星月夜に逢えたら

[hoshizukiyo ni aetara] 古都散策や仏像、文楽、DEAN FUJIOKAさんのことなどを・・・。 

承天閣美術館「伊藤若冲名宝展」と境内散策。

2014-09-29 | ミュージアム・企画展
9月6日、この日も雨だった。

若冲作の鹿苑寺大書院旧障壁画。
今回は常設以外の襖絵も初めてまとまった形で見ることができた。
これらは若冲が無名時代に手がけた仕事で、自分の精神的支えであった
相國寺の大典禅師のために描いたもの。キャリアわずか4年の画家に
重要な部屋の50面の障壁画をまかせた大典禅師という人の眼力も凄い。



大書院のレイアウトを確認しながら、どんな空間になっているのかを
想像して、絵を見てゆく作業は楽しかった。
>> 配置図はコチラ
葡萄小禽図の小鳥と呼応するように描かれた、葡萄図のもう一羽の鳥。
あるいは、ほとんど下部にしか絵のない襖も、部屋全体で見ると意味
のある余白になっていたり。

障壁画のうち「月夜芭蕉図床貼付」は常設になっている。
最初に見たとき、風を感じ、芭蕉の葉ずれの音まで聴こえた気がした
のに、今回その絵の前でじっと立ち止まって見てもいっこうに音が
聴こえない。むしろ月の光に照らされてひじょうに穏やかだった。
もう自分は無感動になってしまったのだろうかと心配していたら、
今回つけられていた解説文を読んで、むしろ静かな絵なのだと思った。
芭蕉は人間にたとえることができ、月光は仏様の慈悲や智慧を表した
ものであるという。つまり、ひじょうに宗教的な絵だった。
前に見たときは大勢の見物客がいて混雑と熱気の中で苦労して見た
ので心がザワザワしたのかもしれない。
同じ絵でも環境、自分の気持ち次第で印象が変わることを再認識!
大典禅師の影響を受け、宗教的な視点で描かれた絵は他にもあり、
二羽の鶴が「阿吽の鶴」になっていたのが特に印象的。



障壁画以外には、釈迦如来像・文殊菩薩像・普賢菩薩像、芦雁図、
鳥図、芭蕉小禽図、菊虫図、菊花図、立鶴図、伏見人形遊女と布袋、
亀図ほか。鳳凰石竹図(林良)を模写したという鳳凰図もあり、二つ
の絵が並んで展示されていた。

前回の若冲展は動植綵絵(宮内庁所蔵)と釈迦如来像・文殊菩薩像、
普賢菩薩像が再会、一堂に会するという話題性で大行列だったが、
今回は動植綵絵がなく、待たされることもなくゆったり見られた。
若冲のあと、相國寺の法堂は前に拝観させてもらったので、小雨の
なか境内を隅々までゆっくり散策。



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