入湯求湯巡礼行記

これまでに訪れた温泉を紹介します。
時代に逆行し、写真は基本的に載せません。
変換できない残念な名称のブログです…

豊富温泉 川島旅館 (北海道豊富町) ★★★

2020-09-19 | 北海道の温泉

豊富温泉は大正期に石油試掘の際に湧き出た温泉で、川島旅館はもっとも早く当地にできた温泉旅館である。その後、他の旅館や町営の日帰り温泉施設ができ、日本最北の温泉街として週末には賑わいを見せる。また、油分を含んだ泉質がアトピーに効くとのことで、近年は全国から湯治に訪れる人がいる。

現代受けしそうな外観、真新しい印象を受ける明るい館内は、2016 年に改装したものだそう。浴室には内湯と露天があり、内湯は非加温と加温浴槽に分かれている。露天も加温であったので、滞在時間のほとんどを非加温浴槽に浸かって過ごした。十二分のアブラ臭と塩味の感じられる温泉であったが、直前に「ふれあいセンター」の湯治用浴槽に浸かってきたためか、ややいインパクトに欠ける気もした。しかし、途中から湯口から懸濁した原油が吐き出されてき、浴感が一気に強化された。原油臭、泡付き、ツルツルオイリーな湯であった。

居合わせた男性は、アトピーがひどく、身動きが取れないこともあったというが、学生時代に豊富温泉に湯治に訪れたら劇的な改善がみられため、就職を機に移住してきたのだという。私は、温泉ヲタクでありながら温泉の効能にはやや懐疑的なのだが、これはモノホンの薬効であろう。


(2019 年 6 月)


◆源泉情報◆
源泉名:R-1A 号井、R-4 号井、R-10 号井混合
泉質:含ヨウ素-ナトリウム-塩化物泉
湧出量:151 l/min
泉温:35.0℃
成分:pH7.8、溶存物質 13190 mg/kg、主要な成分は以下の通り(いずれも mg、カッコ内はミリバル %)。

ナトリウムイオン 4389 (96.31) 塩化物イオン 5734 (80.83)
カルシウムイオン 54.0 (1.36) 炭酸水素イオン 2302 (18.86)
アンモニウムイオン 36.6 (1.02) 臭素イオン 13.9 (0.08)
メタホウ酸 550.0 ヨウ素イオン 13.0 (0.05)
メタケイ酸 35.2 遊離二酸化炭素 28.4

分析日:2015 年 10 月 16 日  ※ガスセパレーター通過後の温泉水タンクにて採水


豊富温泉 ふれあいセンター (北海道豊富町) ★★★★

2020-07-17 | 北海道の温泉

豊富温泉は大正期の石油試掘の際に湧き出た温泉で、稚内市で温泉が湧くまでは日本最北の温泉であった。複数の湯宿や日帰り入浴施設、湯治用の宿泊所などがあり、現在でも、温泉街としては最北とされている。油分を含んだ泉質がアトピーに効くとのことで、全国から湯治に訪れる人がいる。

浴室は一般用と湯治用の 2 ヵ所に分かれており、いずれも強いアブラ臭がした。特に湯治用の方は強烈な個性が感じられ、灯油臭、塩味を感じた。源泉とともに湧き出た原油のバケツが置いてあり、アトピーの人はこれを患部に塗り付け入浴するよう。真似をしてみたが、なかなかに気持ちよい。ただ、肌の親油性の部分に原油がよくなじむのか、洗い落とすのに大変苦労した。

閉店間際の入浴であったが、湯治用に居合わせたのは私以外みな療養目的の常連客のようだった。全国でも極めて稀有な泉質であり、それだけで魅かれてしまったが、やはり効能からしても素晴らしい泉質なのだろう。


(2019 年 6 月)
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<再訪>
昨晩に続き、翌朝一番に再訪してみた。湯治用の湯舟には、湯口付近にオイルフェンスが張られ、油膜などではなく、ほんとに原油が浮いていた。浸かっているうちに、オイルフェンスから流出した原油や湯治客が汲みだした原油が水面にマーブル模様を展開し、徐々に懸濁していった。温泉仲間が「ウルトラ Q」のオープニングのようと言っていたが、まさにそのような感じだ。体中がオイリーな状態になり、ヌルヌルツルツルと不思議な浴感が何とも心地よかった。


(2019 年 6 月)

ナトリウムイオン 4389 (96.31) 塩化物イオン 5734 (80.83)
カルシウムイオン 54.0 (1.36) 炭酸水素イオン 2302 (18.86)
アンモニウムイオン 36.6 (1.02) 臭素イオン 13.9 (0.08)
メタホウ酸 550.0 ヨウ素イオン 13.0 (0.05)
メタケイ酸 35.2 遊離二酸化炭素 28.4

分析日:2015 年 10 月 16 日  ※ガスセパレーター通過後の温泉水タンクにて採水