第二話 損を空(そんをくう)貢ぎ物を届けに山姥のもとへ 前編
さてさて、第一話では、貧乏法師と損を空が運命的な出会いをしたのですが、(第一話の内容を知りたい方はコチラへ!)
(物語の舞台は、貧乏法師たちが、出会った猫山のふもとにある、老いぼれ村へと変わります。)
~第二話では、いよいよ、損を空の冒険の始まり~始まり。
ある日の朝のこと、老いぼれ村では、なにやら、村人たちが、集まって話し合いをしておりました。
そこへ、村一番のおしゃべり好きの三平が、大きな声で、「てえへんだあ、てえへんだあ」と怒鳴り込んできました。
そこで、三平の兄貴分である、与平が、言いました。
「おい、三平、いきなり何事だってんだ。」三平は、息を切らしながら 必死の形相で答えました。
「今朝方、猫山の隣山に住む山姥に子供ができたって、聞いたんだ。山姥に貢ぎ物をださなければ、
てえへんなことことになるに決まってらあ」
それを聞いた、村人たちは、皆、黙り込んでしまいました。
それも、そのはず。老いぼれ村に古くからあるしきたりでは、山姥に子供ができると、10日以内に
貢ぎ物を差し出さなければいけないのです。しかも、山姥は、決まって、うら若い村娘を一人で、よこすように、
要求してきます。村人たちの心配をよそに、与平は、皆に言いました。
「おーい、皆のしゅう、誰か貢物を届けることができる娘子(むすめご)は、しらんか。」
与平の問いかけに答えるものは、一人もなく、村人たちは、また黙りこんでしまいました。
ところが、村人たちの心配をよそに、大きな声で、ケラケラと笑う者がおります。
声のするほうを皆がみつめると、なんと、そこに立っていたのは、皆からいつも、煙たがれて、厄介者扱いされてる、
厄介でした。(詳しくは、あらすじ、参照)
「くっくっくっくっくっ、ワシにいい考えがあるぞう。皆も、知ってるとは、思うが、あのお人よしで、馬鹿な子ザルなら、きっとそのお役目、はたしてくれるに違いない。子ザルが女子(おなご)の姿をして、貢物を持っていけばいいのだ」
そこで、すかさず、三平が、いいました。「だが、いくらあの子ザルでも、さすがに山姥に喜んで食われにいくとは、
思えんが、、、」厄介は、それを聞いて、ニンマリと笑い返し、
「子ザルに、山姥のことは、言わずに、山の神様へのお供えといえば、大丈夫だ、ワシが説得してみせるぞ。」
普段なら、厄介の話になど、見向きもしない村人たちなのですが、
今回ばかりは、村の一大事で在るがゆえに、「みかけによらず、厄介どんは、なかなか賢いのう。いい考えじゃ」
などと、皆、口々に厄介をほめたたえました。皆のほめ言葉を聞き、調子に乗った厄介は、言いました。
「それでは、皆の衆、かわいそうな子ザルと賢いこのワシに、褒美をいただけますかな」
それを聞いた与平は黙っていません。「ならば、厄介、おぬしも念のため、付き添いとして、
子ザルについていってはどうじゃ。」「さすが、与平どの、それは、まことによい考えじゃ。決まりじゃ、決まりじゃーー」
村人たちが、一斉にはやし立てるので、 厄介は、しぶしぶ、子ザルこと損を空(そんをくう)
と共に山姥のもとへと旅たつことになったのでした。
さてさて、肝心の損を空(そんをくう)はというと、納屋のほうで、今日もまた、米俵を必死に運んでいるところでした。
その姿をみつけると、また厄介は、ニンマリと笑って、損を空に話しかけました。
「おーい、損を空どん、ちょっと耳よりな話があるんじゃ」損を空は、一瞬、ためらったものの
「厄介どん、僕に何か御用ですか」と聞き返しました。
「実はのう、村人たちが、お前さまに頼まれてほしいことが、あるそうじゃ。
山の神様へのお供えものをお前さまに届けてほしいとのことじゃ。褒美もたんとでるらしい。」
厄介の言葉を聞き、損を空はいぶかしげに、いいました。
「それは、なんとも、光栄な話。でも、そんな立派なお役目をこの僕に任せてよいのですか。
それに、こんなことは、いいたくないのですが、私は、また騙されていまうのでは、ないかと少し心配なのです。」
厄介は、すかさず、いいました。
「いやいや、山の神様はのう、お前のようなかわいい子ザルが貢ぎ物を持ってくることを望んでおられるのじゃ。
その証に、村人たちは、おぬしのために、すばらしい衣装を用意するとのことじゃ。心して望めとのこと。
ワシも一緒にお供するのでな、安心するがよい」
厄介も共に旅たつことを、知った損を空は、最初、出来すぎた話しを疑ったものの、元来の人のよさから、
厄介を信じて、共に山の神様(山姥)のもとへ向かう意思を固めたのでした。
ということで、第二話が始まったのですが、少し長くなりそうなので、次回へと続きまーす!
さてさて、第一話では、貧乏法師と損を空が運命的な出会いをしたのですが、(第一話の内容を知りたい方はコチラへ!)
(物語の舞台は、貧乏法師たちが、出会った猫山のふもとにある、老いぼれ村へと変わります。)
~第二話では、いよいよ、損を空の冒険の始まり~始まり。
ある日の朝のこと、老いぼれ村では、なにやら、村人たちが、集まって話し合いをしておりました。
そこへ、村一番のおしゃべり好きの三平が、大きな声で、「てえへんだあ、てえへんだあ」と怒鳴り込んできました。
そこで、三平の兄貴分である、与平が、言いました。
「おい、三平、いきなり何事だってんだ。」三平は、息を切らしながら 必死の形相で答えました。
「今朝方、猫山の隣山に住む山姥に子供ができたって、聞いたんだ。山姥に貢ぎ物をださなければ、
てえへんなことことになるに決まってらあ」
それを聞いた、村人たちは、皆、黙り込んでしまいました。
それも、そのはず。老いぼれ村に古くからあるしきたりでは、山姥に子供ができると、10日以内に
貢ぎ物を差し出さなければいけないのです。しかも、山姥は、決まって、うら若い村娘を一人で、よこすように、
要求してきます。村人たちの心配をよそに、与平は、皆に言いました。
「おーい、皆のしゅう、誰か貢物を届けることができる娘子(むすめご)は、しらんか。」
与平の問いかけに答えるものは、一人もなく、村人たちは、また黙りこんでしまいました。
ところが、村人たちの心配をよそに、大きな声で、ケラケラと笑う者がおります。
声のするほうを皆がみつめると、なんと、そこに立っていたのは、皆からいつも、煙たがれて、厄介者扱いされてる、
厄介でした。(詳しくは、あらすじ、参照)
「くっくっくっくっくっ、ワシにいい考えがあるぞう。皆も、知ってるとは、思うが、あのお人よしで、馬鹿な子ザルなら、きっとそのお役目、はたしてくれるに違いない。子ザルが女子(おなご)の姿をして、貢物を持っていけばいいのだ」
そこで、すかさず、三平が、いいました。「だが、いくらあの子ザルでも、さすがに山姥に喜んで食われにいくとは、
思えんが、、、」厄介は、それを聞いて、ニンマリと笑い返し、
「子ザルに、山姥のことは、言わずに、山の神様へのお供えといえば、大丈夫だ、ワシが説得してみせるぞ。」
普段なら、厄介の話になど、見向きもしない村人たちなのですが、
今回ばかりは、村の一大事で在るがゆえに、「みかけによらず、厄介どんは、なかなか賢いのう。いい考えじゃ」
などと、皆、口々に厄介をほめたたえました。皆のほめ言葉を聞き、調子に乗った厄介は、言いました。
「それでは、皆の衆、かわいそうな子ザルと賢いこのワシに、褒美をいただけますかな」
それを聞いた与平は黙っていません。「ならば、厄介、おぬしも念のため、付き添いとして、
子ザルについていってはどうじゃ。」「さすが、与平どの、それは、まことによい考えじゃ。決まりじゃ、決まりじゃーー」
村人たちが、一斉にはやし立てるので、 厄介は、しぶしぶ、子ザルこと損を空(そんをくう)
と共に山姥のもとへと旅たつことになったのでした。
さてさて、肝心の損を空(そんをくう)はというと、納屋のほうで、今日もまた、米俵を必死に運んでいるところでした。
その姿をみつけると、また厄介は、ニンマリと笑って、損を空に話しかけました。
「おーい、損を空どん、ちょっと耳よりな話があるんじゃ」損を空は、一瞬、ためらったものの
「厄介どん、僕に何か御用ですか」と聞き返しました。
「実はのう、村人たちが、お前さまに頼まれてほしいことが、あるそうじゃ。
山の神様へのお供えものをお前さまに届けてほしいとのことじゃ。褒美もたんとでるらしい。」
厄介の言葉を聞き、損を空はいぶかしげに、いいました。
「それは、なんとも、光栄な話。でも、そんな立派なお役目をこの僕に任せてよいのですか。
それに、こんなことは、いいたくないのですが、私は、また騙されていまうのでは、ないかと少し心配なのです。」
厄介は、すかさず、いいました。
「いやいや、山の神様はのう、お前のようなかわいい子ザルが貢ぎ物を持ってくることを望んでおられるのじゃ。
その証に、村人たちは、おぬしのために、すばらしい衣装を用意するとのことじゃ。心して望めとのこと。
ワシも一緒にお供するのでな、安心するがよい」
厄介も共に旅たつことを、知った損を空は、最初、出来すぎた話しを疑ったものの、元来の人のよさから、
厄介を信じて、共に山の神様(山姥)のもとへ向かう意思を固めたのでした。
ということで、第二話が始まったのですが、少し長くなりそうなので、次回へと続きまーす!