9月19日放送の『ダークサイトミステリー』は怪奇小説作家H.P.ラヴクラフトを取り上げており、今回の記事名は番組タイトルからの借用。以下は番組サイトでの紹介。
―今なぜ?静かなブーム“クトゥルー神話”とは?平和な日常に忍び寄る恐怖の怪物・邪神たち!有名な映画やアニメに大きな影響を与えた伝説のホラー作家。魅力と実像に迫る。 今、映画やアニメ、マンガ、小説など世界のクリエイ . . . 本文を読む
アルスラーン戦記最終巻「天涯無限」を先日読了、これでシリーズ全巻を読み終えた。作品の第1巻が発売されたのが1986年、最終巻の16巻は2017年12月に出ており、完結するまで実に30年以上かかっているのだ。 表紙裏で作者・田中芳樹氏は「待ち続け、読み続けてくださった読者の方々に、心より御礼申しあげます」と述べているが、それだけ長年に亘る熱心な愛読者がいたようだ。
実は田中氏の作品で私が全シリ . . . 本文を読む
『黒王妃』(佐藤賢一 著、講談社)を先日読了した。タイトルは黒衣を好んだことで黒王妃と呼ばれたフランス王妃からきている。その王妃こそカトリーヌ・ド・メディシス、フランス王アンリ2世の妃で彼女の回想を織り交ぜながら物語が進行している。カトリーヌ・ド・メディシスといえば西欧史では聖バルテルミーの虐殺の火付け役として悪名高いが、佐藤氏が描くカトリーヌ像は、単なる冷酷非情な悪女のイメージとは異なるヒロイン . . . 本文を読む
その①の続き マリー・アントワネットとスウェーデン貴族フェルセンとの許されぬ恋は、ベルばらと同じく本作でも重要なテーマとなっており、ここではフェルセンはAと呼ばれている。ベルばらと同じくフェルセンはアントワネットの生涯を通じてのただ1人の愛人であり、彼女の4人の子供は全て夫ルイ16世との間に生まれた設定になっている。 1792年2月13日、国王夫妻が幽閉されているテュイルリー宮殿にフェルセンが命が . . . 本文を読む
『マリー・アントワネットの日記』(吉川トリコ著、新潮文庫nex)を先日読了した。文庫版2部作で上巻 Rose、下巻 Bleu で構成されている。上巻のアマゾンでの書評が概ね好評だったため、試に購読してみたら思った以上に面白かった。裏表紙では「このプリンセス、他人とは思えない!」の見出しで作品をこう紹介している。
「ハーイ、あたし、マリー・アントワネット。もうすぐ政略結婚する予定www 1770年 . . . 本文を読む
その①、その②の続き 小説フランス革命でのロベスピエールの最後は、悲惨そのものだった。私はそれまでロベスピエールは、テルミドール9日のクーデターで彼に敵意をもつ兵士に発砲され、顎を撃ち砕かれたと思っていたが、小説では自殺を図り自らを撃ったと描かれている。 自殺は失敗に終わり、左顎は完全に砕けるほどの重症だったが、命は助かる。「この死に損ないっ!」と罵声を浴びせた兵士もいたが、顎の損傷の描写は凄惨極 . . . 本文を読む
その①の続き madiさんのコメント通り、小説フランス革命の性描写はそう過激ではなかったが、ルイ16世の性描写では面白い個所があった。Ⅵ巻に国王夫婦の性行為がこれまでは82回、ヴァレンヌ逃亡後に8回あったと描かれている。国王はそれらを記録せず、全て頭の中で記憶していたとなっているが、この辺りは著者の創作でしょ?と突っ込みたくなる。このシリーズは歴史書ではなく、あくまで“小説&rdquo . . . 本文を読む
『小説フランス革命』(佐藤賢一 著、集英社)を先日読了した。河北新報の読書案内でこのシリーズが紹介されていたが、著者が佐藤氏ということがあって敬遠していた。氏の以前の作品『カエサルを撃て』等の印象が悪かったこともあり、暴力や性描写過剰な作家のイメージがあったのだ。わたしの歴女友達も同じ見方をしており、「ああ、あの作家ね…」と話していたことがある。その見方が変わったのは、こんなコメント . . . 本文を読む
その①の続き アルダ・ケテラウリが仕留めたキスティの右手を切り落とさなかったのは、気弱になった為でも人道主義からでもない。敵ながら、その堂々たる戦いぶりに感服、キスティの遺体に向かい、こう語りかける。「私に殺されし男よ、神がお前を天国に遣わすよう。右手は腕の先に残してやろう。お前のものだ。お前の手が胸の上では土に還るよう、石垣には要らぬ。あっぱれな男であった。お前の一族に栄えあれ!」(10頁)
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『祈り-ヴァジャ・プシャヴェラ作品集』(児島 康宏訳、冨山房インターナショナル)を先日読了した。ジョージア(旧グルジア)の作家で、その作品は国民的文学になっているそうだ。図書館の新刊コーナーに置かれていたため、ふと手に取って見たら、日本では珍しいジョージアの文学であることが判った。シンプルなはらだ たけひで氏のイラストが良かったし、プシャヴェラ作品は初の邦訳という。訳者によるあとがきは、こう始まっ . . . 本文を読む