高安動脈炎(指定難病40)のページを更新
- 高安動脈炎は大動脈やそこから分かれている大きな血管に 炎症 が生じ、血管が 狭窄 したり閉塞したり拡張したりして、脳、心臓、腎臓といった重要な臓器に障害を与えたり、手足が疲れやすくなったりする原因不明の 血管炎 です。炎症が生じた血管の部位によって様々な症状がでます。わが国の高安右人教授が1908年に初めて報告しましたので高安動脈炎と呼ばれています。
【症状】 - 高安動脈炎ではどの血管に障害が生じたかにより、症状はさまざまです。高安動脈炎の初期は、発熱や 全身倦怠感 、食欲不振、体重減少などの感冒のようなはっきりしない症状から始まることが多いようです。その後、炎症によって血管が狭窄や閉塞、あるいは拡張してきます。頭部を栄養する血管が障害を受けた場合は、めまいや立ちくらみ、失神発作や、ひどい場合には脳 梗塞 や失明を起こす場合もあります。難聴や耳鳴、歯痛、頸部痛もよく見られる症状です。また、上肢を栄養する血管が障害を受けると、腕が疲れやすい、 脈が触れない 、など多様な症状が出現します。また高安動脈炎の約3分の1の患者さんでは心臓の大動脈弁付近に障害を生じて弁膜症を発症し、程度によってはその後心臓の働きに問題が生じることがあります。また、腎臓の血管が障害されて、腎臓の働きが低下することもあります。さらに、下肢を栄養する血管が障害を受けて歩行が困難になる方もいます。血管が障害されるため、高血圧症はよく見られる症状です。
【治療法】 - まず、高安動脈炎による炎症を抑えることが基本になります。通常、プレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイドを用います。また、血栓ができるのを予防する薬を使います。炎症が強く、なかなか副腎皮質ステロイドが減らせない場合は、免疫抑制薬や生物学的製剤のトシリズマブを使うこともあります。炎症が治まった後は、症状に応じてさまざまな薬を使いますが、炎症の結果、血流が低下して日常生活に大きく差し支える場合は、炎症が治まってから外科的に血管のバイパス手術をすることがあります。研究班の統計では約2割の方が手術を受けておられます。
<出典:難病情報センター>
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