
ウクライナの文学を調べていてバイコフを知った。
満州国に亡命し、その作品は戦中の日本で人気だったという。
大横綱・大鵬も亡命ウクライナ人2世であり、意外に日宇の縁は探せばあるのかもしれない。
従来は、白系ロシア人と、ひとくくりにされていたのかもしれないが。
絵本以外で動物を主人公にした物語といえば、『カモメのジョナサン』くらいしか読んだ覚えがない。
特に期待もせず頁を繰っていった。ウクライナから逃れてきた人が、どういう作品を書いているのだろうという興味だけで手にしたのだ。
しかし案外、面白かった。読者を子どもとか大人とか限定しない守備範囲を感じた。著者が、満州の自然、風土を深く愛していたのだろうことが読み取れた。
しかし歴史の波は、バイコフを安住させなかった。ソ連が侵攻すると、70代の高齢で再び逃れねばならなかった。日本を経由し、オーストラリアへと亡命したのである。
今もまた、祖国を出て、流転せざるを得なくなったウクライナ人、ロシア人が、世界中にいるだろう。
家族や故郷を喪失した彼らの記憶や記録は、残り、伝えられるのだろうか?
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