入湯求湯巡礼行記

これまでに訪れた温泉を紹介します。
時代に逆行し、写真は基本的に載せません。
変換できない残念な名称のブログです…

天橋立温泉 知恵の湯 (京都市宮津市) ★★

2021-01-04 | 近畿・中国・四国の温泉

北近畿タンゴ鉄道の天橋立駅のすぐ脇にある日帰り温泉施設である。外観は瓦屋根の 2 階建で、昭和初期頃の家屋のような佇まいであるが、2003 年に開業したそう。開業当初は炭酸水素塩泉だったようだが、2010 年時点では塩化物泉であった。内湯のほか、露天に壺湯などがあり、塩味のある湯が、循環で使用されていた。

当温泉へは、電車を利用して天橋立を観る“ついで”で立寄ったのだが、これが京都府内で最初の入湯となった。駅近で、電車も 1 時間に 1 本程度なので、待ち時間を利用してさっと入浴するのがいいだろう。


(2010 年 8 月)


◆源泉情報◆
源泉名:天橋立温泉
泉質:含放射能・鉄 (II)-ナトリウム-塩化物泉
湧出量:80.1 l/min
泉温:32.2℃
成分:pH6.87、溶存物質 16270 mg/kg、主要な成分は以下の通り(いずれも mg、カッコ内はミリバル %)。

ナトリウムイオン 5058 (77.49) 塩化物イオン 8667 (89.28)
マグネシウムイオン 495.9 (14.37) 硫酸イオン 1192 (9.06)
カルシウムイオン 364.3 (6.40) 炭酸水素イオン 241.6 (1.45)
鉄 (I) イオン 36.4 (0.46) 臭素イオン 30.5 (0.14)
総鉄イオン 6.8 (0.07) ラドン 37.4 nCl
マンガンイオン 6.7 (0.08) ストロンチウムイオン 5.4 (0.04)

分析日:2004 年 10 月 19 日


清正の湯 竹庭清正乃湯 (愛媛県今治市) ★★★

2020-09-13 | 近畿・中国・四国の温泉

温泉名は、加藤清正を祀った祠のそばから湧出したため。プールなどを併設する「清正乃湯」もあるが、「竹庭清正乃湯」は“大人の名湯”がコンセプトで、15 歳以下は入浴できない。

内湯は赤御影石の浴槽で、一部が寝湯スペースになっている。亀の湯口からは、ツルスベ感、塩味、金気味のある湯が注がれていた。露天にも浴槽が 2 つあり、内 1 つは浴槽内で加温があるものの、湯口からは非加温源泉が注がれ、かけ流されておりとても気持ちの良いものであった。


(2011 年 7 月)


◆源泉情報◆
源泉名:清正の湯
泉質:ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉
泉温:28.4℃
成分:pH8.8、溶存物質 1534 mg/kg、主要な成分は以下の通り(いずれも mg)。

ナトリウムイオン 523.1 塩化物イオン 511.8
メタホウ酸 49.6 炭酸水素イオン 379.5
メタケイ酸 19.3 フッ素イオン 20.6

分析日:2002 年 11 月 5 日 (平成 14 年度温泉分析成績、愛媛県薬品化学科、2002)


阿武川温泉 萩阿武川温泉ふれあい会館 (山口県萩市) ★★

2020-09-12 | 近畿・中国・四国の温泉

萩の市街から山間に入ったところにある日帰り温泉施設。近くには阿武川を堰き止めたダムがあるが、このダムを造る際に発見された温泉らしい。農産物直売所やキャンプ場も併設されている。

内湯と石組みの露天がある。源泉は 32℃ の単純温泉で、浴槽内で加温され、オーバーフローしていた。湯口では硫黄臭が感じられたが、浴槽では感じられなかった。


(2020 年 3 月)


◆源泉情報◆
源泉名:阿武川温泉
泉質:アルカリ性単純温泉
泉温:32.3℃
成分:pH9.4、溶存物質 600.4 mg/kg、主要な成分は以下の通り(いずれも mg)。

ナトリウムイオン 208.4 塩化物イオン 296.1
メタケイ酸 40.4 炭酸イオン 12.1

分析日:2014 年 9 月 29 日


勝浦温泉 ホテル&レンタカー 660 (和歌山県那智勝浦町) ★★

2020-08-24 | 近畿・中国・四国の温泉

勝浦温泉は、紀伊半島の先端にも近い那智勝浦町の沿岸部に展開する温泉で、千葉県の勝浦と区別するためか南紀勝浦温泉とも呼ばれる。江戸時代後期にはすでに温泉が利用されていたそうで、熊野古道や那智の滝などの観光地にも近いことから、現在は近畿圏や中京圏からの観光客でにぎわう。

ホテル&レンタカー 660 は、JR 紀伊勝浦駅のすぐ近くにあり、レンタカー、宿泊、立寄り湯などのサービスを提供している。浴室には 6 人ほどが入れる湯舟が 1 つあり、おそらく自家源泉であろう玉乃湯が加水、加温で使用されている。オーバーフローはあり、表示でもかけ流しとのことであったが、吸い込み口もあった。これは加温のためだろうか。無色透明で、塩味のある湯であった。


(2016 年 9 月)


◆源泉情報◆
源泉名:玉乃湯
泉質:ナトリウム・カルシウム-硫酸塩泉
湧出量:142 l/min
泉温:30.5℃
成分:pH7.3、溶存物質 5584 mg/kg、主要な成分は以下の通り(いずれも mg、カッコ内はミリバル %)。

ナトリウムイオン 1429 (65.48) 塩化物イオン 3066 (90.36)
カルシウムイオン 468.3 (24.62) 硫酸イオン 408.0 (8.88)
マグネシウムイオン 109.6 (9.50) メタケイ酸 43.6

分析日:2009 年 11 月 10 日


十津川温泉 庵の湯 (奈良県十津川村) ★★★

2020-08-23 | 近畿・中国・四国の温泉

十津川村は広大な面積を有する村だが、居住可能面積は小さく、紀伊山地を流れる熊野川に沿って複数の集落が点在している。辺鄙な村ではあるが、古くから高野山と熊野を結ぶ熊野古道小辺路が通い、江戸時代までには湯泉寺温泉、十津川温泉、上湯温泉が開湯している。

庵の湯は、十津川 (熊野川の同村内流域の呼称) を臨むように立地する公衆浴場で、橋のたもとから階段を使ってやや下って入る。浴室には浴槽が 1 つあるのみで、露天はないが、窓が大きくとられ、まだ夏の気配が残る十津川の景を見ながら入浴することができた。湯は、金気臭、タマゴ味、金気味、泡付き、ツルスベ感があり、泡が舞っているので微懸濁し、うっすら白くみえた。加水や循環はなく、かけ流しで気持ちの良い湯であった。


(2016 年 9 月)


◆源泉情報◆
源泉名:十津川温泉 2 号・7 号混合源泉
泉質:ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉
湧出量:867 l/min
泉温:60.2℃
成分:pH7.5、溶存物質 1756 mg/kg、主要な成分は以下の通り(いずれも mg、カッコ内はミリバル %)。

ナトリウムイオン 435.0 (91.24) 炭酸水素イオン 971 (66.13)
遊離二酸化炭素 26.0 塩化物イオン 259 (30.4)

分析日:2014 年 3 月 15 日


小浜温泉 才一の湯 (島根県大田市) ★★★

2020-08-22 | 近畿・中国・四国の温泉

JR 温泉津駅の近くに位置する共同浴場。有名な温泉津温泉はやや離れた位置にあり、小浜温泉の方が温泉津駅に近い。“才一”とは、当地出身の浅原才一 (さいち) から採ったもの。浅原は浄土真宗の信者で、口あいとよばれる信仰の心を読んだ多くの詩を残した人物で、後に日本的霊性として評価され、鈴木大拙の著書で紹介されたことで有名になった。

浴室は 2 面に窓が広くとられ、女湯と仕切りをはさむようにして半円形の湯舟がひとつ。湯は炭酸味、甘味、鉄味のある濁り湯で、透明度は 30 cm ほど。加水と加温ありとのことだが、湯の個性は十分であった。

受付のおばさんはとても話好きな方で、いろいろと身の上話や町のことをお聞きした。観光客を呼び込める温泉津温泉のすぐ近くでありながら地元住民向けの浴場で、湯温も低く、ボイラーで沸かさなければならないなど、厳しいところだと思う。願わくはこのような温泉が今後もずっと続いてくれるよう…そう感じずにいられない一湯であった。


(2016 年 5 月)


◆源泉情報◆
源泉名:小浜温泉
泉質:ナトリウム・カルシウム-塩化物泉
泉温:25.2℃
成分:溶存物質 7130 mg/kg、主要な成分は以下の通り(いずれも mg)。

ナトリウムイオン 1780 塩化物イオン 2650
カルシウムイオン 448 硫酸イオン 974
マグネシウムイオン 87.1 炭酸水素イオン 946
ストロンチウムイオン 12.9 臭素イオン 8.5
メタケイ酸 104 遊離二酸化炭素 299

分析日:2015 年 4 月 21 日


瓦町ぎおん温泉 ゴールデンタイム高松 (香川県高松市) ★

2020-08-14 | 近畿・中国・四国の温泉

高松の繁華街に立地するカプセルホテルの温泉である。町名の瓦町は、瓦焼職人が多くいたことによるそうで、江戸時代の高松は火事が多く、常に需要があったそうだ (風が吹くと桶屋が儲かるならいいが、これは付け火では?)。今ではその名残は見られない。

浴室には茶色く濁った温泉と白湯浴槽やサウナ、水風呂が設けられている。温泉は、加温、消毒の含放射能・鉄 (II)-単純冷鉱泉とのことだが、鉄っぽさのみ感じた。湯口付近には泥状の沈殿が厚く堆積していた。温泉ではないが、不感温帯の白湯ジャグジーが気持ちよかった。


(2019 年 1 月)


◆源泉情報◆
源泉名:瓦町ぎおん温泉
泉質:含放射能・鉄 (II)-単純冷鉱泉
泉温:19.3℃
成分:pH7.0、溶存物質 370 mg/kg、主要な成分は以下の通り(ラドン以外は mg、カッコ内はミリバル %)。

ナトリウムイオン 38.4 (40.93) 炭酸水素イオン 156.0 (60.52)
鉄 II イオン 21.8 (19.12) 塩化物イオン 43.4 (28.84)
メタケイ酸 57.2 硫酸イオン 21.4 (16.64)
遊離二酸化炭素 41.6 ラドン 39.4 nCi

分析日:2014 年 5 月 1 日


戎湯 (兵庫県尼崎市) ★★★

2020-08-14 | 近畿・中国・四国の温泉

えびす信仰は関西圏で盛んで、総本社の西宮神社で 1 月 10 日に行われる福男選びは、冬の風物詩としてテレビでも中継される。えびす神として、イザナギ神とイザナミ神の長子で海に流された蛭子神を祀る神社 (西宮神社、堀川戎神社など) と大国主命の子である事代主命を祀る神社 (今宮戎神社、尼崎戎神社など) があるが、いずれも元々は海に関係する神で、のちに商売繁盛の神とされたものである。

尼崎戎神社の門前にでもあるのかと思っていたが、戎湯は、阪神尼崎駅をはさんで全く別方向に立地していた。街中の温泉銭湯であるが、2002 年にリニューアルオープンしたそうで、建屋の雰囲気は郊外型の温泉施設のよう。内湯と露天があり、黄色透明で、モール臭、弱金気臭のある湯が張られていた。露天はしっかりとオーバーフローしており、また、内湯では湯口付近で泡付きが確認できた。

神戸の灘温泉や西宮の双葉温泉など、このあたりには同系統の湯脈があるようだ。東京や関東平野部に展開する黒湯系のモール泉より、戎温泉のような淡く色付くライトでフレッシュなモール泉の方が好みであり、銭湯は東より西と考えている。至極個人的な意見であるが。


(2019 年 1 月)


◆源泉情報◆
源泉名:戎の湯
泉質:単純温泉
湧出量:430 l/min
泉温:42.6℃
成分:pH8.1、溶存物質 442 mg/kg、主要な成分は以下の通り(いずれも mg、カッコ内はミリバル %)。

ナトリウムイオン 98.2 (93.23) 炭酸水素イオン 262.4 (92.27)
メタケイ酸 59.0 遊離二酸化炭素 4.4

分析日:2001 年 8 月 17 日


鳥取温泉 観水庭こぜにや (鳥取県鳥取市) ★★★

2020-07-26 | 近畿・中国・四国の温泉

鳥取市は、千代川による沖積平野に市域を展開している。1904 年、飲用井戸を掘ったところ温泉が湧き、現在は県庁所在地の街中に複数の温泉旅館や温泉銭湯が営業している。

浴室には内湯と露天が 1 つずつあり、いずれも自家源泉がかけ流しされている。源泉温度が高いため、夏場は加水しているとのことだが、掲示の通りであれば湧出量は 20 l/min と少ないので、冬場も加水しているかもしれない。やや白濁した湯で、塩味、鉄味、金属味が感じられた。


(2011 年 8 月)


◆源泉情報◆
源泉名:小銭屋 2 号泉
泉質:ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉
湧出量:20 l/min
泉温:50.1℃
成分:pH7.1、溶存物質 4361 mg/kg、主要な成分は以下の通り(いずれも mg)。

ナトリウムイオン 1259 硫酸イオン 1366
カルシウムイオン 108.1 塩化物イオン 884.3
マグネシウムイオン 12.5 炭酸水素イオン 530.0
メタケイ酸 147.1 メタホウ酸 32.4

分析日:2009 年 3 月 9 日


トキワ温泉  (堺市堺区) ★★★★

2020-07-23 | 近畿・中国・四国の温泉

市街の温泉銭湯で、創業は昭和 33 年。歴史的な背景からか、周辺には刃物などの中小メーカーが多く、きっと多くの職人が汗を流しに来たのであろう。

メインの湯舟は上下 2 段になっており、熱めの湯が惜しみなくかけ流されていた。細かな気泡が多く舞っており、泡付きも多め。硫黄臭ともモール臭ともとれるにおいも感じられた。下段でも熱かったので、水風呂と交互浴しながら新鮮な湯を堪能した。


(2019 年 1 月)


◆源泉情報◆
源泉名:トキワ温泉
泉質:単純温泉
湧出量:575 l/min
泉温:44.5℃
成分:pH7.8、溶存物質 620 mg/kg、主要な成分は以下の通り(いずれも mg、カッコ内はミリバル %)。

ナトリウムイオン 170 (90.14) 塩化物イオン 162 (55.80)
カルシウムイオン 10.6 (6.45) 炭酸水素イオン 204 (40.83)
メタケイ酸 58.2 遊離二酸化炭素 2.1

分析日:2010 年 6 月 24 日