エボラ出血熱が収まらない。ニュースにエボラに似た出血性の疾病 マールブルグ熱に効く薬が見つかったようだという報道があった。
ボクはこのマールブルグ熱にひやりとした思い出がある。その発生源とされた場所に入り込んでしまったのだった。
ある時期、ODAの開発援助で海外に調査に行っていたことがある。
その時は観光開発の基本計画を作るということでアフリカ ケニヤに滞在していた。ボクの仕事は観光地としての魅力について評価して、その場所を開発したら生じるであろう問題について環境麺から予測対策を検討するという内容だった。
ほとんどが資料調査だが、2週間ほど現地を見て回る。現地で確認する場所はケニア側作成したリストの中から日本の調整員が選んだ。そして、どうしてもその場所は入れてくれといケニヤ側担当者の要望があったということで。でケニアとウガンダの国境にある山の、山麓にひろがる自然公園へ出かけた。
公園の中に大きな洞窟があった。
中をみてくれというのは入っていくことになった。
特有のコウモリの糞の臭い。奥の方に入っていくと洞窟の壁面にこすったような痕がたくさんあった。
これは何だと写真を撮っていると現地の担当者がこれはゾウが牙でこすった跡だという。ゾウはこの場所に塩分をとりにやってくるのだという。
その時、ボクは気がついたのだ。
こっこれは あの有名な エルゴン洞窟!
ボクがその場所を知っていたのは、NTVの「すばらしい世界旅行」という番組の取材でエルゴン洞窟を取材したMサンというディレクターが制作したというビデオを見せてもらったことがあったからだ。
ゾウが塩分を取りに来る洞窟 エルゴン洞窟の名前を覚えていた。
しかし、エルゴン洞窟でボクが覚えているのはもっと違う意味だった。
同じ頃。タンガニーカ湖の調査同行してザイールに行くことになった。
たまたまニュースでケニアでマールブルグ熱が出たという話を聞いた。マールブルグ熱といえば、ザイールである。ザイールといえば、エボラ熱もザイールが最初の確認場所だったから、アフリカというのは恐ろしいところだと思って「マールブルグ熱」の名前とケニアでの発祥場所エルゴン洞窟が記憶の中にあった。
ケニアに行くことになってもその場所のことは忘れていた。そして、最初の訪問場所のリストには入ってなかったのだ。
しかし、気がつけばボクたちはその場所にいた。
ボクたちを連れてきた担当者に「ここはあの熱病が出たところだろう。」と尋ねたがとぼけている。これはやばいかも!同僚はのんきに写真などをとっていたが、「壁とコウモリの糞には触らない方がいいよ」と言って急いで洞窟をでた。
行く前に気がついていなかったボクも迂闊だったが、ケニア側の求めるまま、訪問先にエルゴン洞窟を加えたのは日本大使館の担当者だった。
帰りの車中 彼にはエルゴン洞窟はとても「有名な」場所だから、観光開発などはとても無理だと説明した。
さて。
もちろん 実際は罹患しなかったから未だに元気である。今回こんなことをブログに書くことにしたのは「マールブルグ熱」をネット調べていて恐ろしいことを知ったからだった。
その場所にボクが行ったのは、1987年頃のことだと思う。
ボクがエルゴン洞窟のことを知っていたのは1980年の事件のことである。
それから7年ほども時間が経過しているからあくまでも「過去」の話として認識していた。
思えば、不思議な状態だった。
ケニヤ側に案内されて行ったときに、立派な自然公園だったがなぜか半ば閉鎖されていた。
その理由が今回初めて解った。
というのは以下の「感染症の話より」にあるように1987年に、またその熱病の患者がエルゴン洞窟の近くで発生していたからだった。
たぶんボクたちがエルゴン洞窟に行く少し前に、マールブルグ熱の発病があって自然公園は閉鎖されていたのだ。
ケニアの担当者はこの洞窟に入るのは久しぶりだと確かに話していた。
そして、うずたかく積もったコウモリの糞の塊にはボクたちの足跡以外の痕跡は無かったのだった。
つまり。
1987年のマールブルグ熱の発症後、最初にエルゴン洞窟に入ったのはボクたちです。
(2)1980 年ケニア:1 月8 日ケニア西部の砂糖工場で働いていた56歳のフランス人技師が突如熱性疾患に陥った。頭痛、筋肉痛、倦怠感を主症状とし、3 日目から下痢、嘔吐が始まった。15日にナイロビの病院に移送されたが、吐血を繰り返していた。黄疸が強く大量下血で虚脱状態にあり、到着後6 時間で死亡した。 略
最初の患者は発症2週間前に、近くにある大量のコウモリ が生息するElgon 洞窟に入っていることと、近くの森で動物や鳥に餌をやっていることなどが感染機会としてあげられたが、確固とした証拠はない。
(3 )1987 年ケニア:ケニアの西方の公園(フランス人が感染したと思われる周辺)を訪れた少年が発症し、死亡した。二次感染はみられなかった。
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