ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

チロ基金の活動「ビタペクト2&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第107回」

2010-08-23 |   ビタペクト配布活動
 8月23日にビタペクト2と「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピー無料配布運動として、SOS子ども村への第107回目の配布を実施いたしましたので、ご報告いたします。
 今回はビタペクト2を8個、そして「放射能と栄養」のコピーを10部渡しました。
 これで今までに配布したビタペクト2は合計1724個、「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーは1460部となりました。
  
 今回で通算117回目のビタペクト2の配布となりました。
 のべ人数になりますが、現時点で1724人分のビタペクト2、そして1460家族分の「放射能と栄養」のコピーを配布したことになります。

(これまでのビタペクト2配布運動について、詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/bitapekt/index.html


(「チェルノブイリ:放射能と栄養」について詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/chel/index.html


(SOS子ども村についてはこちらをご覧ください。) 

http://belapakoi.s1.xrea.com/jp/no2/2001/soschild.html


(ビタペクト2を開発、製造、販売しているベルラド研究所のサイトはこちらです。)

http://www.belrad.nsys.by


 今回はブレスト(チェルノブイリ原発から約440キロ)の多子家庭協会の子どもたちが保養滞在していました。
そのうち2人の子どもは複数回の滞在をしています。体内測定値の追跡調査を続けることになりました。
 前回の滞在は2008年7月です。そのときの詳しい様子、またブレストの多子家庭協会についてはこちらの過去ログをご覧ください。
チロ基金の活動「ビタペクト2&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第76回」(家族A)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/a29d7528df60ddc4a5b26b86a355d7d7


 お母さん2人が14人の子どもを引率して来ました。全員ブレストの多子家庭協会の会員ですが、母親により担当している子どもも2つに分けられていたので、(家族A)と(家族B)に分けてご報告します。

 今回のそれぞれの体内放射能測定結果はこのとおりです。○印の子どもにビタペクト2を渡しました。


(家族A)

母親(事故発生時24歳)11ベクレル
長女(12歳)13ベクレル
次女(12歳) 0ベクレル 
女子(13歳)24ベクレル ○
女子 (9歳)34ベクレル ○ (この2人はいとこ。)
女子(11歳)29ベクレル ○
女子 (9歳)17ベクレル
女子 (8歳)25ベクレル ○

 このお母さんが2008年7月滞在時の(家族A)と同じ人です。
 その娘2人の2003年、2004年、2005年、2006年、2008年、2010年の測定結果の推移はこのようになりました。(○印は測定結果後、ビタペクト2を飲んだことを表しています。)
長女 48ベクレル○ → 21ベクレル○ → 29ベクレル○ → 22ベクレル○ → 13ベクレル → 13ベクレル
次女 27ベクレル○ → 0ベクレル→ 20ベクレル○ → 0ベクレル → 22ベクレル○ →0ベクレル

 今回は2人ともビタペクト2を飲まなくていいので、お母さんは喜んでいました。
 この子どもは背骨が歪んでいて、休学までしていたこともあったのですが、現在はブレストにある背骨矯正のプログラムがある療養所に通っているそうです。
 水泳にマッサージ、矯正体操のほか、自宅でも木の板の上で寝ており、テニスなど主に片手でするスポーツは禁止されているそうです。
 この子どもたちの中では、11歳の女の子も背骨の矯正プログラムを受けています。
 

(家族B)

母親(事故発生時15歳)10ベクレル
長女(17歳)21ベクレル ○
長男(15歳)14ベクレル
次女(11歳)25ベクレル ○
姪 (17歳)18ベクレル 
男子(11歳)22ベクレル ○
男子(11歳)23ベクレル ○
男子(10歳)11ベクレル

 このお母さんの実子、3人も背骨の矯正プログラムを受けています。長男と次女には甲状腺にしこりが認められています。
 姪の父親はチェルノブイリ原発事故発生時の事故処理作業員でした。その後どんどん髪の毛が薄くなり、現在は病弱なため、薬を飲み続けているそうです。以前は事故処理作業員には、様々な福祉政策が出されていました。夏の休暇が一般人より長く、療養所に優先して行くことができましたが、今は全てこのような政策は打ち切られました。子どもである姪は外国の支援団体の援助によりアイルランドに保養に行ったことがあります。
 11歳の男の子が2人いますが、二人とも5人、6人兄弟の1人で、貧困家庭だそうです。普段の食生活がよくないのか、体力がない、という話でした。
 10歳の男の子が胆汁が分泌されず、消化不良を起こすため、食事内容に制限があります。
 
 お母さん方の話を聞いていると、ブレストでは背骨に異常のある子どもが事故後たくさん生まれた、という印象を受けます。また、
「男性は早死にするようになり、女性には生殖器関係の病気が以前より増えた。」
と言うことでした。
 ベラルーシ人の2人に1人は甲状腺にしこりがある、と(家族A)のお母さんは話しており、ご自身も良性の腫瘍が5個もあるそうです。

 またこの人の話では、チェルノブイリ原発事故が起こったのは結婚式のせい、という説があるそうです。
 それは一体どういうことかというと・・・事故が発生したのは金曜日から土曜日にかけての夜だった。ベラルーシではよく土曜日に結婚式が行われる。金曜日にロシアからチェルノブイリ原発に視察団が来ており、動作試験を行っていた。視察団のメンバーは翌日、原発関係職員の結婚式、3組に招待されており、早く視察を終えて帰りたかった。原発職員も早く仕事を終わらせたかった。そのためちゃんと実施しなければならなかった手順の多くを省略してしまい、事故の発生につながった・・・。

・・・という説なのですが、これが正しいのか、実際どうして事故が起こったのか、原因というのは非常に複雑だったり、当時の作業員の多くが被爆死したりしたため、まだ完全に解明されていません。(地震説もあるぐらいですが、こちらは多くの人が否定的です。ベラルーシには地震が起こりませんから。)

 このブレスト多子家庭協会は会費を集めて、会員16人がベラルーシ国内保養地に行くための費用を捻出したり、救援物資を分配するなど活発に活動していました。原発事故に対する危機感など、社会的な意識も高かったです。
 今回もいつものように子ども達に折り紙や日本の絵葉書、ぬりえなどをプレゼントしました。絵葉書の裏に日本語で名前を筆ペンで書いてあげたら、とても喜んでいました。(もちろん縦書き。)
 そして今回も日本のおやつ昆布(北海道、昆布の名産地、羅臼にお住まいのSさんからのプレゼント)を渡しました。お母さんたちは興味深々で、
「日本人が若く見えるのは昆布のおかげですか? 毎日食べなくっちゃ。」
と言っていました。 
 画像は記念撮影した様子ですが、この中に私の(ベラルーシ人からすればとても若く見える)両親と娘がまざって写っています。

 最後になりましたが、ビタペクト2の購入費、そして「放射能と栄養」をコピーするために必要な経費を寄付してくださった方々、折り紙など子どもたちへのプレゼントを寄贈してくださった方、昆布をわざわざ北海道から送ってくださったSさん、また日本ユーラシア協会大阪府連主催のバザーなどでSOS子ども村への交通費を捻出してくださった多くの日本人の皆様に、この場を借りて深くお礼申し上げます。
 多くの方々に支えられて、この活動が続いています。
 ベラルーシの子どもたちもお母さんたちもSOS子ども村の職員の方々も皆様に大変感謝しております。本当にありがとうございました。