■『一口馬主好配合馬ピックアップ(2022)』で栗山求が推奨したアンジョルラス(牡3歳)が土曜京都5Rの未勝利戦(芝1800m)を勝ち上がりました。
★サラブレッドクラブライオン
父キズナ
母ラビルキン(Indygo Shiner)
牡 募集価格:2800万円
https://db.netkeiba.com/horse/ped/2021106682/
キズナを父に持つ牡馬は、現時点で芝92勝、ダート95勝と、芝とダートの成績が拮抗しています。母ラビルキンは南米アルゼンチンで4つの短距離重賞(芝1勝、ダート3勝)を制覇し、シウダッドデブエノスアイレス大賞(亜G1・ダ1000m)ではクビ差2着と健闘しました。同国の名門ケブラダ牧場の生産馬で、同じ牧場で誕生した本邦輸入繁殖牝馬ラリズ(ヒシイグアスの母)と血統構成がよく似ています(ラビルキンとラリズの母がほぼ同血)。母ラビルキンはA.P.Indy系のIndygo Shinerを父に持ち、キズナを父に持つ牡馬はパワー型に出やすいので、本馬はダート向きに出る可能性が高いのではないかと思われます。重厚かつ野性味あふれる馬体からもダート路線で出世が期待できます。(栗山)
■日曜東京9Rむらさき賞 ジェイパームス(POG・望田)
■日曜京都12R渡月橋S サトノペルセウス(ディープ・栗山)
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今のところ芝で2勝しているレイデオロ産駒は以下の6頭で、1800で勝ったのはミナデオロの白百合が初やったんですが、これが前後半48.5-12.4-45.6というなかなかのスロー
以下のようにレイデオロ産駒の芝2勝目は、いずれも前半や中盤がかなりペースダウンしていて、ようするに道中かなりゆったりと追走できるレースばかりなのがわかりますが、これがレイデオロTTサイアー説の根拠の一つだということは何度か書いてきました
サンライズアース(すみれS=阪神芝内2200):12.6-10.6-11.3-12.7-13.0-13.3-12.0-11.5-11.2-11.8-12.0
ミナデオロ(白百合S=京都外1800):13.0-11.5-11.8-12.2-12.4-11.9-11.7-10.8-11.2
アドマイヤテラ(1勝C=東京芝内2000):12.9-11.3-12.6-12.9-13.1-12.8-12.7-11.7-11.3-11.5
トロヴァトーレ(葉牡丹賞=中山芝内2000):12.6-11.2-12.4-12.7-12.8-12.2-12.1-11.7-11.3-11.4
ダイシンアポロン(山吹賞=中山芝外2200):12.7-11.3-12.5-13.0-12.9-12.9-12.4-12.1-11.6-11.8-11.9
ペッレグリーニ(セントポーリア賞=東京芝1800):13.4-11.6-12.1-12.8-12.7-12.5-11.9-10.7-11.1
サンライズアースのダービーも前半は後方でゆったり追走、3~4角で外々を回って押し上げていって、あれでもバテずに4着に踏みとどまっているというね、こういう長い距離でゆったり追走で走りつづけられるスタミナというのが、日本ではステイヤーとカテゴライズされるものだろうと(ちなみにサンライズアースはダービーでもゴール後400mぐらいの地点では2着に上がっていました)
数年後には「ステイヤーズSはオルフェとレイデオロを買っとけ」みたいな格言が出来上がってるかもですな
ディープインパクトがTTなのは公表されていますが、仮にレイデオロやレガレイラもTTだとしたら、ウインドインハーヘアTT説が有力ではないか、とも思うわけです
東京11R日本ダービー
◎2.レガレイラ
○15.ジャスティンミラノ
▲5.ダノンデサイル
△4.ビザンチンドリーム
△8.アーバンシック
×13.シンエンペラー
×18.エコロヴァルツ
初年度産駒からレガレイラ、コラソンビート、アドマイヤベル、スウィープフィート、アーバンシックなどが出て大成功をおさめている種牡馬スワーヴリチャード。レガレイラとアーバンシックの母はハービンジャー×ダンスインザダークで、コラソンビートの母はオルフェーヴル×ロージズインメイ。スウィープフィートの母はディープスカイ×スイープトウショウと、中長距離質の繁殖との配合で代表産駒を出しており、産駒は2歳早期のマイル戦から動いている。
ここから考察されるのは「種牡馬スワーヴリチャードはハーツクライよりもマイラー質な要素を伝えているのではないか」ということ。母ピラミマがマイラー質と考えられるのだ。ピラミマの母キャリアコレクションはBCJフィリーズ2着で、ナスルーラ血脈の塊の早熟マイラーだった。
レガレイラは父父ハーツクライ、母父ハービンジャー、母母父ダンスインザダークで牝系がウインドインハーヘア。この字面だけなら完全にTT長距離血統なのだが、ピラミマが1/4マイラーかつ1/4非ノーザンダンサーとして機能しているがゆえに、3歳春に芝中距離で爆発できるのだと考えたい。
ディープインパクトやハーツクライの直仔がもうクラシックレースを走ることはないが、アンブライドルズソングやデインヒルを媒介として、ディープとハーツの美点を受け継ぐことに成功した紅一点のレガレイラが、ルメールを背にドウデュースやコントレイルのような末脚を爆発させる。2024年日本ダービーはそんなレースになると予想します。
ジャスティンミラノは2400に延びてプラスはないが東京に替わるのは大きなプラスで、どう見ても皐月賞より共同通信のほうが強かった。こういうレースでエポカドーロやダノンキングリーのようにフワリと先行して後続を封じ込めてしまうのは戸崎さんのオハコだし、19年はスローならダノンキングリーが勝っていたかもしれない。
今年の牡馬クラシックはとにかく大箱向きの重厚な中距離馬が多くて、皐月賞の4角で加速できたのはジャンタルマンタルとコスモキュランダだけだった。他はみんな東京替りがプラスと考えられるが、中でもレガレイラと同血でこちらのほうがハービンジャーが強いが中山のコーナーで全く加速できないアーバンシック、エピファネイア×ジャングルポケットできさらぎの豪脚がまだ鮮烈なビザンチンドリーム。そしてシアトルスルーをクロスする父母相似配合のエピファネイア産駒ダノンデサイルも明らかに大箱向きで、京成杯も京都2歳も内回りでは差しにくそうなのにアーバンシックやシンエンペラーと五分以上の脚力を見せつけている。ノリの継続騎乗だからここ一番ハナもありそうだし、ノリが逃げるならばユタカも戸崎も任せて安心で、喜んで番手でカベになるだろう。
ダノンエアズロックも明らかに東京向きの全身運動だが、全身運動すぎて長い距離がどうなのか。前々で運ぶ脚質だけに2400をごまかしにくいのではないかと考える。シュガークンは本来は前で受けて味がある血統だが、青葉賞馬は上がり11秒前半連発で3馬身ぐらい離して勝たないと通用しない。シックスペンスはスローで上がりだけのレースになると怖い面はあるが、母がダンジグ4×4であからさまにピッチが速すぎるのが東京でどうだろうかと思う。エコロヴァルツは馬群に入るとパニックになってしまうので極端なレースしかできないが、コスモス賞のように大外からハナに立ってしまえば見せ場はあるかも。
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例によってNETKEIBAの全頭血統解説より導入文と1~3着を
昨年はサトノクラウン×マイラー牝馬
「父2400質、母マイラー質」が勝つレース
近5年の日本ダービー馬の父は、ディープインパクト(シャフリヤール、コントレイル、ロジャーバローズ)とハーツクライ(ドウデュース)とサトノクラウン(タスティエーラ)。いずれも現役時は中長距離、2000よりも2400を得意とした馬だ。いっぽうシャフリヤールの母ドバイマジェスティはBCフィリー&メアスプリント(米G1・ダ7F)勝ち。コントレイルの母母FolkloreはBCJフィリーズ(米G1・ダ8.5F)に勝った北米2歳女王。ロジャーバローズの母父Librettistはジャックルマロウ賞などに勝った欧一流マイラー。ドウデュースの母ダストアンドダイヤモンズは北米ダ短距離重賞を2勝。タスティエーラの母パルティトゥーラは全3勝が芝マイル。父2400質×母マイラー質の配合が勝ちやすいのが近年の日本ダービーといえる。
ダノンデサイル
スタティスティクスやトップザビルの半弟で、母トップデサイルはBCジュヴェナイルフィリーズ2着。牝祖Barefoot DyanaはゴールデンロッドS(米G3・ダ8.5F)2着。母父CongratsはサンパスカルH(米G2・ダ8.5F)に勝ったA.P.Indy系でフォーエバーヤングやハートレーの母父。密な父母相似配合で、Seattle Slewをクロスするエピファネイア産駒らしい大きなストライド。京成杯を差し切ったが、本質的には大箱向きなのでここも侮れない。(距離○スピード○底力◎コース◎)
ジャスティンミラノ
ベルモントオークス招待S(米G1・芝10F)勝ちマジックアティテュードやサンドリンガム賞(仏G2・芝1600m)勝ちMission Impassibleの半弟。母マーゴットディドはナンソープS(英G1・芝5F)勝ち馬。母がDanzig系スプリンターなのでフワッと先行する脚質に出たが、DarshaanやSir Gaylordのナスキロ柔さが強い体質で、皐月賞も直線半ばから加速しストライドで差し切った。本来は断然東京向きで、ダービーでもダノンキングリーのように立ち回りそう。(距離○スピード◎底力◎コース◎)
シンエンペラー
仏ダービーと凱旋門賞を制したSottsassの全弟で、BCフィリー&メアターフのSistercharlieの半弟。母Starlet's SisterはMiswaki3×3をもつ名繁殖。父SiyouniはNureyev直系の名種牡馬で、Siyouni×Galileoは名馬St Mark's Basilicaと同じ。見た目はデインヒルが強く、走るとナスキロ+Tom Fool的にしなやかなのは全兄と似る。オールラウンドな中距離馬で、まだ本気で走っていない感もあり奥は深そう。東京のほうがいいだろう。(距離○スピード○底力◎コース◎)
メイショウタバルが回避して逃げ馬がいなくなり、ユタカが行くのか戸崎が行くのかとみなさん喧々諤々でしたが、予想コメントにも書いたように私は岩田父かノリが行くのではないかとみていたし、このどちらかが行ったならばユタカと戸崎は喜んで番手で壁になるだろうし、ベテランジョッキーたちが然るべきペースでレースをつくれば後続は何もできないのでは…というような絵を描いてましたね
やはり大外からエコロヴァルツがハナへ、この馬は馬群に入るとエキサイトしてしまうタイプのAureole魂ですから、先頭に立った時点で平静を取り戻し、最初の1000mは62.2とまんまとペースダウン
シュガークンとジャスティンミラノがそれにつづいたのも予想どおりで、ノリのダノンデサイルが気合いをつけて出していって、イン3番手をとったのが今年のダービーのハイライトやったかもしれないです
出していったのでちょっとかかり気味になるのをなだめて、デビューからずっとコンビを組んできて、ダービーを見据えてレースを教えてきたから、この大一番で勝負を賭けて好位を取りにいける
まさにあのワンアンドオンリーのダービーを思わせる会心の好位抜け出しで、インタビューで「ダービー3勝(ダノンデサイル、ワンアンドオンリー、ロジユニヴァース)は全部同じ乗り方で勝ってますよ」と平然と言ってのけた横山典弘
ダノンデサイルは予想コメントにも書いたとおり、ストライドで走るエピファネイア産駒で明らかに大箱向きなのに、京成杯や京都2歳のゴール前でアーバンシックやシンエンペラーと互角以上の脚力を見せていて(まあアーバンやシンも大箱ベターではありますが)、この戦績だけでも一発の魅力に溢れていました
ジャスティンミラノはプランAどおりのレース運びも、4角の手応えが渋いのは皐月賞と同じで、この馬はほんとに直線追われてからストライドが大きくなってジワジワ脚を伸ばすストレッチランナーなんやなあ~と、そんなナスキロ的ストライドが皐月賞1着ダービー2着というのも面白い
シンエンペラーは直線しぶとく脚を伸ばしてきたのは東京が合っていたのだろうし、馬そのものも皐月賞よりかなり良くなってましたが、それでもどんな条件が最も合うのかまだ判然としないところはあり、海外遠征のプランも発表されましたが楽しみですね
「皐月賞のパトロール見たらわかるけど、ゴール板通過後に最も元気なのがサンライズアースで、この馬スタミナだけはすごいよ」という話をしていたんですが、それだけにすみれSの再現のような捲りでレースを動かし、上がり3Fのヨーイドンではなく上がり5Fのロンスパにした池添はさすが
ナスキロ会でMahmoudさんとも言ってたんですが、一足先に捲ったミルコのコスモキュランダが先頭まで行かずに4番手で諦めてしまったので、3~4角で更にその外を回ることになったのが誤算で、しかしレイデオロ産駒はゆったり流れるレースでのスタミナはあるんですよね
久々の現地観戦となったダービーですが、パドックを何周も見た後、ラインで一斉配信した感想は一言だけ「レガレイラはTTやな」
出走馬中最も軽い体重(458キロ)の牝馬ですが、その数字以上に無駄肉がなさすぎるというか、思った以上に長距離を走るのに適した体質に見えたんですよね
「父2400×母マイラー」で2000ベストの馬が弾けて勝つのが近年の日本ダービーだとするならば、レガレイラは東京2400のスローなら好走は間違いないのだけれど、2000ベストの弾ける馬ではないだろうなあ…と
実際の馬券が前日予想と違う買い目になることはちょくちょくあって、でもそれを公表するのははばかられるのでだいたい黙ってるんですが、今年のダービーは直前になって、◎はレガレイラに打ったけれど、勝つのはジャスティンミラノかダノンデサイルじゃないか…という買い方になってしまったんですよね
そんなわけで夜のナスキロ会の勘定は私がもつことになったんですが、レガレイラとアーバンシックは同血の間柄ではあっても、間近で実馬を見るとかなりタイプが異なるんやなあ~と実感しました
ダノンデサイルは母トップデサイルがBCジュヴェナイルフィリーズ2着で、2歳早期から走ったマイラーですから、終わってみれば今年も「父中距離質×母マイラー質」の勝利
これまでJRA重賞を勝ったエピファネイア産駒は、下記のようにほとんどがサンデーサイレンス(SS)のクロスをもっていますが、SSクロスをもたないダノンデサイルとイズジョーノキセキはSeattle Slewのクロスをもつという共通点があります
エフフォーリア:SS4×3
デアリングタクト:SS4×3
ダノンデサイル:Seattle Slew5×4
ステレンボッシュ:SS4×4
テンハッピーローズ:SS4×3
サークルオブライフ:SS4×3
ブローザホーン:SS4×3
アリストテレス:SS4×3
モリアーナ:SS4×3
イズジョーノキセキ:Seattle Slew5×5
ジャスティンカフェ:SS4×3
ビザンチンドリーム:SS4×4
セルバーグ:SS4×4
エピファニー:SS4×3
イフェイオン:SS4×3
母父Congratsはフォーエバーヤングの母父でもあり、この3歳世代で俄かに脚光を浴びることとなりましたが、ダノンデサイルは
Roberto4×5
Seattle Slew5×4
Sadler's Wells≒Wild Applause4×4
ときれいな父母相似配合になっています
Wild ApplauseはHero's Honor(北米芝G1を2勝)の全妹でダイアナH(米G2・芝9F)の勝ち馬で、Sadler's WellsとはNorthern DancerとBold Reason≒Admirimgが共通し、ForliとFlower Bowlがともにハイインロー血脈というニアリーな関係
パッと思いつくところではタワーオブロンドンがHero's Honor≒Sadler's Wells4×3、ユニコーンライオンがHero's Honor≒Sadler's Wells5×3、あと女傑Rachel AlexandraがSadler's Wells≒Wild Applause3×3ですかね
愛2000ギニーは英2000ギニー2着Rosallionが順当勝ち
前にも書きましたが、Blue Pointはヌレサドデインヒルにまみれた繁殖の薄め液として極めて有効ですな
むらさきは◎ジェイパームス、古馬になって体重が増えてトモがパンとしてきて、順調にジャスタ牡駒らしい成長曲線を辿ってます
スローになりそうですが、トモがパンとしてきたので、ここもモレイラで好位につけられるでしょう
渡月橋は1400のフルゲートなのに行く馬が少なくて、ハナはカフジっぽいですが◎シロン○ジュノーの前残りでいってみたいなと…シロンはダディーズビビッドと3/4同血で似たタイプに見えます
今日はこれから府中へ、競馬終わりでナスキロ会なので、回顧は月曜になります&今日はコメント書き込めないです
NETKEIBA「厳選予想 ウマい馬券」ではダービーと目黒記念と白百合Sを、競馬道OnLine「今週のBLOOD穴ライズ!」ではダービーを予想していますので、日曜もよろしくお願いします
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葉山は◎ハワイアンタイム
母ザマンダはダ1400~1800で4勝、そこにロードカナロアでGraustark=His MajestyやNijinsky≒The Minstrelなどをクロスする父母相似配合で、見た目はカナロアとデインヒルとGreen DesertとHabitatという雰囲気で明らかにマイラー、ノリが武史の逃げの番手でレースを掌握しそう
NETKEIBA「厳選予想 ウマい馬券」では葵Sと欅Sと鳳雛Sを、競馬道OnLine「今週のBLOOD穴ライズ!」では葵Sを予想していますので、今週もよろしくお願いします
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昨夜から東京入り、その足で例の名店に久々に行ってきましたが、そらもう美味いなんてもんじゃない(・∀・)オーナーは予想名人でも知られますが、ダービーの有力馬にも出資されてます
■『POG種牡馬別好配合馬リスト(2023)』で栗山求が推奨したスターリングアップ(牝3歳)が土曜京都5Rの未勝利戦(芝2000m)を勝ち上がりました。
スターリングアップ(牝・父ブリックスアンドモルタル、母ソウルスターリング)
https://db.netkeiba.com/horse/ped/2021105102/
母はオークスと阪神JFを勝った名牝。従姉妹に牝馬二冠馬スターズオンアースがいる。Frankel とドイツ血統を併せ持つ母は魅力十分で、繁殖牝馬としても期待したい。父ブリックスアンドモルタルは、アメリカで芝G1を5勝し、米年度代表馬に選出された。サンデーサイレンスを含んだ繁殖牝馬がベストではあるが、それを含まずともG1を2勝したソウルスターリングであれば、日本向きのスピードや柔らかさに関して不安はないだろう。父の仔がどんな配合で走るのか、現時点で正確にジャッジするのは難しいが、Storm Bird3×3という強いクロスが施されているので、2代母スタセリタがドイツの異系血統であるのは好ましいだろう。(栗山)
ディープインパクト肌の最有力ニックスといえばキセキ、ドルチェモア、マスクトディーヴァなどが出たルーラーシップ×ディープインパクトですが、更に最強なのがルーラーシップ×ディープインパクト×Danzig(母母にDanzig)
上表のように、ルーラーシップ×ディープインパクトはJRAに105頭が出走し41頭が勝ち馬で、勝ち馬率39%1走当賞金297万円ですが、ルーラーシップ×ディープインパクト×DanzigはJRAに21頭が出走し9頭が勝ち馬、勝ち馬率43%1走当賞金647万円と更に長打力アップ
ちなみに2歳のルーラーシップ×ディープインパクトは何と24頭もいますが、母母にDanzigが入るのはタイトル(牡、母ブリッツフィナーレ)とパープルティアラ(牝、母アサクサティアラ)の2頭だけでした
東京11Rオークス
◎15.サフィラ
○7.ステレンボッシュ
▲13.スウィープフィート
△12.チェルヴィニア
×8.ホーエリート
×14.ライトバック
×17.タガノエルピーダ
ステレンボッシュはエピファネイア×ルーラーシップ×ダンスインザダークで、牝系はディープインパクトと同じウインドインハーヘア。ニジンスキーのクロスを重ねて背中が長い体型で、追われると4輪駆動で末脚を伸ばす。どこから切っても大箱向きの中距離馬にしか見えず、桜花賞を勝ちきったのはモレイラ恐るべしと言うしかないのだが、能力がないとできる芸当ではない。フローラ組はピンとこないし、桜花賞組で東京2400になって最もプラスがあるのはステレンボッシュだ。
スウィープフィートは名牝スイープトウショウの孫で、スワーヴリチャード×ディープスカイだからこれも血統は中距離。折り合いが敏感なのでユタカはここも後方一気だろうが、折り合えば2400はOKだしマイルの高速戦よりはいいだろう。桜花賞はチューリップと比べると出来落ちに見えたし、4角で締められたのも痛かった。今週の坂路では速い時計で走破するも、最後までブレずに真っすぐ走っていたのは好感。間違いなく桜花賞より出来はあるし、桜花賞よりパフォーマンスは上げられる。
チェルヴィニアの母チェッキーノは4輪駆動の中距離馬でオークス2着。本馬もハービンジャーとチェルヴィニアを足して割ったイメージで、ナスペリオン的なしなやかストライドで走る。桜花賞は大外枠でスタート後からうなって追走してしまい、根が中距離質だけにああなると苦しかった。ルメールに手が戻ってアルテミスの再現を目論む。
「マイルで最もハッとする脚を使うのはライトバック」と桜花賞で◎にしたが、母父エクシードアンドエクセルはデインヒル系の短距離型で、この影響も感じさせるグラマーな体つき。スピードに乗ったときのアクションも豪快で、桜花賞上位組では最もマイラー質というべきだろう。2400だと折り合い面でもまだ心配が…。
スタミナ勝負になったときのハギノピリナ的ヒモ穴としてタガノエルポーダとホーエリートは取り上げておきたいが、現在単勝54倍の11人気、ここまで人気が落ちるなら◎サフィラで打ってみたい。サリオスの全妹で、サラキア、サリエラ、エスコーラの3/4妹。母サロミナは独オークス馬。シュネルマイスターも近親の有力ドイツ牝系だ。サリオスのような肉量豊富なマイラーっぽさは感じられず、アルテミスSも中距離馬らしい末脚の伸ばし方で2着。クイーンCでは直線割れずじまいで、サラキアやサリエラと同じく馬群はイマイチのようだが、揉まれず運べれば2400で底力とスタミナを発揮するのではないか。その点で外枠を引けたのはありがたい。
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例によってNETKEIBAの全頭解説から1~3着を
チェルヴィニア
ノッキングポイントの半妹でサブライムアンセムのイトコ。母チェッキーノはコディーノの全妹でオークス2着。母母ハッピーパスは京都牝馬S勝ち。この牝系のハービンジャー産駒といえばカービングパスやスティーグリッツ。父と母を足して割ったイメージで、ナスペリオン的なしなやかストライドで走る。桜花賞は大外枠でうなって追走してしまい、根が中距離質だけにああなると苦しかった。ルメールに手が戻ってアルテミスの再現を目論む。(距離○スピード◎底力◎コース◎)
ステレンボッシュ
ヴァルコスやロカの姪で、ドゥラドーレスやレガレイラやアーバンシックのイトコ。母ブルークランズはJRA3勝(芝1800~2000)。牝祖ウインドインハーヘアはディープインパクトの母で子孫が繁栄しつづける名繁殖。父エピファネイアはエフフォーリアやデアリングタクトなどを出し成功。血統どおりの長手の体型の中距離馬で、今でも桜花賞を鮮やかに差し切ったのが驚きなほど。桜花賞組で距離延長が最もプラスと思われるだけに、最有力というほかない。(距離◎スピード○底力◎コース◎)
ライトバック
インザオベーションの下で、3代母Lake Toyaの産駒にサンタラリ賞(仏G1・芝2000m)のSobetsuがいる。牝祖シンコウエルメスはジェネラスの妹で、エルノヴァの母で、ディーマジェスティやタワーオブロンドンの母母。母父Exceed and Excelはデインヒル系の短距離型。名門牝系のキズナ牝駒で、母系にDarshaanが入るだけに斬れ味が秀逸だが、この母父であの折り合い。他の桜花賞上位組との比較でいっても、2400がプラスとはいえないだろう。(距離○スピード◎底力◎コース◎)
最近のオークスは別路線組もけっこう絡むんですが、今年はフローラもスイートピーも忘れな草もフラワーもあんまりピンとこないレースで、スタミナ上位のタガノエルピーダとホーエリートは拾っておきましたが、まあ桜花賞組の後先になりそうな年だなとは思っていて、でも同じように王道を歩んできたサフィラが距離延長は間違いなくプラスだしあまりにも人気がないので、馬券はここから買ってしまいました(^ ^;)
桜花賞組の比較としては、予想コメントに書いたように、東京2400になって最もプラスが大きいのはステレンボッシュと考えられ、折り合いがつけばスウィープフィートが出来アップのぶん、折り合いがついても根っこがマイラーっぽいライトバックに先着するのではないかと
チェルヴィニアは桜花賞は大外枠でうなって追走してしまったし、チェッキーノ似の中距離馬なので母が2着した舞台でルメールに手が戻って巻き返し必至と考えられましたが、堂々の2人気ですからそう考えた人は多かった
終わってみれば、桜花賞でかかったチェルヴィニアと、返し馬でかかったステレンボッシュと、アルテミスでかかったライトバックで決まって、いつも言うことですが重賞レベルのレースでかかる馬は強い、制御できないぐらいのエンジンを搭載しているのだというね
外国人騎手やリーディング上位騎手に良い馬が集まりすぎという意見もあるでしょうが、走る馬ほどエンジンがよくて性格も激しいことが多いですから、ルメールや川田やモレイラなんかはそういう危うい素質馬を乗りこなしているんだと、実戦でケイバを教えながら乗りこなしているんだということを、何度も実感させられる24年クラシックロードです
ステレンボッシュは右後を落鉄していたということで、直線で手前をコロコロ替えていて、特に左手前で数完歩走ったあと大きなアクションでよっこらしょと右手前に替えたところ、あそこは少し走りにくかったのかもしれないですね
サフィラは直線に入るところでホーエリートにかぶされてAureole魂逆噴射、そのタイミングでルメールがAureole7×7のチェルヴィニアを外に持ち出すのが見えましたが、しかし原くんは追える自信があるのか強気に乗ってきますなあ…
ライトバックは折り合いはバッチリついたし直線も詰まることなく縫って差して、坂井瑠星はこの馬のマイラーとしての爆発力、Darshaanもち牝馬としての斬れを100%引き出したと思いますが、それであのゴール前の脚色ですから、前2頭とは距離適性の差はあったかと
スウィープフィートは映像的には最後伸びあぐんだようにも見えますが、チューリップは稍重のHペース(レース上がり35.4)を豪快に追い込んだわけで、今日は離れた3番手以降は中だるみの上がりのケイバで、残り400mを22秒前半で走るようなレースはあんまり向いていないと思うし、乱ペースの秋華賞なんかでまた一発あるのでは
「ハービンジャーってすごいんですよ! ダートと短距離はダメで、ほとんど芝マイル以上だけで毎年リーディング10位以内にいますからね(笑)。欧州からの輸入種牡馬としてはトニービン以来の成功といえるのでは」
社台スタリオンに見学に行くとこう言われるんですが、長く緩い繋ぎをよく伝え重厚なストライドでビョーンビョーンと走りますから、代表産駒のほとんどがノーザンファーム産ノーザンファーム育成なのも頷けます
チェルヴィニアはハービンジャー産駒としては7頭目のG1ウィナーとなり、母父キングカメハメハはブラストワンピースやモズカッチャンと同じで、母系にNureyevが入ってNijinskyをクロスするのはディアドラやペルシアンナイトとも同じ
ハービンジャー産駒として最も成功しやすい配合パターンで、Dansiliの母Hasili(5頭のG1馬と1頭のG2馬を産んでいる歴史的名繁殖)の血を活かした配合パターンといえますが、そのあたりは何度も書いてるので「ハービン産駒は名牝Hasiliの血を増幅するとHasiliます」とかで検索してください(^ ^;)
全兄コディーノがいかにもハッピートレイルズ牝系らしい小脚使いだったのに対し、妹のチェッキーノは伸びのある体型で4輪駆動で走る中距離馬で、フローラSに勝ちオークスはシンハライトと大接戦の2着
その後はマイル戦を2回走って振るわず引退しましたが、初仔のノッキングポイント(父モーリス)も2番仔のチェルヴィニア(父ハービンジャー)も、母の面影を強く感じさせる中距離馬です
チェッキーノの父キングカメハメハはNorthern Dancer4×4・6ですが、母ハッピーパスはNorthern Dancerの血を全くもたず、つまりチェッキーノはNorthern Dancerのクロスをもたないので、Northern Dancer5・5×4・5のモーリス、Northern Dancer4・6×4・5のハービンジャーとの配合で成功しているのも順当オブ順当(3/4Northern Dancerクロス)、ちなみに2歳の息子アルレッキーノは父がStorm Bird3×3のブリックスアンドモルタルです
ハッピーパスの子孫はロードカナロア(Northern Dancer5・5・7×4)との配合でもサブライムアンセムやジネストラが出て高確率で成功、ハービンジャーとも他にカービングパスやスティーグリッツが出てほとんど外しておらず、とにかく「3/4Northern Dancerクロス、1/4ハッピーパス」的にまとめてしまうとだいたい成功してしまうというね
「ハッピーパス→ウインドインハーヘア→シンコウエルメス、藤沢和雄完全勝利じゃないか」
りろんちさんがこうつぶやいてましたが、いずれも素晴らしい繁殖になるでしょうから、娘たちがオークスで手合わせという日もいつかくるのでは
プリークネスはKダービー馬Mystik Danを抑えてSeize the Greyが優勝、私が大好きなUnbridled≒Impish3×4で、名門Lady Be GoodのなかでもPrivate Accountを父とするShoppingは太い枝ですよね
ちなみにArrogateの代表産駒の一頭Fun to Dream(G1ラブレアS)はUnbridled≒Wavering Monarch3×3、カフェファラオはUnbridled≒Wavering Monarch4×4、Wavering MonarchとImpishは父系牝系が同じ3/4同血的関係で、Wavering Monarch父系の最有力後継種牡馬RunhappyはWavering Monarch≒Unbridled3×3なのです
エアグルーヴCはダートやからエアグルーヴの血を引く馬が1頭もおらへんがな…と軽くボヤいてから、リオンディーズ×シンボリクリスエスでSeattle Slew的な長手体型でコーナリングがイマイチで、前走東京での内容がよかった◎ネッケツシャチョウがもういっちょ、古馬になって本格化中のフリオーソ産駒○ヴァンドゥランも距離延長で有力
NETKEIBA「厳選予想 ウマい馬券」ではオークスとフリーウェイSと東京5Rを予想していますので、日曜もよろしくお願いします(競馬道OnLine「今週のBLOOD穴ライズ!」は栗山さんの担当)
http://yoso.netkeiba.com/?pid=yosoka_profile&id=24&rf=umatophttp://www.keibado.ne.jp
カーネーションはルメールの◎カンティアーモにかぶってますが、配合どおりのナスペリオン的ストライドで、東京1800ならキッチリ差し切るかと
ちなみにリビアーモ仔は全芝[8-7-5-33]で東京芝[3-4-1-6]新潟芝外[3-1-0-4]でございます
大箱がいい○メルトユアハートがひとまず相手で、ドイツ魂▲ミスティアとLyphardとSir Ivor≒Terlingua≒Droneの継続クロスでSir Gaylord柔い△スノーディーヴァのハナ切ったほうがうるさそう
NETKEIBA「厳選予想 ウマい馬券」では平安SとメイSとメルボルンTを予想していますので、今週もよろしくお願いします(競馬道OnLine「今週のBLOOD穴ライズ!」は栗山さんの担当)
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■『一口馬主好配合馬ピックアップ(2020)』で栗山求が推奨したウインマーベル(牡5歳)が土曜東京11Rの京王杯スプリングC(G2・芝1400m)を勝ちました。
★ウインレーシングクラブ
父アイルハヴアナザー
母コスモマーベラス(フジキセキ)
牡 募集価格:1400万円
https://db.netkeiba.com/horse/ped/2019100213/
ウインジェルベーラ(函館2歳S-2着)、ウインアイルビータ(現1勝)、ウインオーサム(現未勝利)の全弟です。母コスモマーベラスはターコイズS(OP)を2連覇したほか愛知杯(G3)で2着という成績を残しました。その一方で、母としては気性的な難しさを伝えるところがあり、ウインオーサムは去勢されています。本馬は動画を見るかぎりそうした点は見られません。ただ、現時点では後肢の力が弱いように感じます。そのあたりが値段の安さにつながっているのかもしれません。「アイルハヴアナザー×フジキセキ」は連対率38.0%、1走あたりの賞金額338万円というニックス。Last Cause≒Millicent4×5が利いている可能性があります。5月8日生まれなので成長の余地があり、後肢の踏み込みの甘さが改善してほしい――という期待込みではありますが、この値段ならそんなギャンブルを許容してもいいのではないかと思います。芝・ダート兼用のスプリンターでしょう。(栗山)
■『一口馬主好配合馬ピックアップ(2022)』と『POG種牡馬別好配合馬リスト(2023)』で望田潤がダブル推奨したルージュシュエット(牝3歳)が土曜京都1Rの未勝利戦(ダ1800m)を勝ち上がりました。
★東京サラブレッドクラブ
父Curlin
母ダンシングラグズ(Union Rags)
https://db.netkeiba.com/horse/ped/2021105640/
牝 募集価格:5000万円
母ダンシングラグズはアルシバイアディーズS(米G1・ダ8.5F)勝ち馬。Northern Dancer4・5×4、Secrettame≒Terlingua4×3などクロスがうるさめなので、アウトブリードのCurlinとは配合的に合います。力強い馬体と動きは牝馬とは思えず、この募集価格ですがダートのオープンを狙えるとみてピック。ちなみにCurlin産駒はJRAに18頭が出走し12頭が勝ち馬となっていますが、母系にStorm Catの血を引く場合はJRAに8頭が出走しヴォアドアンジェ(現役3勝)など7頭が勝ち馬となっています。(望田)
ルージュシュエット(牝・父Curlin・母ダンシングラグズ)
母ダンシングラグズはアルシバイアディーズS(米G1・ダ8.5F)勝ち。Northern Dancer4・5×4、Secrettame≒Terlingua4×3などクロスがうるさめで、アウトブリードのCurlinとはいい感じ。母系にStorm Catの血を引くCurlin産駒はJRAに8頭が出走し6頭が勝ち馬。牝に限ればヴォアドアンジェ(3勝)、エーシンエポナ(3勝)、デュアラブル(2勝)と3頭とも勝ち馬。(望田)
■『POG種牡馬別好配合馬リスト(2023)』で栗山求が推奨したダイヤモンドレイン(牝3歳)が土曜京都5Rの未勝利戦(芝2000m)を勝ち上がりました。
ダイヤモンドレイン(牝・父サトノダイヤモンド、母シーウィルレイン)
https://db.netkeiba.com/horse/ped/2021105577/
ダノントルネード(京都新聞杯-2着)の半妹。母シーウィルレインが勝ったゴールデンスリッパーS(豪G1・芝1200m)は、豪2歳短距離王者決定戦で、世界最高賞金額の2歳戦でもある。父サトノダイヤモンドはスタミナと晩成傾向がある種牡馬なので、Bletchingly4×4を持つ母のスピードと早熟性は好ましい。(栗山)
■土曜新潟8R1勝クラス アニトラ(一口・望田)
■日曜新潟6R1勝クラス ウィルフルネス(一口・望田)
■日曜東京7R1勝クラス ベルウェザー(一口・望田)
ニューイヤーズデイ×ハーツクライのニューバラードが勝ち上がり、上のように「元旦トニー」は予想どおり高アベレージで勝ち上がっていますが、特に母系にNureyevを併せもつケース(★)は出走5頭とも勝ち上がっています
元旦トニーはHelen Streetとトニービンの血脈構成が似ているのがニックスの根拠で、TroyってのはHornbeamとFair Trialですから、Nureyevを加えることでよりナスペリオン的な方向に舵を切った配合になるといえますかね
100%配合の「元旦トニーエフ」はニューイヤー×ルーラーシップやニューイヤー×ドゥラメンテやニューイヤー×ジャングルポケットでお手軽に実現できまっせ(・∀・)
ちなみに2歳の「元旦トニーエフ」を検索してみたら4頭いましたが、馬名が元旦すぎた
東京11Rヴィクトリアマイル
◎13.モリアーナ
○6.マスクトディーヴァ
▲10.ナミュール
△5.ウンブライル
×1.ライラック
×4.コンクシェル
今年のヴィクトリアマイルはマイラーと呼べる馬がほとんどおらず、マイルの阪神牝馬SもターコイズSも後傾ラップだったから、古牝馬戦線は中距離質1800質のレースを一年間やってきたといえる。
ここも1800の中山牝馬Sを逃げ切ったコンクシェルがおそらくハナで、出走馬の中で唯一のピュアマイラーともいえるサウンドビバーチェはこの並びならば番手でOKとなると、コンクシェルが後傾ラップを刻んで1800質のレースにするのだろう。
ナミュールもマスクトディーヴァもピュアマイラーではなく1800ベストだとずっと書いてきたが、前後半47秒-45秒で差すようなケイバではこの人気2頭がやはり強いと言わざるをえない。
もう府中牝馬Sなのだと割り切って人気どおりに印を入れてやりすごしたくなるが、モリアーナもノリが後方で脚をタメるレースを教えて中距離質の差しで開花。阪神牝馬を見てのとおり、この馬もマイルならスローの1800質のレースのほうが斬れるタイプには違いない。
阪神牝馬の1着2着を逆転できるかどうかが問題だが、ハビタット5×5をもつエピファネイア産駒らしい前駆のいいフォームで走るから、直線平坦のほうが斬れを増すタイプだと思う。
東京だと残り300mから平坦だから、そこまで各馬脚を温存して追い出すようなレースになるならば、ラスト300m最速で上がれる目はあるのではないか。他ならぬノリならば、そんな針の穴を通すようなところにハメてくる可能性はある。ハビタットが逆転に一票。
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例によってNETKEIBAの全頭解説から1~3着を
テンハッピーローズ
プリムラブルガリスの姪で、母フェータルローズはJRA3勝(芝1800~2000)。牝祖オエノセラの子孫に英1000ギニー2着Sundrop、サマーセント、サンレーンなどが出る。父エピファネイアは名牝シーザリオの息子で、JCと菊に勝ちエフフォーリアやデアリングタクトなどを出し成功。母父タニノギムレットはダービー馬。血統は中距離だが良績は芝1400に集中。阪神牝馬Sも差のないところにきていたが、マイルG1では強調する材料が…。(距離○スピード○底力○コース○)
フィアスプライド
ソフトフルートの全妹でミッドサマーフェアやメンデンホールの半妹で、パワーホールの叔母でアイスストームのイトコ。母母ストームソングはBCジュヴェナイルフィリーズ(米G1・ダ8.5F)に勝った北米2歳女王。母方のKingmamboやStorm Birdのパワーマイラーっぽさも強い馬で、中山マイルのターコイズSを制覇。ディープインパクト牝駒でも斬れ味抜群というほどではないから、ここもターコイズのように好位で運びたい。(距離◎スピード○底力◎コース○)
マスクトディーヴァ
トゥーフェイスの半妹で、オメガヴェンデッタやマスクトヒーローのイトコ。母マスクオフはJRA1勝。母母ビハインドザマスクはスワンS勝ち馬。コイウタ、アグネスアーク、サンライズソア、レッドアネモスなども近親。ルーラーシップ×ディープインパクトはキセキやドルチェモアなど成功している配合だ。マイラー牝系だが、母母父がホワイトマズルだし1600より1800がベターだろう。マイルだと阪神牝馬のように後傾戦になったほうが差せるタイプ。(距離○スピード○底力◎コース◎)
公式ラップは前後半800mが45.4-46.4、今年で19回を数える東京芝マイルの牝馬G1ですが、これぐらいハッキリ前傾ラップになったのは以下の5回で、ラップだけでみるなら15年とよく似てますかね
24年45.2-46.4
19年44.8-45.7
15年45.5-46.4
11年44.6-47.3
10年45.5-46.9
他では16年が45.7-45.8で、残りの13回は前半より後半のほうが速い後傾戦
この前傾戦5回をかんたんに振り返ってみると
19年…ノームコア(父ハービンジャー)とプリモシーン(母父Fastnet Rock)のデインヒル決戦。1人気4着ラッキーライラックはその後大阪杯とエリ女(2回)を制覇
15年…5人気-12人気-18人気で決まる大波乱。勝ったストレイトガールは母母父デインヒルで短距離路線の主役。3着に逃げ粘ったミナレットは最低人気で、ウォーニングの肌でターコイズSや新潟内1400で勝ち鞍。1人気6着ヌーヴォレコルトはオークス馬。2人気7着ディアデラマドレは1800~2000の重賞を3勝
11年…連覇を狙う単勝150円のブエナビスタの追い込みを封じたのは、非SSで母スプリンターのキンカメ産駒アパパネ。2人気-1人気-3人気で前傾ヴィクトリア唯一の順当決着。ただし短距離路線の常連グランプリエンゼルが14人気4着に食い込んでいたのはうすら寒い
10年…9着までコンマ2秒差の大接戦、中距離女王ブエナビスタが苦しみながらもクビ差で勝ちきる。11人気3着ニシノブルームーンはタニノギムレット産駒
こうしてみると前傾ヴィクトリアにおいては、ブエナビスタ、ラッキーライラック、ヌーヴォレコルト、レッドディザイアといった中距離チャンピオン級が軒並み苦戦し、デインヒルやRobertoのパワーで走っているマイラーが大駆け、という大まかな傾向がみてとれます
Mahmoud校長もよく言及していますが、競馬における距離適性とか、スタミナとか持続力とかマイラーとかステイヤーとかのカテゴリというのは、けっきょくのところ芝1600を92秒ぐらいで、芝2000を117秒ぐらいで走破するのに適しているかどうかということに他ならない
単純な割り算だと、最初の200mを12秒で入るとしたら、残りの1400mを11.4で走りつづけることができるのが優秀なマイラーで、残りの1800mを11.7で走りつづけることができるのが優秀な中距離馬で、でも12.0-11.4-11.4-11.4-11.4-11.4-11.4-11.4(46.2+45.6=91.8)で勝ち馬が走破する芝マイル重賞って滅多にないんですよね
そもそも古牝馬路線においてはヴィクトリアもエリ女も使うという馬が多いので、中距離馬がマイル重賞も走っているということが多々ある
なのでヴィクトリアの前哨戦の阪神牝馬Sも、毎年中距離馬だらけで中距離質1800質のレース、中距離質1800質の牝馬の斬れがモノを言うレースになり、下のようにデゼルがゆっくり48秒で入って44秒台でナデ斬る世界ですわ
阪神牝馬過去5年前後半
24年:47.4-45.6
23年:48.0-45.9
22年:46.8-46.0
21年:47.1-44.9
20年:46.5-46.4
これだけ中距離質になりがちだと(後傾戦が多いとはいえ)本番との関連性は薄くて、近5年の阪神牝馬の1~3着はヴィクトリアマイルで[0-1-1-10]、最も流れた20年の勝ち馬サウンドキアラが次走ヴィクトリアでも2着に頑張っているのは示唆的かと
今年のヴィクトリアマイルの出走馬に、この一年間で芝マイルを46.2-45.6ぐらいのラップで走破した馬は皆無に近くて、たとえばナミュールのマイルCS勝ちは47.8-44.7ぐらいの配分で追い込み、マスクトディーヴァの東京新聞も出遅れのぶんはありますが47.5-45.0ぐらいですか
まあナミュールに関していうと、45.2-46.2の前傾東京新聞杯を46-45.5ぐらいで走破し差し切った履歴があるので、全く反応しなかったのは遠征がつづいた影響なんかがあったのかもしれないです
そういうことを考えるとね、46.8-45.9と阪神牝馬よりは平均的に流れたターコイズで先行したフィアスプライドとフィールシンパシーがここでも先行したのは合点がいくし、45.5-47.1のHペース洛陽Sを46.5-46.1で差し切ったドゥアイズがクビ差4着に好走したのもなるほどというところはある
毎年のこととはいえ、プリプリのマイラー不在のヴィクトリアマイル、だからこそ穴は流れたときのミナレット、ミナレットを探せということなら該当するのはサウンドビバーチェぐらいかなあ…そんなことも3分ぐらい考えました
とはいっても過去18回のうち13回は後傾ですからね、中山牝馬を49.6-11.9-47.5で逃げ切ったコンクシェルがハナなら今年も後傾と読むのが自然で、今年も1800馬の斬れで決まるんやろうなあ~という頭で思考停止(^ ^;) むしろ「府中牝馬と割り切ってデゼルを探せ」というスタンスで◎モリアーナでした
中距離質の馬が思ったほど斬れないなか、残り400~200でギュンと加速して先頭に躍り出たのは、新潟内1400の朱鷺Sを勝ち、阪神牝馬では中距離馬たちに鋭さ負けしていたテンハッピーローズ
エピファネイア×タニノギムレット×サンデーサイレンスですから血統はもうバリバリ中距離で、母フェータルローズも現役時は芝1800~2000で3勝しています
そんな血統背景なのに全5勝のうち4勝を東京&新潟の1400であげている不思議のサウスポー、そんな6歳牝馬がここで大仕事をやってのけるとは
見た目にはRoberto4×4やNight Shiftのパワーが強くて、だから中距離血統なのにマイルに振れたとみるべきでしょうが、配合のポイントとしてはもうひとつ、Aureole≒Electric Flash(Welsh Flameの母)のニアリークロス7×6もあげておきたいところ
この馬、朱鷺Sが典型ですが馬群の外から差すのが勝ちパターンで、ここもそういう展開になったのがよかったかと、マイルドAureole魂のエピファ産駒なので外に出したほうがビュンと反応するタイプなのかもですね(阪神牝馬は内枠で馬場の悪い最内に突っ込んでました)
ちなみにテンハッピーローズと同牝系で父ハービンジャーのサマーセントもAureole≒Electric Flash7×5をもちますが、番手抜け出しで勝ったマーメイドをはじめとてもAureole魂を感じさせる戦績なんですよね
46-45でうなりをあげるプリプリA級マイラーが不在のなか、マイルドAureole魂のパワーマイラーが外に出して追ったら46.4-45.4でビュンと差し切ってしまった
表彰式では天白オーナーと照哉社長となかやまきんに君が並んで力こぶで記念撮影、それを見ながら「ノームコアはRobertoの薄いクロスやったかなあ…プリプリのデインヒルがいないので、Robertoパワーが差し切ったという結末か…」こんなことを呆然と考えるしかなかった