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[hoshizukiyo ni aetara] 古都散策や仏像、文楽、DEAN FUJIOKAさんのことなどを・・・。 

永楽館大歌舞伎(2)「菅原伝授手習鑑」「藤娘」 観劇メモ

2009-08-20 | 観劇メモ(伝統芸能系)
あああーーーっっっ。
観劇から10日以上もたってしもうたやんんん~~~。
もう備忘録にもならないけど、やっぱり全部書いとこ。
実際は「菅原伝授手習鑑 車引」「藤娘」の次に「弁天娘女男白浪」と
いうのが正しい演目順だった。

一、菅原伝授手習鑑 車引(すがわらでんじゅてならいかがみ くるまびき))
  浜松屋見世先より
  稲瀬川勢揃いまで


梅王丸/片岡愛之助      松王丸/坂東薪車
桜丸/中村壱太郎      藤原時平/市川 男女蔵
ほか


菅丞相の舎人梅王丸と、斎世親王の舎人桜丸の前に、互いの主人を追い
落とした藤原時平の牛車が通りかかるので、ふたりは恨みを晴らそうと
牛車を止め立ちはだかる。すると時平の舎人松王丸が出てきてお互い車
を引き合う。
実は梅王、松王、桜丸の三人は、三つ子の兄弟だったが、敵味方に別れ
て奉公をしているのだった。やがて牛車の中から藤原時平が現れると、
その威勢に梅王丸、桜丸は体をいすくめられてしまう。三人は父の賀の
祝いを済ませた後、決着をつける事を約束して別れる。

(歌舞伎美人のサイトより引用)


「車引」を見るのは去年、博多座の「二月花形歌舞伎」以来2度目。
今回は上方の演出とのことだが、この演目が終わってから番付を見た私
には確認のしようがなかった・・・。
番付によれば、梅王丸の二度目の出のときに、三本太刀を差して出るの
が江戸型だとか。桜丸は「むきみ」という隈取りをしているのが江戸型。
上方風の桜丸には隈取りがなく和事色が濃くなるのだそう。
博多で見た桜丸には「むきみ」の隈があったので、江戸型だったんだ~。
ま、型はどちらでも荒事のビジュアルが楽しめることに違いはない。
それにナントいっても今回は梅王丸が愛之助さんなのだ~♪

浄瑠璃語りが始まると、芝居小屋を両花道のように使って二人が登場。
まず花道から梅王丸が。
少し遅れて上手の客席通路後ろから、桜丸。
名を呼び合って近づく梅王丸と桜丸。
二人とも笠をかぶっているので顔は見えないがここの楽しみは、手と声♪
壱太郎さん、きちんとそろえた手指がほっそり、とってもきれい。
梅王丸は? と見てみると、白い手袋に赤で隈取りが描かれている♪
ふふ、対照的だ。

主人が流罪になった原因が自分にあり、切腹するつもりでいると語る桜丸。
壱太郎さんの哀しげな声から切なさが伝わってくる。
なにげない素振りからも重苦しく悲痛な感情が読み取れる。
一方の梅王丸はいかにも荒事らしい隈取り。太く大きな声や、糸に乗って
語る力強い台詞が高揚感をかきたてる。
にしても、最前列で見た愛之助さんの梅王丸、半端じゃない迫力!
ふだんは麗しく切れ長な格納庫(まぶた)にしまわれた両眼球が、ホンマ
に飛び出てしまうんじゃないかと思ったほど。目をカッと見開いた様はま
るで十二神将の伐折羅。
白目部分がみるみる赤く充血していく様子にも見入ってしまう。ふう~。

どーでもいいことだけど、こんなことも思い出した。
後見さんが後ろにつき、衣裳が紫色から赤に変わる時、桜丸、梅王丸の順
に下駄を脱ぐのだけど、いったん足を上に置いてから後ろに蹴る勢いとリ
ズムが二人よくそろっていて、さすが兄弟・・・ナンテ。
博多座では二人が赤の衣装で、松王丸だけが白に松の刺繍だったが、今回
は三つ子の兄弟全員が赤の拵えになっていた。

藤原時平の舎人、杉王丸には千次郎さん。その頑張りにひきつけられた。
とにかく誰よりもよく通る声だなあと思った。
「弁天娘~」に出演の松次郎さんしかり。
こういう舞台で実力のある若い役者さんに役がつき、成長する姿を見届け
るのも楽しみのひとつだ。

三つ子の兄弟の次男で、時平の舎人。薪車さんの松王丸が登場。
松王丸は梅王丸・桜丸の主人を追いやった時平に仕えているという皮肉な
関係。三兄弟なのに一人だけ違う立場だ。
そこで張り合う松王丸 VS 梅王丸。
あくまでも個人的な印象だけど、同じ荒事でも松王丸はシブく控えめで、
梅王丸のほうがハデで華やかに見える。
それは博多座でも同じ印象だった。

牛車の中から藤原時平が現れる。
初めて見た時はモノトーン系の隈取りが気色わるう~!と思ったけれど、
あの時と同じ今回もおめちゃん♪ 赤黒い舌をベローリと出す。
堂々として、不気味で、永楽館ではいっそう大きく見えた。
お話的には、決着はまた後日!ということらしい。


二、藤娘(ふじむすめ)
藤の精  中村壱太郎

松の古木に絡みついた藤の花の間から、藤の枝を手にした美しい藤の精が
現れる。近江八景に事を寄せ、恋する娘の気持ちを踊りに託す。
女方舞踊の代表作の一つ。
(歌舞伎美人のサイトより引用)



壱太郎さんの舞台を最初に見たのは、ほんの2年前の夏。
愛之助さんと二人の舞踊劇「橋弁慶」だった。
今回の「藤娘」は観劇歴の浅い私にさえ目を見はらせるものがあった。
こんな言い方ヘンだけど、昨年末に南座で見た藤十郎さんの「藤娘」が
スラスラ流れる行書体なら、壱太郎さんは1回1回きっちり止めの入っ
た楷書のような感じ。(←どんなんや~。)
手先がそろって、素人目にもとにかく踊りが丁寧に見えた。

まるで反対のようだけど、藤十郎さんの舞台を見ながら若いなあ~と思
い、壱太郎さんを見ながら、藤娘って艶っぽい大人の踊りなのだと気づ
いたりして・・・。
しっかし、今年の永楽館は涼しいとはいえ、重ね着して踊る舞台の暑さ
は尋常じゃないのか、静かに踊りながらも壱太郎さん、汗びっしょり!

舞台奥には三味線の今藤佐敏郎さん。
3月に見た長唄演奏会の時とオンナジ表情だわ~♪
上手奥と前列にはお囃子が、下手奥には長唄の人たち。
歌詞に耳を傾けてみると、壱太郎さんの艶っぽい体勢や、細かい振りの
意味が少しはわかった気がする。

舞台いっぱいに広がった藤の花がとても華やかな演目だった。


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