つばめ投資顧問代表で投資系YouTuberでもある栫井駿介さんの標記投資本をPrime Readingで読んだ。発売日は2021/5/28、出版社はクロスメディア・パブリッシング。読んだのは最近だが、利用開始したのは昨年末で、当時は無料だった。
表紙と目次は下記の通り。
出所:表紙はPrime Readingの私の利用中の本から切り張り
本書は、初めて株式投資をする人向けの入門書であって、年率10%を達成する具体的な方法論が書いてあるわけでは無く、プロならではの勉強法が書いてあるわけでもない。タイトルは出版社/編集者が販促目的で付けたものだろう。タイトルに釣られて買うと期待外れになると思う。
書いてある内容は、一般的な長期投資、バリュー株投資の入門書レベルであって、投資に際しての考え方等も書いてあり、まったくの初心者にはいいと思う。年率10%についても、その程度なら達成は難しくないという意味であり、むしろ一気に大きく儲けようとするなということの方に重点があると思う。
以下では本書のポイントと思った所の一部要約と感想を混ぜて書く。読了してからまとめているので、必ずしも本書の記載順、文面通りではない。
まずはiDeCoやNISAも活用して、インデックスの積立投資を早く初めて、長く続けることを推奨している。積立投資には、資産分散効果、ドルコスト平均法と呼ばれる時間分散効果、ほったらかしにできる、という3つのメリットがある。長く続けると複利の効果が大きくなる。
例えば、世界株式のインデックスは過去30年、年率平均8.7%で成長している。毎月2.3万円をiDeCoに拠出し、年率8.7%で30年間運用すると、拠出金額828万円に対し、資産額は3,867万円になる。
インデックス投資だけだと成績は平均的なものになるし、思考停止に陥ってしまう。株式投資のメリットとして、勉強することによって様々なことに詳しくなり、人生が好循環することがある。そのためには、スボット投資も勧めている。
スポット投資では、ウォーレン・バフェットの「バリュー株投資」の考え方を基本にしている。長期投資を前提(理想の保有期間は永遠)に、優良株を下がったところで買う。買い時は年2~3回、大きな下落がやってきてテレビのトップニュースなどで暴落が伝えられた時になる。
買う銘柄は、以下の5つのポイントで選ぶ。
① 業績が伸びていること
② 成長意欲があること
③ ビジネスの強み(堀)があること
④ 財務的に無理が無いこと
⑤ 割高すぎないこと
可能な限り「売らない」という選択肢を提案したい。ただし、以下の場合は売らねばならない。
① 必要以上に割高になった時
② 自分の判断が間違っていた時
③ 別の銘柄に入れ替える時
本書では投資本を濫読することも勧めていて、幾つかの本の紹介もある。私も多くの投資本を読んだし、読書カテゴリの中でも幾つかの投資本を紹介している。
なお、本書では、初心者向けでは珍しく「有価証券報告書を読む」ことを推奨している。有価証券報告書は、会社に関するあらゆる情報がまとめられているし、法的拘束力があって中立性が確保されていて、フォーマットが決まっているので慣れると読みやすい、とのこと。ただ、本書では読み方についてはさらっと書いてあるだけで、詳しく解説しているわけではない。
私は、株式投資に際して、有価証券報告書までは読まないが、目を通す価値があるものとして再認識した。今度、投資したい銘柄あれば、読んでみようかと思う。
本書の内容は私の投資スタイルに近いが、私は有価証券報告書まで読み込んで銘柄を厳選しているわけではないし、長期的に右肩上がりの優良株はあまり買わないし、フルインベストメントを基本にしている。私の21年間の投資成績が年8%複利程度で年率10%に及ばないのは、この違いのせいかもしれない。