網代温泉を出て、連れにどこに行きたいかと問うと、熱川のバナナワニ園へ行きたいという。どうしてそんなところに行きたいかは謎だが、ワニはじっとしているとかわいいという。さらに意味不明だが、ほかに行く当てがるわけでもなく、熱川まで足を延ばしてバナナワニ園を訪ねた。
熱川バナナワニ園は、伊豆急の熱川駅から、徒歩で数分の距離にある本園と、それより少し山側にある分園とからなる。東伊豆は海の近くまで山が迫り、急な谷が刻まれている。その急峻で狭い谷に、張り付くようにワニ園はあった。
ワニの種類は多く、世界各地のワニが飼育されている。多くのワニは温泉につかりながら、動きを止めているが、看板の注意書きによると、のそのそしているようだが、狩りのときの動きは早く、瞬発力もあり、絶対に柵から乗り出さないようにとあった。言われなくてもそんなことはしないよとも思うが、のへぇーとしている姿を見ると、そんなことを思う人も出てくると思う。
もう一つのみどころは、園名にもあるバナナである。このバナナも温泉の熱を利用した温室で育てられている。もっともバナナだけではなく、多くの熱帯植物、例えば モンテスラやハイビスカスなども育てられおり、個人的にはそちらの方が興味深かった。少なくとも植物の方が、素人目には多様性が簡単に理解できるように思える。ワニはアリゲーターだ、クロコダイルだといっても、自分には似たように見える。
一連の温室群の最後には、睡蓮や蘭の温室があり、どちらもとても美しい。温室を出て、海を眺めると、相模湾に伊豆大島が見えた。熱川の温泉郷の先に見える大島は思いのほか、大きく、伊豆七島はここから近いのだなぁと改めて感じさせられた。そして、やっぱり電車で来るべきだったと少し後悔しながら、渋滞の東伊豆をかえったのである。