
知人に勧められて手にした。
SF的な衣装を纏っていながら、時代性を鋭く反映した思想小説。
驚くべきは、自決の10年前に、これを既に書き終えていたということだ。
自らを宇宙人であると自覚し、それぞれの使命を果たそうとする4人家族。その滑稽さと、裏腹な真摯さは、まさに楯の会を彷彿とさせる。
やはり、よくいうように、市ヶ谷での決起は文学的に演じられた三島由紀夫の檜舞台だったのだろうと、この作品が証しているように思える。
敵対する自称宇宙人との論争は、あまりにも演説調過ぎ、それまでの作品世界が台無しになった感は否めないが・・・
当作品を書いたとき、もはや何かを見通していたとしか思えない。その冷徹さに驚かされる読書となった。
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