星月夜に逢えたら

[hoshizukiyo ni aetara] 古都散策や仏像、文楽、DEAN FUJIOKAさんのことなどを・・・。 

四代目楳茂都流家元披露舞踊公演(1)

2009-03-03 | 観劇メモ(伝統芸能系)
おめでたい公演のこの日。
前日、体調がヘンだったのは花粉症のせいかも、と今度は鼻炎の薬を
飲んで出かけたところ、これがキョーレツに効いてしまった!
というワケで、即日完売の家元披露公演はまどろみの中での観劇に。
そうそう、今回は扇性さんとお呼びしなくては。
ちなみに家元としては四代目だが、三代目家元は楳茂都陸平さんだっ
たため、扇性という名では三代目になるようだ。(プチメモ♪)

公演名    四代目楳茂都流家元披露舞踊公演
劇場     大阪松竹座
観劇日    2009年3月1日(日)
座席     1階



劇場に着くと、予想通り観客の大半が着物姿の女性。
特に1階席には舞妓さん、芸妓さんほか花街の方たちが多くいらしたよ
うで、いかにもおめでたい公演にふさわしいはんなりした雰囲気を醸し
ておられた。
踊りの世界とは無縁の私だけど、こういう晴れやかな公演に来られただ
けで心が高揚する。

<公演プログラムより>
構成としては、前半は楳茂都流のお弟子さんたちが出演。
後半は他の流派の家元や舞踊家の人たちと、扇性さんご本人が登場。
歌舞伎のような襲名披露の口上といったものはなく、次の演目と出演者
が紹介されるだけのシンプルな進行だった。

長唄 老松      楳茂都梅咲
長唄 楳茂都流春秋  楳茂都梅若児 楳茂都梅琴児 楳茂都梅季児
上方唄 浪花音頭   茂都梅咲弥
地唄 鐘ヶ岬     楳茂都梅英
地唄 ゆき      楳茂都梅加

地唄 都十二月    楳茂都扇性  
長唄 猩々      若柳吉蔵(特別出演) 若柳吉金吾(特別出演)
地唄 蓬莱      山村若(特別出演)
地唄 由縁の月    井上八千代(特別出演)
地唄 荒れ鼠     楳茂都扇性  山村若  若柳吉蔵  
           藤間豊宏  藤間勘世 吉村古ゆう
           花柳源九郎


<楳茂都流の演目>
プログラムによれば、楳茂都流の人たちが披露したのは・・・
ご祝儀ものの代表的な曲「老松」、清水寺をバックに大振袖の3人の女
性が華やかに舞う「楳茂都流春秋」、雪月花の三番構成で北浜、住吉浦、
桜之宮の風景を描いた「浪花音頭」、京鹿子娘道成寺を地唄に作りかえ
「鐘ケ岬」、地唄の名曲で雪の合方が歌舞伎の下座音楽にも使われて
いる「ゆき」の5演目。
楳茂都流の舞は2007年の公演でも見ているはずなのに、立て続けに見る
と、やはりとまどってしまう。
3階席からでも決めポーズがわかる歌舞伎舞踊と違って、上方舞は素人
目には、区切りのないゆるやかな動きの連続に見えることが多い。
ゆったりと雅びな振り、艶っぽい目の動き、切ないほど心に響く三味線
や胡弓の音、情景が目に浮かんでくる地唄、長唄の歌詞と曲調。
それらが渾然一体となった世界で遊んでいるうちに、鼻炎薬との相乗効
果で、いつのまにやら、ゆめとうつつを行ったり来たり・・・。
きゃ、すみませーん!!
だって、ことのほか心地よかったんですから♪

20分の休憩をはさんで、いよいよ扇性さんがご出演。
気分リフレッシュしておめめもパッチリだ。

<地唄 都十二月>
出演/四代目 楳茂都扇性


京の1年間の年中行事と風物、人物を軽妙に踊り分けるというもの。
1月から始まって12月まで、順番にイロイロ出てくる。
先代の家元を偲ぶ2007年の公演では、山村若さんが踊られた演目。
私の印象としては、歌舞伎の和事に通じる細やかな振付や、ユーモラス
な動きを取り入れた表現が楽しく、扇子の使い方など落語を見ているよ
うに面白かった。以下、ちょっとだけレポを。

幕があがると、扇性さんが舞台中央で手をつき深々と座礼している。
素顔に近いメイクで、藍色がかった紋付に白っぽい袴。
ウェイビーな髪には清潔感に混じってほのかな色気が♪
舞台では久しく白塗りの顔しか見てないからだろうか。
それとも紋付袴という衣装のせいだろうか。
私の席からは数人の垣根越しに左横顔しか見えないけれど、そのビジュ
アルの凛としてまぶしいこと。新鮮なこと。
あれ、このひとってこんなにきれいな顔だったっけと、またまた見惚れ
てしまう。(はい、ただのアホですね~。)
「楳茂都流を学んだことのない私を温かく迎えてくださった一門の思い
に応えられますよう、精進して参る所存にございます。」
公演プログラムの扇性さんの挨拶にはこう書かれていた。
その一念が、きっとこういう顔つきにさせるのだろうと思う。

振付はほとんど忘れてしまったが、印象に残った部分を少し・・・。
獅子舞のようなお囃子が聞こえ、コミカルな格好のちょろけんや万歳な
ど、新春を寿ぐ芸人たちの様子を面白おかしく見せていた。
稲荷山の白狐では、小さく開いた扇の要部分が狐の口になる。
見世物小屋のろくろ首では、扇を使って長い首を表現していたり。
突き刺そうとしてもなかなか突き刺せないのは、どじょう。
腰を曲げておじいさんの格好なんかもする。
面白いなあと思い、しっかり味わっているうちに12月が来てしまった。
踊りのことはよくわからないけど、扇性さんは落ち着いていて、動き
もきれいだった。もっと見たかったなー。
終わってすぐ、客席からひときわ大きな拍手が贈られていた。
前回拝見した演目がかなり歌舞伎っぽかったので、今回は二世楳茂都
扇性さんが振付された伝統的な踊りが見られたことがうれしかった。

あれっ? ことのほか長文になりそうな予感(笑)。
今回は携帯の充電を忘れて出かけ、メモすらとれなかったのに。
ナント(2)に続きますーーーっ。


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2 コメント

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ありがとうございます~! (ちづる)
2009-03-04 00:01:33
こんなに詳細に・・・(涙)
紋付袴、大好物です!(笑)
ムンパリさんのレポにすっかり引き込まれました。
荒れ鼠、見てみたいです。。。

>あれ、このひとってこんなにきれいな顔だったっけと
素踊りということで、愛之助さんの今度のことにかける思いを、ムンパリさんはストレートに感じ取られたのですね。
美しい横顔が目に浮かぶようです~。
ありがとうございますm(__)m
返信する
紋付袴♪♪♪ (ムンパリ)
2009-03-04 01:34:13
ちづるさん、長文をお読み頂きありがとうございます。
先日、直吉さんの横顔を見られたばかりのちづるさん。
そうです、頭の中で紋付袴に変換してください~♪(笑)

ご自分の披露公演ですからね。
当たり前といえば当たり前なんですが、舞台の上で堂々として
とても引き締まったお顔の扇性さん。
歌舞伎ではあまり見慣れない動きもご自分のものにされていて、
もう、与兵衛や直吉や保昌のかけらも見えませんでした。
紋付袴、素敵♪

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