20年近く前にスイスに出張した際のトラベラーズチェック(TC)が100フラン分だけ残っていた。使用期限なしでも残しておいても使う当てはないし、少額とは言え放棄するのももったいないので、払い戻してもらおうと思った。最終的に換金できたが恐ろしく手間と費用が掛かった。
当時、第一勧業銀行で購入したアメックスのTCだった。 最寄りのみずほの支店では取り扱っていないとのことなので、三駅ほど離れた外国為替取扱支店まで足を運んで払い戻しを依頼した。しかし、TCを確認すると、たとえ勧銀で購入したTCであっても勧銀/みずほのマークが入ってないTCは払い戻し不可だと応じてくれず、アメックスの連絡先を教えてくれただけだった。
自宅に帰ってアメックスに電話すると、たどたどしい日本語で買取業者に行くように言われ、買取業者名や支店を教えてくれるだけだった。ネットでも調べてワールドカレンシーショップ(三菱UFJ系)に行くことにして、場所や営業時間を確認し、後日、また電車に乗って都内まで出かけた。
ワールドカレンシーショップに行ってスイスフランのTCを見せると、ちょっと確認してこのTCは買い取れないと言われた。アメックスのTCでもSwiss Bankers ~と記載されているのは買い取り不可なので、アメックスに連絡するように言われ、また電話番号を教えられた。なんかループしていた!
アメックスに再度電話して状況を話したら、今度はSwiss Bankersに連絡するよう言われ、番号をきくと国番号から始まる国際電話番号を言い始めた。さすがに頭にきて、「国際電話をかけて換金の相談をしろというのは非現実的だろう、責任者と話したい」と言ったら、たどたどしい日本語で「私です」と答えた!
怒っていても仕方ないので、Swiss Bankersの電子メールの連絡先をメール送ってくれるよう頼んだ。自宅に帰ると連絡先が届いたので、メールにTCの写真を添付してアメックスに払い戻しを拒否された旨をつたない英語で伝えた。返事は翌日には返ってきて、TCにVOIDと記入して、送金先口座情報を付けてこっちに送れとのことだった。
指示通り、写真のようにVOIDと記入し、口座情報とともにSwiss Bankers宛てに航空便で送った。
2週間ほどしたら、今度は送金先に指定しておいたみずほの支店からの問い合わせが留守電に入っていた。折り返して電話すると「何の送金か」ときくので、「TCの払い戻しだ」というと、確認するので証跡書類を送れと言われた。
マネーロンダリング防止のためだろうけど、1万円ほどの金額なのにすごい手間だ。こんな非効率な業務の仕方でいいのかと、株主として思った。
マネーロンダリング防止のためだろうけど、1万円ほどの金額なのにすごい手間だ。こんな非効率な業務の仕方でいいのかと、株主として思った。
Swiss Bankersとのメールのやりとりのコピーと送ったTCの写真をみずほに送ったら、2日ほどしてようやく入金された。驚いたことに手数料が2,500円も取られていた。換金レートも悪い。
スイスフラン建てで送金され、日本円で受け取る時(被仕向送金という)の手数料が高かった。金額ではなく、1件として決まっていた。
日本円で払い戻されて送金されてくると思い込んでいたが、Swiss BankersはTCをスイスフランの現金に替えて送金しているだけだった。もし外貨での送金と知ってたら、外貨受取りの手数料無料のソニー銀行で受け取っていたのに。メガバンクの方がSwiss Bankersは送金に慣れているだろうと思ったのが失敗だった。
今回のスイスフランのTCは、アメックスのライセンスの下で(見た目はアメックス)、Swiss Bankersが発行し、第一勧業銀行が販売していたTCだった。結局、無期限で利用可能と言っていたTCでも、発行元以外は責任を持たないということで、ありがちな話ではある。
払い戻そうとするまで気づいていなかったが、TCの国内販売は2014年3月末で終了しており、5年以上も過ぎていたので仕方ないところだ。
TCをまだお持ちの方は、早めの換金をお勧めします。