プチ早期退職者の資産運用+αブログ

コミック『ギフト±』が完結

 以前、電子書籍は楽天KOBOを利用していることやKOBOで読んだ本の記事を書いた。その中でコミックの『ギフト±』を継続的に購読していることも書いたが、10月に26巻でようやく完結した。著者はナガテユカさん。記事にするのが遅くなったが、ネタばれも含む簡単な感想を書いておく。


 出所:KOBOデスクトップのライブラリからの切り抜き(23~26巻の表紙)


 『ギフト±』は臓器移植や臓器売買などを扱っていて、内容的には楽しい話でなく、臓器移植にかかわる問題、命の価値、何が正義かについて考えさせる内容になっている。日本の闇の組織はフィクションぽいが、大陸の宗教弾圧と信者から臓器取り出しなどはリアルぽいし、読み応えはある

 このコミックのタイトルの意味を考えたことはなかったが、命に関して「神様からの贈り物」と呼び「ギフト」というフリガナを振ってある箇所が途中にあった。また最終巻でアメリカでは移植用の臓器のことを「ギフト」と呼んでいると知った。臓器を通しての命のやりとりで、「±」は与えるのがプラス、奪うのがマイナスという意味だった。ただ、与えるのが本人の意思とは無関係なのが、このコミックだ。

 ヒロインの少女(高校生)は、闇の臓器売買組織に属していて、更生の可能性のない極悪人の犯罪者(無駄なく使うから鯨と呼ばれている)を狩り、解体して各種臓器を取り出す担当をしている。社会にマイナスを及ぼしてきた犯罪者が、臓器提供によるプラスで埋め合わせをさせられるという意味も「±」にはあったのかなとも思った。

 臓器をいい状態で取り出すために生きたまま解体するが、少女は罪悪感なく無感情で、セリフとして出てくる「命は大事に使わないとね」という使命感で行なってい。途中で明らかになっていくが、ヒロインは臓器提供用に凍結保存されてた受精卵から代理出産で生まれ、子供の頃に既に心臓は提供済みで、代わりの心臓が移植されペースメーカーも埋め込まれた状態なのだ。

 色々伏線があり、難解ではないが入り組んだストーリー展開だったが、24巻で概ね決着がつく。そこで完結にもっていくこともできたと思うが、25巻から少し状況を変えた上、さらに作中で2年ほど経って残りを決着せてきれいに完結した。最後はハッピーエンドではないが、少しだけほっとする結末となった。複雑な事情や経緯があったにせよ、ヒロインのやっていたことを考えれば、そういう結末にしたのも妥当なんだろうなと思った。

 内容的に好みの問題はあるだろうし、前の方の巻ではエログロの要素も多いが、しっかりした骨格とテーマ性のある出来のよいコミックだと思う。

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