れが
わかってドラマチックやし、心奮い立つものがある。 何回か落
ちたけど文楽の忠臣蔵はええわぁ!

判官が切腹したあと、石堂が内蔵助に「言上せよ」と言った後、
語りもないのに下手の諸士の嗚咽が聞こえた気がする。思い思い
に城を見渡しゆっくり時間をかけて出てゆくところもよかった。
隅々まで目が離せない。

七段目、梯子を下りるおかるが可愛らしいやら可笑しいやら。
後ろ向きの着物の裾の揺れ方がたまりませんでしたわ。

一部は歌舞伎との比較で目移りしてしまったけれど、二部、特に
山科閑居の段では話に没入できた。嶋大夫さんから呂勢大夫さん
への流れに身を委ねながら文楽ってダイナミックな音楽劇やな~
と初めて感じた。

言葉がいいよねー。へつらひ武士に対する、狼狽(うろたえ)武士。
回向念仏は恋無常、なんて古都観光のキャッチコピーみたい。そこ
にハマる人形たちのドラマチックな動き、絵面。素敵な舞台でした。

<ツイート追記>
いまから七段目を幕見します!

ひゃー、七段目すごかったです。せき上げせき上げ。魔王め。シテ
コイナ。感情の起伏の激しい場面、たっぷり聞かせていただきまし
た。最後まで見たかったけれど明朝早いのでこれにて。

コメント (2)
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永楽館歌舞伎「実録忠臣蔵」

2012-11-17 | 観劇メモ(伝統芸能系)



去年は永楽館ー新大阪間のバスの便がバージョンアップした。
さらに今年は助成金が出たため、バス料金が値下がりした。
ここまでされては行かない理由が見つからないノダ(笑)。
今回は好天に恵まれたうえ渋滞もほとんどなく、劇場に到着した
のが開演の1時間前! すっごい余裕だよ~。
劇場でサンドイッチを予約して、観劇前に朝からみんなでカフェ
やビアを楽しむなんて、ワタシ的永楽館観劇史上初めての経験
だった。

お芝居のほうは、大石りくさんの故郷で見る忠臣蔵「大石妻子
別れの場」に涙し、本水をつかった「鯉つかみ」に大興奮♪
初見の演目2つが新鮮で、永楽館名物の長~い口上も初日か
ら笑わされっぱなし。今年も気持のいい観劇旅となりました。



観劇日    2012年11月4日(日)昼の部・夜の部
劇場     出石永楽館
座席     1階 昼:桟敷席 夜:椅子席

一、実録忠臣蔵(じつろくちゅうしんぐら)
大石妻子別れの場


大石内蔵助:愛之助  妻 りく:壱太郎
大石主税:種之助 大石大三郎:吉太朗
寺坂吉右衛門:薪車  母 千壽:吉弥

時は元禄の頃。赤穂藩主・浅野内匠頭が江戸城松の廊下で吉良
上野之介に刃傷におよび、即日切腹を言い渡されてから数か月
が過ぎた。残された家臣を束ねる立場にある赤穂藩国家老、
大石内蔵助は城を明け渡し、家族とともに京都の山科に移り住ん
でいる。家中に吉良上野之介への仇討ちの気運が高まるなか、
肝心要の内蔵之助は連夜の廓通いで放蕩三昧。そんな様子を恥
じて、妻のりくや母の千壽(せんじゅ)が意見しても、内蔵助
は聞く耳を持たず家族の溝は深まるばかり。そして、とうとう
その日はやってくる...。
(公式サイトより)

いやー、仮名手本、元禄のほかに実録忠臣蔵があるとはねー。
「大石妻子別れの場」は仮名手本では九段目にあたる場面とか。
(見たことないけど。)
永楽館バージョンでは愛太夫さんの義太夫付きで、熱~くてしっ
とり重みのある芝居になっていた。
後から思い出して驚いたのは大石家の三男を演じた男の子。
2年前に愛之助さんが出たTV番組『よ~いドン!』で「となりの
人間国宝さん」に認定された歌舞伎役者志望の少年、井田一誓
くんだった。(どういう経緯で出演が決まったのかな。)
吉太朗くんと二人、仲のいい兄弟っぷりがやたら可愛らしくて。
二人の健気な演技が別れの場をいっそう盛り上げていた。



幕があくと、庭先で子ども二人が剣術の稽古中。
次男の吉千代役は吉太朗くん、三男の大三郎は井田くん。
傍らに控えているのは下男の寺坂吉右衛門、薪車さん。
(胸元の紋は吉右衛門の「吉」の字。大石家に仕え、子息らを
見守り支える誠実な男の役どころが薪車さん、ハマっている。) 
弟たちに稽古をつけているのは大石主税、種之助さん。
(ここでは弟たちの面倒を見るしっかり者の兄の顔だ。)

腰元のお梅(千壽郎さん)の不審な動きを目撃した吉右衛門、
お梅に言い寄るフリをして握った手の感触で女の正体を見抜く。
吉右衛門、GJ! が、そのまま様子見。
千壽郎さんは吉良家の間者としての気遣い、取りつくろう様子
等、いつもの華やかさを封印した演技が新鮮に映った。

大石内蔵助が酔ってうたた寝中。
ここに江戸表からの書状を持って主税が駆け込んでくる。
扇が倒れて愛之助さんの顔が見え、拍手拍手~。
内蔵助が扇で顔を隠して横になっているところ、書状を捨て置け
と破り捨てるところ等、仮名手本の七段目とよく似た演出。
愛之助さんはお酒がらみのお芝居がうまいなと思う。

ここへ妻のりく(壱太郎さん)と母の千壽(吉弥さん)がやって
きて、内蔵助を責め立てる。
内蔵助の放埒ぶりは世を欺く姿で、家族に対してものらりくらり。

壱太郎さんは口上で「去年は初めて愛之助さんの妻になり、今年
は3人の子持ちになりました」と笑わせてくれたが、りくは前回
の引窓の初々しい妻とは立場が違う。(8月に薪車さんの会で演
じた、夫への未練たっぷりなお軽とももちろん違う。)
今回は分別ある妻、母としての強さを持った大人の女という感じ
がよく出ていた。にしても、りくさん。自分から先に離縁を口に
するとはビックリ!(あれは本心じゃなかったのか・・・。)
吉弥さんの千壽は武家の女の意地と誇りを感じさせてくれる。

母からは「大義を忘れ遊興三昧とはナサケナイ」と位牌で頭を
打ち据えられ、妻からは「世間に合わす顔がないから離縁してほ
しい」と迫られる内蔵助は実にあわれ~~&イイトコなし。
と思いきや「すぐに離縁状を書こう」と答える内蔵助。
吉右衛門が内蔵助を引き止めようとすると、怒り返す始末。
(あとで吉右衛門と主税だけには本心を明かすようだ。)

そんななか主税だけは母について行かず、父の側に残るという。
りくに理由を聞かれても、お父さんといっしょに遊興三昧する
のかとおばあさんに言われても、本当の事が言えず、ひたすら
耐える主税。父親と違って欺く芝居ができないもんねー。

種之助さんの八の字眉、半べそ顔。小刻みにふるえ続ける右手。
いやん、きゅううううん。オバサンまいりました。
今回上方チームに江戸からただ一人参加しただけあって、これは
種之助さんあってのお芝居だと思った。もう主税にしか見えない。
おばあさんに見限られたときのあのショックを受けた顔。この子
は本当におばあさんのことが大好きなんだと思わせてくれた。
(おばあさんにだけは本心を!と父に願い出るところが切ない。)

何も知らない弟二人が「お父上もいっしょに行きましょう」と
言うのも泣かせます~。
ついに旅立つ、りく、千壽、吉千代、大三郎の4人。
(本当の事を知らずに去らねばならないのだ。)
お供するのは吉右衛門。
玄関の柱に巻き付く主税。体と心がバラバラ。
母や祖母について行きたげに上半身を乗り出して後ろ姿を見送る
様子に涙、涙。
花道の4人も何度も何度も振り返る。弟二人が兄のところに行こ
うとするので、吉右衛門が必死に両手で押し返そうとする場面に
またまた涙。

ふと上手を見る。ええ~っ。
主税に思いっきり気をとられている間に、内蔵助も耐えに耐えて
いたようだ。(わわ、ごめんなさい~。)
愛之助さんの頬を伝う本物涙に、またまたまたまた涙。

家族に本当のことがわかるのはずっとずっと先のこと。
初日の昼、一番最初の舞台から泣かされてしまいました。

初日のこの日は「鯉つかみ」の監修をされた我當さんや、シス
ティーナ歌舞伎で合流する藤間勘十郎さん、種之助さんのお兄
さまの歌昇さんらを劇場でお見かけして、嬉しかった。
豊岡市長さんのお誕生日でもあったらしく、口上では舞台の上
から出演者がバースデーソングを歌うという珍しい出来事も
あった。

・・・・・・・
ひゃー、このペースで書いてたら「鯉つかみ」にたどりつきそう
にないよー。とーっても楽しかった!とだけ書いておこう。
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永楽館にいったよー!(の写真)

2012-11-09 | 観劇メモ(伝統芸能系)
今日はもう千穐楽なんですよね。永楽館歌舞伎。
初日に行ってきました。
・・・・・・が、ちょっと体調をこわして帰宅したその夜から寝込んで
しまったこともあり、今なお何もアップできずにいます。

ともあれ「行ったよ!」という証拠、アリバイ写真(笑)。
鯉つかみで大暴れ。大奮闘して元気に花道を駆け抜けていった
金太郎さんみたいな愛之助さんの形跡をとりいそぎ(いそぎと
チャウやん~)アップしておきます。

鯉つかみ永楽館バージョン 本邦初公開の跡
11月4日(日)昼の部 終演直後の花道







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永楽館歌舞伎@出石永楽館

2012-11-04 | 観劇メモ(伝統芸能系)
font color="#333333">ツイッターより 

永楽館歌舞伎。どちらもまったく初めての演目ですっごく新鮮!
実録忠臣蔵は種之助くんの主税にやられました。りくさんの地元
で見る別れの場面。いつも受け身で描かれているりくの強い意志
にビックリ。義太夫仕立ての演出もとてもよかったです。(実録
忠臣蔵)
鯉つかみ。めちゃめちゃ盛り上がります。驚きと笑いと応援とで
劇場内温度が一気に5度位アップする感じ。愛之助さんも壱太郎
さんも忠臣蔵とは全然違う雰囲気。特にらぶりん的には久々(ご
めん)の萌えキャラにうっとりでした。(鯉つかみ)
前に本水を使って鯉つかみを演じられたのが我當さんだそうで、
我當さんも劇場に来られていました。(鯉つかみ)


●関連記事(このブログ内)
永楽館歌舞伎「実録忠臣蔵」


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酒屋万来文楽@白鷹禄水苑

2012-10-27 | 観劇メモ(伝統芸能系)
ツイッターより 

酒屋万来文楽、初参加だったけどすんご~い楽しかった!いろんな
お話も聞けたし、来月の仮名手本忠臣蔵も楽しみで~す。ほろよい
下戸。

●関連記事(このブログ内)
ひそやかに文楽が近づいてくる(気がする)。


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六代目中村勘九郎襲名披露 九月大歌舞伎 昼の部・夜の部@松竹座

2012-09-08 | 観劇メモ(伝統芸能系)
ツイッターより 

なんでこんなに渡世ものにヨワいんやろ。もうぐじゅぐじゅ。人前あ
るかれへん!
一本刀土俵入りもよかった。瞼の母もよかった。言い方へんやけど、
渡世人やってもまっすぐなとこがたまらんよさやね。勘九郎さん。
目ショボショボ、瞼のハレ。ハズカシすぎる。このまま夜の部突入。
うつむいて劇場に入ろう。(8日昼の部)
女暫とっても面白かった。玉三郎さん、楽しいっ。引っ込みでは三升
の御紋をだらりの帯のように結んであるんやね。(8日夜の部)

瞼の母。皆さん、2週間前よりもさらに細やかなお芝居をされてて、
2つの家族、それぞれの対比が見応えありました。(22日昼の部)





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