給与収入の推移
私は過去の記念品的なものはあまり取っておかないが、会社員時代の年末調整票のコピーだけは残してある。なぜコピーかというと電子申告を始めるまでは原本は確定申告に添付していたからだ。
横軸に年齢を取り、年末調整票の給与収入をグラフ化してみたのが下記のグラフだ(絶対額は生々しいのでカット)。
横軸に年齢を取り、年末調整票の給与収入をグラフ化してみたのが下記のグラフだ(絶対額は生々しいのでカット)。
賞与分は評定によって年間では何十万円か変わるが、給与収入のピークは2000年頃、40歳代前半だった。グラフ化してみて分かったが、その頃まではきれいな右肩上がりになっていた。割と順調に昇給、昇格していたからだ。ピーク時は入社2年目の4倍ほどの年収になっていた。
なお、24歳の時は大学院卒で就職した年で9か月分、58歳の時も途中退職で少なくなっている。
給与体系の見直し
私の時代には、既に団塊の世代の先輩方よりも昇格速度が遅くなっていた。また、給与体系も何回か変更されて昇給がなだらかになってきていた。これらの動きは雇用延長(65歳まで働ける)を見据えたものでもあった。給与体系が変わった時、新給与体系とその時点の月給の差分は調整給で補われて減らないが、後に昇格しても調整給分が置き換わるだけでほとんど上がらないことになった。
また、業績貢献に報いるということで、月給分を減らし賞与分を増やすということも行われた。当初、年収ベースでは同じだということだったが、賞与の基準月数が小さくなって、結局、年収が下がるようになった。賞与は、昔は年間6か月分もあったが、バブル崩壊後の不景気が続くに連れて減っていって4か月分ほどなった。もっと減った会社もあっただろうし、ましな方だったと思う。
国税庁の民間給与実態統計調査
年代別の賃金カーブの下記のグラフでは絶対額は言ってないが、2007年頃の賃金カーブが変になだらかになっていることが分かる。給与体系の見直しが進められていた最中だからではないかと思う。私の給与収入の推移と傾向が似ている。
昨年12月7日の東洋経済の記事に1995年以降の平均給与の推移のグラフがあった。それを見ると、最近は上昇しているが90年代より低いのが分かる。引用すると下記のグラフだ。
また、年代別に10年前との給与を比較したグラフがあり、30~40代の給与は10年前よりも大きく下落していることが示されている。引用すると下記のグラフだ。
記事では給料が上がらない理由として、製造業がベースで、労働者の流動性が低いことを挙げている。それも理由だろうが、同一企業でも上述のような給与体系の見直しが行われてきたのも大きな理由だと思う。
引用元の記事は下記なので、適宜お読みください。
若い人は細く長くのはずだが
上に示した賃金カーブの2018年分の通り、若い人ほど新しい昇格速度、給与体系になっていくので、定年まで基本的に右肩上がりになるはずだ。しかし、70歳までとか長く働けるようにする動きに応じて今後また給与体系が変わっていくかもしれない。
今の日本の経済状況を考えると、一部の人を除いて累計の絶対額では昔に追いつくのはなかなか難しそうだし、能力主義の傾向や社員の年齢構成等を考えるとなかなか昇格/昇給できない人も多く出てきそうだ。
転職を繰り返し、スキルアップと昇給を続けるというのもあり得なくはないが、一つの会社で頑張る以上に厳しい道のりだ。そういうことができる人はかなり限られるだろう。
人手不足で働き口はいっぱいあるが、単純労働では外国人労働者の増加もあって賃金は抑制されるだろう。また、頭脳労働でもAIの活用で付加価値の低い者には厳しい時代になっていくだろう。AIの活用で生産性が向上して楽になるだけならいいのだけれど。