他の飲食店がスナックと表示しているのに対して、この店はホステスが常駐している島で唯一のパブである(私が観察した範囲なので、他にもパブがあるかもしれない)。スナックとパブ、バーの相違は簡単で、女性がカウンター越しに対応してくれるのがスナックで、女性(ホステス)が席の隣に座ってくれたりカラオケでデュエットしてくれるのがパブ、バーであると考えれば良い。要するに、店内に若い女性がいるが、飲み代の安いのがスナック、高いのがパブ、バーである。
この店は、元々はフィリピンパブとして営業していたと聞いた。店内にはカラオケのステージもあり、昔の設備がそのまま残っていた。前回の旅行の時に出会ったフィリピン人のママさんが現役で働いていた。ホステスは沖縄本島や本州から働きに来ているようで、地元の女性はいない。島では独身男性が多いが女性と出会う機会が少なく、この店で見初められて結婚し、地元に永住したホステスも多いらしい。
不思議なことであるが、この店は商工会が発行した観光パンフレットには掲載されたことがあるが、観光協会が発行したパンフレットには掲載されたことはない。また、観光協会が運営するホームページにも掲載されていない。別に、観光協会と仲が悪い訳ではなさそうで、その理由はこの店の置かれた立場によるものと思われた。この店は他の飲食店(特にスナック)とは異質であり、酔客は地元の人に限られているのではないかと推測された。他の食堂、スナックであれば、地元の顧客も観光客でも誰でも来店してくれるのは大歓迎である。しかし、「ウエーブ」では馴染み客とホステスとの会話が営業であり、そこに一度限りの観光客が入店すれば雰囲気が悪くなってしまう。これがパンフレットなどに店名を掲載したくない理由であると思われた。