メコン川河口から500kmあまり 標高80mに位置する ラオス南部のコーン島 落差20~30mの滝が連なるシーパンドーン(4000の島)と呼ばれる中洲。その滝の上流で汽水域に棲むアカメの仲間が捕れた。
もともと汽水域をすみかとするこの種がはるばる500kmもメコンをさかのぼって落差30mあまりの滝を超えた場所で捕まったということが興味深い。
地元の方は誰もこの魚を見たことがないという。
ボクはタンガニーカでこの種の仲間の撮影をしていたり、四万十で稚魚の調査に同行したりしていて 見てすぐにLatesだなとは思ったものの捕獲された状況には首をかしげてしまった。
ナーカサンという陸地の港からコーン島の船着場のあるワンド状の浅場に帰ってきた村人が二匹の魚を発見して浅瀬に追い込んで1尾を捕まえたという。
この種はメコンの下流では生息しているし、タイはじめ東南アジアでは広く養殖もされている。しかし、44cm20kgというサイズまで養殖することは効率が悪いので行われないのではないか?
また、複数個体が確認されたことは群れで行動する Lates の行動パターンと一致している。
ボクは今回の捕獲に関してこんな風に考えている。
1.メコンは乾季であるにも関わらず通常よりも1~2m水位が高い。
2.雨季では現在の状態のような安定して水位が高いこと期間はむしろ短い。
3.現在の水位の時。フーサオホンというメコン分流の落差がもっとも小さくなる。
季節外れの高い水位が本来は遡上しない魚の移動を可能としたのではないか?