“腐乱する都市”では纏められない日常が開けてきた。一人で暗く斜に構え、世を恨んでいたのは、日々の生活にとけ込めない己の不甲斐なさに対する絶望でもあった。ただ、外国と言えども日々生き延びれば、新しい世界は開けてくるものだ。私はドイツに来て一年が過ぎ、友も何人か説明のつかない偶然が私に恵んでくれた。したことは、誠意をもって真摯に生きること。だからといって、いつも暗く独りであったばかりではないことを友は示していくれている。もう、ハンブルクも「腐乱する都市」ではなくなった。新しい章に進みたい。青春の残像を残す“雑詩“はまだ相当書きなぐったものがある。次はどんな章となるのか。期待なさらず今暫くご猶予願います。
これまでのFB詩集「腐乱する都市」は全て纏めて私のブログ(https://blog.goo.ne.jp/admin/entry)に掲載するので、よろしければご笑覧願います。
“影が歩く”
基本的には独りである
どこかに忘れてきたのは
祖国だったか
夢だったか
影が歩く
音
意味を喪えば記号でしかない
しかし
知人は愛想を崩さず
千のクサビを私に打ち込んで
宙に舞う風車
黒と白
朝露のように鮮やかな格子模様の空
の下
影が歩く
誕まれてきてよかった
海の底で生産する
あれは
私の母であったのか
黒く燃え上がる落日に
明日を祈れとは
おかあさん
実に適切な忠告ではありませんか
戯れに
独りであるということは
目が知っています
黄金にくらむ
私の時空が
今
基本的に独りであることによって
問われているのは
そろそろ自明のことと言わなければ・・・
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