技術士(総合技術監理・機械部門)のブログ

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まるの認識課題

2006-03-18 16:07:58 | 脳科学の記事類
脳の視覚システムは非常に複雑であるが,障害を持った患者の症例から,その機能に関しての様々な知見が得られている.
網膜に映し出された画像は,神経信号として脳の視覚一次野に入り,2つに分かれる.一つは反射などの古い(動物に見られるという意味)皮質に行く.もう一つはさらに2つにわかれ,物自体が何であるかを判別する領域と,空間的にどうなっているかを判断する領域にいくらしい.
その中で,我々の古い皮質にいく信号は,実は無意識に制御されているらしい.その証拠がこの図である.
ご推察のとおり,左右の大小の「まる」に囲まれた中央の「まる」は実は大きさは等しい.しかし,錯覚(錯視)により左の方が右より小さく見える.というか見えると認識する.上記空間的認識の領域ではこうなる.背景との関連やその他の高度な判断によりそう認識されてしまうという説明だ.(複雑な仕組みであり,謎も多い部分で私もよくわかっていないので省略)
ところが,このような錯覚が生じるおなじようなものを実際に用意する.例えば円筒の白いもので良い.そして,左右の中央にあるものを掴ませる.
これをビデオカメラで撮影して,分析すると,人間は左右どちらのものを掴む時の指の開き具合は同じになるという.
つまり,運動を制御している部分は,ロボットのように視覚情報からの正確な寸法がわかって運動制御しているということである,
さらに被験者はこれを認識していないと言う.無意識のロボット機能を人間は持っているのである.

例えば下記ラマチャンドラン著の4章に詳しい.


脳のなかの幽霊

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