記憶のあいまいさ。地下通路を歩いていると地下鉄の改札口ではなく関係者の通用口から出てそのまま近くの出口に消えた男を目撃した。腕章はしていなく服装も普段着なので不正者であるのはまず間違いない。そのままにしようかと思ったが行く先に窓口があるし、彼らのおかげでまた値上げされても困るので駅員に伝えることにした。成り行きを説明すると質問された。続く。
20-10-11
「どんな人でした？」。男で痩せていて身長は１７０㎝以上で６０から７０歳と思われると話したら、今度は「どんな服装でした？」と聞かれた。そこで少しあいまいになってきて「とにかく普段着で青っぽいズボンにやはり青系のシャツだった気がします」と応えた。次に「どんな顔立ちでした？」と言われてもうまく応えられない。一瞬垣間見たものを正確に説明するのは難しい。
20-10-12
続き。絵を描いている人なのにと言われそうだけど、何となく目に入るのと意識的に注視するのでは訳が違う。ましてや短時間であればなおさら記憶はあいまいになる。そこで何とか思い出して言わねばと思い過ぎると、そこに勝手な想像や思い込みが入り込む可能性も出てくる。余りにも具体的で詳しい説明は、記憶より想像の部分が大きいのではと疑う必要があるかもしれない。
20-10-13
女性の黒髪が増えた気がする。毎週利用している市役所の食堂でふとそれを感じた。こっちは食事中でじっとしていて、これから食べる人と食べ終わった人が行き来するので多くの人が目に入る。茶髪が一気に増え始め黒髪をほとんど見かけなくなった時期に比べると明らかに違ってきた。自分の願いだが、偏らずに色々な髪の色の人がいてくれると嬉しいのだ。茶も赤も白も黒も。
20-10-14
主義や主張なんていうそんな大層なものではない、人としてのもっと根本的な生き方が失われていく悲しさ。真面目や正直が日本からどんどん失われている。過去には嘘つきは泥棒の始まりなんて言っていたけれど、今は不誠実と無責任の始まりかもしれない。国の中枢を担う人間が平気で嘘をつきそれに対して何ら呵責の念を持たないから怖い。それを許してしまう社会も悲しい。
20-10-15
久し振りにココアを買った。夏はもちろん暖かいうちは頭にも浮かばないし、飲みたいとも思わないけれど、寒さがそうさせたのだろう。コーヒーは季節にも暑さ寒さにも関係なく年中飲んでいるというのに、ある季節になると飲みたくなるものがある。夏なら麦茶だろうか。寒くなるとココアを飲みたくなるのはあの甘さのせいかも。何となく体も心もゆったりほんわかしてくる。
20-10-16
思わぬ嬉しいプレゼント。いつも買い物をしているスーパーに行くと店頭の駐車場の一角に黒いズボンとベストと白いシャツの大集団がいる。演奏後のバンドだと思って店内に入り買い物をして出ると、運のいいことにちょうどこれから演奏が始まるところだった。それは80人の高校生の動き踊りながら演奏するバンドで、軽快なリズムに生の迫力そして若い活力にすっかり魅了された。
20-10-17
あるテレビ番組のレポーターが田舎の駅前に立ち「周りに何もない」と驚いたように叫んだ。住宅が数軒ありバス停まであるというのにだ。多分、都会生まれで都会育ちなんだろう。駅前にコンビニがなく住宅街もなければ何もないになる。田舎育ちにしてみれば何もないところはどこにもない。山や海や川や空や大地の草花もしっかり目に入る。エリモにも丘陵も灌木もある。
20-10-18
昨年の6月に1棟2戸の隣人が引っ越した後、新しい入居者を求めていなかったためその辺りから持ち物の整理と処分は徐々に進めていた。そして、今年はコロナの影響でそれもかなり進んだ。引越しを具体的に考えていたわけではなく、どんな物件があるかの予備知識として知っておこうとの考えで9月の末に住宅斡旋会社に顔を出したはずなのに、すっかりその流れに。続く。
20-10-19
複数の物件を紹介され、それらを見て回っているうちに引っ越しの気運は次第に高まり、コロナのためにすべての発表が中止された今年は絶好の機会だとも受け止め始めた。気になった物件の内部を見せてもらう内にその気持ちは一層強まり、移るのは『今しかない』との思いも相まって決断するに至った。納得のいく新居も無事決まり、行動に移して本当によかったと思う。
20-10-20
