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日本人女性と中国人男性は相性がいい? その二

2022-12-05 21:40:09 | マスコミ、ネット

その一の続き
 欧米もコロナ禍による離婚は増えているが、失業などで経済的に追い込まれたり、慣れぬ在宅ワークで夫婦関係が悪化した背景もある。妻への虐待も増加、周 来友が言うようなお気軽離婚ではない。
 コロナ不況は日本でも深刻であり、独身の男女ももっと気軽に結婚すればいい、などの周の主張は戯言でなければ、悪意ある煽動だろう。

 欧米諸国で離婚が多いのは女たちによる経済力の向上が大きい。欧米も女性に経済力のなかった一昔前は離婚など切り出せなかった。別れても食べていける社会背景もあるが、実際は子供を抱えて困窮しているシングルマザーも多いのだ。第一線でバリバリ働けるシングルマザーは案外少なく、トップのキャリアウーマンは独り者か実家が恵まれているのが大半。
 中国も事情は同じだし、何よりもあの国は共産党体制の強固なコネ社会である。党幹部の一族か親戚がいる中国女なら幅広い活躍ができるが、地方農民の女は未だに封建的な因習に縛られている。一人っ子政策は終わっても、出生比率の男児の異様な多さは女児間引きの横行からきている。
 女児間引きはインドでも広く行われているが、インドと違いダウリー(持参金)制のない中国でもインド同様に男尊女卑が根付いているのだ。

 元々「男尊女卑」とは中国からきた言葉だ。最近は「重男軽女」と呼ばれているが意味は同じ。「重男軽女」で検索しただけで夥しいサイトがヒットする。中でも「おすすめ中国語ドラマ【都挺好】」という記事は興味深い。このような良質なドラマは日本でももっと知られていいと思うが、現代中国の“恥部”を扱っているため日本では取り上げられないのか?
 日本も戦前はあからさまな「重男軽女」だったが、息子を大事にする一方、娘を無視することはあまりなかった。儒教圏ではひな祭りのように女子の健やかな成長を祈る行事は考えられないだろう。

 ニューズウィークに載った周 来友の経歴は以下のとおり。
―1963年中国浙江省生まれ。87年に来日し、日本で大学院修了。通訳・翻訳の派遣会社を経営する傍ら、ジャーナリスト、タレント、YouTuber(番組名「ゆあチャンネル」)としても活動。

 もっと若いかと思いきや、私とほぼ同世代なのは意外だった。周の主張で特に傑作だったのが2つあり、以下はその一つ。
もともと社会主義の国である中国では日本よりもはるかに「男女平等」が根付いており、毛沢東時代から女性はあらゆる領域に進出していた。
「天の半分は女性が支えている」と言われていたほどだ。経済発展に伴い、さらに活躍の場を広げた女性たちは、経済力も向上し、躊躇なく離婚を切り出せるようになった。最近は倫理面も乱れてきており(男性にも女性にも不倫話は珍しくない)、離婚の理由にも事欠かない。

 これを鵜呑みにする日本人も少なくないし、中国は「男女平等」の国と憧れるお目出度い女もいる。このようなデタラメにはこの一言で十分だ。「ならば、女児間引きはどうよ?」。
 私の学生時代は日中友好が謳われる風潮であり、 学者、文化人共々中共の男女平等を讃えていた。だが私は、長く続いた儒教的男尊女卑がそう簡単に変化するものか、疑問に感じていた。歴女の勘が働いたためだが、結果的に私の予想は当たっていた。毛沢東時代の実態を描いた書も日本では数多く出版されている。

「女性は“良妻賢母"であるべきだ」3期目の中国・習近平指導部から女性が消えた理由」(2022年10月26日)というニュース記事は興味深い。記事には中国共産党の実態が紹介されており、以下は記事からの引用。
中国共産党員は約9700万人で、女性党員の割合は約29%に達する。しかし、中央委員205人のうち女性はわずか11人。上層部にいくほど女性の比率は低くなる。政治局常務委員会に女性が入ったことは一度もない。

「女性は55歳で引退…中国共産党は「超男社会」」という見出しがあり、「「男女平等」を基本理念に掲げている中国共産党が、いわば「男社会」の縮図のような姿を示しているのは皮肉と言うほかない。」という一文がある。
 女性党員の割合が約29%に達するのは結構でも、イエスマンならぬイエスウーマンでなければ党員は務まらない。この辺りは日本共産党も同じだが、日本や中国はともかく、女性がリーダーを務める共産党などあったのだろうか?
その三に続く

◆関連記事:「マオ(上巻)
マオ(下巻)
チャイナタウンの女武者

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