特発性間質性肺炎のページを更新
- 間質性肺炎とは、気管支が20回以上枝分かれした先にブドウの房状の小さな袋があり、それを肺胞と言います。間質性肺炎では、肺胞の壁(間質)が炎症により壊され、線維化が起こります。肺は、酸素を空気中から血液に取り込んで二酸化炭素を血液から空気中に出す、ガス交換という働きをしていますが、間質性肺炎では、その働きに障害が起こり、呼吸困難などの症状が出現します。 一方、通常の肺炎は実質部分、つまり、肺胞の内表面や肺胞腔(ほうくう)(肺胞の空気の部分)が病変の場所です。 間質性肺炎の原因は多種類あります。膠原(こうげん)病、薬剤、サルコイドーシス、過敏性肺臓炎、じん肺など多様ですが、原因不明のものを特発性間質性肺炎と言います。
- 【種類】
- 間質性肺炎は何らかの原因(関節リウマチ、皮膚筋炎、全身性強皮症などの膠原病、なんらかの異物の吸入、薬剤など)で肺胞の壁の中や周辺に“炎症”(皮膚で言えばやけど、肝臓で言えば肝炎のようなもの)が起こり、細胞やコラーゲンなどが増加し壁が厚くなる病気です。 そのため咳が出たり、酸素がうまく取り込めなくなり息苦しくなります。 “炎症”が治った後も傷が残り、肺が固くなる場合があります。 これを“肺線維症”と言います “特発性間質性肺炎”は“間質性肺炎”の中でも原因のわからない病気の一群です。 2002 年国際的に分類や診断基準が統一され、国内でも2004 年に統一されました(第4次改訂)。 特発性間質性肺炎は、現在以下の7 種類に分類されています。
(1) 特発性肺線維症
(2) 非特異性間質性肺炎:Nonspecific interstitial pneumonia (NSIP) pattern
(3) 特発性器質化肺炎:Organizing pneumonia (OP) pattern
(4) 急性間質性肺炎
(5) 剥離性間質性肺炎:Desquamative interstitial pneumonia (DIP) pattern
(6) 呼吸細気管支炎関連性間質性肺疾患:Respiratory bronchiolitis (RB)
pattern
(7)リンパ球性間質性肺炎:Lymphocytic interstitial pneumonia (LIP) pattern
多くの疾患はゆっくり進行しますが、急性間質性肺炎は病気の進行が早く検査も十分に出来無いことがあります。
ゆっくり進行しながら急に悪化する場合(急性増悪)や肺癌の合併などが問題になっています。
7 つの病気で治療方針、治療効果や予後(どれくらい肺がもつか)など異なり、特発性間質性肺炎の中のどの疾患であるか分類することは重要です。高分解能コンピューター断層撮影(HRCT)、気管支鏡野などで診断がつかない場合は、手術による肺生検(胸腔鏡での肺生検、開胸肺生検)を行い、その結果を踏まえて総合診断が必要になることがあります。
7 つの病気のなかでは、特発性肺線維症、非特異性間質性肺炎、特発性器質化肺炎の頻度が多く、それ以外はあまり多くはありません。
7 つの疾患のうちもっとも患者数が多い特発性肺線維症は50 才以上で症状を認めることが多く、男性は女性よりやや多いようです。
非特異性間質性肺炎はもう少し若い時期に症状を認めます。 剥離性間質性肺炎と呼吸細気管支炎関連性間質性肺疾患は喫煙者に多いと言われています。 - 【予後】
- 剥離性間質性肺炎と呼吸細気管支炎関連性間質性肺疾患の予後は一般的に良好であるとされています。 急性間質性肺炎は急激に発症し予後はあまり良くありません。 特発性間質性肺炎では、風邪などを契機に短期間で急に悪化すること(急性増悪)があり、肺がんを合併する頻度も高いとされています。 特発性間質性肺炎と診断された後、長年経過を追っている間に膠原病等の症状が明らかになり、後で特発性間質性肺炎ではなく膠原病等と再評価される場合があります。
⇒ 肺炎