公演名 第二十六回 四国こんぴら歌舞伎大芝居
観劇日 2010年4月24日(土) 15時00分開演
座席 1階
第二部
通し狂言 敵討天下茶屋聚(かたきうちてんがちゃやむら)
序幕 四天王寺の場
二幕目 東寺貸座敷の場
大詰 福島天神森の場
同川下の場
住吉の宮境内の場
天下茶屋村敵討本懐の場)
安達元右衛門/片岡造酒守:市川亀治郎
東間三郎右衛門:片岡愛之助 早瀬伊織:中村亀鶴
早瀬源次郎:尾上右近 葉末:中村壱太郎
染の井:上村吉弥 安達弥助:中村翫雀)
浮田家の家中・東間三郎右衛門は、お家を横領する企てを知られた家老
の早瀬玄蕃を闇討ちにし、家宝の色紙を奪って逃亡する。玄蕃の遺児
早瀬伊織、源次郎兄弟は妻を伴い家来の安達元右衛門、弥助の兄弟を供
に連れて、敵討ちにと出立した。
しかし元右衛門は酒好きのところへつけこまれ、東間の味方についてし
まい、元の主人である伊織や源次郎、弥助にまで平然と刃を向け始める。
悪知恵の働く元右衛門の残忍な手にかかる不運な早瀬伊織。ひとり残っ
た源次郎も、もはや敵討ちの手立ても尽き切腹しようとするが・・・。)
(公式サイト「歌舞伎美人」より部分引用)
3年前に浪花花形で観た翫雀さんの元右衛門がすごく好きだった。
今回は亀治郎さんが元右衛門、翫雀さんがその兄役で登場。
どうなるんだろうと思っていたが・・・・・・。
いやー、小屋全体を巻き込んでキャーキャー、大騒ぎ、大笑いしている
うちにトントンときて、突然終わった感じ(笑)。
ムム。前に見たお芝居とは違うぞ、と。
今回は芝居小屋ならではの楽しさを存分に引き出したお芝居だった。
しか~し、終わり近くで筋を見失ってしまったらしいワタシ。
いかんいかん。
以下、順不同。思い出すまま。てゆうか、もう思い出せない・・・(汗)。
元右衛門はそもそも敵討ちに出た早瀬伊織&源次郎兄弟の家来。
それなのに主人を裏切り、敵方の東間の味方につく。おまけに実兄を殺
し、早瀬兄弟を手にかけ、その後、東間だけが出世したのを恨んだり。
見るたびに心模様が変わっているのが面白い。
亀治郎さんの元右衛門はとてもフレキシブルで、小さくなったり、大き
くなったり、腰が低くなったり、ふてぶてしかったり、チョロチョロ
歩いたり、元気よく走り回ったり。
私たちの感情を掌握したまま、自在に操っていたという気がする。
これが初役とは信じられない。
花道で悪党の本性を見せた時は、コワイというよりも、滑稽で軽かった。
両手を前に突き出してセコセコ歩く姿に、こんなに軽くていいの?
と思っていたら、次の場で見せたのは凄みのある顔と声だった。
2段ロケットの小悪党・元右衛門、おそるべし。
愛太夫さんの濃厚な語りと、亀治郎さんの元右衛門の軽薄さ。
そういうギャップも芝居の味わいなのかもしれない。
元右衛門が兄の家にしのび込む場面では、まるでカメラでズームインす
るように盆が45度回って、下手でコソコソやっていることが舞台正面で
明白にさらされていた(笑)。
上からしのび込もうとして移動中に足を踏みはずしたり、蚊に刺された
ところをパチンとやったりと、実に細かくリアルな芸!(和事?)
元右衛門に注目させた後、再び盆が回って下手側に戻り、ズームアウト。
しのびこむ元右衛門と、襲われる兄の弥助を同時に見せて鮮やかだった。
小屋全体を使って逃げ回る元右衛門は、澤瀉屋さんならではのよう。
舞台にしつらえた天井に逃げたかと思うと、そこから下りてきて花道へ。
花道から客席に潜り込み、観客に話しかけすっかり味方につける。
追っ手が「こんな男を見かけなかったか?」と探しにくるという趣向。
元右衛門、さらに客と客の間をかきわけ移動し、2階席へ。
2階席では観客に話しかけられたり触れ合ったり。下りて来たと思った
ら付打ちをやったり・・・。
場内はサイコーに盛り上がった。
うどん屋さんのおばあさんにもビックリ。(おばあさんは何かギャグを
言ったような気がするけれど、失念!)
おっと忘れちゃいけません。
出演時間は短いけれど、愛之助さんは早瀬伊織・源次郎の敵役、東間で
出てましたねー♪
というワケで、ここから先は愛之助さんのことを少し。
序幕四天王寺の場で仮花道を笠をかぶって出てくるところから、そうと
わかってドキドキ。
もう一人、同じ拵えの侍がいてわざと紛らわすんだけど、序幕の最後に
二人が鉢合わせ。チョンと鳴って二人が笠をとると、上手に愛之助さん。
下手にいるのはいったん駕篭に乗って引っ込んだはずの亀治郎さんで、
早変わりの見せ場になっていた。
愛之助さんの東間には義賢とはまた違う大きさを感じた。
元右衛門のキャラのせいでどこか可笑しみの漂うこの演目で、一人だけ
ニヒリストな東間はある意味浮いている役どころかも。
(白い顔の男前メイクだったのもそのキャラのせい? 素敵ぃ~♪)
そういう感覚を楽しんでいるのか、この役の愛之助さんには余裕さえ感
じられ、見ていてすごく楽しかった。
元右衛門! おだんな、おだんな!と二人が呼び合う時が、二人の関係性
をよく表していて面白いと思った。
小屋で暮らす伊織を殺す場面。お地蔵さんを蹴落としてから台座に腰掛
けるシーンがすごく印象に残っている。(悪役の愛之助さんが新鮮♪)
大詰では出世して名前を変え伊藤将監になっているところを、源次郎に
討たれてから芝居が唐突に終わった気がする。白い手を前に突き出して
指を丸めたまま、もがかずに・・・。
ここは亀治郎さんの最後の早替わり(片岡造酒守)が見せ場だったので
仕方ないけどね・・・。もう少し最後まで見ていたかったな~。
右近さんは源次郎役。いったん殺されて川に放り込まれる。
悪党がやりたい放題、正義はないのか・・・と思っていると、源次郎が
生きていることがわかる大詰の冒頭。
ここから救い出されるくだりがデジャヴで、葉末と再会する場面では
(浪花花形の同名の舞台ではなく)「摂州合邦辻」の俊徳丸と浅香姫の
再会を思い出してしまった!
右近さんは若い源次郎を好演。それだけに東間を討って本懐をとげる場
面については、もっと「よくやった!!」と思えるラストを見たかった
なあ~。ビギナーとしては。
源次郎、染の井、葉末の3人が元右衛門に出会ったシーン。
亀治郎さんが3人をいじるところは可笑しかったし、「これぞ武士の妻
・・・」トカナントカ言われて素で笑ってしまうお茶目な吉弥さんが見
られたのは嬉しかったけれど、敵討ちの場面につながりにくて引っ張り
過ぎたかも。でもそれも、他の出演者に少しでも長い時間注目してもら
おうという亀治郎さんの心遣いだったのかしらん。
なんにしても亀治郎さんの奮闘オンステージ、笑った笑った~♪
四国こんぴら歌舞伎大芝居「棒しばり」「浮世風呂」
四国こんぴら歌舞伎大芝居「源平布引滝 義賢最期」
24日の「こんぴら歌舞伎大芝居」とちょっと観光。
(以上 このブログ内の関連記事)
観劇日 2010年4月24日(土) 15時00分開演
座席 1階
第二部
通し狂言 敵討天下茶屋聚(かたきうちてんがちゃやむら)
序幕 四天王寺の場
二幕目 東寺貸座敷の場
大詰 福島天神森の場
同川下の場
住吉の宮境内の場
天下茶屋村敵討本懐の場)
安達元右衛門/片岡造酒守:市川亀治郎
東間三郎右衛門:片岡愛之助 早瀬伊織:中村亀鶴
早瀬源次郎:尾上右近 葉末:中村壱太郎
染の井:上村吉弥 安達弥助:中村翫雀)
浮田家の家中・東間三郎右衛門は、お家を横領する企てを知られた家老
の早瀬玄蕃を闇討ちにし、家宝の色紙を奪って逃亡する。玄蕃の遺児
早瀬伊織、源次郎兄弟は妻を伴い家来の安達元右衛門、弥助の兄弟を供
に連れて、敵討ちにと出立した。
しかし元右衛門は酒好きのところへつけこまれ、東間の味方についてし
まい、元の主人である伊織や源次郎、弥助にまで平然と刃を向け始める。
悪知恵の働く元右衛門の残忍な手にかかる不運な早瀬伊織。ひとり残っ
た源次郎も、もはや敵討ちの手立ても尽き切腹しようとするが・・・。)
(公式サイト「歌舞伎美人」より部分引用)
3年前に浪花花形で観た翫雀さんの元右衛門がすごく好きだった。
今回は亀治郎さんが元右衛門、翫雀さんがその兄役で登場。
どうなるんだろうと思っていたが・・・・・・。
いやー、小屋全体を巻き込んでキャーキャー、大騒ぎ、大笑いしている
うちにトントンときて、突然終わった感じ(笑)。
ムム。前に見たお芝居とは違うぞ、と。
今回は芝居小屋ならではの楽しさを存分に引き出したお芝居だった。
しか~し、終わり近くで筋を見失ってしまったらしいワタシ。
いかんいかん。
以下、順不同。思い出すまま。てゆうか、もう思い出せない・・・(汗)。
元右衛門はそもそも敵討ちに出た早瀬伊織&源次郎兄弟の家来。
それなのに主人を裏切り、敵方の東間の味方につく。おまけに実兄を殺
し、早瀬兄弟を手にかけ、その後、東間だけが出世したのを恨んだり。
見るたびに心模様が変わっているのが面白い。
亀治郎さんの元右衛門はとてもフレキシブルで、小さくなったり、大き
くなったり、腰が低くなったり、ふてぶてしかったり、チョロチョロ
歩いたり、元気よく走り回ったり。
私たちの感情を掌握したまま、自在に操っていたという気がする。
これが初役とは信じられない。
花道で悪党の本性を見せた時は、コワイというよりも、滑稽で軽かった。
両手を前に突き出してセコセコ歩く姿に、こんなに軽くていいの?
と思っていたら、次の場で見せたのは凄みのある顔と声だった。
2段ロケットの小悪党・元右衛門、おそるべし。
愛太夫さんの濃厚な語りと、亀治郎さんの元右衛門の軽薄さ。
そういうギャップも芝居の味わいなのかもしれない。
元右衛門が兄の家にしのび込む場面では、まるでカメラでズームインす
るように盆が45度回って、下手でコソコソやっていることが舞台正面で
明白にさらされていた(笑)。
上からしのび込もうとして移動中に足を踏みはずしたり、蚊に刺された
ところをパチンとやったりと、実に細かくリアルな芸!(和事?)
元右衛門に注目させた後、再び盆が回って下手側に戻り、ズームアウト。
しのびこむ元右衛門と、襲われる兄の弥助を同時に見せて鮮やかだった。
小屋全体を使って逃げ回る元右衛門は、澤瀉屋さんならではのよう。
舞台にしつらえた天井に逃げたかと思うと、そこから下りてきて花道へ。
花道から客席に潜り込み、観客に話しかけすっかり味方につける。
追っ手が「こんな男を見かけなかったか?」と探しにくるという趣向。
元右衛門、さらに客と客の間をかきわけ移動し、2階席へ。
2階席では観客に話しかけられたり触れ合ったり。下りて来たと思った
ら付打ちをやったり・・・。
場内はサイコーに盛り上がった。
うどん屋さんのおばあさんにもビックリ。(おばあさんは何かギャグを
言ったような気がするけれど、失念!)
おっと忘れちゃいけません。
出演時間は短いけれど、愛之助さんは早瀬伊織・源次郎の敵役、東間で
出てましたねー♪
というワケで、ここから先は愛之助さんのことを少し。
序幕四天王寺の場で仮花道を笠をかぶって出てくるところから、そうと
わかってドキドキ。
もう一人、同じ拵えの侍がいてわざと紛らわすんだけど、序幕の最後に
二人が鉢合わせ。チョンと鳴って二人が笠をとると、上手に愛之助さん。
下手にいるのはいったん駕篭に乗って引っ込んだはずの亀治郎さんで、
早変わりの見せ場になっていた。
愛之助さんの東間には義賢とはまた違う大きさを感じた。
元右衛門のキャラのせいでどこか可笑しみの漂うこの演目で、一人だけ
ニヒリストな東間はある意味浮いている役どころかも。
(白い顔の男前メイクだったのもそのキャラのせい? 素敵ぃ~♪)
そういう感覚を楽しんでいるのか、この役の愛之助さんには余裕さえ感
じられ、見ていてすごく楽しかった。
元右衛門! おだんな、おだんな!と二人が呼び合う時が、二人の関係性
をよく表していて面白いと思った。
小屋で暮らす伊織を殺す場面。お地蔵さんを蹴落としてから台座に腰掛
けるシーンがすごく印象に残っている。(悪役の愛之助さんが新鮮♪)
大詰では出世して名前を変え伊藤将監になっているところを、源次郎に
討たれてから芝居が唐突に終わった気がする。白い手を前に突き出して
指を丸めたまま、もがかずに・・・。
ここは亀治郎さんの最後の早替わり(片岡造酒守)が見せ場だったので
仕方ないけどね・・・。もう少し最後まで見ていたかったな~。
右近さんは源次郎役。いったん殺されて川に放り込まれる。
悪党がやりたい放題、正義はないのか・・・と思っていると、源次郎が
生きていることがわかる大詰の冒頭。
ここから救い出されるくだりがデジャヴで、葉末と再会する場面では
(浪花花形の同名の舞台ではなく)「摂州合邦辻」の俊徳丸と浅香姫の
再会を思い出してしまった!
右近さんは若い源次郎を好演。それだけに東間を討って本懐をとげる場
面については、もっと「よくやった!!」と思えるラストを見たかった
なあ~。ビギナーとしては。
源次郎、染の井、葉末の3人が元右衛門に出会ったシーン。
亀治郎さんが3人をいじるところは可笑しかったし、「これぞ武士の妻
・・・」トカナントカ言われて素で笑ってしまうお茶目な吉弥さんが見
られたのは嬉しかったけれど、敵討ちの場面につながりにくて引っ張り
過ぎたかも。でもそれも、他の出演者に少しでも長い時間注目してもら
おうという亀治郎さんの心遣いだったのかしらん。
なんにしても亀治郎さんの奮闘オンステージ、笑った笑った~♪
四国こんぴら歌舞伎大芝居「棒しばり」「浮世風呂」
四国こんぴら歌舞伎大芝居「源平布引滝 義賢最期」
24日の「こんぴら歌舞伎大芝居」とちょっと観光。
(以上 このブログ内の関連記事)
東間のあの白い顔は面灯りにぴったりでしたよね。実感♪
愛之助さん、昼の部の2役は合間の時間が短いので
よけいに大変だったと思いますけど、棒しばりのお二人はエライ
息がぴったりで、これはこれで見られて嬉しかったです(笑)。
右近さんは私、意識して見たのは初めてなんですけど(汗)、
またいろんな役を見てみたいです。
> 二人なめくじにしちゃえば良かったんじゃないか
あっはっは~。男女のなめくじですか? ナンカ身悶えしそう(笑)。
亀ちゃんのなめくじはTVの録画で見ましたけど、壱太郎くん
よりも濃厚そうに見えましたよ。
歌舞伎にはいろんな家の芸があって楽しいなあと思います。
愛之助さんの東間の顔は、蝋燭の明かりに合ってると思います。紙芝居(古すぎ?)の絵にありそうというか。二回目の余裕か相手が亀ちゃんだからか、松竹座のときより楽しそうに見えました。
右近ちゃんがあんなに活躍するのは初めて見ました。右近ちゃんは昼は出ないんですよね。愛之助さんがあんなにがんばらなくても、太郎冠者は右近ちゃんでも良かったのに。壱太郎とのカップルはちょっと若すぎますね。私は、義賢と待宵姫がカップルだったら綺麗なのに、と思いました。
なめくじがとっても可愛かったので、亀ちゃんも三助なんかじゃなく、二人なめくじにしちゃえば良かったんじゃないか、とか、いろいろ勝手なことを考えながら見てました。
こんぴら歌舞伎はやはり特別なのでいつか行けるといいですね。
それには好きな役者さんが出演していることが
遠征の原動力になると思いますよ~(笑)。
染五郎さんとか勘三郎さんが出演されるときが
チャンスかもしれないですね♪
願う気持ちがあればいつかきっと行けますよ!
かくいう私も今回がお初でしたっ(爆)。
また今年も行けませんでしたが、
行った方のブログを読んでは「いつか、いつか」と願かけてます。