星月夜に逢えたら

[hoshizukiyo ni aetara] 古都散策や仏像、文楽、DEAN FUJIOKAさんのことなどを・・・。 

夢の仲蔵千本桜  □観劇メモ

2005-09-26 | 観劇メモ(伝統芸能系)
 公演名 夢の仲蔵千本桜
 劇場 松竹座
 観劇日 2005年9月24日(土) 11:30開演 休憩30分


○観劇を決めた理由
・キャスト(市川染五郎さん)
・チラシ等の「演劇としての歌舞伎」という言葉に親近感を感じた。
(チケット代も演劇価格だった♪)
○座席
最前列・花道の左サイド




芝居の構成など
話は江戸時代。主要な配役は二人の歌舞伎役者、仲蔵(なかぞう=松本幸四郎)と此蔵(このぞう=市川染五郎)。
演劇ではいわゆるバックステージものと言われるジャンルらしい。構成が凝っていた。ストーリー進行に直接関わるのは、楽屋で繰り広げられる役者たちや関係者たちのやりとり。その役者たちが演じる劇中劇として、本物の歌舞伎の演目が披露される。

茶巾寿司な味
いやー、これほど楽しめるとは思わなかった。事情がゆるすならもう一度観たかった。「演劇としての歌舞伎」という卵の包みをほどいてみたら、豪華素材のちらし寿司が入っていた感じ。事件に向かって進んでゆくサスペンスタッチのストーリーがシャリで、歌舞伎の部分がリッチな具。劇中劇とはいっても「義経千本桜」のクライマックスシーンを時間をかけてきちんと見せてくれるところがメチャメチャおいしい。お芝居も歌舞伎もダブルで楽しめて、そのうえ舞台装置の構造までよくわかる。歌舞伎シロウトの私にはとても贅沢な作品だった。

舞台のラスト近く、此蔵が自らの素性と思いを仲蔵に明かすシーン。台詞が途中から(歌舞伎の知識がないので断定はできないが、たぶん)千本桜の台詞に入れ替わっているのだと思う。それを聞きながら、此蔵の横で大仰に肩を振るわせて泣く仲蔵。此蔵の心情を歌舞伎の台詞に乗せて一気に語らせるところで涙が止まらなかった。このときは逆に、二人の歌舞伎役者による「歌舞伎としての演劇」を存分に楽しませてもらったような気がする。

今回は歌舞伎に関してだけ事前に予習をしていった。TVでやっていた歌舞伎教室の「義経千本桜」をチェック。猿之助さんと右近さんが舞台装置の仕掛けを見せながら解説されていて、これもなかなか面白い。あとはネットで見つけた「義経千本桜」のあらすじと見せ場()についての解説がとても役に立った。楽屋での役者たちの会話、なぜその役にこだわるのか等についても納得できたし。

狐のコミカルな動きや宙乗りが見せ場の「川連法眼館」のシーンや、平知盛がイカリを持ち上げて仁王立ちする「渡海屋 大物浦」のシーンほか。(このイカリのシーンは、ちょうど先日のNHK大河で阿部ちゃん扮する知盛がやってましたー!!)

市川染五郎さん
激しい動きをした時の着物の裾さばきがウツクシ~!!と、新感線のアオドクロを観て感嘆。一人だけ歌舞伎役者が出てるんだから目立つのは当然なんだけど。今回は照明があたってキラキラ光る横顔がとてもきれいだった。怒っている顔が憂い顔だったりするのもこの人の魅力なんだろうなと思った。
もし新感線の作品(舞台と映画)や「野田版研辰の討たれ」で染五郎さんを観なかったら、この公演を観ることもなかっただろう。これからも歌舞伎と外の世界をかき混ぜながら、面白みのある役者さんでいてほしい。


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