リバーリバイバル研究所

川と生き物、そして人間生活との折り合いを研究しています。サツキマス研究会・リュウキュウアユ研究会

”長良川河口堰”の目撃者が退場していく 所秀雄さん

2007-04-12 19:48:03 | あなたをわすれない
岐阜新聞 1面コラム「編集余記」 2007年4月12日

編集余記
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 たんぼを守ろう、平和を守ろう―などと、故郷垂井町から国内外に警世の鐘を鳴らし続けてきた所秀雄さんが、88歳の生涯を静かに閉じた。

▼元農林官僚で実業家として戦後養鶏の中心を生きたが、むしろ長良川を愛する会、ふーどアクション21などの社会活動家として著名。「今、私が一番大きな問題だと思うのは『つながり』が切れてしまっていることです」とは、最後の著書「生命の在処」の冒頭の1節。

▼一昨年、自宅での世代間トークをまとめた本。「『平和のための戦争』などありえない」の章では「今、私たちに必要なことは『価値の共存』…他の人の価値観を理解し尊重する、そういう心の在り方です」と平和の基本思想を説いた。

▼人と人の関係性を大事にし、価値の共存の上に平和を築く―。所さんが長い旅の終わりに次世代に遺した伝言は、詰まるところ戦後日本が新しい憲法の下で実現を目指した「民主主義社会」にほかならない。

▼しかるに「戦後レジーム(体制)からの脱却」を掲げる安倍晋三首相は、任期中の憲法改正を明言。新憲法施行から60年間、一度も必要なかった憲法改正手続きを定める国民投票法案が今国会で一気に成立しそうだ。これが憲法改正への第一歩となれば国民もよくよく考えてみるべき時だろう。

▼所さんの次の警句も引いておこう。「『宇宙船地球号』という小さな船の中で、他を認めず、傷つけ、互いの生存を脅かすような関係を続けていたら、やがてその刃は自らも滅ぼす刃となるでしょう」。

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