ココヨリトワニ

野球と文章書きに生きる男、空気王こと◆KuKioJYHKMのブログです。(人が死ぬ創作文があります、ご注意を)

深海聖杯用に書いていたSS

2015-09-15 20:51:53 | パロロワ
近頃、横須賀の街にある噂が流れていた。
人がいるはずのない廃ビルに、セーラー服を着た少女が現れるというものだ。
その少女を見かけると魂を抜かれるだとか、少女は人間離れした顔つきの大男を連れているだとか、
噂は様々な尾ひれがつけられて拡散していった。
その噂のモデルとなったのが、聖杯によってこの地に呼ばれた人ならざるものであるという事実を知る者は、まだいなかった。


◇ ◇ ◇


「どうも集まりが悪いわね……」

廃ビルの一室。銀色に輝く10枚ほどのメダルを手の中で弄びながら、少女は呟いた。
彼女の名はメズール。今は人間に擬態しているが、その本来の姿はシャチを思わせる姿の怪人である。
人間の欲望から作り出されたメダルの怪物・グリード。それが彼女の正体であった。
仮面ライダーオーズと戦いを繰り広げていた彼女は偶然銀の錨を手にし、この地に呼び出されたのだ。
なお彼女にはこの横須賀での身分は与えられておらず、立場としては浮浪者である。
だが、メズールはまったく気にしていない。それは元の生活と、何ら変わりないからだ。
むしろ下手に身分を与えられてしまえば、人間社会に合わせた生活を送らなければ怪しまれることとなり、かえって不都合であるとも言える。

「難儀しているようですねえ」

そしてここで姿を見せたのが、メズールが従えるアサシンのサーヴァント。
青白い不気味な色の肌に、ぎょろりとした目。体には黒地に赤い雲が描かれた外套を纏い、背中には巨大な刀。
全身至る所が異様なこの男の真名は、干柿鬼鮫といった。

「ええ、そうね。何人かの宿主にヤミーをつけたのだけど、成長が極端に遅いわ。
 この街の住人は、欲望を暴走させにくい。しょせんは街だけじゃなく、そこに住む人間も聖杯戦争の舞台装置にすぎないということかしら」

グリードは他者の欲望からヤミーという怪物を生み出し、それを活動させることで自らの力の源であるセルメダルを生み出す。
それ故メズールは横須賀に来てからすぐに無作為に選んだ人間をヤミーの「親」としたのだが、本人が言うようにヤミーの成長は異様に遅かった。
そのため、充分にセルメダルが生み出せていないのである。

「悪いけど、他のサーヴァントと戦闘になってもあまり援護はできそうにないわ。
 覚悟しておいてちょうだい」
「それはもちろんです。そもそも聖杯戦争とは、サーヴァント同士で戦うものですから。
 むろん、例外はありますがね」

メズールの言葉に対し、鬼鮫は牙のように尖った歯を見せて笑う。

「それにしても、あなたも変わってるわよねえ。そんなに目立つ剣を持っているのに、セイバーじゃなくてアサシンだなんて」
「まあ私は、剣士としては少々邪道ですからねえ。
 それに、あなたにとって都合がいいのは剣士よりも暗殺者でしょう?」
「言われてみれば、そうかもしれないわね。単純な強さよりも、小回りがきく方が私にとって使いやすいわ」
「そうでしょう? 私はお役に立てますよ。何せ、忍者ですから」
「私には、その忍者というのがよくわからないのだけど……」
「おっと、失礼。文化の違いを失念していましたよ」

鬼鮫が、再び笑う。

「なあ何にせよ、存分に私を使ってください。あなたはなかなか面白い人だ。
 あなたと組む戦いは、楽しめそうだ」
「私も、あなたはそれなりに気に入ったわ。最初は人間と組まなきゃいけないなんて、どうなることかと思ったけど」
「なに、体が何でできているかなんて、たいした問題じゃありませんよ。
 こうして会話ができてるんですから、ちゃんと息を合わせられますって」

鬼鮫の言葉に、メズールは応えなかった。
彼女は理解している。人間とグリードの、決定的な違いを。
グリードは欲望の化身。どんなに欲望を叶えても、決して満足することはできない。
どれほどあがこうと真に満たされることのない、呪われた存在。それがグリードだ。

(けど、どんな願いも叶えるという聖杯なら……。賭けてみる価値は、充分にあるわ)

決意を新たにするメズール。それを見つめる鬼鮫の表情は、どこか満足げだった。


【クラス】アサシン
【真名】干柿鬼鮫
【出典】NARUTO
【性別】男
【属性】混沌・悪

【パラメーター】筋力:B 耐久:B 敏捷:C 魔力:A 幸運:D 宝具:B

【クラススキル】
気配遮断:B
 サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。
 完全に気配を絶てば発見することは非常に難しい。

【保有スキル】
心眼(真):B
 修行・鍛錬によって培った洞察力。
 窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す戦闘論理。

忍術:A
 おのれの体内で練ったチャクラにより、様々な事象を起こす術。
 アサシンは特に水遁に長け、水場でなくても大量の水を操ることができる。


【宝具】
『鮫肌』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1-2 最大捕捉:1人
おのれの意志を持つ妖刀。
刀といっても刃はなく、びっしりと付いた無数の鋭利な突起で相手の体を削り取って攻撃する。
肉体と共にチャクラ(魔力)も削り取ることができ、削り取った分は所有者が吸収できる。
アサシンはこの刀と融合することによって半魚人のような姿に変身することができ、その場合は筋力が1ランク上昇。
また水中に限り、敏捷も1ランク上昇する。
さらに鮫肌の中に隠れることもでき、この場合は自力で動けなくなる代わりに「気配遮断」が1ランク上昇する。

【weapon】
手裏剣、クナイなどの忍者道具一式。

【人物背景】
霧隠れの里の抜け忍で、犯罪組織「暁」のメンバー。
通称は「霧隠れの怪人」。
大名の暗殺未遂、多数の破壊工作などの罪で指名手配されている。
物腰は丁寧だが、その内には静かな狂気を秘める。

【サーヴァントとしての願い】
メズールとの戦いを楽しむ。


【マスター】メズール
【出典】仮面ライダーOOO
【性別】女

【マスターとしての願い】
おのれの欲望を満たす。

【weapon】
特になし

【能力・技能】
水の操作
 高圧水流を放ち、攻撃を行える。

ヤミー生成
 人間の欲望から「ヤミー」と呼ばれる怪物を生み出すことができる。
 メズールの場合は「親」と定めた人物の生活圏内にヤミーの卵が入った不可視の巣を設置し、
 そこから欲望を吸い取ることでヤミーを成長させていく。

【人物背景】
800年前に錬金術師・ガラが生み出したメダルの怪物・グリードの1体。
水棲系動物の特徴を持ち、コアメダルは「シャチ」「デンキウナギ」「タコ」の三種類。
グリードの中で唯一女性の人格を持ち、「愛」に執着する。

今回はストーリー序盤(ガメルと融合し、オーズに一度倒されるより前)からの参戦。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする