一日に4銘柄もの売買をすることはめったにないが、日経平均が年初来安値を更新した8月20日に杉本商事を売却し、その資金で日機装、伊藤忠エネクス、GMOフィナンシャルHDを購入した。組み換えのまとめや個々の銘柄売買の判断理由について書いておく。
今回の組み換えのまとめ
日本の株式市場の地合いが悪く、業績の冴えない銘柄は弱く、さらに最近では第1四半期等の決算を受けて一段と下げる銘柄も増えている。このような状況の中、杉本商事が上げてきたので資金確保のために売却することにし、その資金で7月以降に手がけ始めた銘柄を買い増した。買い増した3銘柄は、いずれも6月に発売された『会社四季報プロ厳選の500銘柄』に掲載されていた銘柄で、逆張り派の私好みの最近は冴えない銘柄だ。
以前の記事に書いた通り、四季報の情報は証券会社のサイトで確認して一部情報を銘柄管理表に転記しているが、プロ500の方は買っている。今回の購入銘柄は、プロ500に目を通した際に新しく買対象の候補としてウォッチ、買い始めた銘柄だった。保有銘柄数を減らしたいと思っているが、また増えてしまった。
取引報告書はまだ発行されていないので、まとめとして売買履歴を表示させて切り張りすると、今回の売買は以下の通りだ。
2021年8月20の売買の一覧(サブ口座)
また、今回売買した銘柄の2018年以降の週足の比較チャートは以下の通りで、値上がり中の銘柄を売って値下がり中の銘柄を買っている。私のいつものやり方で、少なくともしばらく股裂き状態になる覚悟はしている。
今回組み替えた銘柄の2018年以降の週足の比較チャート
出所:株探(https://kabutan.jp/stock/chart?code=9932)
杉本商事の売買
杉本商事は、東証一部上場、機械工具や測定機器の専門商社大手でオーナー系企業だ。ここは財務内容がよく、無借金経営で、フリーキャッシュも多い。100株以上で1,000円分の図書カードの株主優待もある。
2018年8月16日に1,838円で100株買った。その頃、連続最高益が見込まれていたが、株価は調整気味で割安だと思った。1,800円は割りそうにもないと思って前記の株価で買に出た。2018年以降の週足チャートは以下の通りだ。
杉本商事の2018年以降の週足チャート
出所:株探(https://kabutan.jp/stock/chart?code=9932)
2018年末に向けて下げたが、他の銘柄と同様に市場全体の下げにつられただけだった。ただ、上値も重く、その後もたいして上げなかった。業績が大きく伸びるような業態ではないし、地味な企業なので仕方ない。一方、財務内容がよいので、コロナショックでの下げも小さかった。暴落局面であえてこの銘柄を買い増しするほどの魅力もなかったので、買も1回切りだった。
今年7月以降、市場全体の動きに反して上げてきた。7月27日に発表された2022年3月期第1四半期決算は、コロナ禍からの回復で増収増益ではあったがサプライズはなく、業績予想も2.5%増益のまま据え置かれた。それでも上げは継続した。
そして8月19日には年初来高値(上場来高値でもある)を付けた。特段の材料がある訳ではない(見つからない)が、自社株買いが続いているせいかもしれない。出来高も特に増えてない。
最近の上げで割安感もなくなってきたことから、資金確保を優先することにして8月20日に2,600円で売り、この銘柄への投資は終了した。税引き前で売却益は7.5万円強、利益率41.0%、年利換算13.6%となり、まずまずの成績だった。
日機装の売買
日機装は、東証一部上場、化学用精密ポンプや人工腎臓でトップの企業だ。 グローバルニッチトップ企業の一つ。コロナ禍で空間除菌消毒装置も注目されたが、あまり売れなかったようだ。航空部門の停滞もあり、業績は冴えない。
四季報プロ500では期待の200銘柄に分類されていた。ちなみに、他の分類として本命の50銘柄、注目の250銘柄があり、本命⇒期待⇒注目の順に詳しく解説されている。掲載時点(6月4日現在)では、株価1,190円でPBRは0.91倍、今期予想PERは11.3倍となっていた。 グローバルニッチトップ企業でこの水準なら買候補だと思い、ウォッチに入った。
8月12日に2021年12月期第2四半期決算を発表した。税引き前利益が従来の40.5%減益予想から一転して増益で着地したが、通期の税引き前利益は従来予想の94億円から87億円(前期は90.4億円)に7.4%下方修正された。これを嫌気して株価は翌8月13日には窓を開けて急落し、1,000円前後でもみ合った。
株価はその後も下げが続いたので、そろそろ織り込み済みかなと8月17日に928円で100株、最初の買を入れた。その後も株価は下げ止まらず、8月20日に864円で100株買い増した。
なお、2018年以降の週足チャートは以下の通りだ。
日機装の2018年以降の週足チャート
出所:株探(https://kabutan.jp/stock/chart?code=6376)
伊藤忠エネクスの売買
伊藤忠エネクスは、東証一部上場、伊藤忠商事系のエネルギー商社首位の企業だ。 高配当の内需系バリュー株。指標的には割安だが、成長性は乏しいので、配当狙いで買う銘柄だと思う。
四季報プロ500では注目の250銘柄に分類されていた。掲載時点(6月4日現在)では、株価1,017円でPBRは0.84倍、今期予想PERは9.2倍、予想配当利回り4.52%となっていた。 1,000円割れを拾いたいと思い、ウォッチに入った。
そうしたら、6月22日に窓を空けて急落し、1,000円を割り込んだ。出来高も急増した。表立ったニュースはないようだったが、何が隠れているか分からないので、手が出せなかった。下げ過ぎの反動か翌日は少し反発し、出来高もまだ多かった。その後は出来高も減り、7月8日に下値を確認後は1,000円を回復していった。
7月30日に2022年3月期第1四半期決算を発表した。税引き前利益は前年同期比10.6%減の46.9億円に減り、通期計画の212億円に対する進捗率は22.1%(5年平均は21.9%)で、通期業績予想は据え置きだった。株価にインパクトはほとんどないレベルだった。結局、隠れた悪材料もなかったようだ。
株価は8月5日に再度1,000円を割り込んできた。それで8月5日に999円で100株、最初の買を入れた。その後は1,000円を挟んだ値動きとなったが、最近の地合いの悪さで下げてきたので、8月20日に958円で100株買い増した。
なお、2018年以降の週足チャートは以下の通りだ。
伊藤忠エネクスの2018年以降の週足チャート
出所:株探(https://kabutan.jp/stock/chart?code=8133)
GMOフィナンシャルHDの売買
GMOフィナンシャルHDは、東証ジャスダック上場、GMOグループの金融持ち株会社で傘下にGMOクリック証券やGMOコイン等をもつ企業だ。ビットコイン絡みで株価が大きく動いたりするが、年4回配当で、配当性向6割を約束している高配当株だ。ビットコイン絡みでマネックスG株で利益を得たりしたが、配当等を考えるとマネックスGの買い戻しよりもこの銘柄を買っておく方がいいかなと思った。
四季報プロ500では本命の50銘柄に分類されていた。掲載時点(6月4日現在)では、株価840円でPBRは2.42倍、今期予想PERは8.7倍、予想配当利回り6.93%となっていた。配当については、売買手数料等の収益次第で変動するし、配当性向6割を守るらしいので、期待し過ぎてはいけないと思っている。
ただ、それでもかなりの高配当だし、GMOグループはアクティプだし、盆栽投資にはよさそうな銘柄なので、ウォッチ期間はあまりおかず、7月1日に870円で100株、最初の買を入れた。その後は下げ基調なので、資金を入れたり(メイン口座は資金の出し入れを基本しないがサブ口座では多少やる)しながら買い増しを進めた。そして、8月20日には790円で100株買い増した。
8月2日に2021年12月期第2四半期決算を発表した。経常利益は事前の会社側の予想値通りで前年同期比28.5%増の98.4億円になったが、4~6月期だけ見れば前年同期比8.3%減だった。4~6月はビットコイン価格が軟調だったので、取引量も減って利益も低下したようだ。7月中旬にはビットコイン価格が底を打ったようなので、どんどん利益が低下することもないだろう。決算結果は株価にほとんど影響しなかったが、最近の地合いの悪さで下げが続いている。
なお、2018年以降の週足チャートは以下の通りだ。
GMOフィナンシャルHDの2018年以降の週足チャート
出所:株探(https://kabutan.jp/stock/chart?code=7177)
今回購入した銘柄については、さらに下げるようなら買い増しも想定している。下げる途中で買い始めて買い増していくというのも、私のいつものやり方だ。ただ、複数銘柄を同時に拾っているので、売買単位が普段より小さめになっている。
短期で上がるような銘柄はほとんど買わないし、株式の推奨銘柄を書いていく気もないので、最近買った銘柄をすぐに記事にすることは少ない。今回は自分の行った組み換えの備忘録の意味もあるし、私の株式売買のやり方の事例として書いておいた。今は冴えない銘柄を選んでいるので、推奨だと思う人も皆無だとは思うが。
今回の記事が皆様の参考になれば幸いですが、銘柄選定、購入はあくまでもご自身の判断でお願いします。
PS
一昨日、アマゾンプライムで『冴えない彼女の育てかた Fine』という2019年の劇場版アニメを観たので、つい「冴えない」という表現を多用してみた。記事のタイトルを「冴えない銘柄の拾いかた」にしようかとも思ったが、さすがにやめた。
【2021.9.7追記】
日経平均は8月20日を底に上げており、売った杉本商事や買った日機装なども全部上げている。最近の上げは、不人気の上、悪あがきをしていた菅首相の総裁選不出馬が好感されたのが大きい。
本日の日経に日経マネー2021年10月号の記事を再構成した、保有特許に注目した「精密機器」関連の技術成長株の記事が掲載されていて、日機装が3位に入っていた。 通期業績見通しを下方修正して一段安の後、最近の上げでもあまり上げていないが、やがて持ち直すのを期待したい。