リバーリバイバル研究所

川と生き物、そして人間生活との折り合いを研究しています。サツキマス研究会・リュウキュウアユ研究会

竹生島とカワウ

2007-06-04 11:27:10 | 琵琶湖”逍遙”撮影記
 5月28日、ビワマス釣りに同行して竹生島辺りにいた。
釣れない釣りにボクは飽きていた午後のこと、竹生島付近でカワウがしきりに飛んでいる。友人は琵琶湖が職場だから、「夏はこんなものではない」と言っていたが、妙である。発砲音がするのだ。
 最初は、鹿威しのような物かと思ったが、音が不規則だ。爆竹にしてはタイミングが恣意的だ。それが、竹生島の方からする。そこでも友人曰く。高島の自衛隊の実弾演習でしょう。

 トローリングしながら竹生島に向かっていくと、舟が島を廻りながらやはり発砲しているらしい。そこまで近づいても、その友人は頑迷で「そんなことはあり得ない」などという。まぁ。そんなことを言い合っていても仕方ないのであって、ボクはなぜ、そんな無駄な「駆除」をしているのかが気になってカメラを廻していた。と、ビワマスが釣れて、そちらにかかりっきりになってしまった。

 さて、空砲(だとおうもうが)で竹生島のカワウを追い払う作業は、このニュース。首相と県知事の視察に合わせての行為だということがやっと解った。
 きっと、先週は少しでも数を減らそうと、あの舟はバンバンしながら竹生島を回っていたのだろう。
 しかし、ホントの意図がわからない。カワウの問題の深刻さを見せるなら、泥縄の追い払いなどしない方が効果的だと思うのだが。如何。

 琵琶湖DVDを県庁の記者クラブで告知したとき、担当の滋賀県の広報担当者が他の内容はさておき、「どうしてカワウの問題を扱わないのか?」と問うてきた。
 ボクは琵琶湖の問題としてカワウも大きな漁業被害となっていることは知っているが、それを扱わないのがなぜ、問題となるのか不思議に思ったくらいだった。
 自然保護団体のDVDだからカワウを扱わないのかと彼が聞いてきたときは内心、頭に来た。「なんという、品性だ。そこまで問題を歪曲するのか」と思ったからだ。
彼にはこう答えた。
「カワウの問題がいろいろな意味を持っていることは解っていらっしゃりますよね。
カワウという生き物の問題を扱おうとしると、カワウという生物についてもある程度の説明が必要です。それに、カワウ以外にもダム問題とかあるじゃないですか、でも教材ということで30分程度という時間枠の中、琵琶湖の全ての現象を時間内で説明することはできません。」

 彼の本当の意図は分かっている。
 DVDのなかで、琵琶湖総合開発と水位調整について言及した内容が不満だったのだろう。それで、現象面で解りやすい加害者のカワウ被害を指摘したのだと思う。

 そこで、カワウがあんなに増えたのは、琵琶湖総合開発の影響ですと。言ってやろうかと思ったのだが、WWFの担当者諸氏はみな紳士なので、とりあえず、おとなしく、にらみつけるだけにした。


京都新聞 滋賀版 20070602

☆テキスト版
琵琶湖の竹生島など視察
安倍首相が滋賀県を訪問
写真
琵琶湖上から竹生島を視察する安倍首相と嘉田知事(2日午後0時35分、長浜市沖)

 安倍晋三首相が2日、滋賀県を訪れ、琵琶湖の竹生島(長浜市)などを視察した。嘉田由紀子知事が同行し、琵琶湖の生態系の変化などについて説明した。

 安倍首相は同日午前、滋賀県入りし、嘉田知事らとともに、長浜市の黒壁ガラス館や曳山博物館などを見学した。

 長浜港から観光船に乗り込み、琵琶湖上から竹生島を視察した。上空に飛び交うカワウの群れを眺めながら、安倍首相は「ものすごい数だなあ」と驚いていた。

 船上で嘉田知事が「水位操作や外来種の繁殖で琵琶湖の固有種が減っている」と説明すると、安倍首相は「治水リスクと生態系の保存をうまく調整できるといいですね」と応えた。
 この後、高島市新旭町針江地区に移動し、わき水を炊事や洗面などに利用する水場「川端(かばた)」のある家庭を訪問した。安倍首相は「嘉田知事は環境問題に大変詳しく、敬服する。世界の水環境を考えるうえで、(滋賀県の)琵琶湖対策に学ぶ点は多い」と話していた。
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