観劇日 2010年7月25(日) 夜の部
劇場 松竹座
座席 1階7列
双蝶々曲輪日記
2回目はストーリーをおさらいしながら、人の関係とか感情の動きを見る
ことができたように思う。
「井筒屋」の場面は事件の発端でもあり、やっぱり面白い。
まず、相撲取りとご贔屓の関係に興味ひかれる。
これがいわゆる谷町というものなのか。
濡髪長五郎も放駒長吉も、自分のご贔屓のために、郭まで身請けの金を届
けに行ったりしている。日頃からかなりベタベタな関係のようだ。
ご贔屓どうしの争いが元で、長五郎と長吉が代理喧嘩をするくらい。
濡髪長五郎の殺人は偶発的だけれど、贔屓とのそんな関係が引き起こした
悲劇であることがよく見えるのが、この「井筒屋」と「難波裏」の場だ。
与五郎は濡髪の大ファンで、一方、濡髪は与五郎のお世話をする。
愛之助さんの与五郎と、染五郎さんの濡髪。
二人のふるまいを見ていると、お互いの信頼関係はかなり厚そう♪
事件の発端に話を戻す。
与五郎が小指に布を巻いて井筒屋に飛び込んでくる。見ると、布は血で染
まっている。
そのとき井筒屋にいたのは、与兵衛の馴染みの遊女、都だった。
与五郎の話では、与兵衛と連れ立って井筒屋近くまでやってきたが、男た
ちに絡まれ、争ううちに与五郎はその一人に指を喰いちぎられた。
与兵衛はそれを救おうとして、男を斬り殺してしまったのだという。
(与兵衛は話に登場するだけ。愛之助さんの与五郎は指をおさえたまま、
高い声でアタフタ慌てている状態。)
しぇ~とオドロク都。しかしひとまず与五郎を匿う。
(これは与五郎のためじゃなく、ひとえに、自分の恋人の与兵衛を殺人犯
にさせまいとしたからなのね~。)
巷では小指を喰いちぎられた者が下手人に違いない、という噂。
都は横恋慕で自分を身請けしようとする権九郎に、自分への心中立ての証
しに小指を切り落としてほしいと迫る。しぶしぶ切り落とす権九郎。
うまい具合に役人が来て、つかまったのは権九郎。
(つかまる時、都も吾妻も逆方向に体を向けて、知らんぷりしてた!)
春猿さんの吾妻と愛之助さんの与五郎が、二人して柔らかな雰囲気を醸し
ていて、とってもいい雰囲気になっていた。明るいうちから積極的に誘う
吾妻と、たじたじの与五郎に笑いが起きていた。
「米屋」の場では、長吉の姉おせきと長吉の、二人っきりのきょうだいの
話にしんみり、あったかい気持ちにさせられる。
吉弥さん、また髪かざりの色が変わっていて、すごくお洒落だったよ。
喧嘩っ早い弟に、喧嘩をやめさせるための一芝居をうつ、姉のおせき。
喧嘩はもうやめると誓う長吉。濡髪と兄弟の固めの盃を交わす。
静かに、言葉少なに話す濡髪の染五郎さん、なんだか大関の貫禄♪
講中の妙林さんが「わたしがもう20年若かったら~(はぁと)」と
しつこく濡髪を見つめるのもナットク(笑)。
「難波裏」の場では、吾妻を救い出すために濡髪が出かけてゆく。
与五郎の大事な人を救い出した後、騙し討ちされるところを、逆に相手
の男二人を殺めてしまった濡髪。
(ほんとにアッと言う間の出来事で、カワイそう。正当防衛?)
与五郎もやってきて、腹を斬ろうとする濡髪を引き止める。
(小指には赤い布をリボンみたいに可愛く結んでいる与五郎♪ マニキュ
アをしているのか、爪の色が白い手に映えてとてもきれいだった。)
もうここにはいられない。おさらば、と去ってゆく濡髪。
ああ、やっぱり、与五郎のためにこんなことになって・・・。
(去ってゆく濡髪に、両手を合わせた与五郎、「すみません」と何度も
言っている口の動きが見えた。)
「引窓」の場は、喜びと悲しみが入り交じった涙涙のお話。
竹三郎さん、ほんまに何回みても泣ける。
下手人の人相書きを買わせてほしいと、母が貯めていた永代供養の金子
をバラバラと並べて差し出すところ、涙ガガガーーーッ、である。
手水鉢の水鏡に映った顔。そして人相書き。
もうパーフェクトにすべてを悟った与兵衛の顔。
さっきまで役人になれたとニコニコ顔だったのに、この苦しみは!
なんで言ってくれなかったのか、と母に言った時、この二人は本当の
親子になれたのかもしれない。
同じ人殺しでも、相手が悪人だったことから無罪放免となった与兵衛。
その話と自分の境遇の違いを静かに嘆く濡髪のあきらめ顔が印象的。
濡髪、捕えた!だっけ?
髪を剃っても消えないのは高頬のホクロ。路銀を投げつけて・・・
そんなんで落ちるんかいっ!とツッコム間もなくホクロが消えている。
要所要所でいい仕事するよね、与兵衛。
引窓に運命を託しつつ、運命の明暗がどっちにころぶかを最後まで見
届けることになる私たち。
そしてやっぱり、濡髪を逃がした後の全員の表情がなんともいえず、
余韻となって残る。
人形浄瑠璃では全九段ということなので、残りもいつか見てみたい。
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劇場 松竹座
座席 1階7列
双蝶々曲輪日記
2回目はストーリーをおさらいしながら、人の関係とか感情の動きを見る
ことができたように思う。
「井筒屋」の場面は事件の発端でもあり、やっぱり面白い。
まず、相撲取りとご贔屓の関係に興味ひかれる。
これがいわゆる谷町というものなのか。
濡髪長五郎も放駒長吉も、自分のご贔屓のために、郭まで身請けの金を届
けに行ったりしている。日頃からかなりベタベタな関係のようだ。
ご贔屓どうしの争いが元で、長五郎と長吉が代理喧嘩をするくらい。
濡髪長五郎の殺人は偶発的だけれど、贔屓とのそんな関係が引き起こした
悲劇であることがよく見えるのが、この「井筒屋」と「難波裏」の場だ。
与五郎は濡髪の大ファンで、一方、濡髪は与五郎のお世話をする。
愛之助さんの与五郎と、染五郎さんの濡髪。
二人のふるまいを見ていると、お互いの信頼関係はかなり厚そう♪
事件の発端に話を戻す。
与五郎が小指に布を巻いて井筒屋に飛び込んでくる。見ると、布は血で染
まっている。
そのとき井筒屋にいたのは、与兵衛の馴染みの遊女、都だった。
与五郎の話では、与兵衛と連れ立って井筒屋近くまでやってきたが、男た
ちに絡まれ、争ううちに与五郎はその一人に指を喰いちぎられた。
与兵衛はそれを救おうとして、男を斬り殺してしまったのだという。
(与兵衛は話に登場するだけ。愛之助さんの与五郎は指をおさえたまま、
高い声でアタフタ慌てている状態。)
しぇ~とオドロク都。しかしひとまず与五郎を匿う。
(これは与五郎のためじゃなく、ひとえに、自分の恋人の与兵衛を殺人犯
にさせまいとしたからなのね~。)
巷では小指を喰いちぎられた者が下手人に違いない、という噂。
都は横恋慕で自分を身請けしようとする権九郎に、自分への心中立ての証
しに小指を切り落としてほしいと迫る。しぶしぶ切り落とす権九郎。
うまい具合に役人が来て、つかまったのは権九郎。
(つかまる時、都も吾妻も逆方向に体を向けて、知らんぷりしてた!)
春猿さんの吾妻と愛之助さんの与五郎が、二人して柔らかな雰囲気を醸し
ていて、とってもいい雰囲気になっていた。明るいうちから積極的に誘う
吾妻と、たじたじの与五郎に笑いが起きていた。
「米屋」の場では、長吉の姉おせきと長吉の、二人っきりのきょうだいの
話にしんみり、あったかい気持ちにさせられる。
吉弥さん、また髪かざりの色が変わっていて、すごくお洒落だったよ。
喧嘩っ早い弟に、喧嘩をやめさせるための一芝居をうつ、姉のおせき。
喧嘩はもうやめると誓う長吉。濡髪と兄弟の固めの盃を交わす。
静かに、言葉少なに話す濡髪の染五郎さん、なんだか大関の貫禄♪
講中の妙林さんが「わたしがもう20年若かったら~(はぁと)」と
しつこく濡髪を見つめるのもナットク(笑)。
「難波裏」の場では、吾妻を救い出すために濡髪が出かけてゆく。
与五郎の大事な人を救い出した後、騙し討ちされるところを、逆に相手
の男二人を殺めてしまった濡髪。
(ほんとにアッと言う間の出来事で、カワイそう。正当防衛?)
与五郎もやってきて、腹を斬ろうとする濡髪を引き止める。
(小指には赤い布をリボンみたいに可愛く結んでいる与五郎♪ マニキュ
アをしているのか、爪の色が白い手に映えてとてもきれいだった。)
もうここにはいられない。おさらば、と去ってゆく濡髪。
ああ、やっぱり、与五郎のためにこんなことになって・・・。
(去ってゆく濡髪に、両手を合わせた与五郎、「すみません」と何度も
言っている口の動きが見えた。)
「引窓」の場は、喜びと悲しみが入り交じった涙涙のお話。
竹三郎さん、ほんまに何回みても泣ける。
下手人の人相書きを買わせてほしいと、母が貯めていた永代供養の金子
をバラバラと並べて差し出すところ、涙ガガガーーーッ、である。
手水鉢の水鏡に映った顔。そして人相書き。
もうパーフェクトにすべてを悟った与兵衛の顔。
さっきまで役人になれたとニコニコ顔だったのに、この苦しみは!
なんで言ってくれなかったのか、と母に言った時、この二人は本当の
親子になれたのかもしれない。
同じ人殺しでも、相手が悪人だったことから無罪放免となった与兵衛。
その話と自分の境遇の違いを静かに嘆く濡髪のあきらめ顔が印象的。
濡髪、捕えた!だっけ?
髪を剃っても消えないのは高頬のホクロ。路銀を投げつけて・・・
そんなんで落ちるんかいっ!とツッコム間もなくホクロが消えている。
要所要所でいい仕事するよね、与兵衛。
引窓に運命を託しつつ、運命の明暗がどっちにころぶかを最後まで見
届けることになる私たち。
そしてやっぱり、濡髪を逃がした後の全員の表情がなんともいえず、
余韻となって残る。
人形浄瑠璃では全九段ということなので、残りもいつか見てみたい。
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