司馬遼太郎は短編も上手かったんだなと唸らされる読書となった。
長編では、誰もが知る英雄を扱うことが多いが、この短編集では、主として、能ありながら歴史の表舞台に出られなかった小英雄の悲喜劇を描いている。
短編特有の、余韻が響くような終えかたが心憎い。
『英雄児』は、軍事と経済の才ゆえに、平侍から筆頭家老までまで累進した河井継之助の生涯を、わずか50頁ほとで濃密に描く。
戊辰戦争の一場面ながら、深く溜め息をつくような読書体験であった。
他も、歴史の1頁を形成する重要な場面場面を担う人物たちが取り上げられている。
共通するのは、しかしスポットライトの当たらないところにいた者たちだ。
短編集だから、隙間時間に読める。気持ちを上げていきたいときに持参する、心の強壮剤としていいかもしれない。
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