KOBOで買っていて読んでおらず、最近読んだ本のタイトルだ。
著者:岩田 健太郎、発行年月:2010年12月、元は光文社新書。
著者:岩田 健太郎、発行年月:2010年12月、元は光文社新書。
著者名に見覚えがあるなと思ったら、2020年2月にダイヤモンド・プリンセス号での感染症対策を批判する動画をYouTubeに投稿してひと騒動になった人だった。元の動画は役割は果たしたとして削除されたが、全文書き起こしは以下にあった。
この件に関してはこれ以上触れないが、この本を読んで岩田さんが元々ワクチンや感染症対策に見識があり、書籍も書くような人だったというのが分かった。この本は2010年の発行だが、上の目次を見れば分かる通り、過去の事例、その時の状況を踏まえた上で、ワクチンの功罪について解説してくれている。本書の表現を使うならば、ワクチン問題の「好悪」の部分と「正邪」の部分を切り離すというスタンスで書かれている。
インフルエンザの予防接種に関して
私は、この本を読むまでは、インフルエンザの予防接種に関するネットの情報等を読んだりして、どちらかというと予防接種に懐疑的な方だった。家族は積極的に予防接種を受けていたが、私は職場に医師が来て予防接種を一斉に実施する時ぐらいしか受けなかった(立場上、受けずにかかるとよろしくないと思った)。年2回も予防接種をした子どもがインフルエンザにかかり、接種をしなかった私にはうつらなかったりしたこともあり、実感としても効果を疑っていた。
しかし、インフルエンザの予防接種の効果を疑わせる大元の一つになった前橋市の医師会がまとめた1987年の前橋レポート(ワクチン非接種地域におけるインフルエンザ流行状況)は、感染者数の数え方(罹患率の確認)に問題があったり、今から見れば統計的な分析が不十分だということだった。なお、著者は当時としての取り組みは評価していることは付記しておきたい。
さらに、その後、効果があるという検証結果が米国やカナダで出されていることも本書で知った。また、ウイルスは鼻腔粘膜に付着するので、血中に抗体(免疫グロブリン)があっても効果はないだろうということも理屈として納得していたが、検証結果では一定の効果はあるらしい。
上記のことを知ることができただけでも、本書を読む価値はあった。
なお、前橋レポート関連の話を簡単に知りたいなら、以下の記事も見つかったので一読するとよい。
新型コロナウイルスのワクチンに関して
今、日本ではちょうど新型コロナウイルスに対するワクチン接種が佳境だ。まず一般論として、本書にも書かれているが、いろんなウイルス性の病気に対して、ワクチンによる予防接種でも効果が100%ではないし、副反応が出る場合もある。それらも踏まえた上で社会防衛、個人防衛を考えて接種するかどうかという判断になる。集団接種とするか任意接種にするかの問題でもある。社会防衛のために一定の犠牲が出ることもありえる訳だ。最近では訴訟になり、マスコミに叩かれやすいので、個人防衛、任意接種の方に傾きやすくなっているけれども。
今回のコロナワクチンに対しては、今までなかった新しいタイプのメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンということで、懸念する意見も多いみたいだ。mRNAに関する解説もネット上には多数あるが、分かりやすく解説を試みた例としては、以下があった。
メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンをわかりやすく解説してみました
https://kujira-zaitaku.clinic/blog/957.html
https://kujira-zaitaku.clinic/blog/957.html
また、もう少し詳しく専門家が解説している以下の記事もあった。幾つか見た中ではいい記事だと思った。新しいタイプのワクチンではあるが、長年の研究成果だということも分かる。
一時期、危機的状況だった英国では、6月1日にはコロナの死者はゼロになったというニュースがあった。
同様にひどかった米国でも、ニューヨークで陽性率過去最低とかのニュースも流れていた。私はワクチンについて何か意見が言えるほどの見識はないが、これらのニュースを見れば、ワクチンの効果はあるのだろうなと思う。既に私の周りでも、親世代は接種を受け始めている。
mRNAワクチン接種の長期的な影響はまだ分からないだろうし、今後何か出てくる可能性もある。しかし、私も時期が来たら大人しく受けたいと思う。感染リスクはあまり感じていないので、できるだけ遅い方がいい気はしているが。
【2021.7.13追記】
6月14にツイートした内容だけど、引用したニュースは消えていたようなので、そのツイートともに元の記事を貼っておく。
----- 6月14のツイート
予防接種をしないで若い人が感染・重症化する確率と、接種の副反応が起きる確率を比べれば、後者の方が低いようだが、日本では前者の数が少なすぎるので統計的に断言できるのか分からない感じがする。mRNAワクチンの長期的影響も。
----- ツイートで引用したニュースの元の記事
上の記事はまだあった。多くの人の気分をよく表していると思う。コロナ関連の情報はいつのまにか消されたりすることもあるようなので、記事の図だけ抜粋して改めて貼っておく。
4回目の非常事態宣言が出されたり、オリンピックが無観客になったりしている。中止を望む国民の声も大きいとか報道されてきたが、私は本当かどうか怪しいと思っている。SNSで活動家的な人が発信し続けたり、反対の声のアカウントを調べると一時的なものだったり、そもそも組織的に反政府/反政権活動としてもやられているようだし。
感染リスクがちょっとでもある(増える)はらば、避けたいという素直な反応をする人がいるのも分かる。しかし、変異株でなくても、ワクチンを2回接種したとしてもかかる可能性がゼロになる訳ではない。ワクチンって元々そういうものだから。有効率は、接種しなかった集団と接種した集団を比べてどのくらい発病が減ったかを示すものだ。身近でもそうだったが、この定義を知らない人も多そう。そもそもゼロコロナって無理ぽい。
有効率90%と聞けば90%の確率でかからないと考えている人は間違いなのだが、それでもかかる可能性はゼロではないと分かっていることになる。ゼロコロナが無理だとすれば、かかると死亡の可能性もあるし、ワクチンの有効率も低めな季節性のインフルエンザと同様に捉えて付き合っていくしかないと思う。
ちなみに、通常の季節性インフルエンザに関しては厚生労働省によると「直接的及び間接的にインフルエンザの流行によって生じた死亡を推計する超過死亡概念というものがあり、この推計によりインフルエンザによる年間死亡者数は、世界で約25~50万人、日本で約1万人と推計されています」とのことだ。
あと、新型コロナが流行ったので、その分インフルエンザの死者数が大幅に減ったという話がある。手洗い、マスク、接触機会減の効果かもしれないし、そもそもウイルス性の病気は一つが流行っていると他の病気は少なくなるという説もある。特に見識がある訳でもないので、この件に深入りするのは避けるが、一つだけ興味深いデータを載せておく。新型コロナの感染拡大の前の死亡者数に比べて感染拡大後の死亡者がとのくらい増えたか(超過死亡)を国別にFTがまとめたデータだ。驚くことに、日本はマイナスなので、例年よりも死亡者が減っているということだ。
私はこのデータを以前から見ている。こういうことも踏まえで、マスコミがコロナの恐怖を煽りすぎているのではないかと思ってきた。煽ったから、減ったのだという主張になるかもしれないが。私は、少なくとも日本では感染防止のための用心はしつつ、日常的な生活に戻してもいいのではないかと思っている。