◆調査結果 多摩地域は沖縄県内より「深刻」
「水道水の汚染がより強く起こっていたと言える。明らかに高い数値だ」
検査を分析した京都大の原田浩二准教授は30日の報告会で、そう評価した。
多摩地域が「高い数値」と言えるのは、沖縄県で実施した検査との比較でも裏付けられる。原田氏らは昨年、沖縄の在日米軍基地からPFASの漏えいが続いたことから、沖縄市や嘉手納町など6市町村で、住民387人を対象に同じ血液検査をしている。
この時は、約7%がドイツの指標値を上回っていた。多摩地域では、87人のうち約24%に当たる21人が指標値を上回っており、より深刻だという。
PFASに詳しい順天堂大の伊藤弘明助教(環境疫学)は「健康影響が出るかはまだ分からないが、数値が高かった参加者は、生活習慣などにより注意を払った方がよい」と話す。
◆「国内研究が少ない」から
健康影響の懸念から、欧米では規制強化の動きが強まる。米環境保護庁は昨年6月、目標値で水道水1リットル当たりPFOS(ピーフォス)は0.02ナノグラム以下、PFOA(ピーフォア)は0.004ナノグラム以下とする新基準を発表。米疾病対策センターなどは、(1)免疫力低下(2)脂質代謝異常(3)胎児や子どもの発育障害(4)腎がん—の4項目で悪影響を及ぼす十分な根拠があるとした。
一方、日本の動きは鈍い。暫定目標値はPFOSとPFOAの合計で50ナノグラム以下と米国よりも緩いのに、国は規制強化は見送った。国内研究が少なく毒性評価が定まっていないことなどが理由だ。1月末には内閣府の食料安全委員会が、食品から摂取時の影響を調査する方針を決めた。ただ、結論がいつ出るかは分からない。
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