公演名 第二十六回 四国こんぴら歌舞伎大芝居
観劇日 2010年4月24日(土) 11時00分開演
座席 1階
先日アップした「義賢最期」のつづき。
昼の部は合わせて3演目。
二、棒しばり(ぼうしばり)
次郎冠者:中村翫雀 曽根松兵衛:中村亀鶴
太郎冠者:片岡愛之助
狂言の『棒縛』を素材にした松羽目物の人気舞踊。
酒には目がない次郎冠者と太郎冠者。主人の曽根松兵衛は外出中に盗
み飲みされぬようにと、次郎冠者には六尺の棒を担がせ、太郎冠者に
は後ろ手を組ませたままで、二人の両手を縛り出かけていく。さて両
手が不自由となった二人がいかにして酒にありつくか・・・
(公式サイト「歌舞伎美人」より部分引用)
食事休憩をはさんでの演目。
義賢が倒れてから20~30分後。亀鶴さんに続いて現れた愛之助さんの
お顔を見てフニャア~となってしまった・・・。
義賢はもうどこにもいない!(アタリマエ~。)
その代わり、下がり眉のすご~く可愛らしい太郎冠者くんがいた♪
こっちまで目尻が下がってくる。
「棒しばり」は私には初見。
でも、舞踊のことがよくわからなくてもすご~く楽しめた。
昨年の連獅子チ-ム、翫雀さんと愛之助さんは息がぴったり合って掛
け合いの間もよく、気持ちよく笑わせていただいた。
翫雀さん。特にこういうコミカルな演目では、表情や体全体から可笑
しみが醸し出されて思わず見入ってしまう。(NINAGAWA十二夜の英竹
とか、助六の通人も同じく。)
愛之助さん。とにかくお酒が好き!という雰囲気が表情からにじみ出
て、飲めば飲むほどだんだん上機嫌になってゆくその変化が楽しい♪
終始ニコニコ顔の太郎冠者にうひひひぃ~な私であった。
以下、覚えている部分だけ(汗・・・)。
曽根松兵衛と太郎冠者、二人で次郎冠者を懲らしめる相談。
太郎冠者は心得た、と最上の方法を提案する。
亀鶴さんの松兵衛はえらいお人らしい雰囲気がよく出ている。
最初に踊りを披露するのは松兵衛だ。きれいな安心感のある舞。
次に次郎冠者が棒術を披露。
武術のはずなのに途中で面白い振付けが入るんだけど、長い棒を麺棒
にして生地をのばす手つきに特にウケていたのは、讃岐うどんの土地
柄ゆえか(笑)。
で、次郎冠者が棒を頭の後ろに回して左右一文字になった時、松兵衛
と太郎冠者が手を棒にしばりつけてしまう。
えっ、というカンジの次郎冠者。それを見て笑う太郎冠者が手を後ろ
に回した瞬間にこんどは太郎冠者も両手をしばられてしまう。
松兵衛、得意げな表情♪
では出かけてくるぞ、うひひひ~と笑いながら引っ込む松兵衛に客席
も大笑い!この「うひひひ」が効いて場内の期待感がグッと増す。
亀鶴さん、絶妙♪
ハメたつもりが自分までたばかられた~と、ションボリな太郎冠者。
が、すぐ気をとり直し、お酒を盗み飲みしようと手をしばられたまま
二人で酒蔵にやってくる。
言い出すのは太郎冠者で、ついてゆくのは次郎冠者という感じ。
最初は飲み方を探りながら、やがてコツを覚えグビグビと。しまいに
はガバガバ、いつのまにか酒宴になってゆく。
翫雀さん、太郎冠者が飲むときに立ったまま器用に足で支えてあげて
いた。その細かい気配りにクスクス笑いが起きる。
一人で踊るときに、縛られた片手で扇を投げてもう片方で受け取る振
付けがあり、うまくいった!ここで拍手~。
愛之助さんは足を使った振付けが多く、これまた身体能力を試されそ
うな踊りだった。その場で飛び上がってしりもちをつく「ぎば」もあ
り、なんでこんな痛そうなことばっかり?と思ってしまう(笑)。
次郎冠者が踊っている時に、後ろでハイペースに飲んでいる太郎冠者
が面白かった。大きな杯に首を突っ込んで頭を横にフリフリ飲むポー
ズが可愛い~!!(贔屓ですから♪)
二人で連れ舞いになり、いい気分になっているところへ松兵衛が戻っ
てきてコラ!となり、逃げてゆく二人・・・
みたいな終わりだったかと・・・。(もう記憶があやしい。)
三、澤瀉十種の内 浮世風呂(うきよぶろ)
三助政吉:市川亀治郎 なめくじ:中村壱太郎
木村富子作、杵屋佐吉作曲による長唄の舞踊。昭和12年(1937)に二
世市川猿之助(初代猿翁)が歌舞伎座で初演した。猿翁が独自の演出
をほどこした舞踊十曲を集めた「澤瀉十種の内」のひとつ。
喜のし湯の三助政吉が桶を運んだり、湯加減をみたり、客の背中を流
したり忙しくしているところへいつの間にやら現れたなめくじ。三助
のそばに寄り添い口説き始めるなめくじに三助はびっくり。
小粋な三助の姿の亀治郎に、壱太郎扮する艶っぽいなめくじの奇想天
外な色模様を江戸の湯屋の風俗とともに楽しむ。
(公式サイト「歌舞伎美人」よりほぼ引用)
あまりに不思議な踊りなのでポカンとみとれていて、内容はほとんど
覚えていない。
私なんかがわかるものではないけれど、三助政吉を演じる亀治郎さん
の・・・なんていうんだろう、力みのないユーモラスで滑らかな動き
に感心しながらただただ見ていた。
それにしても亀治郎さん、以前テレビドラマで秀吉を演じたときにも
思ったけれど、足がほっそりしてきれい~。ていうか華奢!三助さん
はきっと力仕事だろうからそこだけが違和感といえば違和感だった。
でも、それも途中からどうでもよくなった。
だって楽しいもん!
スッポンから登場したなめくじの壱太郎さん。
今まで見たことない扮装が新鮮!
「なめくじ」とひらがなで描かれた着物とか、角のついた頭が可笑し
いやら。可愛いやら。一所懸命口説こうとしている姿がいじらしい。
花道で政吉に塩をかけられスッポンに消えてゆくのは可哀想だけど
笑ってしまいました~。
それにしてもなんでこんな踊りを思いついたんだろう???
浮世風呂だし、江戸の粋というか、大人の洒落というか、きっとそう
いうものなんだろうなと思いつつ、「?」がいっぱい思い浮かんだ
状態でヘラヘラ笑いながら見ていたら終わってしまった。
いやあ、インパクトありすぎ!
楽しくてキョーレツな印象の舞踊だった。
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