昨年から「国際的な子の争奪の民事面に関するハーグ条約」の批准の動きで新聞紙上を賑わしていることは承知の通りであるが...。アンケートをする動きがあるそうですので補足いたします。
1.関係諸官庁が、裁判所、法務省、厚生労働省、地方公共団体を所管する総務省と、多岐に亘っており、人事訴訟法、家事審判法、及び家事審判規則の改正だけで終わるとは思えない。
2.一方的に、外国法事務弁護士の職域拡大の材料にならないように、日本籍の法律事務所も、海外で似たような事案がある場合に、日本在住の依頼者から受任して海外で業務が実施できる担保が確保されるかどうか?
【受けられる人は少ないとしても、やる気のある本邦の弁護士さんの機会確保がなされていること】
3.家裁やその調停委員・調査官だけが業務を担うと想定し、批准するかもしれないのですが、地方公共団体の家庭福祉や児童相談所の担当者の嘱託鑑定が発生するかも知れず、全国的にある程度均質な基準を確保する必要のあること
条約の国内流の履行の方式は裁量が残されており、条約の履行を法律化して実施する方式もありえます。
かなり例えは異なるのかもしれませんが、ジュネーブ第1追加議定書の批准時に、「国民保護」で防衛省、警察庁、及び消防庁で各々できることをやったように、本条約を批准する際に想像して制度設計できるかできないか?検討する時間をとっておいたほうが問題点を洗い出せるのではないのでしょうか。「専門外でこれを書いているのはおこがましいという気分が抜けません。あしからず。」
追記 現実論者の論調は以下のとおりです。http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2010pdf/20100801120
2年かかるという意見です。家事審判法や人事訴訟法改正とのリンクから見てということなのでしょう。(20101204)