mRNAワクチン接種後のリンパ腫の症例は調べればいくつでも出てきます。
「mRNAワクチンブースター接種後のリンパ腫」など報告しましたが、日本でびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の報告も出ています。
Two cases of axillary lymphadenopathy diagnosed as diffuse large B-cell lymphoma developed shortly after BNT162b2 COVID-19 vaccination
M. Mizutani, H. Mitsui, T. Amano, Y. Ogawa, N. Deguchi, S. Shimada, A. Miwa, T. Kawamura, Y. Ogido
【症例1は67歳の日本人男性で,2回目のBNT162b2ワクチン接種から2週間後に左腋窩に6.0cmの皮下腫瘤を訴えて東京北医療センターを受診した.1回目のBNT162b2ワクチン接種の1日後に左腋窩の圧痛とリンパ節(LN)の触知を認めた。コンピュータ断層撮影では、左腋窩に腫大したLNを認め(図1a)、反応性リンパ節腫脹が疑われた。しかし、結節は大きくなり、周囲の皮膚の発赤を伴うようになった。そこで、腫脹したLNと発赤した皮膚から生検標本を採取した(図1b)。病理組織学的検査では、LN(図1c)と皮膚に、中心芽細胞と免疫芽細胞を伴う大型の異型リンパ球のびまん性浸潤が認められた。大型異型リンパ球は、CD20、BCL2、MUM-1/IRF4で強く染色され(図1d-f)、CD3は陰性であった。Ki-67陽性率は80%以上であった。DLBCLと診断され、R-CHOP(リツキシマブ+シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン)レジメンを開始した結果、LNは縮小した。
結論として、DLBCL は BNT162b2 ワクチン接種後に急速に増殖する可能性があります。】
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、血液細胞の一種であるB細胞のがんです。 B細胞のがんのうち、大きな 細胞核をもつB細胞が“びまん性”に(組織全体にはびこるように)増殖して広がるもので、病気の進行が月単位で進む中悪性度のリンパ腫です。
BNT162b2 ワクチンは、IL-15、IFN-γ、CXCL10、および IL-6 を特徴とするサイトカイン シグネチャを誘導することが報告されています。
逆に、これらのサイトカインの上昇は、治療前の DLBCL 患者の血清で観察されました。DLBCLの成長または生存におけるこれらのサイトカインの役割を示唆しています。
したがって、BNT162b2ワクチン接種によって誘発された特定の状態で、既存または無症状のDLBCLが急速に増殖する可能性があると考えられます。
日本人でびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)になる人が意外に多いことが分かります。