シンボリクリスエスは父Kris S.がBull Dog=Sir Gallahad5・5・7×4で、母Tee KayがGlamour≒Francis S.5×3で、自身はRoyal Charger≒Nasrullahぐらいで強いクロスはなし
Northern DancerもサンデーサイレンスもMr.Prospectorも持たないので、シンボリクリスエスの孫の代になって、血統表の1/4の代になって、「3/4Northern Dancerクロス」全盛期における1/4異系として光り輝くことになります
種牡馬エピファネイアの成功はもちろん、レイデオロも母父シンボリクリスエスの「3/4Northern Dancerクロス」ですよね…合掌
(201X年春)
エピファネイア「あ、母ちゃんお化粧してる(・∀・)」
シーザリオ「これからカメちゃんとデートやからな」
エピファネイア「そういやボリクリ父ちゃん、最近うちに来ないね…」
シーザリオ「子供がなあ…あんまり走ってへんしなあ(^ ^;) 私もいろいろ考えたんやけど、やっぱり3/4同血クロスがエエかなと思うてね。カメちゃんとヨリ戻すことにしたんよ」
エピファネイア「母ちゃんは、父ちゃんのどこが好きやったん?」
シーザリオ「そらだって、有馬ぶっちぎったときはみんな憧れたもんよ。ボリクリ先輩、胴がスラッと長くてカッコよかったし…(うっとり)」
エピファネイア「そうかあ…母ちゃんもボリクリ詐欺にあったんやな(・∀・)」
シーザリオ「ど、どこで覚えてきたんやそんな言葉(^ ^;) あ、カメちゃんきたかな♪」
キングカメハメハ「おおエピ坊、また胴が長くなったんちゃうか?おぬしステイヤーやな(・∀・)」
エピファネイア(キンカメさんかっこいいなあ…将来種馬になれたら、キンカメさんの娘と付き合いたいなあ)
シーザリオ「ほな行ってくるな。ロザリンドと留守番してるんやで。晩ご飯はこれチンしてな」
キングカメハメハ「HOTELヌレサドの43号室予約したで」
シーザリオ「それはエエけど、アンタ去年デアリングハートにも種付したんやな。私あの娘好かんねん!桜花賞で勝手に前に入ってきよってからに…」
キングカメハメハ「ダンジグの肌だけあって、ええケツしとったわ」
エピファネイア(ぼく斜尻やから、やっぱりお尻プリプリの女の子がええなあ…)
サンデーサイレンスの血統表でみる「3/4同血」「1/4異系」「配合的な緊張と緩和」
https://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/ae4eb6626dc53f7a1fe0a44421ab3d00
これの続編としての「アーモンドアイ編」です
初出は今春発売のカドカワムック「一口馬主&POG攻略読本 愛馬選びはここを見よ!」
このムックに寄稿したときに、私が書くことですから「全きょうだいクロス」「3/4同血クロス」「1/4異系」のワードが頻出するので、それらの説明をまとめたページを別に設けたいということで、最近の活躍馬で良い題材はないかと
「あ~それやったら、アーモンドアイの6代血統表が載せられれば、笠理論のだいたいはそれ一枚で説明できますよ」
以下で説明しますが、アーモンドアイの血統表には「配合史」に書いてあることの全てが詰まっているといっても過言ではないので、この稀代の名牝が引退するにあたって、当ブログにも再掲しておこうかと思い立った次第です
◆全きょうだいクロス、3/4同血クロス
父と母が同じ馬を「全きょうだい」と称し、その2頭を血統表中に持つと「全きょうだいクロス」として、=を使って通常のクロスと同じようにカウントします。また父が同じで母が姉妹や親子のような関係は、血統の3/4が同じ「3/4同血」として扱い、これも≒を使って「3/4同血クロス」として扱います。
アーモンドアイの5代血統表をご覧ください。アーモンドアイにはNureyev5×3と、Northern Dancer5・6・6×4のクロスがあります。そして父ロードカナロアの母レディブラッサムには、略図のようにSecretariat=Syrian Seaの全きょうだいクロス3×4があります。種牡馬ロードカナロアが伝えるしなやかで俊敏な体質は、主にこの全きょうだいクロス由来と考えられます。
┌Bold Ruler
┌○┌Secretariat
│└△└Somethingroyal
レディブラッサム
└△
└△
└△┌Bold Ruler
└Syrian Sea
└Somethingroyal
そしてこれも略図を参照していただきたいのですが、アーモンドアイにはトライマイベスト≒ロッタレースの3/4同血クロス5×2も存在します。トライマイベストもロッタレースも母は名繁殖Sex Appealで、父はNorthern Dancerとその息子Nureyevです。アーモンドアイの牝馬らしからぬ強靭な走り、特に前捌きの逞しさ力強さや地面を掴む強さは、この3/4同血クロスの影響を強く感じさせるものです。
┌Northern Dancer
トライマイベスト
└Sex Appeal
┌Northern Dancer
┌○
ロッタレース
└Sex Appeal
このような全きょうだいクロスや3/4同血クロスは、通常のクロスよりも優れたものとして評価します。全きょうだいクロスや3/4同血クロスが生じるということは、ある優秀な繁殖牝馬の子孫たちが競走馬として繁殖として次々と成功し、様々なラインを通じて血を拡散しつづけてきたからに他なりません。
Secretariat=Syrian Seaの母Somethingroyalもトライマイベスト≒ロッタレースの母Sex Appealも歴史に名を残す名繁殖で、子孫や牝系が大繁栄しました。それぐらい優れた繁殖牝馬の血を含んでいるということから、全きょうだいクロスや3/4同血クロスを高く評価するわけです。ちなみにSex Appealはこれも超名繁殖として名高いLa Troienneの血を、Busanda≒Mr.Busherの3/4同血クロス2×3を経由して受け継いでいます。
◆ニアリークロス
全きょうだいクロスや3/4同血クロスほどではなくとも、血脈構成の5/8ぐらいが共通するような血同士をニアリーな関係とみて、それらを血統表内に持つことを「ニアリークロス」と称して、ふつうのクロスに近い効果があると考えます。重要な牝馬の血を含んでいる場合は、ふつうのクロス以上に評価する場合もあります。
ディープインパクト×Storm Catの組み合わせは、リアルスティール=ラヴズオンリーユー、サトノアラジン=ラキシス、キズナ、エイシンヒカリ、アユサンなどが出てスーパーニックスと認知されています。
配合略図をご覧いただきたいですが、このニックスの根拠は、ディープインパクトの母父の母父Sir Ivorと、Storm Catの母Terlinguaの血脈構成がかなり共通する点にあると考えられます。この場合、キズナはNorthern Dancer5×4のクロスと、Sir Ivor≒Terlinguaのニアリークロス5×3を持つと表記します
┌Royal Charger(Nasrullahと3/4同血)
┌○
┌○└Somethingroyal
Sir Ivor
│┌○┌Sir Gallahad
└△└△
│┌Pharamond
└△
└△
└Alcibiades
┌Nasrullah(Royal Chargerと3/4同血)
┌○
│└Somethingroyal
Terlingua
└△ ┌Pharamond
└△┌○
││└Alcibiades
└△┌Sir Gallahad
└△
◆配合的な緊張と緩和と「1/4異系」
同じ血についてのクロスやインブリードを重ねていくと、近親交配の弊害も心配されます。優れた血のクロスを重ねる一方で、それとは縁遠い別のラインの優れた血も随所に取り込んでいく必要があります。筆者がよく言う「配合的な緊張と緩和」です。
アーモンドアイの血統表をもう一度ご覧いただきましょう。前述したように、アーモンドアイにはNorthern Dancer5・6・6×4のクロスがあります。この血統表を祖父母4頭に4分割してみた場合、母父サンデーサイレンスのところだけはNorthern Dancerの血が全く入っていないことがわかります。
このように血統表の3/4で同じ血のクロスを重ねつつ、残りの1/4だけはそれとは無縁の血で構成するという配合手法は、サラブレッドの馬産の歴史において、数多くの名馬や名種牡馬や名繁殖牝馬を生み出してきました。
インブリードによる優れた資質の固定と、アウトブリードによる雑種強勢の活力。この二つを同時に満たそうという考えです。この場合、アーモンドアイの血統表におけるサンデーサイレンスを「1/4異系」と呼びます。ちなみにロードカナロアも母母サラトガデューだけNorthern Dancerが入らない「3/4Northern Dancer」です。
マイラプソディはハーツクライ×Capoteのニックス、つまりナスペリオン的斬れを活かしたオーソドックスなハーツクライ産駒だと書いてきましたが、サリオスとワーケアは母方のデインヒルの影響が強いので、マイルをうなりながら先行したり中山内回りで捲ったりできるのだ、という書き方をしてきたつもりです
他にもマイスタイル、ロジクライ、グレイル、ウーマンズハート、カテドラル、シャドウディーヴァ、チェーンオブラブ、ポレンティアなどなど、ハーツクライ産駒ながらマイルでうなったり内回りで捲ったりできる馬たちは、母系にDanzigが入っていてその影響を大なり小なり受けていることが多いです
サリオスとワーケアは母系にNiniskiが入るという共通点もありますが、ハーツクライ産駒で母系にデインヒルとNijinskyを併せ持つ馬は以下のようになかなか高確率で走っています
デインヒルとNiniskiはNorthern DancerとRibotとTom Fool≒Flaring TopとGallant Fox=Fighting Foxなどが共通します
┌Menow
Flaring Top
│ ┌Sir Gallahad
│ ┌○
│┌○
└△
┌Menow
Tom Fool
│┌Bull Dog(Sir Gallahadの全弟)
└△
またハーツクライの母母ビューパーダンスとデインヒルはNorthern DancerとBusandaとFair Trialが共通します
つまりハーツクライとデインヒルとNiniskiが出会うと、Northern DancerとRibotとTom Fool≒Flaring TopとBusandaとFair Trialをクロスすることとなり、デインヒルの血脈構成をほぼ全て押さえることになるわけですね
デインヒルで走らそうという配合ですから、父ディープインパクトのサラキアやダノングレースと比較しても、デインヒルっぽい馬が出てしかるべき配合ともいえます(まあ男馬のぶんパワーに寄ったともいえますが)
ちなみに「母系にデインヒルとNijinskyを持ち、かつ母がRibotのクロスを持つ」条件でさらに絞り込んでみると、上のような結果になりました
ついでに「母系にデインヒルとNijinskyを持ち、かつ母がRibotのクロスを持つ」ハーツクライ2歳も検索かけてみましたが、サトノアイちゃんしかいないようです
シルクツアーのときに三輪さんが大きなサリオスを指さして、「ハーツ×Lomitasでなんでこんな馬になるんでしょ?」と当惑していたのを思い出しましたが、サリオスという馬を理解しようとするならば、まずデインヒルを根本に考えるべきなんでしょうね
Deputy Minister的なエッセンスを増幅したフレンチデピュティとNasrullah的な血を凝縮したブルーアヴェニュー(Nasrullah≒Royal Charger≒Oil Capitol≒Furrokh Siyar≒Nizami4・5・6×5・5・6・6)との間に生まれたクロフネは、NHKマイルを勝ったあとは武蔵野SとJCダートをぶっこ抜いて伝説の最強ダート馬として名を遺しました
種牡馬としてはダートのパワーはもちろん、芝大レースを勝つようなストライドも伝え、馬格があってオールラウンドで、今のところ有力な後継が出ていないのが非常に残念というべきでしょう
改めてクロフネの血統表を眺めていると、やっぱりこの血統表に唯一足りないものは、秋天とか菊花賞を勝つような底力のある血やと思うんですよね、BurghclereとかVaguely NobleとかMonsunとか、トニービンとかディクタスとかリマンドとかね
これはクロフネの血を引く最近の活躍馬で、相変わらず牝に大物が出るのはそのあたりもあるんでしょうが、クロフネを父や母父に持ち芝の大レースを勝つような馬は、前記したような血を他の部分から補っていることが多いことに改めて気づきます
たとえばの話、もしアエロリットの母父がネオユニヴァースではなくサンデーサイレンスだったら、あんなHペースでガリガリ逃げて二枚腰を使うような底力を発揮したかどうか、やっぱりそこはポインテッドパスに入るBarley CornやCrepelloやWordenなんかが効いていると私は思うのですよ
ネオユニヴァースの母ポインテッドパス
この組み合わせ血統表を見てのとおりで、クロノジェネシスについては“鯨のミスプロ炒め”と評してきましたが、最近の立ち姿なんかみてもほんとにホエールキャプチャを脚長にしたようなイメージになってきたと思います
この2頭にしても、Nashwanの母Height of FashionがBurghclereと3/4同血で、Hyperion3×2にBustedとFeolaですからね
一口に“クロペリオン”と言ってもペリオンの中身も大事で、「HyperionとDonatelloとSon-in-Law」という英国ステイヤー御用達のスタミナの組み合わせだから、そういう底力を補うから大物が出るのだというね
牡の芝の活躍馬をみても、パクスアメリカーナはホエールの全弟(Height of Fashionとリマンド)、ステファノスとシャイニングレイとベストアクターは父ディープインパクト(Burghclere)、リオンリオンはエアグルーヴ(トニービン)とフェアリードール(Sharpen Up)ですから、Nashwanやポインテッドパスと同じく「HyperionとDonatelloとSon-in-Law」を補強しているのは同じ
クロノジェネシスの姉ノームコアについても触れなければならないですね、これは父がハービンジャーで、ハービンジャーはハイハット≒Aureole5×6とCrepello7×5です
クロノロジストはJRA出走産駒8頭中7頭が勝ち馬で計22勝をあげているという名繁殖ですが、父から「HyperionとDonatelloとSon-in-Law」を補強したクロノジェネシスとノームコアだけがG1まで到達したというのは、クロフネ目線からみても偶然ではないと思えてきますよね
配合大喜利で決定したビッグアーサー×ベッキーですが、無事に牝が産まれました(・∀・)
シャインパーミットもビッグアーサーの牝を出産、これは繋ぎがゆるゆるだそうで、ナスペリオン的に芝に振った配合なのでまあイメージは描けます(・∀・)
そういえばベルベットローブは今新冠橋本牧場にいるんですが、シャインガーネットのファルコンS快勝につき、今年オルフェーヴルを配するべきか悩みだしたようです(笑)ちなみに去年はドレフォンいきました
オルフェーヴル、というかステイゴールドとGone Westもまあまあニックスですからね、Gone WestはMixed Marriageいじらないと味がないです
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前エントリで書こうかと思ったんですが、ちょいと大きなテーマになりそうなので別腹でということで
ラウダシオンは栗のピック馬ですが、現時点のリアルインパクトの代表産駒で、母系にUnbridled's SongとStorm Catが入るという点で、この二つのニックスがディープインパクト孫世代でも有力だと証明したことになります(ビアンフェの母母もUnbridled's Songの全妹)
ワールドエースの現時点の代表産駒はオータムレッドですが、これは母ティッカーコードがStorm Cat≒Chapel of Dreamsの3/4同血クロス2×4です
そしてディープブリランテの代表産駒はモズベッロとセダブリランテスとラプタスの重賞勝ち3頭ですが、このうちモズベッロとラプタスの母系にもStorm Catの血が入るんですよね
すでにStorm Catを取り込んでいるキズナを除けば、ディープインパクト系種牡馬は概ね、Storm Catとのニックスで代表産駒を輩出しているということになります
トーセンラーの代表産駒アイラブテーラーもStorm Catの血は引きませんが、Habitat経由のSir GaylordクロスでHabitatらしい前駆のいい走りで、ディープ×Storm Cat的な柔の方向に振った配合とはいえます
Storm Catとのニックスが最も成功しているリアルインパクト(JRAに4頭が出走しラウダシオンなど3頭が勝ち馬)は、トキオリアリティーの息子らしくディープ系らしからぬ締まりの強い体質を産駒にも伝えています
いつも書くように、サラブレッドの配合とはいろんな意味において揺り戻しの繰り返しですから、Storm Catを使わず“剛”の方向に振れたディープ系種牡馬ほど、Storm Catを使って“柔”に振り戻すのが効果的である、ということがリアルインパクトやディープブリランテやワールドエースなどの産駒においては言えるのではないかと
ではディープインパクト×Storm Catで成功したキズナの場合はというと、今のところStorm Catの血を増幅した配合が成功しているような印象ですが、ディープインパクトのもう一つの有名なニックス、デインヒルとの配合もなかなか高確率で走ってるんですよね
時節柄ディープ系種牡馬やディープ肌の配合にあれこれ頭をひねることが多いんですが、直仔でどっちに振れて、孫でどっちに振り戻すべきかというね、そんな視点でいくとある程度方向性が程度定まってくるのではないかと思いますね
『一口馬主好配合馬ピックアップ(2018)』で望田潤と栗山求がダブル推奨したミスビアンカ(牝3歳)が土曜中京5Rの未勝利戦(ダ1400m)を勝ち上がりました。
★シルクホースクラブ
父ロードカナロア
母シャトーブランシュ(キングヘイロー)
牝 募集価格:3500万円
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2017105337/
母シャトーブランシュは現役時代にマーメイドS(G3)を勝ったほか、ローズS(G2)でも2着と健闘しました。本馬が初子となります。父ロードカナロアは初年度産駒からアーモンドアイ(桜花賞、オークス)、ステルヴィオ(スプリングS)などを送り出しました。母方にNureyevを持つ配合は連対率36.6%、1走あたりの賞金額606万円。これはロードカナロア産駒全体の22.5%、192万円を大きく上回ります。本馬はこのパターン。重厚なファミリーから誕生しているので母はキングヘイロー産駒らしいスプリントはなく中距離向きとなりました。ロードカナロアとの配合ではそうしたタイプのほうがいいでしょう。アーモンドアイの母フサイチパンドラはエリザベス女王杯(G1)や札幌記念(G2)を勝った中距離馬でした。母方にHaloとトニービンを併せ持つロードカナロア産駒は10頭中7頭が勝ち上がり、2勝馬が3頭と優秀な成績。本馬は堅実性と大物感を併せ持つので楽しみです。(栗山)
(7/31追記)
ロードカナロア×キングヘイローの組み合わせはSir Gaylord的に緩い方向に振れそうですが、体質は母譲りでかなりHyperion的に頑強。トニービンやNureyevのナスペリオン斬れ、Pasadoble≒Allegedのパワーなども押さえた好配合で、ロードカナロア牝駒らしい鋭敏さはないですが、3歳以降の伸びしろが大きそうな中距離馬。まさに重馬場のローズSのイメージです。(望田)
土曜中京9R500万下 カラル(一口・望田&栗山、POG・望田)
土曜阪神9RうずしおS ブランノワール(一口・望田&栗山)
日曜中山6R500万下 ハーモニーマゼラン(POG・望田)
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ものすごいお尻のMaximum Securityは、ものすごいHペースを追いかけてものすごい三枚腰で後続を完封し、1着賞金11億円をもぎとっていきました
先日のIBBAの振興会でも同じことを言いましたが、父のニューイヤーズデイはサンデーサイレンスもデインヒルもSadler's WellsもKingmamboも、Storm CatもA.P.IndyもUnbridledも引かず、Northern Dancerのクロスも持たないので配合しやすいというのが最大の利点で、Maximum SecurityのようにNorthern Dancerがうるさい牝馬との配合にも向くし、Street CryとCapoteを持つのでハーツクライ肌と合いそうだし、Honour and Gloryが入るのでディープ肌にもフックしやすいでしょうね
今のところ北米での重賞勝ち産駒3頭(あと2頭はBourbon ResolutionとFighting Mad)はSeattle Slewのクロスを持つ点が共通しており、Maximum SecurityはSeattle Slew6×4
ジョッキー四位洋文の思い出といえば、ウオッカのダービーは◎やったのでやっぱり印象に残っていますが、イシノサンデーの皐月賞(初G1勝ち)もAlydar全開の捲りでよかったなあ…
キレキレ牝馬に乗せてもゴリゴリ牡馬に乗せても、スプリンターに乗せてもステイヤーに乗せても、行っても差しても捲っても何でも上手で(戦略だけが△やった…)、何でもできる変幻自在Blushing Groomのアグネスデジタルとも名コンビでしたね
最後のG1連対は2017年日本ダービー、まだ未完成丸出しのスワーヴリチャードをよう2着にもってきたなと今となっては思います
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「馬格と肉付きに恵まれ、性格はうるさいぐらい前向き」というのが、キズナの初年度産駒のだいたいの評判やったんですが、これはつまり、Storm Cat的な要素がよく伝わっている証左やと思うんですよね
それは配合的にも裏付けがあって、キズナの配合というのは、ディープインパクトとPacific Princess牝系の黄金配合(Burghclereのニアリークロスが主な根拠)ばかりが注目されますが、AlzaoとStorm Catを通じてNorthern DancerとSir Gaylord≒SecretariatとAttica≒First RoseとRoman≒Chop Chopをクロスしていて、母キャットクイルはStorm CatとDamascusを通じてEight Thirty≒Speed Boatのニアリークロスを持つので、Storm Catの血脈構成を全てクロスした配合といえるわけです
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そしてキズナの活躍産駒(2勝以上)の血統表をみると、ほとんど全てがNorthern DancerとナスキロとTom Fool≒Attica≒First Rose(≒Flaring Top≒Spring Run)とEight Thirty≒Good Example≒War Relicのクロスを持っていることがわかります(Chop Chop的な組み合わせはクロスが容易なので省略)
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キズナ活躍産駒とその母系に入る血
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ビアンフェだけは母系にナスキロ血脈が入らないのですが、ディープ×Unbridled's Songの黄金配合ですから、必殺のSir Ivor≒Cequillo≒Incantationのニアリークロスがあります
あまりにも多忙なので血統表とデータの羅列にとどめておきますが、ようは種牡馬キズナはStorm Catをよく伝えて大成功している、ということですね
先ほど「ウマい馬券」に東西金杯の予想を入稿しました…あと一つは福寿草か中山6Rをやりますが明朝にアップします
大種牡馬サンデーサイレンスは「2000のオールラウンドで柔軟で和合性に富むスピード」を産駒に伝えたがゆえに、代表産駒たちの馬体や走りには、それぞれの母方の特徴が長所としてちゃんと表現されていました
だからフジキセキからWild Riskの野性味を、ジェニュインからBold Rulerのフワリとした機動力を、タヤスツヨシからCaroの系統の独特の斬れを教わることができたし、サイレンススズカからTom Foolを、スペシャルウィークからNijinskyを、ゴールドアリュールからNureyevを、ダイワメジャーからノーザンテーストを、ハーツクライからトニービンを、ディープインパクトからSir Ivorを教わることができました
“サンデー4強”と呼ばれ牡馬クラシック路線を席巻した93年産、イシノサンデーはAlydarらしい品のない捲りで(もちろん褒め言葉)皐月賞を奪取し、ロイヤルタッチはロッチ牝系特有の品のあるスピードで皐月と菊で2着、バブルガムフェローはこれぞLyphardという粘着力でマヤノトップガンと叩き合って秋天を制しました
この4強のなかでも最も器が大きいと言われ将来性はこれだと言われつづけたダンスインザダークは、Nijinsky由来の胴長体型とRibot由来の立った肩が印象的で、ダービーは満を持して直線先頭に立ったもののフサイチコンコルドに寸前で差し切られてしまい、菊ではユタカ必殺のイン強襲でついにG1制覇を成し遂げたのです(ユタカの菊イン差しといえば最初はスーパークリークですが、あれもなかなかのNijinsky胴長でした)
そういえばユタカがスペシャルウィークに追い切りで初めて跨ったとき、「どうや、ダンスパートナー(ダンスインザダークの全姉のオークス馬)に似てるやろ?」と言う白井先生に、「ダンスインザダークに似てますね」と言ったという逸話がありますな
種牡馬としてもNijinsky的な体型とKey to the Mintのスタミナを伝えて菊花賞馬を3頭輩出、デルタブルース(Ribot6×6)とスリーロールス(Graustark5×4)がともにRibot系のクロスを持っていたのは偶然ではないでしょう
27歳で老衰とは長生きしました
どこも今日4日が仕事はじめなので、4日入稿の原稿は3日に書かないと間に合わないので、だから私の仕事はじめは毎年3日になるわけですが、そもそも1月は配合診断と種牡馬辞典原稿があるので一年のうちで最もデスクワークが多い月で、2日も正月番組を横目にたまってる配合診断を順次片付けてました
そのなかに「ワールドエースの株があるんで手持ちの繁殖どれかに付けたい」というオーダーがあったので、JRAで勝ち上がった初年度産駒9頭をチェックして簡単におさらい
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この9頭のうちノーザンファーム産は2頭で、残り7頭は日高産、全10勝の内訳は芝8勝ダ2勝、牡5勝牝5勝でした
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9頭の血統表をチェックして浮かび上がった傾向としては
1)母が強いクロスを持つことが多い
ワールドエースの母方はHyperionとドイツ血脈で固められていて、自身のクロスもNorthern Dancer5×4ぐらいですから、クロスがうるさい繁殖との配合に向いている種馬といえます
オータムレッド:Storm Cat≒Chapel of Dreams2×4、Roberto4×4、Northern Dancer4×5・5
ジェラペッシュ:Northern Dancer5×4
アサケエース:Northern Dancer5×3
プレジールドビブルD:Northern Dancer4×4、Raise a Native5×3
インウィクトスD:Buckpasser4×4
グランフェスタ:Nasrullah5×5
ピュアカラー:Northern Dancer4×4、Hail to Reason4×4
スウィートメリナ:Nasrullah5・5×5・5・7・7
シルバーエース:Miswaki3×4、Mr.Prospector4×4・5
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2)母父がマイラー
ワールドエースはディープ譲りの斬れよりも母方の粘着力のほうをよく伝えているように見え、だから産駒は先行押し切りで勝つパターンが多いのですが、先行するには母父にスピードを入れる必要がある、というわけですね
オータムレッド:Giant's Causeway
ジェラペッシュ:スウェプトオーヴァーボード
アサケエース:タイキシャトル
プレジールドビブル:ゴールドヘイロー
インウィクトス:マイネルラヴ
グランフェスタ:Seeking the Gold
ピュアカラー:ダンスインザダーク
スウィートメリナ:Miswaki
シルバーエース:Sea the Stars
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3)母系にミスプロ系のスピードが入る
9頭のうち7頭がMr.Prospector系の血を引いており、特にSeeking the Gold、Miswaki、Woodmanと「Mr.Prospector×Buckpasser」の組み合わせを持つことが多い
オータムレッド:Woodman
ジェラペッシュ:フォーティナイナー
アサケエース:なし
プレジールドビブル:Seeking the Gold
インウィクトス:Seeking the Gold
グランフェスタ:Seeking the Gold
ピュアカラー:なし
スウィートメリナ:Miswaki
シルバーエース:Miswaki3×4
というわけで、今のところワールドエースの産駒は、母がミスプロ系のスピードを引くクロスがうるさいマイラーで、母のスピードで先行し父の粘着力で踏ん張るような脚質に出ると成功しやすい、と言えるのではないかと
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種牡馬というとだいたい父系のライン重視で考える人が多いですが、一口にディープインパクト系といっても、ワールドエースはマンデラ的な粘着力をよく伝えているし、キズナはStorm Cat的な馬格とスピードをよく伝えているし、リアルインパクトはトキオリアリティー的な締まりの強い体質をよく伝えています
今年初年度産駒がデビューするミッキーアイルにしても、私が見た限りではちょっと締まり強くてケツがプリプリしてて、なるほどデインヒル臭がする産駒が多いなあ~という印象ですね
今日はあの中華の名店で会食があるので朝からテンション高めですが(・∀・)、東西金杯の予想はその前に、夕方までに入稿します(今年も「ウマい馬券」では毎週、「競馬道」では栗山さんと交代で予想提供しますので、また一年間よろしくお願いいたします)
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母母SwissがHyperion4・5×4、そこにBlandford5×4・5のBlushing Groomがかけられて、母アルプミーブリーズはNearco4×4
いっぽう父方は、父父RobertoがNasrullah≒Royal Charger3×3とBlue Larkspur4×4、父の母Kelley's DayはNearcoなしのアウトブリード、そして父ブライアンズタイムもアウトブリード
マヤノトップガン自身はNasrullah≒Royal Charger5・5×4とFlower Bowl≒My Host4×4という二つの3/4同血クロスに、ブライアンズタイム産駒で大成功したFlower Bowl≒Aureoleのニアリークロス4×5も
┌Alibhai
Flower Bowl
└△
└Boudoir
┌Alibhai
My Host
└Boudoir
緊張と緩和のリズムや代々のクロスの選択がベストで、ブライアンズタイム産駒ならばこういう血を入れてここをこうクロスしたいというツボをほとんど全て押さえていて、当時の血統オタたちが厚く信仰した川上悦夫さんの最高傑作にちがいないと、今血統表を見なおしてもそう思います
見た目にBlushing Groomが強い馬で、デビュー当時は気性が激しくてダ1200を走ってたほどで、完成してからの先行差し変幻自在のレースぶりにはBlushing Groomのオールラウンドさが見事に表現されてました
コメント欄で指摘があったように、今思えば田原成貴騎手はとにかく揉まれないポジションで運ぶことを第一に乗ってたようなフシはあって、そうかトップガンもマイルドAureole魂やったんかなあ…と
川上さんと血統の話をしたくて、当時「書斎の競馬」の編集やってた栗山さんたちにお願いして、G1勝ち馬の生産者を訪問する連載を書かせてもらったのですが、お会いしたらやっぱりHyperionやマルゼンスキーが大好きなオッチャンで、「競走馬としてはナリタブライアンに脱帽だけど、種牡馬としてはうちのトップガンのほうが上だと思ってる」と仰ってたのがもう20年前のこと
先日ほろしり乗馬クラブで見かけたメイショウトウコンが代表産駒で、他にプリサイスマシーン、ムスカテール、キングトップガン、トップガンジョー、チャクラなど、牡駒に活躍馬が偏ったのはRoberto系らしいし、高齢での一発激走が多かったのはAureole~Hyperionらしいというべきでしょう
優駿スタリオンでのんびり余生を送ってましたが、いつもこっちには全く寄ってこなかったですね(やっぱりマイルドAureole魂?)
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