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後縦靱帯骨化症(OPLL)(指定難病69)

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 後縦靱帯骨化症とは、椎骨の後縁を上下に連結し、背骨の中を縦に走る後縦靭帯が骨化した結果、脊髄の入っている脊柱管が狭くなり、脊髄や脊髄から分枝する神経根が押されて、感覚障害や運動障害等の神経症状を引き起こす病気です。骨化してしまう脊椎の部位によってそれぞれ頚椎後縦靱帯骨化症、胸椎後縦靱帯骨化症、腰椎後縦靱帯骨化症と呼ばれます。

【原因】
 単一の原因で生じる病気ではなく、複数の要因が関与して発病すると考えられています。この病気に関係するものとして、遺伝的素因、性ホルモンの異常、カルシウム・ビタミンDの代謝異常、糖尿病、肥満傾向、老化現象、全身的な骨化傾向、骨化部位における局所ストレス、またその部位の椎間板脱出などいろいろな要因が考えられていますが原因の特定には至っていません。特に家族内発症が多いことから遺伝子の関連が有力視されています。

【症状】
 頚椎にこの病気が起こった場合に最初にでてくる症状として、首筋や肩甲骨周辺・指先の痛みやしびれがあります。さらに症状が進行すると、次第に痛みやしびれの範囲が拡がり、脚のしびれや感覚障害、足が思うように動かない等の運動障害、両手の細かい作業が困難となる手指の巧緻運動障害などが出現します。重症になると立ったり歩いたりすることが困難となったり、排尿や排便の障害が出現したり、一人での日常生活が困難になることもあります。 胸椎にこの病気が起こると体幹や下半身に症状がでます。初発症状としては下肢の脱力やしびれ等が多いようです。重症になるとやはり歩行困難や排尿や排便の障害が出現することもあります。また腰椎に起こりますと歩行時の下肢の痛みやしびれ、脱力等が出現します。 すべての患者さんにおいて症状が悪化するわけではなく、半数以上の方は数年経過しても症状が変化しません。ただし、一部の患者さんでは、次第に神経障害が悪くなり、進行性の場合、手術を要することもあります。また、軽い外傷、たとえば転倒などを契機に急に手足が動かしづらくなったり、いままでの症状が強くなったりすることもあります。

【治療法】
 手術をしない場合、骨化によって圧迫されている神経を保護することが治療の主目的となります。頚椎ではまず安静保持を保つため、 外固定装具 (頚椎カラー)の装着等を行います。この時頚椎は快適な位置にあることが必要です。高さの調節可能な装具が勧められます。また、首を後ろにそらせる姿勢は避ける必要があります。その他、薬物療法として消炎鎮痛剤、筋弛緩剤等の内服で自覚症状の軽減が得られることがあります。 症状が重度の場合は手術治療をおこないます。手術方法は骨化の状態や部位に応じて様々な方法があります。頚椎では神経の圧迫を取るため骨化部位を摘出して、その部位を自分の骨等で固定する前方法と、骨化部位はそのままにして神経の入った脊柱管を拡げる後方法があります。一般的に後方法が選択されますが、骨化が大きい場合や頚椎の配列が不良な場合などにおいては前方法が選択されることもあります。胸椎では背骨が丸くなっているため、後方法で脊柱管を拡げるだけではなく、ボルトなどを用いて固定を加える手術が行われることが多くなっていますが、前方法が選択されることもあります。腰椎では後方法が一般的です。

<出典:難病情報センター>

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