笑いと忘却でしか救われない、ということなのか。
他のものごとに神経を集中せざるを獲ない時期だったのもあるが、ここ最近の読書停滞は、この作品に影響されたことを否定できない。
深刻で凄惨な現実を、滑稽感と、感傷を排した冷徹さで周縁から描いていく。引き込まれるのだが、一方でリアルの日常においてチェコ動乱より悲惨なことが生起していて、まともに文学として鑑賞できなかった。
これを凌駕し、笑い飛ばし、蹴散らすような文学が、遠くないうちに必要とされるだろう。歴史が繰り返すのを停められはしないのか。ただこうして、慰みに、文学をひもとくことで哀しみを受容せねばならないのか。忘却するしかないのか。
色眼鏡を外し、公平な目で読めるときに、また手にしたいと思う。
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